ユウキヨシハルさんの家のジジです。
先週のつづきを、
おはなしします。
日曜日は、
引っ越し日和でした。
いい天気。
その日曜日に、
ユウキヨシハルさん、
トラックに荷物をつんで、
引っ越してしまいました。
おうちのなかは、
ガラーンとしてる。
中二階からも、
なにもなくなった。
カーテンとジュータン、
それから丸テーブルは、
のこしてある。
おとうさんの仕事部屋からも、
本や資料はぜんぶ、なくなった。
でも、ダンボールの箱は、
ずいぶん、のこった。
それからベランダに、
おおきなブルーのかたまりができた。
引っ越しの翌日、
月曜日。
ふしぎなことに、
まだまだ引っ越しは、
つづけられました。
ボクは、テーブルの上にのって、
みていました。
これまでは、テーブルのうえには、
のりませんでした。
おぎょうぎが、
わるいからです。
でもガラーンとした家になってしまったから、
ゆるされるとおもったんです。
二日目の引っ越しは、
なかなかはかどりません。
そのうえ夕方には、
雪がふってきました。
雪はどんどん、
つもります。
さいごに、
とうとう、カーテンも、
はずしてしまうみたいです。
ボクは、このカーテン、
だいすきなんですが。
カーテンをはずしたら、
さむざむとしてきました。
まどのそとは、雪。
ブルーのかたまりも、
雪にうもれていきます。
おとうさんは、ずっと、
はたらいていました。
かたづけては、クルマにはこぶ。
そしてどこかへ、もっていく。
かたづけては、くるまにはこぶ。
どこかへ、もっていく。
ぼくは、それをみていました。
ぜんぶ、かたづいたら、
雪のなかに、
でていきました。
雪のうえに、
足あとが、
ありました。
道路には、
つぎつぎに、
雪がつもって、
足あとを、
けしていきました。
おとうさんのクルマも、
すぐに雪に、
おおわれてしまいました。
木の枝も、
道路も、
街も、
みんな、
雪に、
うまっていきます。
雪は、
きれいだけれど、
さみしい。
いったいボクは、
どこにいくのでしょう。
ボクにも、
まだ、
わかりません。<つづきます>
<『ジジの気分』(未刊)より>