世界は、騒然としている。
チュニジアで始まり、
エジプトから中東諸国に伝染したイスラム民主革命。
とうとうカダフィ大佐が独裁するリビアにも、
民主化の動きは広まった。
しかしこの民主化運動によって、
やがてこのイスラム諸国は、
中国、インドの次の、
世界の中枢に位置付けられる存在になるに違いない。
私は、そう踏んでいる。
ここのところ、ニュースが相次いでいる。
その上、日経新聞の会社人事欄には、
毎日のように知り合いの新人事が発表される。
人間を「衣替え」にたとえるのも気が引けるが、
エジプトのムバラク大統領やリビアのカダフィ最高指導者も、
そろそろ衣替えの季節を迎えたということ。
日本中の会社が、同じ季節を迎えている。
それにしても、
㈱キャンドゥ社長の城戸博司さんの突然の死去の報には、
驚かされた。
一昨年だったか、
札幌で同じゴルフ・コンペに参加して、
会話を交わした。
その後、いつも、
店を注目して見ていた。
キャンドゥが、いかに、
ダイソーとの違いを出すのか。
いまだ、道半ば。
享年61。
私の3つ上。
ご冥福を祈りたいし、
北川清水、城戸一弥の両新代表取締役はじめ、
残されたメンバーの健闘を祈りたい。
さて今日のニュース3題。
第1は、「消費者庁のトランス脂肪酸表示指針決定」。
各紙で取り上げられている。
消費者庁の役割のひとつ。
昨2010年10月に公表していた指針案を、一部修正した形だが、
重要な視点として「表示の義務づけ」がある。
この点は「今後、検討する」としている。
今回の指針の主な内容。
①100g0.3g未満の含有量は「ゼロ」と表示できる
②栄養成分表示の枠内に、飽和脂肪酸やコレステロールと一緒に表示する
③含有量の分析方法をホームページなどでわかりやすく
などなど。
トランス脂肪酸は、“trans fat”、
または“trans-unsaturated fatty acids”略してTFA。
構造中にトランス型の二重結合を持つ不飽和脂肪酸。
大量摂取によって悪玉コレステロールが増加し、
心臓疾患のリスクが高まる。
天然の植物油にはほとんど含まれず、
マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどに含まれる。
私は、アメリカの視察テキストには必ず、
トランスファットの情報を入れる。
そのアメリカでは、米国食品医薬品局 (FDA) によって、
2003年7月に規定ができた。
一食 (one serving) 当たり0.5g以上のトランスファットを含む加工食品などで、
トランス脂肪酸量を表示すること。
さらに2006年1月1日、トランスファット表示を 義務づけた。
日本はまだ、アメリカの2003年段階。
ニューヨーク市は2006年12月に、
レストランにおけるトランスファットの使用規制を決定、
2007年7月から、
1食当たりに使用される調味料やマーガリンに含まれるトランスファット、
その量を0.5g以下とする規制が施行され、
違反者には最高2000ドルの罰金。
さらに2008年8月には、
1食当たりの「総量」が0.5g以下に規制された。
これによってウォルマートやマクドナルドも、ニューヨークでは、
トランスファット除去の方策を打っている。
アメリカに行ったら、
トランスファットの表示をぜひ見てほしい。
こんなに神経質になっているということが良く解る。
第2のニュースは、
日経POSデータによる食品・雑貨の価格調査。
「食料高 店頭価格に波及」の見出し。
食品38品目、日用雑貨22品目の1月の平均価格。
このうち37品目が、昨10月時点に比べて価格上昇。
アップ率が高い順に、
衣料用防虫剤は12.5%
白砂糖11.5%
冷凍ミックス野菜6.3%
トイレットペーパー6.1%
サラダ油5.8%
これによってデフレ解消というわけではないが、
この兆候は、認識しておきたい。
第3のニュースは、
「イオンがパルコ株を取得」の情報。
パルコは、セゾングループが1953年に、
専門店ビル事業として創業。
2001年に筆頭株主が森トラストになっていた。
郊外ショッピングセンター主体のイオンが、
都心型商業集積にも出店の意欲を持ち始めたということ。
もちろんイオンがこれまで、
全くそういった政策をとらなかったわけではない。
マイカルを傘下に入れた時点で「ビブレ」が都心型専門店ビルだったし、
石川県金沢駅前のイオンは百貨店型の専門店集積ではある。
これも「業態からフォーマットへ」の転換の現象のひとつ。
クッキーカッターのチェーンストアから、
多様化したフォーマットへ。
シュリンクするマーケットでは、
「シングル業態戦略」をとり続けることができる幸せな企業は、
ほんとうに少ない。
さてさて昨日の私は、午前中から、
東京の六本木・青山あたりをうろうろ。
六本木には、東京ミッドタウンがある。
かつての防衛庁跡地にできた施設。
六本木ヒルズよりもアクセスが便利なため、
ずいぶんとにぎわっている。
その後、夕方、日本橋の日本スーパーマーケット協会。
商業経営問題研究会(通称RMLC)の2月例会。
終わってから、到着したが、
ほんとうに恐縮。
しかし座長の私抜きでも、
新年度方針はきっぱりと決まり、
議論が尽くされて、
代表世話人の高木和成さん以下、
皆さんは、満足顔。
その満足顔の皆さんと、
例会後の懇親。
右から、㈱ケノス代表取締役の小林清泰さん。
㈱たいらや代表取締役社長の村上篤三郎さん、
新しく世話人に就任してくださった山口紀生さん、
代表世話人の高木和成さん、
そして最古参の世話人、品川昭さん。
小林さんは月一ペースで、
この商人舎ホームページに連載を書いてくださっている。
その名も「人を育むストア」。
最新記事の「ジャパンショップの衰退を憂う」がすごくいい。
ユーロショップと比較しながら、トレードフェアの在り方を問題提起。
村上さんはトップだから忙しいかもしれないが、
山口さん、高木さん、品川さん、
皆さんも ブログお願いします。よろしく。
昨日も書いたが、
このRMLC名で単行本の企画が進んでいる。
日ごろ情報を集め、議論し、研究してきたことの一端が、
研究会名で単行本になる。
うれしいことです。
故磯見精祐さんがおつくりになった商業経営問題研究会。
杉山昭次郎先生を座長としてスタートした「杉山ゼミ」が、
発展的に改称して生れた研究会から、
単行本が出る。
皆さん、喜んで下さるでしょう。
有難いことです。
<結城義晴>