結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年02月21日(月曜日)

「資産除去債務会計」と「退職給付債務」、トップマネジメントが脳に汗をかく季節だ

Everybody! Good Monday!
[vol8]

2011年第8週、2月も第4週。

もう、3月3日の桃の節句に向かって、
プロモーションは春一色。

先週土曜日の2月19日が、
二十四節気の「雨水」(うすい)だった。

「空から降るものが雪から雨に変わり、
雪が溶け始めるころ」。

その週の月曜日に関東では大雪で、
土曜日あたりは雪ではなく雨になった。

まさに暦通り。
「この時節から寒さも峠を越え、衰退し始める」と、
ウィキペディアにある。

「春一番が吹き、鶯の鳴き声が聞こえ始める地域もある」
ほんとうにいい季節。
花粉症を除けば。

二十四節気は1年を24等分する。
だから大体15日間隔の節目で節気がやってくる。

雨水の次は、3月6日の啓蟄。
「けいちつ」と読む。
「大地が暖まり冬眠をしていた虫が穴から出てくるころ」

いま、雨水から啓蟄に向かう、いい季節。

さて今週の私は会議続き。
今日は商業経営問題研究会(RMLC)の2月月例会。
このRMLC名で単行本の執筆が決まっている。
出版社は東洋経済新報社。

まず電子版が4月に発刊される。
その締め切りは2月下旬の今週末。
執筆の皆さん、よろしく。

明日は、非常勤取締役を務めるCCLの役員会。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱。

水曜・木曜はアドバイザーを務める会社の事業報告会。

そして金曜日からアメリカ。
今回は西海岸のサクラメント・サンフランシスコ。

この季節、
ちょっと肌寒い日もあるが、
とても美しいときです。

その美しさを楽しみつつ、
仕事に邁進したいものです。

さて国会は2011年度予算案の衆議院通過が焦点となる。
予算関連法案の扱いも問題となる。

菅直人内閣の支持率は各紙、各局によって異なるが、
16%から20%といったところで、
もう喫水線はとうに越えている。

誰もがそんな時ではないぞ、と思っているのに、
その思いとは反対側に反対側に物事が進む。

今週は、
2月末決算の企業は最後の詰めとなるし、
3月決算企業はあと1カ月。

いよいよ大詰め。

2月12日の日経新聞の記事。
「将来の店舗撤退費用を特損に」

小売業のチェーンストア化においては、
出店して攻勢に出ているときはいいが、
撤退し始めるときには、
その経費をいかに上手に抑えるかが問題となる。

大型店ばかりではない、
中型店も小型店も、
撤退には莫大な費用がかかる。

このことに関して、
新しく「資産除去債務会計」が導入される。

「将来の店舗撤退費用を前もって損失計上させる新会計ルール」

大手チェーンストアはこの2月期決算で、
多額の損失を計上する。

日経の推計によると、
例えばイオンでは300億~500億円、
セブン&アイ・ホールディングスは300億円前後。
ユニーは80億~120億円。
コンビニでも、ローソンは70億~80億円、
ファミリーマートは60億円前後。

この上位5社の合計金額は、
「最大1000億円を超えるもよう」。

「店舗のほか工場などの将来の撤去費用を見積もり、
財務諸表に反映させねばならない」

このルールは2011年3月期から義務付けられるため、
2月期決算の企業は今回、損失が発生する。
3月期決算企業は幸いなことに(?)来期から発生する。

なぜなら運用開始時期が、決められているから。
「2010年4月1日以降に開始する事業年度から適用」

計上義務が生じる対象企業も限定されている。
まず上場会社。
東証・大証をはじめ、
マザーズ、ジャスダック、ヘラクレスなどに株式上場している会社。
そして上場会社の子会社・海外の子会社等。
つまり連結決算グループを構成する各関係会社。

それ以外は撤退費用を損失計上しなくてもよいが、
しかし健全経営を志向するならば、
上場企業並みの会計原則の採用を検討すべきだろう。

損失額相当の現金が実際に外部へ流出することはない。
しかし撤退費用を分割して毎期、費用処理する必要がある。

撤退費用とはまったく関係ないが、
「退職給付債務」も計上されてしかるべき費目である。

「一定の期間にわたり労働を提供したこと等の事由に基いて、
退職以降に従業員に支給される年金・退職金等の見込み額のうち、
認識時点までに発生していると認められる額を、
一定の割引計算により測定した会計上の債務概念」

あなたの会社は、退職給付引当金勘定を定め、
引き当てているか。

それだけでも経営者の姿勢がわかる。
その上に今回、店舗撤退費用の分割計上がルール化された。

決算期を迎えるたびに、
最近は、何か新しい難題が課される。

経済全体、社会全体が、
企業に存続の意思を毎年毎年、
確かめているようにも見える。

だから店舗年齢や社員平均年齢などの指標を、
今一度、確認しつつ、
中期計画・長期計画を練り直す必要がある。

トップマネジメントの責任と役割である。

売場づくり、商品づくり、販促ばかりが、
トップの仕事ではない。

2月、3月は特に、
トップ自身が汗をかくとき。
とりわけ頭の汗を。

社員をしかったり、
脅したり、すかしたり、
そんなことをしている時ではない。

ピーター・ドラッカー先生が指摘するマネジメントの三つの課題。
その第2は「事業の生産性と働く人の達成感を考える」こと。

事業の生産性は、今日の事業と明日の事業に、
働く達成感は、組織のマネジメントと人のマネジメントに分けられる。

時代や社会が企業に要求するものは、
ドラッカー先生の課題に沿っている。

問題解決の姿勢は今月の標語。
「最初になすべきことから始めよ」

春という季節はとりわけ、
そのことを強く私たちに教えてくれる。

では、今週も。
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

2011年02月20日(日曜日)

ジジと引っ越し・その二[2011日曜版vol8]

ユウキヨシハルさんの家のジジです。
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先週のつづきを、
おはなしします。

日曜日は、
引っ越し日和でした。
いい天気。

その日曜日に、
ユウキヨシハルさん、
トラックに荷物をつんで、
引っ越してしまいました。
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おうちのなかは、
ガラーンとしてる。

中二階からも、
なにもなくなった。
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カーテンとジュータン、
それから丸テーブルは、
のこしてある。
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おとうさんの仕事部屋からも、
本や資料はぜんぶ、なくなった。
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でも、ダンボールの箱は、
ずいぶん、のこった。
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それからベランダに、
おおきなブルーのかたまりができた。
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引っ越しの翌日、
月曜日。

ふしぎなことに、
まだまだ引っ越しは、
つづけられました。

ボクは、テーブルの上にのって、
みていました。
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これまでは、テーブルのうえには、
のりませんでした。

おぎょうぎが、
わるいからです。

でもガラーンとした家になってしまったから、
ゆるされるとおもったんです。
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二日目の引っ越しは、
なかなかはかどりません。
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そのうえ夕方には、
雪がふってきました。
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雪はどんどん、
つもります。
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さいごに、
とうとう、カーテンも、
はずしてしまうみたいです。
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ボクは、このカーテン、
だいすきなんですが。
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カーテンをはずしたら、
さむざむとしてきました。
まどのそとは、雪。
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ブルーのかたまりも、
雪にうもれていきます。
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おとうさんは、ずっと、
はたらいていました。

かたづけては、クルマにはこぶ。
そしてどこかへ、もっていく。

かたづけては、くるまにはこぶ。
どこかへ、もっていく。

ぼくは、それをみていました。
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ぜんぶ、かたづいたら、
雪のなかに、
でていきました。
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雪のうえに、
足あとが、
ありました。
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道路には、
つぎつぎに、
雪がつもって、
足あとを、
けしていきました。
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おとうさんのクルマも、
すぐに雪に、
おおわれてしまいました。
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木の枝も、
道路も、
街も、
みんな、
雪に、
うまっていきます。
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雪は、
きれいだけれど、
さみしい。

いったいボクは、
どこにいくのでしょう。
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ボクにも、
まだ、
わかりません。<つづきます>

<『ジジの気分』(未刊)より>

2011年02月19日(土曜日)

菱食4社合併で総合食品卸売業の「業態誕生」に思う

「水温む」
この語感がぴったり。
春の気分が、盛り上がってきた。

これで花粉症がなければ、
最高なのだけれど。

とはいっても、今年の花粉は、
所によっては10倍も飛ぶと、
前宣伝は華々しかったものの、
私の場合、そうでもない。

10年ほど前には、
「鼻うがい」などやっていた。

塩水を鼻から吸って鼻から出す。

現在は、そんな必要もなくなったし、
何の予防も、治療もしない。

マスクも、嫌いだから、しない。

ただただ、花粉症に耐えるだけ。
ということは私の場合、
軽い花粉症なのだと思う。

「鼻温む」春も楽しめる。

さて昨日は、朝から商人舎オフィスに出た。
ずいぶん仕事がたまっていて、
まずは来週からのアメリカ視察・事前テキストのチェック。

アメリカでは個人消費が、
国内総生産(GDP)の7割を占める。

日本も世界的にみれば個人消費の比率が高くて、6割。
韓国など、輸出がGDPの5割を占める。

個人消費を支えるのが、小売サービス業。
だからアメリカの消費産業は、ずっと、
この面で、世界のモデルになってきた。

「消費がすべて」という哲学は、
やや20世紀的に過ぎるけれど。

私がアメリカを初めて訪れたのは、
1978年9月。

故渥美俊一先生が50歳代で、
人生のうちでも最も元気なころ。
その渥美先生のが宰するペガサスクラブ。
その米国シニアコースに特別に招待いただいた。

㈱商業界に新卒入社して、2年目だった。
私は『販売革新』編集記者の名刺をもっていた。

そしてこの時が、
ペガサスクラブ米国セミナーの最盛期だった。
なんと一つのツアーで、500人。
バス12台が連なって、
スーパーリージョナルショッピングセンターを訪れた。

ネイバーフッドショッピングセンターの場合には、
4カ所が視察対象となり、
参加者は自分の好きなショッピングセンターを順番に訪れる。
Aショッピングセンターの次には、B、そしてC、Dという具合。
その間、12台のバスが循環していて、自由に乗り降りできる。

おそらくこのころが、
日本の流通業者のアメリカ視察最盛期だったと思う。
もちろん学び方も「マス・マーケティング」ではあったが。

私は渥美先生から、
アメリカの小売業やチェーンストア、
店舗と売場と商品の学び方など、
ほとんどのことを教えていただいた。

それは膨大な体系だった。

この渥美理論を前にするとき、
私は心から謙虚になる。

今年も、真に謙虚になって、
アメリカの消費産業から、
学ばせていただこうと思っている。

そう考えながらテキスト・チェックを行った。

午後は、東邦大学付属病院で、
定例の診察。
右目の眼圧17、左目は13。
決して良いわけではないけれど、
ひどく悪くもない。

その後、立教大学キャンパス12号館で、
大学院ビジネスデザイン研究科委員会。
大学院MBAの教授会のようなもの。
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キャンパスでは、
今年度入試発表が行われていた。
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正門を入ったところに掲示。
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最近入試はインターネットで発表されるが、
昔ながらにキャンパスにも掲示される。
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さて、ニュース。
食品卸売業4社の経営統合。
今年3月から本格的に進められると発表されていたが、
来年2012年4月までに完了する。

形式は中核となる菱食が、他の3社を子会社化して合併。
もちろん三菱商事傘下の日本最大食品卸売業で、
三菱商事の出資比率は約60%。
年商は単純合算で2兆2000億円。

一般にマスコミなど、
大きいものは手放しで絶賛する向きもあるけれど、
私はそうではない。

反対に、大きいものには、
何であろうと反発するという人がいるけれど、

私はそうでもない。

合併手続きの第1段階は、今年7月、菱食が、
現在の子会社の一つリョーショクリカーと合併したうえで、
株式交換によって、3社を子会社化。
3社とは明治屋商事、サンエス、フードサービスネットワーク。

一方、現在菱食にはリョーカジャパンというもう一つの子会社がある。
かつての菓子卸・橘髙を母体とした会社。

だからこの7月時点で、
菱食には4社の子会社がぶら下が。

第2段階は、10月、菱食が明治屋商事を合併。
その時点で、子会社はフードサービスネットワーク、サンエス、リョウーカジャパン。
第3段階は、来2012年4月、
フードサービスネットワーク、サンエス、リョウーカジャパンを合併。
このうちサンエスとリョーカジャパンは菓子卸。
この2社も当然ながら一つの事業部として統合される。

これによって、総合食品卸売業が誕生。
ドライ食品、チルド食品、酒類、菓子を一手に扱う総合食品卸売業。
小売業の「業態化」と同じ構造の卸売業が誕生する。

もちろん会社統合と並行して、
情報と物流のシステムの合体、共通化が進められる。

これに先駆けて、代表取締役人事が発表された。
三菱商事から井上彪氏が社長に就く。

井上さんは三菱商事で、食品本部長、生活産業グループを統括。
2003年には三菱商事代表取締役兼常務執行役員生活産業グループCEO、
2006年には代表取締役兼副社長執行役員を歴任。

ここでいう生活産業グループとは、
日本でもアメリカでも、
GDPに占める最大分野「個人消費」を総合的に担当する。

中野勘治社長は代表取締役会長に、
会長の後藤雅治さんは相談役に。

後藤さん、ほんとうにご苦労様でした。
菱食も、ここまで来ましたね。

中野さん、井上さん、よろしく。
菱食の中身の充実と真の融合は、
これからです。

さてさて、今日の日経新聞最終面『交友録』。
文芸評論家の北上次郎さんが、
作家の椎名誠さんとの出会いを書いている。

そうか椎名さんは昨年末に、
『本の雑誌』の編集長を降りていたのか。

1978年ごろ、既に私は、『本の雑誌』を手にしていた。
まだアングラ雑誌の趣きを残していた。

さらに東京・茗荷谷の東洋社印刷での毎月の出張校正では、
椎名さんが編集長を務めていた『ストアーズレポート』とご一緒した。

その後、椎名さんは㈱商業界にスカウトされて、
月刊『商業界』編集長に内定した。

しかし最終的には商業界を蹴って、
自ら創刊した『本の雑誌』に軸を移し、
同時に作家活動を始めた。
以後の大活躍は、ご承知の通り。

椎名誠さんも66歳。
北上次郎こと目黒考二さんは64歳。

6月28日に菱食社長に就任する井上彪さんは65歳。

そして私は58歳。

時代は変わったが、
これからさらに早回しで、
移っていきそうな予感がする。

良い週末を。

私は明日、
新年度入試口頭試問試験官の仕事で、
立教大学キャンパスへ。

「春温む」を楽しみつつ。

頑張ります。

<結城義晴>

2011年02月18日(金曜日)

「コンビニ野菜販売」いや「セブン-イレブン野菜取扱い本格開始」記事の裏側を読む

コンビニエンスストアの生鮮食品取り扱い。
ずっと論議と実験と調査、分析の対象になってきた。

日配品と呼ばれるカテゴリーは、
むしろコンビニの主要品目だが、
生鮮3品はどうなのか。

日経新聞本紙で、今日、取り上げられている。

コンビニ大手4社が、
「野菜の店頭販売を拡充」。

まずセブン-イレブン・ジャパン。
「2011年度内に野菜の取扱店を現在の約7千店から9千店に広げる」

現在は、約1万3000店のうち7000店、
セブン-イレブン店舗のほぼ半分は、
すでに野菜を品揃えしている。

そこへ昨年9月、
子会社セブンミールによる野菜の宅配が全国で始められた。
これによって、「配送面など仕入れ体制が整備された」。
このニュースによって加盟店オーナーの間の認知度が高まり、
来期中に9000店に広がる見通しが立った。

「もうセブン-イレブンは野菜を売っている」という認識を、
マーケットに示そうということだ。
それによってまた、客層が広がる。

今年3月から、イトーヨーカ堂が取り扱う野菜が、
関東地区のセブン-イレブンに投入される。

「顔が見える野菜。」というブランド野菜。
減農薬などに取り組む国内の契約農家から仕入れたオリジナル商品。
その中の「土付きゴボウ(190グラム以上)」(199円)、
「ショウガ(90グラム以上)」(179円)など。

セブン-イレブンの野菜取扱店舗では現在、
1日1店当たり平均販売額は千数百円。
「都心部など立地によっては1万円を超す店舗」。

井阪隆一社長は、発言する。
「来年度には3割程度は増え、
販売額も2倍に伸びるだろう」

一方、ファミリーマートも、
野菜販売の「全国展開に乗り出す」。

こちらは仕組みを変える。
従来は卸売市場などを通じて仕入れていた。
これはスーパーマーケットと同じ、
あるいは八百屋と同じ。

この方式を一新し、
「委託先の食品工場が一括で調達した商品」を、
「各店に配送する仕組み」に改革。

扱い商品はまず9品目。
「玉ネギ(3個)」「ニンジン(2本)」「キャベツ(4分の1)」など。

個数やサイズを調整して、なぜか、
ほぼスーパーマーケットと同等の「105円均一に設定」するという。

従来方式では約2000店だったが、
11年度中に全国の約8000店に広げる計画。

ローソンは生鮮コンビニ「ローソンストア100」を展開しているが、
2011年度に現在の2000店を3000店超に増加させる。

さらにサークルKサンクスも、生鮮コンビニ「99イチバ」のノウハウを、
通常の店舗にも活用する検討に入っている。

ただしこの記事自体、
「セブン-イレブンが野菜を本格的に扱う」ことを、
喧伝する目的をもっている節がある。
一方、スーパーマーケットは 「小型化加速」。
それによって、「垣根越え顧客争奪」。
これも同じ今朝の日経新聞で取り上げられたニュース。

一般紙には、こうして業態間の競争をあおる傾向がある。
事実、同じ野菜が多様なチャネルで販売されることは、
実質的な競争激化を意味する。

しかし、両者のマーチャンダイジングの考え方は、
まったく異なる。

コンビニは単品主義である。
スーパーマーケットは品揃え主義。

従って、コンビニが新しい商品群を品揃えに加えるときには、
スーパーマーケットの商品構成の中から、
いくつかの単品をチョイスすることになる。

しかし、全体で見るとコンビニ・チェーンの方が、
単品大量販売である。

だからスーパーマーケットや総合スーパーの部門の中から、
単品を選択して引き抜くという考え方では、
すぐに間に合わなくなる。

単品大量&小分け物流。
つまりコンビニの特性にふさわしい仕組みが必要となる。

ファミリーマートの考え方はその意味で、
全うではあるが、
セブン-イレブンには先刻承知のこと。

単品主義のコンビニの方が、量販できる。
このことをスーパーマーケットはどう考えるか。

そういった意味での業態間競争であることを、
良く認識しておく必要がある。

セブン-イレブンの1店年商は、
約2億5000万円。

セブン-イレブン8店で20億円。
1店のスーパーマーケットが様々なコンビニ10店に取り囲まれたら、
単品大量で、同じくらいの売上高を奪い取られる。

その単品が10アイテム以下ではあっても、
野菜分野に広げられようとしている。

さて昨日は、
茨城県の名門・水海道ゴルフクラブ。
今年初めてのゴルフを楽しんだ。
プライベートゴルフ。

最高気温12℃、日が射して、
春の訪れを感じさせてくれた。
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メンバーもコースも、素晴らしくて、
新年に入ってからも疾駆・疾走し続けてきた結城義晴に、
初めて、ほんとうのそう快感を味あわせてくれた。

メンバーは、右から、
藤原謙次さん、
堀場勝英さん、
玉置富貴雄さん。

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藤原さんは、昭和44年に㈱ダイエーに入社され、
取締役フーズライン商品本部長や㈱ローソン社長など歴任。
その後、㈱ファンケル社長、会長にご就任され、
現在、㈱カカクコム取締役、㈱デジタルガレージ取締役、
さらに㈱リョーショクリカー顧問など。

私は㈱商業界で、
取締役編集担当兼『食品商業』編集長のときに、
月刊『コンビニ』を創刊した。
ちょうどその時に、ローソンの社長をされていて、
セブン-イレブンの鈴木敏文さんとローソンの藤原謙次さんは、
いつも両雄のごとく並んで誌面に登場いただいた。

玉置さんは、昭和43年ダイエー入社で、
食品畑を歩き、取締役。
その後、㈱丸紅に移り、
そこから㈱東武ストア社長に。
東武ストアを見事立て直した手腕は、
大きく評価されている。

現在、東武ストア顧問、丸紅アドバイザーなどの肩書だが、
まさに悠々自適。
月の5回くらいはゴルフ・ラウンドされる。

堀場さんも、昭和43年ダイエー入社で、
玉置さんと同期。
ダイエーで財務部門を仕切り、
その後、㈱アイフル専務取締役、
㈱ビジネスパートナー取締役、
そして現在、㈱ダイナムホールディングス取締役。

皆さん、ダイエーご出身の精鋭。
しかも団塊の世代。
そのお仲間に私が加えていただいて、
今日のパーティが出来上がった。

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朝も昼食時も、ラウンド中もラウンド後も、
世界金融から、小売業界、ネット業界、製造業界まで、
広範な話題が飛び交った。

ダイエーのOBネットワークの「ナレッジ・ウェアハウス」を空想するだけで、
私は故中内功さんの力量に恐れ入った。

藤原さん、玉置さん、そして呼びかけ人の堀場さん、
ありがとうございました。

私も「ナレッジ・ウェアハウス」の一員に加えてください。

<結城義晴>

2011年02月17日(木曜日)

「紙が網に乗っ取られる」ボーダーズ倒産劇とコーネル・ジャパン「パネルディスカッション」の盛り上がり

日経新聞の国際欄は面白い。
ニューヨーク特派員・杉本晶子さんの報告を、
私、いつも楽しみにしている。

まず米国出版社協会(AAP)発表、
2010年の主要出版社87社の売上高。

「電子書籍が前年比2.6倍の4億4130万ドル(約370億円)」
「一般書籍の売上高合計に占める割合」が
1年で「3.2%から8.3%へと急上昇」

続いて、「ボーダーズが破産法申請」の記事。
全米第2位の書店チェーンボーダーズ・グループが、
米国連邦破産法11条の適用を申請。
これは日本の民事再生法に当たる。
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「ボーダーズの負債総額は12億9000万ドル(約1080億円)」
「米国内店舗の約3割に相当する200店を4月末までに閉鎖」

米書店チェーン首位のバーンズ・アンド・ノーブルも、
2010年8~10月期の最終損益が1200万ドルの赤字。
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アメリカ書店業界は、
まず、バーンズ&ノーブルとボーダーズによって、
「複占」の状態となっていた。
複占とは「ある市場のほとんどが二者によって占められてしまう状態」

しかし、その二強の一方が崩れた。

誰によって?

もちろんアマゾン・ドット・コム。

同社もこの1月末、発表した。
「電子書籍のコンテンツ販売がペーパーバックの販売数を超えた」

複占の次は、新しいカテゴリーとの融和、
あるいは新しいカテゴリーによる席巻が起こる。

マクネア先生は、「小売りの輪」を言った。

さらに私は以前から言っている。
「カミからアミへ」
つまり「紙メディア」が「網メディア」に乗っ取られる。
新聞・雑誌・書籍が、ネットにシェアを食われる。

それが表面化してきた。

もちろん紙がなくなることはない。

紙側は、従って、
紙でなければならないことは何かを考えねばいけない。
同時に「紙と網の融合」を試みねばならない。

古い頭や目先の視点では、
到底解決できない課題ではあるが。

一方、アバクロンビー・アンド・フィッチも復活してきた。
アメリカのカジュアル・ファッション・チェーン。
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2010年11月~11年1月期の四半期決算。
売上高は前年同期比23%増の11億4939万ドル。
このうち既存店売上高は13%増。
なによりも純利益が95%増の9259万ドル(約77億円)。

アバクロでも、「ネット通販は米国内外の合計で43%伸びた」。

不調から蘇ろうとする企業は、
まず利益面が改善される。

そのあとで売上高がついてくる。

どん底で売上高から回復させようとすると、
失敗することが多い。

店や商品が顧客に支持されないという状況は、大抵の場合、
店に良い商品がなくなってしまったから起こるのではない。

良い商品が埋没してしまったからである。
あるいは売り手が顧客の望む商品を自覚できなくなったからである。

昨日16日はコーネルRMPジャパンの2月講座2日目。
場所はお堀端に立つ三井物産㈱本社12階の会議室。

朝8時過ぎの皇居前広場。
2日前に東京が大雪(とはいえ、5センチだったが)だったとは思えない、
澄み渡った春の一日のスタート。
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会議室にも朝の光がまぶしく降り注ぐ。
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この日の授業は、マーチャンダイジングに関する講義の後で、
パネルディスカッションや質疑応答。
二本立てで進行する。

午前の部は、まず「生鮮食品のMDホットトレンド」がテーマ。
まず食肉市場の最新動向を大西徹男講師に語っていただいた。20110217132811.jpg
大西さんは㈱伊藤ハムマーケティング研究所で長年、
所長を務められてきた食肉マーチャンダイジングのプロ。
昨年末に退社・独立されたが、
今は、講演・コンサルティングに全国を飛び回る毎日。
コーネル・ジャパン第一期からの講師でもある。

世界の食肉事情、TPPの影響、加工肉情報などを、
豊富なスライド資料で解説してくださった。
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大西さんの今年の講義、とても良かった。

続いて、藤井俊雄講師「青果物市場の世界需給トレンドと課題」。
藤井さんは、ダイエーご出身で、
その後、スーパーマーケットを中心に青果部門の指導をしてきた。
「ダイエー20年、コンサル20年」
のベテラン。
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人口増加に比して、農産物生産は伸び悩む。
世界的な食料危機。

その中で、国内の農産物の生産・流通、販売はいかにあるべきか。

藤井先生の主張は、「徹底した現場主義」。

「バイヤーは内外の生産地や産地市場を歩き回れ」

その産地の写真をもとに、丁寧に講義してくれた。
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講義の後は、お二人の先生と結城義晴のパネルディスカッション、
及び質疑応答。
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真っ先に手をあげて発言したのが、
㈱シジシージャパン商品本部取締役副本部長の辻信之さん。
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そして㈱平和堂店舗運営本部SM第2店舗部部長の福嶋繁さん。
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お二人の先生方は真摯に質問に答え、意見を交わしてくださった。
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コーネル・ジャパン「実行の第3期生」ともなると、
講師に肩を並べるほどの見識を持っている。

だから受講生から質問を出してもらい、
講師に答えてもらった後で、
私は聞く。
「あなたはどう考えるか?」

1時間のパネルディスカッションのあと、、
最後列で議論を聞いていた荒井伸也首席講師から、
まとめの言葉。
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昼食休憩をはさみ、いよいよ午後の部へ。
日も昇り、皇居の先の渋谷、新宿の摩天楼も霞んできた。
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午後は「商品開発」がテーマ
当然ながらプライベートブランド開発にも論述が及ぶ。

はじめは「日本小売業の商品(PB)開発」
講師は、食品流通研究会会長の井口征昭さん

井口さんは西友ご出身で、「無印商品」の立ち上げにかかわった。
日本の小売業のPBに対しての歴史観と分析力は、
他に比する者なし。
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「店舗開発力を上回る商品開発力はない」

「企業の理念が商品開発に反映される」

鋭い分析と指摘、
そして「無印良品開発」当時のエピソードで笑いを誘いながら、
60分の講義をしてくれた。
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続いての講師は、ピーター・トーマス氏
デイモンワールドワイドジャパンインク上席副社長。
テーマは「商品開発の理論と実践-消費者洞察から商品化まで」
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90枚にも及ぶスライドを駆使しながら、
世界のPB開発のトレンドを詳細に解説。

デイモンはPB専門の世界的なコンサルティングカンパニー。
イギリスのテスコ、アメリカのウェグマンズ、HEバット。
次々に先進企業の最新の考え方と開発の実態を紹介。
実に、興味深い内容だった。
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その後、午前同様、3人によるパネルディスカッションと質疑応答。
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日本市場における商品開発力、調達力について、
国分㈱東京支社SM・生協営業部副部長兼第三支店長の千木良治さんが発言。
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次々に質問や、意見が飛び交い、
トーマス氏も時間ぎりぎりまで、
ディスカッションに応じてくれた。
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コーネル・ジャパンならではの充実した内容だった。

パネラーお二人と一緒に満足の記念撮影。
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もちろん、パネルディスカッションの総括は、
荒井伸也首席講師。
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イギリスやアメリカのスーパーマーケットと日本のスーパーマーケットの違い。
それを踏まえた上で、PBについて論じる必要があるとしたうえで、
「市場における企業占拠率以上にPBのシェアは拡大しない」と指摘。
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朝9時からスタートした2月の講義も、17時には終了。

受講生が立ち去ったあと、西日の射す会議室は片づけを終えた事務局だけ。
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西に傾いた春の光は、黄金色に染まり美しかった。
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今日は一日、私が仕切った。
もっともっと深めたい論議もあったし、
私自身の主張もあった。

荒井先生と議論しなければならない課題もたくさんある。

大西、藤井、井口、トーマス、
各講師陣とも、議論を続けたいし、
それを深化させたい。

もちろん第3期生とも、議論を尽くしたい。

一方的に教える。
それを、習う。

一方的に言い負かす。
それを盲信する。

これは20世紀的態度だ。
私たちは、議論を尽くして、
それでも足りないことを知った上で、
自分の考え方を確立していく。

これぞ「ポジショニング」である。

そのポジショニング競争をする。
これが大塚明講師いうところの「コンテスト型競争」の本質である。

コーネル・ジャパン、
ほんとうに充実。

この2月講義が、ど真ん中の折り返し点。

3月はロジスティックス、
4月はオペレーション、
5月は上田惇生先生の「ドラッカー論」
6月は「シミュレーションゲーム」
そして7月は「長期計画づくり」

この間あっという間に、過ぎてゆく。

もちろん議論の深まりを見せつつ。

しかし、いつも私は思う。
「時間よ、止まれ!」

< 結城義晴>

2011年02月16日(水曜日)

コーネル・ジャパン2月は脱コモディティ・マーケティング論からマーチャンダイジング論まで、たっぷり!

2010年の家計調査が発表された。
1世帯あたりの消費支出が、
1カ月平均25万2328円。

これは「実質」で前年比0.3%のプラス。
実質とは、物価変動の影響を除いた数値。
なんと3年ぶりの増加。

しかし、「名目」では同0.5%のマイナス。
こちらは3年連続で減少。
名目の方が実感に近い。

一方、勤労者世帯の実収入は増えた。
「実質」で前年比2.3%のプラス、
「名目」でも1.5%のプラス。

一昨年の2009年には大きく減じていたが、
幸いなことに、それが反転した。

しかし、消費支出は、
エコポイント制度の恩恵を受けた結果。

2人以上世帯のカテゴリー別購入数量をみると、
薄型テレビが前年比180.3%、
エアコンは147.8%、
冷蔵庫は141.2%。

エコポイント消費を割り引いて考えると、
2010年もまだまだ、
マイナス・トレンドだったと判断できよう。

それが家計調査から判明した。
よく認識しておかねばならない前提条件であるし、
3月から、あるいは4月から始まる新年度も、
この前提を抜きには考えられない。

さて昨日から、
コーネル大学RMPジャパン第3期の2月講義。

ところは東京中央区に位置する三井物産㈱本社ビル。
その12階の会議室をお借りして、2日間の講義。
我々のフランチャイズである法政大学が、
入試期間に入っていて、使用できないからだ。
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2月のトータル講義テーマは、
マーケティングとマーチャンダイジング。
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いよいよ注目の「商品問題」に入ってきた。

講義に先立って、
今月の2日間の講義で何を学んでもらうのか、
副学長として、その趣旨を解説。
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隣は事務局の太田美和子さん。
毎回、講義の司会と受講生への連絡役を担当してくれている。

第一講義は早稲田大学商学学術院教授の恩蔵直人さん。
現在、早稲田の商学部長でもある。

テーマは、
「脱コモディティ・マーケティング戦略」。
この10年で、あらゆる分野でコモディティ化が進行している。
特にグロサリーや飲料の世界で著しい。

それを恩蔵さんは、
販売促進費比率の上昇と企業イメージの変化によって立証した。

商品開発力、技術力が変わらない現在のような市場環境では、
「智恵の力」が必要になる。
知力をもたない企業は、価格競争に埋没せざるをえなくなる。
すなわち「コモディティ・ヘル(地獄)」に陥ってしまう。
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マーケティングにおけるSTPの重要性を、
恩蔵さんは事例をあげながら解説。
Sはセグメンテーション、
Tはターゲティング、
Pはポジショニング。

皆さん、STPは、是非、覚えておきましょう。

その上で、恩蔵先生は、マーケティング上、
購買プロセスを革新させ、
リーン消費に対応することが重要になってくると強調。
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昨年以上にわかりやすくて、丁寧で、
奥の深い講義だった。

食品や日用雑貨のマーケティングは、
この認識からスタートする。

第二講座は、
大塚明講師による「マーチャンダイジングの基本」
大塚さんは現在、スーパーマーケット協会専務理事。
㈱ヤオコーで常務取締役を務め、
スーパーマーケットの実務をほとんど余すところなく経験した。
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たいへんな勉強家でもあって、
その勉強のうえに経験が積み重ねられて、
スーパーマーケット業界有数の理論家「大塚明」が誕生した。

その「大塚理論」の中のマーチャンダイジング編を講義してくれた。

私自身、コモディティとノンコモディティを考え方の縦軸にし、
カスタマーとコンシューマーを横軸にして、
マトリックスで、ビジネスモデルを分析する。
「結城理論」とでも称すべきか。

この結城の理論と「大塚理論」は、合致している。

もちろんヤオコーという企業や店で、
大塚理論は練り上がられ、検証されて、
堅固なものになっている。

それが90分で、見事に展開された。
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恩蔵、大塚とつづくマーケティング、マーチャンダイジングは、
コーネル大学RMPジャパンの主張でもあり、特長のひとつでもある。
もちろん結城義晴の主張でもある。

第三講座は「生鮮食品のグルーカル戦略」。
講師は日本水産㈱社長の垣添直也さん。
コーネル・ジャパン第一期から毎年、講師をお願いしている。
今年は、水産業だけではなく、生鮮食品全体の世界的な動向と、
消費環境をお話しいただいた。
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高い見識と素晴らしい分析。
そして豊富な情報量。

昨年の講義から、
またまた内容が更新され、
なおかつ昇華していて、
私、本当に驚いた。
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水産業界において、
「直也の前に直也なく、
直也の後に直也なし」

< お名前の方を使ってしまってすみません。こちらの方が断然、語呂がいいので>
私は、そう断言したいくらいだ。

この垣添さんの講義を聴くことができた第3期生、
本当に幸せ者だ。
講義を終えられた垣添さんを囲んで、
荒井伸也首席講師と一緒に、記念撮影。
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荒井先生は、ご存知、オール日本スーパーマーケット協会会長にして、
実は垣添さんの高校の先輩。
お二人がご卒業されたのは、
かの名門・都立新宿高校。

おあとがよろしいようで・・・・。

初日最後の第四講座は、
惣菜・日配・ベーカリーのマーチャンダイジング。
講師は、日本フードサービス学院学院長の林廣美先生。
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林先生は「二人のビッグセミナー」で毎年、
私とコラボレーションしてくださっている。
その上、今年10月のアメリカ視察研修会でも、
コラボレーションしてくださることが決まっている。
「スペシャル編&マーチャンダイジング編」の二段重ね重箱スタイル。

さらに、この商人舎ホームページにも、
金曜日恒例で、「林廣美の今週のお惣菜」を連載中。

この講義は、「店全体を惣菜化せよ」という先生の持論をもとに、
惣菜や日配品のマーチャンダイジングが大変化を遂げていることを、
豊富な実務事例をもとに語ってくださった。

13時からスタートした授業も終了時は20時。20110216095715.jpg

講義終了後は、
三井物産本社内にある会場に場所を移して親睦会。

乾杯の挨拶は短く締めて、さっそく喉をうるおす。
「ご参集の皆様の会社のご発展と、
皆さまご自身のご健勝と、
もうひとつ、皆様のお客様の幸せを、
祈念して、カンパイ」
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後ろは、新日本スーパーマーケット協会営業本部長の村尾芳久さん。

授業のあとはビールもワインもおいしく、話がどんどん弾む。20110216095742.jpg

奇跡の第二期生の㈱関西スーパーマーケットの柄谷康夫さんが登場。
この日、夕方から、復習のために授業に特別参加。
これもコーネル・ジャパンの特徴。
卒業生をいつでも受け入れる。
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柄谷さんは、日本経済新聞「世界一、人が交わり価値を生む国、日本へ。」に投稿。
これは「未来面第23回」の紙面で、アイデア募集されたもの。
そして柄谷さんの提言が、採用され掲載された。
日経新聞サイト。投稿テーマは「会社トライやる」
是非、ご覧ください。
そして柄谷さんに励ましのメールを。

1時間の懇親会はあっという間にお開き。
締めはコーネル・ジャパン3期に参加している三井物産の小林将人さん。
食料・リテール本部食品流通部リテール食品室長。
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小林さんは同志社大学ラグビー部キャプテンを務めたラガーマン。
見事な締めの挨拶だった。
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コーネル大学RMPジャパン、
2月の商品問題編に入って、
俄然、加熱。

今、折り返し点。

しかしこれから7月までの講座は、
あっという間に過ぎていく。

濃密な時間、充実した交流。
「時間よ、止まれ!」
毎年、そう、叫びたくなる。

<結城義晴>

2011年02月15日(火曜日)

「商人舎アメリカBasicコース」満杯寸前と「週刊文春」インタビュー

昨日の横浜の雪は、
凄かった。
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立春の後の大雪。
都会の人間は、
びっくり。

しかし今日は一転、
カラリと晴れて、好天気。

無残な雪は残らず、
美しさを楽しませてもらった満足感だけが、
すっきりと残る。

さて今朝、
横浜市西区北幸の商人舎オフィスで、
うれしいニュースが三つ。

第1に、商人舎の5月のアメリカ視察研修会の件。
「第9回Basic視察コース」は、
5月20日から25日まで、
ラスベガスで開催される。

チェーンストアの原理原則、
スーパーマーケット基礎基本を、
ラスベガスに居座って、
集中的に、徹底して、学ぶ。

昨年から始めたら大好評で、
今年はバス2台になった。
70名定員の予定だが、今朝段階で、
63名まで申し込みが寄せられた。

まだダイレクトメールも打っていないし、
特別のアナウンスもしていない。
それでも、最初の打ちだし定員には、
あと7名で満員御礼。

そこで至急、増員のために、
航空便・ホテルなどの手配を始めた。

まだまだ20名分ほどは、
枠を用意しようと考えている。
お申し込みは、お早めに。

よろしく。

第2は、今朝、
商人舎オフィスに届けられた宅急便。

開けてみると、
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「茨城のほしいも・雪の華」
これ、ほんとうに、おいしい。

原料には茨城産さつまいも「玉豊」が使われている。
そのさつまいもも「干し芋」に適切な土壌づくりから研究され、
できた芋を「じっくりと手間を掛けて天日で乾燥」させる。

食べてみると、
懐かしさがこみ上げてくる。

そのうえ、ヘルシーで、
現代的な味を備えている。

毎年お送りいただくが、
事務所の全員が「ワーッ」と歓声を上げるほど、
人気がある。

送って下さったのは、加藤勝正さん。
茨城県潮来市に本部をおく㈱セイミヤ社長。

加藤さんとセイミヤに、
心より、感謝。

さて今朝は忙しい。
第3に、株式会社文藝春秋の和田泰明記者が、
商人舎オフィスを訪れてくれた。

『週刊文春』のインタビュー。
特集記事の中に、
小売業・流通業を取り上げてくれる。

こういった企画には全面協力。
小売サービス業の現代化のためには、
マスコミの理解と協力が不可欠。
私は、どんなことにも、
労を惜しまず力を貸す。

『文春』の問題意識は「企業統合」

「クリティカル・マス」
「範囲の経済」
「寡占・三占・複占」
「コモディティ化現象」

持論を展開させてもらいつつ、
流通事情に関する質問に答えた。

1時間20分ほど。

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和田さんは、35歳のジャーナリスト。
これまで政治の世界の取材が多かったそうだが、
「小売業はおもしろいですねぇ」と、
何度も繰り返した。

うれしいことだ。

小売流通業・サービス業は、
政治に比べても、
面白くて、
理論的・体系的で、
前向きで、
しかも社会貢献度が高い。

我田引水かもしれないが、
それは一般マスコミにも、
訴え続けていかねばならない。

和田さんとの話の最後の方に出した概念が、
いくつか。

「小売業における大動脈と毛細血管」説。

合従連衡が進んだり、
M&Aが進行したり、
合併吸収や企業統合が断行されて、
それらが人体の大動脈や大静脈になっても、
それだけでは人間は健康にはならない。

人間には毛細血管も不可欠だ。

拠点産業の小売業やサービス業には、
この毛細血管のような企業や店があり、
消費産業全体をみると、
それが重要な役割を果たす。

これは、全日食チェーンの田中彰会長の持論。

私は「新しい巨大な森」のようなものだと思っている。
森には巨木、大木もあるし、
雑木、雑草もある。

戦前から戦後の昭和30年代までは、
百貨店という巨木とあとは雑草しかなかった。
ここに総合スーパーや食品スーパーマーケット、
コンビニや家電チェーン、ファッションチェーンなど、
様々な大木が誕生、登場してきた。

しかしそれでも、雑木、雑草や、
一輪のきれいな野の花は必要だ。

どれも、厳しい風雨や天変地異、
自然界の変化に耐えられる強い生物ばかり。
すなわち経営品質の高い企業や店ばかりが残る。

かつての森とは次元の異なる「新しい巨大な森」。
それが商業の現代化の姿である。

今朝の政治欄には、
玉虫色の意思決定への批判が並ぶ。
小沢一郎元民主党代表の「党員資格停止」処分。

これは「除籍」、「離党勧告」に次ぐ最も軽い処分。
まさに玉虫色処分。

停止が終了したら、即時に復帰できる。
当然、民主党岩手県第4区総支部の支部長資格は剥奪、
企業団体献金の受け皿が、表面的にはなくなる。

その半面、国会採決は党の決定に従う義務を課せられ、
党費も支払わねばならない。

小沢一郎代議士にとっては、
屈辱的な処分ではある。

そんな政治の面白さと商業の面白さとは、
まったく異なる。

和田さんが「おもしろい」と、
興味を広げてくれた商業の世界。

不思議な世界でもあるが、
私も、ここに魅了されて35年目に入る。

これからもずっと、
この魅惑的な世界の改善・改革に邁進したい、
そのために「知識商人」の輩出に尽力したいと、
決意を新たにした。

突然の雪に、心が、
影響されたのかもしれない。

雪にも、感謝。

<結城義晴>

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