結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年03月21日(月曜日)

谷川浩司の「がんばりすぎないでください」と「一歩ずつ・ひとつずつ・少しずつ」&「いつも・ずっと」

Everybody! Good Monday!
[vol12]

2011年の春分の日です。
そして第12週、3月の第4週の始まり。

東北関東大震災がなければ、
春分の日の3連休で賑わっていたはず。

18日が彼岸の入り、
24日が彼岸の明け。

その真ん中、中日が、
春分の日。

春分の日の前後3日間が、彼岸(ひがん)。

「彼岸」とは、
「生死の迷いを河・海にたとえた、その向こう岸。悟りの境地のこと」

まさに今の日本人が目指す境地かもしれない。

彼岸の反対を「此岸」(しがん)というが、
これは「迷いの世界。悩みの多い現実世界。この世のこと」

此岸は、こちら側の岸、
彼岸は、向う側の岸。

仏教では西方の遙か彼方に「極楽浄土」があると考えられていて、
だから太陽が真東から昇り、真西に沈む春分と秋分に、
西方に沈む太陽を礼拝する。

しかし今日は、北海道と東北北部を除いて、
全国的に雨または曇り。
東京・横浜は雨。
拝むべき太陽が昇っていても見えない。

それでも夕方には、
西の空を拝みたい気持ちだ。
20110321134500.jpg
私はキリスト者でもないが、
熱心な仏教徒でもない。

それでも今日「春分の日」の日没には、
西の空を拝みたい。

生死の境を超えて、
向こう側に行ってしまった人々、
こちら側に残った人々。
そんな人々のことを思いたい。

日蓮は『彼岸抄』で、
彼岸の期間の善行を勧めている。

「この七日のうちに一善の小行を修せば、
必ず仏果菩提を得べし。
余の時節に日月をはこび功労をつくすよりは、
彼岸一日の小善はよく大菩提に至るなり」
彼岸の間に積む功徳は、
それがたとえ小さな善行であっても、
大きな功徳になる。

親鸞は『歎異抄』で言う。
「善人なをもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」

善人は世の中の都合通りに生きられる人。
そういう人の悩みはたいてい、政治的な問題だ。
宗教的な悩みではない。
そういう人の悩みは放っておきなさい。
仏教が救わなければならないのは、
悪人なのである。
<ひろさちや『まんだら漫歩録』より>

日本の仏教は、面白い。
リアリティに満ち満ちている。

私たち日本人が、
この東北関東大震災に立ち向かい、
そこから立ち直るのも、
このリアリズムによっている。

日本人は誠実である。
そのうえで現実的である。

つまり「実」(じつ)を大切にする。
この日本人の「強み」を活かしていきたい。

さて今週は、23日の水曜日から、
第83回選抜高校野球が始まる。

順調に試合が消化されれば、
4月3日までの予定。

被災地ではまだまだ苦しんでいる人々があるが、
それでも、すこしずつ、ひとつずつ、
平和と日常が戻りつつあることを実感する。
高校野球にはそれが感じられる。

一方、プロ野球セントラルリーグは、
当初の3月25日開幕を延期しつつ、
29日に開幕を決めた。

パシフィックリーグは、
4月12日の開幕を予定している。

読売ジャイアンツ会長・渡邉恒雄に引っ張られたセ・リーグの開幕。

朝日新聞の名物スポーツ記者・西村欣也
は、
激しく批判する。
「4月5日には東京ドームでナイトゲームが行われる。
これは文部科学省の要請に合致するものなのか」

楽天イーグルス監督の星野仙一
は、
「いまは有事。平和ぼけしとる。
野球をやって勇気を与えるという次元じゃない」

前プロ野球選手会長・宮本慎也の言葉。

「申し訳ありませんけど野球をやらせてもらえませんか、
という謙虚な姿勢が見えない」

日経新聞のコラム『景気指標』
編集委員の関口和一が、経済の側面から主張する。
「自粛ムードを断ち切ろう」

関口は「消費者心理の冷え込み」を心配する。
「被災者の生活や交通手段などを考えれば、
祝賀会などを延期するのは自然なことだ。
しかし自粛ムードや横並び意識だけで、
開催可能な行事まで中止するのは、
経済活動には好ましくない」

プロ野球セ・リーグ開幕にも触れる。
「困難な時だからこそ責務を全うするという考え方もある。
大量の電力を消費するナイターの開催や
電光掲示板などの使用を考慮してほしい」

高校野球とプロ野球。
昼間の甲子園とナイトゲームの東京ドーム。
この違いを、日蓮や親鸞は、
どう評価判断するだろう。

「自粛ムードを断ち切ろう」
これには私も賛成だ。

電力やエネルギー、
生活物資や生活環境。
こういった面で被災地、被災者を、
全面的に支え、
「ひとつのニッポン」になりたい。

しかし「経済と消費」は、
「自粛ムード」をとりはらって、
「国民の不安の連鎖」を断ち切りたい。

最後に朝日新聞に将棋棋士の谷川浩司。
「阪神大震災で被災した私の経験から言えば、
これから長い長い闘いになる」

「被災された皆様には、
『がんばってください』ではなく、
『がんばりすぎないでください』と申し上げたい」

「気力だけで乗り切れる期間は限られています。
一歩ずつ、すこしずつ、
そんな気持ちが大切ではないでしょうか」

これまでの10日間は、
「ガンバレ、頑張ろう」を連呼してきた。
とにかく気力が必要だった。

しかしこれから大切なのは、
「一歩ずつ、ひとつずつ、すこしずつ」

そして「いつも、ずっと」

では、今週も、
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

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