結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年03月24日(木曜日)

「無知こそ恐怖の源」だから、三陸まで飛んだダイナム会長・佐藤洋治の「見る・聞く」が貴い

予測されていたことではあるが、
とうとう大東京の水に放射能。

昨日の23日、東京都の金町浄水場の水道水から、
放射性物質が検出された。

1キログラム当たり210ベクレルの放射性ヨウ素。
これは乳児向け暫定規制値100ベクレルを上回る。

都は、「1歳未満の乳児に水道水を飲ませることを控えるよう」求めた。
福島第一原発の事故の影響であることも指摘。

このニュースが流れると、瞬時に、
スーパーマーケットやコンビニの店頭では、
水のペットボトルが売り切れた。

例の「買い溜め亡者」の登場。

暫定規制値を超える放射性物質が検出された農産物の件でも、
過剰な反応が広がった。

今朝の朝日新聞『声』の欄。
読者からの投稿がある。
千葉県松戸市の梅北兼正さん。無職、76歳。
「乳幼児を抱えたお母さんの不安は分からなくはありませんが、
気にしないという人もいるはずです」

「ヨウ素がついた野菜は水でよく洗えば落ちると聞きます。
危険にただおびえるよりも、何の落ち度もない農家を
泣かせない道を選びたいと思います」

「もし風評被害に泣く農産物がありましたら、
流通業界の方々は産地を明示した上で
店頭に並べて下さいませんか」

「物流コストの問題や売れ残りの心配もあるでしょうが、
世間には『よし買おう』という人も少なくないと思います」

「少なくとも、私は買います」

勇気ある発言だ。
昨日のこのブログで書いた、
学習院大学院長だった故田島義博先生と同じ意志。

その朝日新聞「オピニオン」欄。
静岡県知事の川勝平太さん。
2007年に静岡文化芸術大学学長に就任し、
その後、知事に転身した。

静岡には浜岡原発がある。
「短期的にも長期的にも、
一般の人々の科学力・技術力への関心を、
格段に高めねばなりません」

学び、学ばせるということ。

「無知は恐怖の源です」

「原発事故が起きたのは、
科学的予見が外れたことと、
技術の不具合によります」

「それを克服するのも科学であり、技術です。
太陽光発電への切り替えも科学・技術がいります」
「災害についての科学的知識と防災の技術的ノウハウを高めれば、
いざという時も風評に惑わされず、冷静に対応できます」

風評被害には、
知識と情報で対抗する。

これ以外にない。

ピーター・ドラッカー教授が提唱した「知識社会」は、
こういったところにも現れている。

では私自身は、
放射性物質が検出された水や食物を、
飲むか、食べるか。

福島第一原発事故に立ち向かったハイパーレスキュー隊員、
それに東電社員、自衛隊員や米国海兵隊員の勇気を思えば、
臆病者の私だけれど、食べるし、飲む。
そのための知識と情報を収集するし、発信する。

いま、不屈の日本人は、だれもが、
レスキュー隊の勇気と心意気とをもたねばならないと思う。

その勇気で風評被害と闘わねばならないと思う。

「無知こそ恐怖の源」
「わからないからこわくなる」
「知らないから恐ろしくなる」

だから「風評被害には、
知識と情報で対抗しよう」

さて、先週土曜日の19日から3日間。
㈱ダイナムホールディングス社長(㈱ダイナム会長)の佐藤洋治さんが、
東北の被災地の三陸まで入った。
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写真は、北上川。

ダイナムホールディングスは、全国に、
パチンコホール「ダイナム」など342店と、
ファストフード「めん六や」323店を展開。
平成22年度連結決算年商8246億円、
従業員は1万6601人に及ぶ。

宮城に13店、福島16店、岩手7店、
茨城にも16店、出店している。

佐藤さんはトップマネジメントとして、
すぐさま動いた。

震災発生8日後に、
被災した現場を訪れ、
社員・従業員を励ましたのだ。

19日、山形空港までJALの臨時便で飛び、
そこからレンタカーで宮城に入り、
仙南の名取美田園店、名取店を訪れ、
仙台統括事務所に設けられた現地対策本部に入った。

3月11日には東京・日暮里の本社に、
緊急対策本部が設置され、その折に、
現地対策本部もつくられていた。

最後は気仙沼にまで到達し、
この地の自社店舗を視察。

家が水の中に孤立している。
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人家は枠組みと屋根しか残っていない。
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津波は海岸縁だけでなく、奥まったところまで襲来した。
だからここまで瓦礫(がれき)の山。
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鉄筋・鉄骨の建物の外壁しか残っていない。
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両サイドの人家もこのとおり。
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鉄骨2階建て建物の2階に、
津波に流されてきたトラックがぶら下がっている。
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佐藤さんは述懐する。
「想像以上の惨状に胸が打たれました。
矢本から石巻・気仙沼までの光景は、
日常とは全く違う荒廃した世界がつながっていて、
この中に長時間いたら・・・と、
思うとやり切れない気持ちでいっぱいになる」

「一日も早く、この地域の人々の疲弊した心を癒し、
生きる勇気と活力を取り戻してもらいたい。
そのために、私たちの業界は何ができるのか、
今何をしなければいけないのか、
ダイナムは何をすべきかを、
車中で思案していました」。

国道4号線の両サイドは、
完膚なきまでにやられた。
道路左に西松屋チェーン。
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右のコナカ。
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ケーズデンキの駐車場も泥だらけ。
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ダイナムの店舗前にも、
津波で流されてきた木材が散乱する。
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それでも、硬質木材で組み上げられた店舗は残った。
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店舗前はヘドロに囲まれているけれど。

フードサービスの「めん六や」の「めん太郎」も、
店は残った。
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最も被害の大きかった街の気仙沼店は、
高台にあったために意外に被害が少なかった。
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福島のキャビンプラザでは即席のトイレを開放した。
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ダイナムは1995年の阪神大震災を経験した。
2006年の新潟県中越地震も体験した。

その経験から、
「店を開けよう」を、
基本方針とした。

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キャッチフレーズは「がんばれ!!東北」

「店を開けることは従業員にとって、
お客様にとって、いいこと」
佐藤さんは語る。

「被災されて何もしないでいると、
みんな放心状態になってしまう。
だから何か行動目標をもつ必要がある。
店が開かなければ、
ボランティアに行きなさいと指示してきた」

店は、人が集まる拠点である。
だから、非常時には役目が生れる。

今回、宮城県の女川原発は、
避難所になっって、多くの被災者を迎え入れた。
地元の人々は、「ゲンパツさん」と呼ぶ。

ピーター・ドラッカー教授の「ポスト・モダンの七つの作法」。
その一、「見る・聞く」。
東北関東大震災も、
実際に体験した人、見た人、
そして行動した人の判断こそ正しい。

まず「見る・聞く」ことが、
知識と情報の源である。

風評被害と闘うことは、
見る・聞くの行動力から、
始まるのである。

<結城義晴>

2011年03月23日(水曜日)

明るいニュース「球春」と「原発中央制御室の照明」、そして120%の「救国の散財」のススメ

「球春」。
今日から始まった第83回選抜高校野球。

日本語で「野球」。
英語で「baseball」。
日本語の「野」でする球技こそ、
ふさわしい気がする。

それは当然ながら、
昼間のスポーツ。

選ばれた高校生たちが、
昼間の甲子園で、
全力で球を投げ、球を打ち、球を追う。

大震災からの「復旧」を予感させてくれて、
元気が出てくる。

甲子園が関西で、
ほんとうによかった。

関西も、中四国も、九州も、
120%で頑張ってほしい。

それが東北や関東を、
勇気づけることになる。
日本を元気づけることになる。

朝日新聞の『天声人語』。
「救国の散財」を訴えている。

「節電で薄暗い店、歯抜けの商品棚。
これも有事かと思う」

「工場や発電所、物流網がやられ、
停電や放射能の風評被害もある。
空気ではなく実を伴う消沈だ」

「日本全土が現場、全国民が当事者であろう。
だが、皆が沈み込んではお金が回らず、
再生はおぼつかない」

「国費を被災地に集め、
懐に余裕のある向きは『救国の散財』をしてほしい」

「義援金、外食、買いだめ以外の衝動買い、
何でもいい」

「将来に備えた蓄えもあろうが、
国難を皆で乗り越えてこその将来、
ここは東北のために放出しよう。
世界の終わりではない」

さすが『天声人語』と、ここはたたえよう。
日経新聞も「自粛ムードを断ち切れ」と訴えた。

特に関西、中四国、九州の商業・サービス業。
120%の「救国の散財」に応える品揃え、サービスを用意して、
日本中に元気をもたらそう。

この主張に対しては、
全国の小売業やサービス業に携わる人々は、
もろ手を挙げて賛同してくれるに違いない。

朝日新聞「オピニオン」欄の「ザ・コラム」。
大阪大学フェローの小野善康さんが、
「バイ東北」運動の推進を訴える。

「不況のせいで余っている生産力は50兆円前後」

「重要なのはこの力を復興に結び付けることであり、
それには経済活動を着実に続ける必要がある」

「自粛ムードも高まっているが、
それで経済活動を止めたら、
復興はかえって遠のく」

「被災地での物不足は道路や港が壊れて
物流が滞ったからであり、
早晩回復する」

「日本全体の生産余力は十分であるから、
他の地域で消費を控えても無意味だ」

ほんとうに小野さんの言う通り。

「普通の生活を維持し、
できるだけ東北や北関東の部品や最終財を買う」

これが「バイ東北運動」。

「Buy Tohoku!」

1985年、売上高84.5億ドル、店舗数882店の段階で、
ウォルマートのサム・ウォルトンは、
「バイ・アメリカン運動開始宣言」を発する。
「アメリカ製品を買おう」というキャンペーンだった。
このときウォルマートは従業員10万人を超えていた。

郷土愛と商売が結びついて、
このキャンペーンは大成功。

5年後の1990年、
ウォルマートは、シアーズローバックを抜いて、
全米第1位、世界第1位の小売業となる。

「バイ・アメリカン」と「バイ東北」。
特に西日本や関東・中部の皆さん、
「救国の散財」を推進しよう。

ただし、関東・東北地区での計画節電には、
全面的に協力すべきだ。
例外は認められない。
計画節電はおそらく1年は続く。

ここでは「利にこだわらず情に流されず」

堺屋太一さん言うところの「第2の救済段階」であることは、
変わらないのだから。

堺屋太一さんといえば、
昨日のブログでふれたように、
「復興院」という名称ではないが、
「復興省」構想が、
政府内からも提案された。

片山善博総務大臣あたりは反対しているようだが、
「すべての枠を超えた総合的で強力な勧告機関」は、
いま、絶対に必要であると思う。

「球春」とともに明るいニュースがもう一つ。
福島第一原発の中央制御室に照明が通ったし、
原子炉建屋への外部電力の供給体制がほぼ整った。

一方、ホウレンソウ、カキナ、原乳などの出荷制限の問題。
福島、茨城、栃木、群馬の産地には大打撃だ。
行政府・業界を上げて、風評被害の打ち消しに懸命だが、
もう、これは一定程度止まらない。

「食品から検出された放射性物質」
これだけで、一般消費者は忌避する。

ホウレンソウを毎日、1年間食べ続けてもCTスキャン1回分。
枝野幸男官房長官がいくらコメントしようとも、
消費者は「自分だけでも逃れたい」と考える。

現在の牛乳の流通の目安。
普通牛乳の品質保持期限は製造後8日程度、
低温殺菌牛乳の消費期限は製造後5日程度。
それでも消費者は1日でも新しい日付の商品を選ぶ。

この傾向がピークまで助長された中で、
「放射性物質が検出された食品」。

ホウレンソウや牛乳では止まらない。
野菜、果物、乳製品、魚介類、そして水。

科学的根拠の薄い「放射能を浴びた商品の風評」ほど、
恐ろしいものはない。

政府をはじめ自治体には、
「無責任な官僚的判断」だけは、
勘弁願いたい。

やくみつるが風刺漫画にしている。
菅直人首相をポパイに見立てて、
「ホウレンソウの缶詰」を食べさせるの図。

ポパイはホウレンソウの缶詰を飲み込むと、
元気になって、オリーブを助け、
ブルートをやっつけた。

そのホウレンソウが、
人々を元気にするどころか、
人々から退けられる。

悲しいことだ。

亡くなられた田島義博先生。
学習院大学院長。

狂牛病騒ぎの真っただ中、
平気で米国産牛肉を食して、言った。
「私はもう高齢なので、
ここでアメリカンビーフを食べて、
10年後にひどい健忘症になっても、
クロイツフェルト・ヤコブ病なのか、
アルツハイマーなのか、
どちらかは判明しない」

このくらいの豪胆な心持ちも、
大人の人間には必要だと思う。

もちろん専門家総動員で、
適切な放射能規制値を設定し、
それを常に検査し、公開して、
国民の安全安心のマインドを確立することは、
いま、必須の仕事である。

行政府にはそれを切望したい。

そのうえで、小売流通業・フードサービス業は、
過度な安全基準をアピールして、
競争の手段や商売の手立てにする愚だけは避けたい。

元気の出る「球春」と「ゲンパツの通電」ニュース。
それに水を差す「放射性物質が検出された食品の風評被害」。

私たちの前には、
これでもかこれでもかと、
難問が待ち構えている。

「利にこだわらず情に流されず」

「ひとつずつ・すこしずつ」

これだけは、変わらない。

元気を出そうよ。
それがあなたの仕事です。
元気を売ろうよ。
それがあなたの役目です。

<結城義晴>

2011年03月22日(火曜日)

堺屋太一の非常時対策5段階説と「利にこだわらず情に流されず」

東北関東大震災から11日目。
次から次から難題が降りかかる。

しかし、横浜の桜も、
準備を始めている。

商人舎オフィス横の新田間川の桜の木。
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桜の木全体が桜色になってきた。
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そして芽吹き始めた。
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自然は、ひとつずつ、すこしずつ、
段階を踏んで、前に進む。

今朝の日経新聞『経済教室』
経済評論家の堺屋太一さんが、
実によく整理された考え方を提示。

民間企業の非常時対策にも、
大いに役に立つ。

まず非常時対策には、5段階がある。
①救助
②救済
③復旧
④復興
⑤振興

「長期的な視野を持つ必要があり、
決して方向を誤ってはいけない」

短期的・短絡的な救助・救済の視点だけで、
長期的な復興・振興を間違わせてはいけない。

この非常時の5段階の原則。
「軽いものから先に」

第1に、最も急ぐ軽いものは「情報」。
「携帯電話やインターネットで情報が簡単に入る世の中で、
非常時の情報収集がいかに難しいかという視点が忘れられていた」

第2は、「生活物資」。
まず「飲料と医薬の配布」。
その次が「緊急の食料」。
そしてその次が「燃料と衣料」。

第3は、「安全な生活空間の準備とそこへの搬送、
そして仮設住宅の提供」

この第3までが、「①救助」であるという。
震災から10日間が救助活動の段階。

石巻の阿部寿美さん(80歳)とその孫の任さん(16歳)。
9日ぶり、217時間後の救出。

父親の明さんの息子・任さんに対する言葉が、いい。
「口数は少ないが、
たいしたやつだと思っていたので、
それを証明してくれた。

頼もしく思っている」

この救出劇も、第1の救助の段階。

今日から第2段階の「救済」に入る。
「道路、水道、衛生、電力、ガスなどの
ライフラインの応急処置を急がなければならない」

堺屋さんは指摘する。
「大事なのは速度。
最低限のライフラインをつなげるリミットは1カ月以内」

現時点は、
「最低限のライフラインをつなぐ」ときなのだ。

第3段階の「復旧」に入るのは、
「被災後1カ月」。

「水道、道路、電力、鉄道などを旧(もと)に復すとともに、
店舗や飲食店を再開させ、日常生活を復元させる」。

この段階で「精神的安定やコミュニティの再建創造」が始まる。
プロ野球パシフィック・リーグの開幕が4月12日というのは、
まさにこの1カ月後の第3段階を目途にしている。
パ・リーグ首脳の見識というほかない。

堺屋さんも書いている。
「それには楽しみと希望を創る視点も必要だ」。

楽天監督・星野仙一の「平和ボケしとる」の指摘も、
ビートたけしの「『被災地に笑いを』なんて戯れ言だ」の発言も、
「最低限のライフライン」を死守しようとしている今の状況判断である。

このたびの東北関東大震災では、
福島第一原子力発電所の問題が重なった。
首都圏の電力を支え続けた福島第一原発である。

「最低限のライフライン死守」の時だと、自覚したい。

だから今、被災地や関東圏の店舗は、
配給所・供給所に徹するべきだ。

昨日、日本マクドナルド㈱が営業時間を延長し、
さらに24時間営業店を増やすと発表。

「東京電力供給エリアのマクドナルド店舗
営業時間に関する運用変更のお知らせ」。

1.東京電力供給エリアの店舗営業時間変更
3月21日(月)までの営業時間5:30~21:00
→3月22日(火)より5:30~23:00
2.東京電力供給エリアの24時間営業店舗の一部再開
3月21日(月)までの24時間営業店舗20店舗
→3月22日(火)から順次 計205店舗

この第2段階の救済時期のこの判断は、
間違っていると思う。
1カ月後の復旧段階ならまだしも。

外食産業、ことにファストフード業界は、
競争意識が激しい。
トップ企業が他に先駆けて走り出すと、
フォロワーたちも走り始める危険性がある。

堺屋さんは重要な指摘をしている。
「利にこだわらず情に流されず、
経済社会の総合判断が必要だ」

「利にこだわらず情に流されず」
マクドナルドの判断は、
「利」にこだわってはいまいか。

堺屋さんは続ける。
「日本の財政・経済はもちろん、
国民の士気やこの国の多様な文化性をも考えねばならない」

「この順序をどう選択し、
その合理性を国民に説得することこそ、
復旧から復興へ、
そしてさらなる振興・発展へと展開していく過程で、
最も重要かつ困難な仕事である」

民間企業も商業・サービス業も、
順序の選択と顧客や社会への説得は不可欠だ。

堺屋さんはそのために国に対して、
「復興院」的機関の設置を提案する。
「すべての枠を超えた総合的で強力な勧告機関」

1923年の関東大震災の時には、
「帝都復興院」という強力な機関ができて、
「土地交換による市街地整備計画などを断行」し、
東京の近代的復興と振興に貢献した。

1995年の阪神大震災の時には、
堺屋さん自身、「復興院」創設を「進言」したが、
『復興委員会』なる「調整機関に縮小」されてしまった。

堺屋さんはこの委員会の委員の一人となったが、
「日時を経るに従って熱は冷め、
政府各省の権限意識が強まった」。

だからこそ今回、「復興院」的機関の創設を主張する。
その3つの条件。
第1に、「既存の枠組みを超えること」。
第2に、「時間の長短を超え、目前のことと遠い先のことを、
等しい尺度で考えること」。
第3に、「これまでの経緯や利害にとらわれないこと」。

昨年10月に堺屋さんに会った。
その時に強調していたのは、何事も、
「本気のプロデューサー」が必須だということ。

「復興院」には本気のプロデューサーが、
1ダースくらいは参画しなければならないだろう。

今日の日経新聞『経済教室』。
ご一読をお勧めしたい。

堺屋太一さんに感謝しつつ、
「利にこだわらず情に流されず」
「ひとつずつ、すこしずつ」
「ずっと、いつも」
を、
私たちの信条としたい。

<結城義晴>

2011年03月21日(月曜日)

谷川浩司の「がんばりすぎないでください」と「一歩ずつ・ひとつずつ・少しずつ」&「いつも・ずっと」

Everybody! Good Monday!
[vol12]

2011年の春分の日です。
そして第12週、3月の第4週の始まり。

東北関東大震災がなければ、
春分の日の3連休で賑わっていたはず。

18日が彼岸の入り、
24日が彼岸の明け。

その真ん中、中日が、
春分の日。

春分の日の前後3日間が、彼岸(ひがん)。

「彼岸」とは、
「生死の迷いを河・海にたとえた、その向こう岸。悟りの境地のこと」

まさに今の日本人が目指す境地かもしれない。

彼岸の反対を「此岸」(しがん)というが、
これは「迷いの世界。悩みの多い現実世界。この世のこと」

此岸は、こちら側の岸、
彼岸は、向う側の岸。

仏教では西方の遙か彼方に「極楽浄土」があると考えられていて、
だから太陽が真東から昇り、真西に沈む春分と秋分に、
西方に沈む太陽を礼拝する。

しかし今日は、北海道と東北北部を除いて、
全国的に雨または曇り。
東京・横浜は雨。
拝むべき太陽が昇っていても見えない。

それでも夕方には、
西の空を拝みたい気持ちだ。
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私はキリスト者でもないが、
熱心な仏教徒でもない。

それでも今日「春分の日」の日没には、
西の空を拝みたい。

生死の境を超えて、
向こう側に行ってしまった人々、
こちら側に残った人々。
そんな人々のことを思いたい。

日蓮は『彼岸抄』で、
彼岸の期間の善行を勧めている。

「この七日のうちに一善の小行を修せば、
必ず仏果菩提を得べし。
余の時節に日月をはこび功労をつくすよりは、
彼岸一日の小善はよく大菩提に至るなり」
彼岸の間に積む功徳は、
それがたとえ小さな善行であっても、
大きな功徳になる。

親鸞は『歎異抄』で言う。
「善人なをもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」

善人は世の中の都合通りに生きられる人。
そういう人の悩みはたいてい、政治的な問題だ。
宗教的な悩みではない。
そういう人の悩みは放っておきなさい。
仏教が救わなければならないのは、
悪人なのである。
<ひろさちや『まんだら漫歩録』より>

日本の仏教は、面白い。
リアリティに満ち満ちている。

私たち日本人が、
この東北関東大震災に立ち向かい、
そこから立ち直るのも、
このリアリズムによっている。

日本人は誠実である。
そのうえで現実的である。

つまり「実」(じつ)を大切にする。
この日本人の「強み」を活かしていきたい。

さて今週は、23日の水曜日から、
第83回選抜高校野球が始まる。

順調に試合が消化されれば、
4月3日までの予定。

被災地ではまだまだ苦しんでいる人々があるが、
それでも、すこしずつ、ひとつずつ、
平和と日常が戻りつつあることを実感する。
高校野球にはそれが感じられる。

一方、プロ野球セントラルリーグは、
当初の3月25日開幕を延期しつつ、
29日に開幕を決めた。

パシフィックリーグは、
4月12日の開幕を予定している。

読売ジャイアンツ会長・渡邉恒雄に引っ張られたセ・リーグの開幕。

朝日新聞の名物スポーツ記者・西村欣也
は、
激しく批判する。
「4月5日には東京ドームでナイトゲームが行われる。
これは文部科学省の要請に合致するものなのか」

楽天イーグルス監督の星野仙一
は、
「いまは有事。平和ぼけしとる。
野球をやって勇気を与えるという次元じゃない」

前プロ野球選手会長・宮本慎也の言葉。

「申し訳ありませんけど野球をやらせてもらえませんか、
という謙虚な姿勢が見えない」

日経新聞のコラム『景気指標』
編集委員の関口和一が、経済の側面から主張する。
「自粛ムードを断ち切ろう」

関口は「消費者心理の冷え込み」を心配する。
「被災者の生活や交通手段などを考えれば、
祝賀会などを延期するのは自然なことだ。
しかし自粛ムードや横並び意識だけで、
開催可能な行事まで中止するのは、
経済活動には好ましくない」

プロ野球セ・リーグ開幕にも触れる。
「困難な時だからこそ責務を全うするという考え方もある。
大量の電力を消費するナイターの開催や
電光掲示板などの使用を考慮してほしい」

高校野球とプロ野球。
昼間の甲子園とナイトゲームの東京ドーム。
この違いを、日蓮や親鸞は、
どう評価判断するだろう。

「自粛ムードを断ち切ろう」
これには私も賛成だ。

電力やエネルギー、
生活物資や生活環境。
こういった面で被災地、被災者を、
全面的に支え、
「ひとつのニッポン」になりたい。

しかし「経済と消費」は、
「自粛ムード」をとりはらって、
「国民の不安の連鎖」を断ち切りたい。

最後に朝日新聞に将棋棋士の谷川浩司。
「阪神大震災で被災した私の経験から言えば、
これから長い長い闘いになる」

「被災された皆様には、
『がんばってください』ではなく、
『がんばりすぎないでください』と申し上げたい」

「気力だけで乗り切れる期間は限られています。
一歩ずつ、すこしずつ、
そんな気持ちが大切ではないでしょうか」

これまでの10日間は、
「ガンバレ、頑張ろう」を連呼してきた。
とにかく気力が必要だった。

しかしこれから大切なのは、
「一歩ずつ、ひとつずつ、すこしずつ」

そして「いつも、ずっと」

では、今週も、
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

2011年03月20日(日曜日)

「ふたたび祈ります」[2011日曜版vol12]

東北関東大震災。
おそろしい地震と津波でした。
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ふたたび、
なくなられたみなさまのご冥福を、
おいのりします。
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被災されたみなさまに、
お見舞いもうしあげます。

ゲンパツにも、
すこしずつ、ひとつずつ、
安全への努力がはらわれています。
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メディアアーティストの八谷和彦さん作、
「おなかがいたくなったゲンパツ君」
[youtubeID:ZUzBvxdnCFM]

ボクもおなかがすいたりしますが、
できるかぎり、がまんしています。
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わけあうことが、
たいせつだと、
おもうからです。

Takamasa Matsumotoさんのポスター。
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「みんなで分けあえば、できること」

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そうです。
分けあう気持ちが、
たいせつです。

ただひとつ、
気になることがあります。
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3月17日に糸井重里さんが、
「ほぼにち」に書いています。

「ぼくが、言えないままでいることのひとつが、
ペットの救助や、保護のことです」

「災害があると、ペットもいっしょに巻き込まれます。
ペットというのは『人間』でないものです。
緊急の場面では、人間とペットの間には
一線が引かれることになります」

「正直言って、この問題については、
ぼくはじぶんのことばを持っていないままです。
まだ正解を出そうとして足掻いているのかもしれません」

「でも、幸い、このことをずっとやり続けてる人もいます。
ぼくは、そういう場合は、ただただ、
ひとりの愛犬家として、彼らに協力するのみです」

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ユウキヨシハルのおとうさんも、
糸井さんとおなじ気持ちです。

ニンゲンとペットには、
ひとつの線がひかれます。

でも、いまボクは、
おとうさんといっしょ。

いざとなったら、ボクは、
線のむこう側にいなければならないのかと、
おもっています。

でも、こんやは、
被災されたみなさんが、
それを助けようとしているみなさんが、
そして、すべてのみなさんが、
すこしでも、やすらかに、
ねむることができますように。
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おいのりします。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2011年03月19日(土曜日)

「マルトは決して逃げません!」頑張れ、マルト!「愛して止まないふるさと・岩手の暮らしを守る」負けるな、マイヤ!

頑張ろう、日本。
頑張ろう、東北。
頑張ろう、関東。

がんばろう、宮城、
がんばろう、福島、
がんばろう、岩手、
がんばろう、茨城。

負けるな、商人。
負けるな、不屈の日本人。

昨日の午後2時46分。
東北関東大震災の激震から1週間。

全国民が黙祷。
私たちも黙祷。

あらためて、
亡くなられた人々のご冥福を祈り、
被災された方々へお見舞いを申し上げたい。

現時点で、亡くなられた人6911人、
行方不明の人1万0754人、
負傷した人2356人、
避難生活をしている人37万4976人。

ともにこの苦難に立ち向かっていくことを、誓いたい。

天皇陛下のメッセージの中にあった言葉。
「この深い悲しみの中で、
日本人が、取り乱すことなく助け合い、
秩序ある対応を示していること」

これは海外でも高く評価されている。

そして、天皇陛下自らの決意表明。
「被災者のこれからの苦難の日々を、
私たち皆が、様々な形で、
少しでも多く分かち合っていく」

1週間が経過したが、
これからこそ、
私たち全員にとって、
たいへんな仕事が始まる。

「艱難が忍耐を生み出し、
忍耐が練達を生み出し、
練達が希望を生み出す。
この希望は失望に終わることがない」

<『新約聖書・ローマ人への手紙5章』より>

「艱難」とは、「困難に出あって苦しみ悩むこと」。
「忍耐」とは、「苦難などをこらえること」
「練達」とは、「熟練して深く通じていること」。
ここでは「練られた品性」。

そして「希望」とは、「将来に対する期待。また、明るい見通し」
「失望」とは、「期待がはずれてがっかりすること。
「また、その結果、希望を持てなくなること」
<以上、『大辞泉』より>

いまは、日本国民全体にとって、
「艱難」と「忍耐」のとき。
この忍耐は「練達」を生み出す。

私たちが持っている「練達」が磨かれる。

そして「練達」から導き出された「希望」は、
決して「失望」に終わることがない。

「練達」から生まれた「希望」は、
「失望」に終わらない。

私はキリスト者ではないが、
この言葉は信じる

心から、そう思う。

それが東北関東大震災1週間後の心持ち。

「負けるな! 不屈の日本人」
「練達」と「希望」を自らのものとしたい。

1週間を経て、
「すこしずつ・ひとつずつ」
商人舎でも直接、お見舞いをし始めた。

スペシャルメンバーの川勝利一さん。
㈱マルト取締役副会長の安島光子さんと連絡が取れた。
福島県いわき市でスーパーマーケットを経営。
「本当に現場は大変!
生活の場、店も破壊され、
従業員さん、パートさんにも亡くなった方がいます」

「そんないわきから東京に向かうバスは、満員。
原発の風評被害か、いわきから人々が出ていきます。
その中に医者がいて、激しく憤りを感じました」

「でも私たちマルトは、この地で20坪のお店からスタートし、
地域の方々に支えられて、やってきました。
だからマルトは決して逃げません!」

「いつまでかかるかわからないけど、
現場の今の現実に向き合い、
強い意志と信念で一つ一つ前に進みます。
どうか応援してください!」

「安島光子副会長の毅然とした姿を見ました」
川勝さんは述懐する。

ガンバレ、マルト。
負けるな、マルト。


岩手県大船渡市の㈱マイヤ。
社長の米谷春夫さん
が、
ホームページに熱いメッセージを掲載。
「マイヤは、陸前高田の2店舗、大船渡4店舗のうち3店舗、大槌町のマストが
それぞれ全壊あるいは半壊で営業停止しましたが、
大船渡インター店はじめ、10店舗で営業中です。
このような非常事態だからこそ、
食のライフラインを支える使命を重く認識し、
できるかぎり精一杯の商品供給に努めております。

愛して止まないふるさと・岩手の暮らしを守るため、
従業員も必死に頑張っています。
失くしたものをいつまでもくよくよせず、
残されたものに希望を託して、
一日一日をスクラムを組んで乗り越えていきましょう。

平成23年3月18日
株式会社 マイヤ 代表取締役社長 米谷 春夫」

仮設本部は、大船渡インター店〈住所:大船渡市立根町字堀の内10-1〉

ガンバレ、マイヤ。
負けるな、マイヤ。


茨城県潮来市の㈱セイミヤ社長の加藤勝正さん。

商業経営問題研究会〈RMLC〉のメンバーで、
加藤さんほどの勉強家を私は知らない。
「ご心配おかけしました。
被災直後は、2店舗しか営業できませんでした。
お陰様で、社員、従業員、みな無事でした」

「でも、懸命に復旧して、現在は、
全店でとにかく、お店を開けています」

「現在も5店舗は水がきていません。
水がなければ、スーパーマーケットは苦しい。
惣菜部門や鮮魚部門は商品が出せません。
それでも売れるモノは売って、
地域の皆さんにお役立ちしています」

ガンバレ、セイミヤ。
負けるな、セイミヤ。


栃木県宇都宮の㈱たいらや。
村上篤三郎社長。

村上さんもRMLCの熱心なメンバーで、見識ある経営者。
3月16日の日本経済新聞の夕刊にコメントが載った。
記事には、こうある。
「15日に納品されたのは発注分の6~7割。
配送業者のガソリン確保が難しくなっている」
村上さんは商品補充の重要性を強調する。

「栃木も被災しましたが、
全店営業しています。
店長も従業員も幹部も私も、
全力で仕事をしています」

「もっともっと大変な企業やお店はありますから、
お見舞い申し上げますが、
私たちも、一緒に、頑張る気持ちでいます。
ある意味で、いい勉強をさせていただいていると考えつつ、
地域の人々のために営業に邁進しています」

ガンバレ、たいらや。
負けるな、たいらや。

日経新聞の経済欄コラム『大機小機』で、
コラムニスト追分氏が「危機管理体制は万全か」と題して、
「情報の一元化と権限の集中化を果たす危機管理組織」の必要性を説いている。

これは米国の連邦緊急事態管理局〈FEMA〉をモデルにしようという論。
私もFEMAの機能は、日本でも必須であると思う。

2005年8月、米国にハリケーン「カトリーナ」が来襲した時、
ウォルマートは126店が影響を受け、12店が被災した。

しかしビジネス・コンティニュイティという社内組織が、
どこよりも素早い意思決定と実働対応を果たし、
2400台のトラックを動かして、ライフラインを守った。
これは「FEMAよりも、スピーディで的確であった」と、
ウォルマートの評価を高めた。

一元的集中的危機管理組織を、
行政府の中につくることも大事だが、
素早くて、土着的で、必死の民間の力こそ、
ライフラインのベースとなるものだ。
毎日毎日、日常的に、地域に貢献しているのだから。

中央管理局は、緊急時に、一元的集中的に、
その民間の活動を全面支援し、
民間でできないことをやり遂げる。
まさに福島原発対策のようなこと。

官と民の真の連携が、
地域を守る。
市民を守る。

政府も頑張れ、
自衛隊も頑張れ、
消防庁も頑張れ、
警察庁も頑張れ。

ボランティアもがんばろう。
私自身もがんばる。

最後に一言。
関西をはじめ、被災しない地域と、
被災した地域、余震が続く地域との間に、
「温度差がある」といったコメントがあるが、
阪神淡路大震災を経験した関西人に、
断じて、それはない。

関西は関西人のおおらかさ・明るさで、
心から支援している。

九州も九州人の熱さで、
心から支援している。

四国・中国はその正義感で、
心から支援している。

関西も、ともにがんばろう、
中・四国、九州も、ともにがんばろう。

頑張ろう、日本。
頑張ろう、東北。
頑張ろう、関東。

負けるな、商人。
負けるな、不屈の日本人。

<結城義晴>

2011年03月18日(金曜日)

互いに励ましほめたたえよう、批判・非難は止めよう、尊敬し助け合おう。そして「すこしずつ、ひとつずつ」

ガンバレ、日本。
ガンバレ、東北。
ガンバレ、北関東。

がんばろう、宮城、
がんばろう、福島、
がんばろう、岩手、
がんばろう、茨城。

負けるな、商人。
負けるな、不屈の日本人。

東北関東大震災から1週間。
頑張った。
負けなかった。

福島第一原発の問題がなければ、
目覚ましい復興を果たしたに違いない。

政府をはじめ、地方行政、
そして民間、ボランティアの活躍。

何よりも当事者の被災者の頑張りによって。
東北人・北関東人の辛抱強さによって。
しかし、原発事故が勃発。
それでも、「不屈の日本人」は、
この難題にも真っ向から立ち向かっている。

互いに、励まし、ほめたたえよう。
互いに、
批判・非難は止めよう。
互いに、尊敬し、助け合おう。

昨日のニューヨーク外国為替市場。
一瞬ではあるが、
1ドル=76円25銭の最高値。
1995年4月の記録を 16年ぶりに更新。
その時ですら79円75銭。
3円50銭も高かった。

こんなときにも、投機的な動きは止まない。
行き過ぎた円高に、批判はあるし、
政府・日銀による円売り・ドル買い介入で、
81円台まで戻した。

一昨日の天皇陛下からのメッセージ。
僭越ながら、とてもいいと思った。
全文掲載。

「この度の東北地方太平洋沖地震は、
マグニチュード9.0という例を見ない規模の巨大地震であり、
被災地の悲惨な状況に深く心を痛めています。

地震や津波による死者の数は日を追って増加し、
犠牲者が何人になるのかも分かりません。
一人でも多くの人の無事が確認されることを願っています。

また、現在、原子力発電所の状況が予断を許さぬものであることを深く案じ、
関係者の尽力により事態のさらなる悪化が回避されることを
切に願っています。

現在、国を挙げての救援活動が進められていますが、
厳しい寒さの中で、多くの人々が、食糧、飲料水、燃料などの不足により、
極めて苦しい避難生活を余儀なくされています。

その速やかな救済のために全力を挙げることにより、
被災者の状況が少しでも好転し、
人々の復興への希望につながっていくことを心から願わずにはいられません。

そして、何にも増して、この大災害を生き抜き、
被災者としての自らを励ましつつ、
これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています。

自衛隊、警察、消防、海上保安庁を始めとする国や地方自治体の人々、
諸外国から救援のために来日した人々、
国内の様々な救援組織に属する人々が、
余震の続く危険な状況の中で、
日夜救援活動を進めている努力に感謝し、
その労を深くねぎらいたく思います。

今回、世界各国の元首から相次いでお見舞いの電報が届き、
その多くに各国国民の気持ちが被災者と共にあるとの言葉が添えられていました。
これを被災地の人々にお伝えします。

海外においては、この深い悲しみの中で、
日本人が、取り乱すことなく助け合い、
秩序ある対応を示していることに触れた論調も多いと聞いています。

これからも皆が相携え、いたわり合って、
この不幸な時期を乗り越えることを
衷心より願っています。

被災者のこれからの苦難の日々を、
私たち皆が、様々な形で、
少しでも多く分かち合っていくことが大切であろうと思います。

被災した人々が決して希望を捨てることなく、
身体(からだ)を大切に明日からの日々を生き抜いてくれるよう、
また、国民一人びとりが、
被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ、
被災者と共にそれぞれの地域の復興の道のりを見守り続けていくことを、
心より願っています」

フランス人とイギリス人は、ひどく仲が悪い。
イギリス人はフランス人を軽蔑しているようだし、
フランス人はイギリス人を嫌悪している節がある。

かつて1337年から1453年まで、彼らは百年戦争で戦った。
ノルマンディー領土問題では、いつも争った。
内政干渉も幾度となく行われた。

しかしドイツ帝国やナチス・ドイツには、
手を取り合って抗戦した。

そのフランス人に、
イギリスにあってフランスにない良さを尋ねると、
「王政」と答える。

1793年1月21日、フランス革命のとき、
ルイ16世はコンコード広場でギロチン絞首刑され、
フランス王政はなくなる。
その後、1814年にルイ18世が即位し王政復古。
しかし、1830年の七月革命、1848年の二月革命を経て、
フランスでは王政が終焉。

一方、イギリスは、
様々なゴシップにさらされつつも、
ウィンザー王室が健在。
現在は、エリザベス女王。

天皇陛下のメッセージから、
そんなことを思い出したが、
「被災者のこれからの苦難の日々を、
私たち皆が、様々な形で、
少しでも多く分かち合っていく」
というところが、
とりわけ、良かった。

さて、昨日のコメント欄に「ヤマモリ」さんから投稿。
メディアアーティストの八谷和彦さん作「ゲンパツ君」のアニメが、
これも、わかりやすくて、よろしい。
ご紹介しよう。

[youtubeID:ZUzBvxdnCFM]
原子力発電に対する見解はさておいて、
現在の状況をわかりやすく教えている。

一方、日経新聞の「私の履歴書」。
建築家の安藤忠雄の巻。
安藤さんが、毎日、書き続けている。
今日の記述の中で、
ロックフィールドの岩田弘三さんが出てくる。

安藤さんはロックフィールドの静岡ファクトリーの設計に携わった。
完成時の岩田さんの言葉。
「会社も人間も、育てていくことが大事。
工業団地の中に心の森をつくりたい」

安藤さんは最後に述べる。
「小さな点からでも、
情熱をもって辛抱強く続けていれば必ず実はなる。
大切なのは心をつないでいくこと。
人間も建築もまちづくりも一緒である」

東北関東大震災の復興を思った。
阪神大震災の時も、中越地震の時も、
「すこしずつ、ひとつずつ」

未だ余震も続いているし、
福島第一原発も予断を許さない。

しかし「すこしずつ、ひとつずつ」の精神は、
いま、すべての日本人にとって大事なことだ。

ガンバレ、日本。
ガンバレ、東北。
ガンバレ、北関東。

がんばろう、宮城、
がんばろう、福島、
がんばろう、岩手、
がんばろう、茨城。

負けるな、商人。
負けるな、不屈の日本人。

<結城義晴>

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