日本チェーンストア協会会長に、
清水信次さんが就任する。
5月の通常総会で正式承認される。
清水さんはご存知、㈱ライフコーポレーション会長。
日本スーパーマーケット協会名誉会長、
社団法人新日本スーパーマーケット協会でも名誉会長。
スーパーマーケット業界の重鎮・長老が、
チェーンストア協会の現役の会長となる。
先の参議院選に立候補し、
おしくも落選はしたが、
流通業界きっての政治・行政通。
東日本大震災後のこの時期、
もういちど、清水さんの力を、
借りようということだ。
私もよく覚えているが、
清水さんは1986年から1988年までの2年間、
チェーンストア協会会長を務め、
当時の「売上げ税導入反対」の先陣を切って、
結局、中曽根康弘内閣の新税導入を阻止した。
その後、中曽根さんと清水さんは、
盟友として現在に至る。
こういう成熟した大人の人間関係、
いいですね。
それから23年ぶりの会長就任だが、
小売流通業の社会的地位を正当なものにすることに、
「無茶をせず無理をする」で、
ご活躍願いたい。
その上場小売業の2月期決算発表が相次いでいる。
昨日の日経新聞が、
68社の業績見通しを集計した。
今期の総集計の予想は、
売上高が前期比マイナス2%、
営業利益はプラス1%。
全国展開企業が多いため、
多くの企業が今回の震災の地区に店舗を出していて、
そのための特別損失を計上する予定。
従って2割分が最終減益となる。
セブン&アイ・ホールディングスが、
年商5兆1450億円(前期比0.5%増〉で、
営業利益2489億円(前期比1.9%増)の予定。
イオンは、年商5兆1000億円(前期比0.1%増)で、
営業利益1750億円(1.5%増)。
両者ともに、トントンの予算。
セブン村田紀敏社長は、
「景気は緩やかに回復しており、足もとの消費は悪くない」と発言。
イオン岡田元也社長も、
「下期には本格的な復興景気が出てくる」と明るい見通しを語る。
ローソンは本部年商4610億円で営業利益575億円。
年商は前年比プラス4.5%、営業利益はプラス3.5%。
ファミリーマートは年商3189億円、営業利益385億円。
同じく年商はマイナス0.3%であるものの
営業利益は0.7%プラス。
ローソン新浪剛史社長は、
「コンビニとスーパーマーケットの価格差が縮まる」と予測。
ファミリーマート上田準二社長は、
「高付加価値商品で客単価は上げられる」と方針を披露。
この記事のあとで、
編集委員の田中陽さんが、
震災以後、消費者行動が大きく変化していることを指摘。
「生活防衛という部分を残しつつ、
家庭や個人は消費を仕分けし始めた」
私はコモディティとノンコモディティの購買比率が、
変わってくると考えている。
被災後の「救助・救済・復旧」段階は、
生命保持のためのコモディティの消費が圧倒的に多い。
それが「復興段階」に入ってくると、
ノンコモディティ消費がどんどん広がってくる。
ただしこの1年の下期においても、
コモディティ需要は、
決して減らないということだ。
家庭においても、
店舗においても、
物流拠点においても、
コモディティ商品群が、
少しずつ備蓄される。
まさにディマンド&サプライチェーンの中で、
在庫の意識が変わる。
その意味で、POSデータそのものも、
POSデータの読み方も、
ひとつのクッションが必要になる。
そしてコモディティグッズの欠品は、
絶対に許されない。
それが顧客の安心を担保し、
顧客からの信頼を築く。
今日の日経新聞コラム『大機小機』。
コラムニスト隅田川氏が「フェーズ2への道」を書いている。
「フェーズ1」が救助・救済・復旧段階。
「フェーズ2」は復興・振興段階。
フェ-ズ1では、経済活動は大きくダウン。
フェーズ2では、逆に成長率が高まる。
フェーズ1では、
「惜しむことなく必要なコストがかけられる」。
他の政策目標とのトレードオフを気にかけることがない。
何より人命救助と被災者の生活支援。
フェーズ2は、
「トレードオフが存在する領域に入っていく」。
「政策目標の優先順位をつける必要があり、
整合性と経済合理性を備えた政策が求められる」
これは企業の政策そのもの。
さて、朝日新聞のオピニオン欄で元気の出るインタビュー。
投資家のジム・ロジャーズさん。
あのジョージ・ソロス氏と共同で、
「クォンタム・ファンド」を創設した人物。
最初に語る。
「日本は本当に大好きな国で、
心から悲しく思っています」
日本が再び成長軌道に乗るために最も必要なこと。
「まずは子どもを増やすこと」
大賛成。
「いくらお金がかかっても、
誰も使わない橋や道路に使うより、
子どもを産んでもらうことにもっと使うべきです」
これも大賛成。
だから政府の「子ども手当」などでは全然足りない。
そのための提案。
「私だったら、移民政策を促進します」
これにも私はずっと賛成してきた。
「移民は歴史を見ても、
勇敢で野心を持ち、賢い人々です。
移民は子どもをつくります」
産業について。
「日本が今後も国内で製造業に頼り続けるのは難しいでしょう。
企業は海外に出ていけばそれでいいかもしれませんが、
職を失う日本人にとっては大きな問題です」
「そのために歴史上の国々は、
産業の中心を製造業から
サービス業や金融業に移してきました」
日本に望むこと。
「なるべく早く、変化を決断することです。
今回の大災害が日本の転換点となり、
人々の考え方を変えるきっかけになるのではないか」
私も、そう思う。
私たち自身の考え方を変えるきっかけ。
「自ら変わる」ことの転換点。
ことは「変化の決断」にかかっている。
私たち自身の。
今週もこのブログ[毎日更新宣言]に来てくださって、
ありがとうございました。
みなさん、良い週末を。
そして被災地のみなさんが、
やすらかに眠ることができますように。
<結城義晴>
[追伸]
「東北関東大津波大震災」現地レポートは来週に続きます。