日経新聞『人こと』欄に、
楽天社長の三木谷浩史さん登場。
「震災対応、中小にたくましさ」のタイトル。
三木谷さんは言う。
「震災後、4万店の順応がすさまじく速かった」。
インターネットモールへの出展者は中小店ばかりだが、
その出店者はたくましかったし、素早かった。
お客の消費を先回りし、
必要とされる商品をいち早く品揃えした。
放射能汚染物質が肌に付着するのを防ぐ雨がっぱ、
軽くて歩きやすい紳士靴、
放射能計測器。
「どこから仕入れたのだろうか」。
楽天市場の売上げは震災前より「ややプラス」
楽天の強みは中小店を束ねた 「分散型モデル」。
この分散こそが災害対策の「カギ」になると、
三木谷さんは主張する。
分散型と言えば、フランチャイズのコンビニチェーン。
被災地の加盟店オーナーを支援する動きが始まった。
ファミリーマートは、
生活費支援や転居費用、見舞金として
最大41億円を投じる。
サークルKサンクスは、
店舗を失ったオーナーに対して、
近隣店での短期雇用を検討する。
セブン-イレブン・ジャパンは、
これまた店舗を失ったオーナーたちに、
本部負担で移動店舗を提供。
各社ともに契約内容にはない手厚い施策。
復旧、復興への動きが加速し始めた。
しかし分散型モデルは、
分散した個店だけで成り立つものではない。
強力な本部や中核となるモールシステムがなければ、
分散型はただの中小店である。
私の最初の著書『メッセージ』から、
「集権か、分権か。」
中央集権か、地方分権か。
本部集中か、個店対応か。
集めると効率が上がり、
分けると能率が下がる、のか。
いや、ムリに集めるとムダ、ムリが生じ、
分けると、キメ細やかな対応ができる、のか。
機能の集中と役割の分散。
責任の集中と無責任の分散。
雪印の一連の行為も、
続々摘発される他の不正事件も。
ダイエーの水際の再建も、
あのKマートの連邦破産法適用も。
集権と分権の論理破綻の中で起こり、
集中と分散の範囲再整備の中で蘇る。
マキュアベッリの「君主論」によれば、
最も理想的な政治とは最良の独裁者によるもの、となる。
もっとも唾棄すべきは、
衆愚政治と衆愚組織。
権力と機能の集中と分散を
時と状況に応じてスピーディに使い分ける。
そんな絶対的なカリスマの存在こそが、
社会と大衆の求めるものなのかもしれない。
最良の独裁者が、集めて、分ける。
理想のカリスマが、分けて、集める。
社長よ、部長よ、店長よ。
衆愚にまみれた長と名のつく者たちよ。
最良の独裁者たれ。
理想のカリスマたれ。
それがとりもなおさず、
集権と分権との全体最適のあり方を体現することになる。
<『戦略編』より>
東日本大震災を経て、
「集権と分権」との新の融合が求められ始めた。
国家も、企業も、チェーンストアも。
それが崩れたならば、
メガバンクのみずほ銀行ですら、
頭取の辞任が避けられない。
障害発生や被害拡大を防げなかったみずほ銀行の西堀利(さとる)頭取は、
6月に退任の方向。
昨日は夕方、商人舎に、
㈱イースト・プレス書籍5部の中西庸(なかにし・よう)さん。
このところずっと取り組んできた本の最終ゲラ校正を渡した。
『店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』。
5月下旬発刊予定。
震災後の多忙の中で、
ちょっと遅れた。
お詫びします。
その後、渋谷「浜ちゃん」へ。
大衆飲み屋で、安くてうまい。
夜の9時になると満席となって、
エネルギーが満ち溢れる。
この店で、㈱コメリ執行役員の丸山一郎さんと懇談。
永らく店舗開発を担当して、
1000店体制となったコメリの出店戦略の中核を担った。
現在は、グリーンエネルギープロジェクトリーダー。
そして省エネ委員会リーダーを兼務。
店舗とエコロジーの最新問題を議論し、
少しだけ明るい未来の中に身を置いた気がした。
今週も、このブログに来てくださって、
心から感謝。
よい週末を。
<結城義晴>