結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年04月25日(月曜日)

「抱きしめたい平凡」と「ゴールデンウィークの仕事」

Everyday! Good Monday!
[vol17]

2011年第17週、4月最後の週にして、週末から5月。
つまり今週末からゴールデンウィークに入る。

今年のゴールデンウィークは、
人々の生活が、例年とは変わる。

動き方が変わり、暮らし方が変わり、
食べ方や住まい方、着方、使い方が変わる。

しかも、
その動き方、
暮らし方、
食べ方、
住まい方、
着方、
使い方の変化は、
一人ひとり、異なる。

その公約数をいかに見つけ、
いかに対応するか。

ただし、東北関東大津波大震災のあとの黄金週間。
日本人のマインドは一致し、一貫している。
郷土愛に近い「ナショナリズム」のようなものが、
強まり、あるいは芽生えた。

被災地や関東圏など、
震災に深くかかわった地域も、
西日本などそれ以外の地域も、
多少の温度差はあれ、
この「ナショナリズム」は一致している。

さらに震災後、コモディティ商品の重要性が、
とりわけて見直された。
これまでずっと、
「脱コモディティ」や「ノンコモディティ」の戦略が論議されてきて、
それももちろん大切なものであることに変わりないが、
「コモディティ」が「生きること」に果たす役割が、
人々の心の中で再認識された。

ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんが、
「国民服にしたい」と言っていた意味が、
良く実感できる。

今日の朝日新聞『天声人語』。
帝国ホテルの元総料理長・村上信夫さんの言葉を紹介。
「おうちに持ち帰って食べてごらんなさい。
味は四割落ちます」
帝国ホテルのフランス料理といえども、
帝国ホテルのレストランでいただくから、おいしい。
天声人語は、
東日本大震災で被災した人々の食事に言及した後、
最後の言葉、
「どんな状況であれ、食は元気の源だろう」

「いつものおかずを盛ったいつもの皿を、
いつもの顔ぶれで囲む夕。
いまや抱きしめたい平凡である」

「抱きしめたい平凡」
いい言葉です。

平凡とは、
「これといって優れた特色もなく、ごくあたりまえなこと」

あたりまえなことが、
あたりまえでなくなったから、
「抱きしめたい」ほどに大切なものであることに、
気づかされた。

このマインドがゴールデンウィークでも、
大きなトレンドとなって、
日本の消費マーケットを牽引する。

一方、日経新聞『経営の視点』。
客員コラムニスト西岡幸一さんが、
「日本の起床ラッパを吹け」とタイトルして、執筆。

フランスの抵抗派詩人アラゴンの詩集「フランスの起床ラッパ」から引用。
「神を信じた者も信じなかった者も、
麦があられに打たれている時に気難しいのは愚かなこと……」
「教えることは希望を語ること、
学ぶことは誠実を胸に刻むこと」

アラゴンにならって、震災後の日本の経営を叱咤激励。
これがいい。
「日本的経営を信じた者も市場至上主義を信じた者も
企業の本質を忘れるのは愚かなこと」
「経営することは希望を語ること、
働くことは誠実を胸に刻むこと」

ピーター・ドラッカー先生は、
知識社会の知識労働者を説き、
そのなかで「テクノロジスト」の重要性を強調した。
「これまで知識労働者は、
知識労働にのみ携わるかのように述べてきた。
しかし実際には、きわめて多くの知識労働者が、
知識労働と肉体労働の両方を行う。
そのような人たちを特にテクノロジスト(高度技術者)と呼ぶ」
<『明日を支配するもの』>

商人はまさしくこのテクノロジストである。
私は「知識商人」と名づけた。

だから知識商人は「誠実を胸に刻む」と同時に、
「希望を語る」必要があると思う。

ファーストリテイリングの柳井さんが、
「わがドラッカー流経営論」の中で語っているように、
「社員全員が個人商店主であるという意識」

だから「希望を語り、誠実を胸に刻む」のが、
この大震災後の私たち全員の姿勢であると思う。

それにしても東北関東大津波大震災は、
被災地の問題解決もままならないうちに、
「フクシマ」に焦点がスライドしてきた。

「ヒロシマからフクシマへ」

私たち日本人が背負ったもの。

ゴールデンウィークは、
そんなことを私たちに、
深く考えさせる日々となりそうだ。

しかしこれもまた、とても重要なこと。

もちろん商業人は、
この黄金週間の間も、
誠実を胸に刻み、希望を語りつつ、働く。

しかし、働くことの素晴らしさを、
ゴールデンウィークにこそ、
実感したい。

被災した人々を最後に救うのは、
食足りたあとの「職」である。
自分の役目、仕事である。

自分には役目がある。
だから生きがいを感じることができる。
自分には仕事がある。
だからやりがいを持つことができる。

1週間後に、被災地に飛んだ佐藤洋治さん。
ダイナム・ホールディングス社長。
「被災して何もしないでいると、
みんな放心状態になってしまう」
「だから何か行動目標をもつ必要がある」
いちばんいいのは、「店を開けること」

しかし「店が開かなければ、
ボランティアに行きなさいと指示してきた」

ヨークベニマル中浦店のベーカリー・マネジャー。
津波で旦那さんを亡くした。
しかし「毎日、仕事している方がいい」と言って、
元気に働く。

「仕事」が私たちを救う。
その仕事の素晴らしさを、
ゴールデンウィークにこそ、
確認したい。

今週金曜日の「昭和の日」から、
ゴールデンウィーク。

「仕事」の尊さを知り、
ものを考える日々にしたい。

Everyday! Good Monday!

<結城義晴>

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