今日は3月売上動向。
自動車メーカー8社の国内生産台数は、
38万7567台。
これは前年同月比マイナス57.5%で、
過去最大の落ち込み幅。
これまでの最大減少幅は、
金融危機後の2009年2月のマイナス55.9%。
生産台数も2009年2月を下回り、過去最低だった。
トヨタ自動車は前年同月比62.7%減の12万9491台。
単月の生産台数、過去最低。
日産自動車もマイナス52.4%。
同じ8社の輸出台数もマイナス26.3%減、
台数にして29万3413台。
さらに、4月以降の予測も、
この落ち込み幅が拡大する。
一方、日用雑貨品は「震災特需」。
3月の異常消費。
震災後の消費マインドと計画停電を反映して、
3月度の小売業の売上は、明暗がくっきりと出た。
「総合スーパーの販売統計」。
日本チェーンストア協会が4月25日発表。
62社8045店舗の総売上高は、
1兆105億4645万円。
前年同月比0.3ポイント上回り、
2カ月連続で増加。
食料品が6536億6000万で、前年同月比プラス3.5ポイント、
衣料品は906億3800万、マイナス16.0ポイント、
住関連は2003億5400万、マイナス0.3ポイント。
そんな中でも日用雑貨品は、
プラス5.1ポイント。
これらの数値も、
前月に比べれば4%~13%増となっている。
衣料品、耐久財、外食は低調だったものの、
食料品、日用雑貨、防災品、
それに自転車、スポーツウェアなどが良く売れた。
一方、「コンビニエンスストア統計調査月報」。
日本フランチャイズチェーン協会発表。
被災地の店舗を除いた、
既存店の売上高は、6465億9700万円。
前年同月比7.7ポイントと6カ月連続増加。
来店客数は10億5295万人で
5カ月ぶりにマイナス0.6ポイントながら、
平均客単価は614.1円と、
8.3ポイントの大幅プラス。
とりわけ、非食品が23.8ポイントのプラス。
乾電池、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどなど、
水やカップ麺と同様、防災グッズの売上げが貢献した。
さらに、「全国百貨店売上高概況」。
日本百貨店協会発表。
89社259店の売上高は4624億7000万円、
前年同月比マイナス14.7ポイント、
大幅マイナス。
衣料品マイナス19.2、身の回り品マイナス19.8、
雑貨マイナス13.6、家庭用品マイナス10.0、
食料品ですらマイナス8.2。
被災店舗の復旧作業による臨時休業、売場閉鎖、
計画停電による営業時間短縮、
全国的な自粛ムードと、
百貨店業界は震災の影響をまともに受けた。
影響を受けたのは外食も同じ。
日本フードサービス協会の「外食産業データ」。
200社30860店の概況は、
対前年同月比で売上は89.7%、
客数91.0%と過去最大の落ち込み。
ファストフードは売上げ・客数ともにマイナス8.3ポイント、
ファミリーレストランは売上げ9.4、客数マイナス8.9、
パブ・居酒屋は売上げマイナス19.8、客数マイナス18.2、
ディナーレストラン、マイナス19.5、客数マイナス18.3、
喫茶が売上げマイナス10.7、客数マイナス9.7。
95年1月の阪神大震災でも、
前年比100.5%と外食の前年割れはなかった。
今回の大震災による被害の影響は、
それほど甚大だった。
特に、交通網マヒによる食材配送の停滞や計画停電、
外国人従業員の国外退避などによる
営業日数、営業時間の大幅減が大きく影響した。
最後に、食のライフラインを支える業態、
「スーパーマーケット販売統計」
本日午後、スーパーマーケット協会3団体の記者会見。
社団法人新日本スーパーマーケット協会(NSAJ)、
オール日本スーパーマーケット協会(AJS)、
日本スーパーマーケット協会(JSA)の3団体、
262社7120店舗の概要。
3月の実績と4月の景況感調査について、
AJS専務理事の松本光雄さんが説明。
3月の売上高は、7513億5133万円で、
昨年同月比プラス3.6%。
食品合計が6373億2726万円で、プラス5.0%。
そのうち、生鮮3部門が2322億3712万円で、プラス2.6%。
青果は937億7591万円、プラス4.2%と好調。
畜産も727億9432万円、プラス4.3%を記録。
ただし水産だけは福島原発の影響があってか、
656億6688万円で、マイナス1.4%と後退。
惣菜は、616億4594万円でプラス1.8%。
一般食品・その他は、3434億4420万円でプラス7.4%。
これはもちろん、「買占め」の結果。
そして最後に、非食品の合計は1140億2408万円で、
マイナス0.3%だった。
このマイナスは、寒さで春物衣料関連が伸びなかったため。
スーパーマーケットにも、
震災特需による集中購買が起こった。
それがプラスの要因。
4月の景況感調査では、
これまでにない特異的な動向がみられるという。
3カ月前との比較では、
売上判断・収益率判断・客単価、
いずれも上昇した。
逆に、今後2~3カ月の見通しでは、
「すべての項目、すべてのエリアで暗い」という答え。
3月の異常な欠品状態は、
少しずつ改善してきている。
企業によって、調達能力に格差があったが、
納豆や牛乳、発酵乳製品は復活してきている。
ただし、夏に向けてとなると、話は別。
電力不足などさまざまな要因で、
再び欠品となる可能性は大きい。
生産能力そのものが落ちている今、
メーカーは主力商品にしぼって生産する必要があると、
松本専務理事は指摘する。
今月のゲストスピーカーは、
オール日本スーパーマーケット協会の井上保副会長。
㈱関西スーパーマーケットの代表取締役社長。
関西スーパーでは、
顧客が東日本方面へ物資を送るための需要が大きかった。
水道水の放射能問題で、例にもれず、
異常なまでに棚がすっからかんになった。
ただ、これは、
関東にいる家族に送るという理由での購買が大半。
16年前の阪神淡路大震災を経験した関西エリアの人たちは、
今回の震災を身近に感じているようだ。
「義援金の箱はまだなの?」
「今だけじゃなくて、これからも義援金集めを続けて!」
といった声が寄せられている。
そして実際に
以前の数十倍の義援金が集まっている。
避難している人を受け入れてもいいという人も多い。
東日本と西日本では温度差があるのは確かだが、
なんとかしたい、協力したいと思っている人は、
阪神淡路大震災の被災者には特に多い。
営業状況としては、関西では落ち着いてきた。
普段通りの商いに戻っている。
予定されていた小麦粉の値上げもあり、
需給バランスが崩れているので、
今後の商品価格は、
必然的に上がると予想される。
値上げにならなかったとしても、
特売はできなくなるだろう。
また、国内でまかなえない分は、
海外での調達もあり得る。
福島原発の問題を収めてくれたら、
この状況は落ち着くだろうけれど、
「今後はまったく読めない」。
風評被害や商品に対するクレームもある。
「正確な情報を発信し、
お客に安心してもらえる商売をしなければならない」
井上さん、いいことを言う。
そのために、現地生産者に店頭で説明してもらうなど、
関西スーパーではさまざまな対策を検討している。
小売業の業態別に、明暗くっきり。
コモディティ需要が見直された。
しかしコモディティからもういちど。
これは原点に戻ること。
かつてのコモディティからもう一度と違うのは、
「最良のベーシック」を基調としていることだ。
5月12日(木曜日)、リーガロイヤル大阪で、
「チャリティセミナー・商人支援プロジェクト」が開催される。
私はそのトップバッターで講演する。
ご参集をお願いしたい。
<結城義晴>