63回目の憲法記念日。
「この国のかたち」を認識・確認するときに、
オサマ・ビンラディン容疑者の殺害が公表された。
国際テロ組織アルカイダ指導者。
「テロ組織の指導者」という表現はちょっと変な感じ。
「テロ組織」なら「頭目」だろうか。
「オサマ」とは朝日新聞の表記で、
読売新聞や日経新聞は「ウサマ」と記す。
米国特殊部隊に殺害されたらしいが、
果たして、テロを撲滅するのに、
殺害という手段が適切なのか。
いや、殺害以外に方法はなかったと考えるのか。
そしてこの一歩が、本当に、
人命を武器とするテロリズムの消滅や終息につながるのか。
これは大津波や大地震よりも厄介な問題で、
原発と同じくらい難解なものだ。
もちろん被災地の復旧・復興・振興は、
ひどく大変な仕事であることに変わりない。
さて「祝日法」は、私たちの憲法記念日の趣旨を、
「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期すること」としている。
東北関東の大津波と大震災を経験した後、
「国の成長を期する」という意はさらに強くなった。
毎年、このことは書くが、
5月3日・憲法記念日は、
11月3日・文化の日と対になっている。
日本国憲法は1946年11月3日に公布され、
その日が文化の日となった。
「公布」とは、公にすること。
「成立した成文の法を公表して、
一般国民が知ることのできる状態に置くこと」。
半年後の1947年5月3日に日本国憲法が施行され、
これが憲法記念日となった。
「施行」とは、実際に法令・規則が効力を発生すること。
ただし1948年7月に同時に公布・施行された祝日法によって、
両日が祝日に制定されたため、
年度別にみると文化の日が、
1回ずつ先行していることになる。
中学のころだっただろうか、
高校時代だったろうか。
日本国憲法前文を全部、暗記した。
社会人になってもずっと、私は覚えていた。
日本国民は、
正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、
われらとわれらの子孫のために、
諸国民との協和による成果と、
わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、
政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、
ここに主権が国民に存することを宣言し、
この憲法を確定する。
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、
その権威は国民に由来し、
その権力は国民の代表者がこれを行使し、
その福利は国民がこれを享受する。
これは人類普遍の原理であり、
この憲法は、かかる原理に基くものである。
われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、
人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、
平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意した。
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を
地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、
名誉ある地位を占めたいと思ふ。
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、
平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、
自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、
政治道徳の法則は、普遍的なものであり、
この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、
他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、
全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
ここで重要なところ。
権威は国民に由来し、
権力は国民の代表者が行使し、
福利は国民が享受する。
権威・権力・福利。
現在、その通りになっているか。
さらに私たち日本国民は、
平和と自由を誓った理想主義者であることも、
自覚したいものだ。
ゴールデンウィーク前に、青焼き校正を終わらせたのが、
『店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』(イーストプレス刊)。
5月中旬に発刊予定。
そのあと、ゴールデンウィーク中に取り組んでいるのが、
昨年の『小売業界大研究』(産学社刊)の大改訂。
小売業200社の業績データを全面的に刷新し、
全文にチェックを入れている。
そして、この本の「はじめに」で、
私は日本国憲法を使った。
「私たちの日本国憲法は、
『主権が国民に存することを宣言』しています。
国の基本原理・基本原則を定める日本国憲法は、
まず、国民主権を掲げるのです。
そのうえで、基本的人権の尊重、平和主義の
三つの考え方が謳われています」
「一方、すべての小売業もまた、
この三つの考え方を基盤としています」
「国の主権者である国民に、
一人ひとりの人権を尊重して、
商品とサービスを提供する。
そして、平和の中で、
小売業は繁栄する――」
「あらゆる産業は、
国民生活に貢献するために営まれています。
しかし、とりわけ小売業は、
国民の毎日の暮らしを維持・向上させるために、
最も国民に近いところで日々、活動します。
小売業はそのことに、
最大の存在意義をもつのです」
日本国憲法をかみしめつつ、
小売業・サービス業の意義を、
今一度、確かめたいものだ。
さて、昨日の午後、
朝日新聞の編集委員・多賀谷克彦さんからメールをいただいて、
携帯電話で話した。
東日本大震災後のプライベートブランドの動向。
いわゆる電話インタビュー。
そうしたらもう今朝の朝日新聞・経済欄に記事が載った。
タイトルは「小売り PB戦略強化」
多賀谷さんが署名入りで書いている。
それにしても日刊新聞は速い。
週刊誌や月刊誌となると、
そうはいかない。
もちろんブログもスピーディさにおいては、
日刊新聞を凌ぐ。
多賀谷さんの記事は、
震災発生15分後に対応を始めたイオンの動きから始まる。
その中で、
「本部は、5千品目を超すPB『トップバリュ』の供給について、
各地に指令を出した。
どのPBを、どう被災地に運ぶか。
絞り込んだ生活必需品で、
特別な配送ルートを組んだ」
横尾博・専務執行役の発言。
「大手メーカーの商品とは違い、PBならば、
製造を委託している取引先の被害状況や、
生産余力、物流状況をすぐに把握しやすい。
自社がコントロールできるPBのサプライチェーンが生きた」
これはセブン&アイ・ホールディングスにおいても、同様。
ナショナルブランドは、「買い溜め亡者」の多発によって、
全国的に在庫が払底した。
しかしPBは違う。
CGCジャパンのブランドなど、
それがボランタリーチェーン加盟各社の在庫と物流によって、
結果的に分散型で機能した。
イオンの岡田元也社長も4月14日に見解を披露した。
「商品の開発、製造を地域分散させる必要がある。
被災地、非被災地という地域ごとの状況に
焦点を当てたマーケティングも重要」
多賀谷さんの記事は、この後、
イオンやセブン&アイ、西友ウォルマート、
そしてコープこうべの事例を紹介しつつ、
震災後のPB戦略に変容が見られることを示唆する。
「大手食品メーカーと同レベルの品質管理、検査態勢」、
「NBと同程度の品質で20~30%安い価格帯」から、
「高めではあるが『専門店と同等の味・品質』」へ。
すなわち価格帯と品質の見直し。
最後に、立教大学大学院の結城義晴教授のコメント。
「PB比率は過去3年間に急速に伸びた。
震災を機に、各スーパーともPBの有効性、課題を認識したはずだ。
今後は必需品(コモディティ)の重視や供給体制の見直しが進むだろう」
私へのインタビューを最後に使ってくれた。
多賀谷さんは経済の専門家であると同時に、
流通の専門家でもある。
こんな理解者が増えることは、
業界にとって、本当にうれしいことだ。
もっともっと流通産業レベルの構造や問題点を明らかにして、
鋭い切り口のジャーナリズムを展開してほしいところだ。
もちろん格別の愛をもって。
「国の主権者である国民に、
一人ひとりの人権を尊重して、
商品とサービスを提供する。
そして、平和の中で繁栄する産業」なのだから。
今月の商人舎標語。
「まだまだ、ひとつずつ、
すこしずつ、いっぽずつ」
<結城義晴>
[お知らせとお願い]
5月12日開催のチャリティセミナー
「ひとつになろう! 日本 商人支援プロジェクト」
会場 リーガロイヤルホテル大阪
日時 2011年5月12日(水)
開演 12時受付開始 12時30 ~17時
参加費 15000円
大阪会場は現在、189人のご参加です。
ありがとうございます。
心から感謝します。
こういったチャリティは、あくまでも、
善意によって成立するものです。
大げさに宣伝したり、
その大きさを誇示したりする類のものではないと、
私は思っています。
全力を挙げる。
ベストを尽くす。
しかし、ボランティアは事業ではない。
そこがいい。
本業は「小さな努力で大きな成果」
ボランティアは「大きな努力で小さな成果」
鍵山秀三郎さんの考え方を私なりに解釈したものです。
いつでも、被災者のことを強く思って、
その支援、応援を第一義にする。
それを続ける。
「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」の精神です。
私は5月12日大阪でトップバッターとして講演します。
テーマは「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」
このあと、名古屋・福岡・東京で、開催されます。
この1人1人の参加費はすべて、
東日本大震災義援金として、
日本赤十字社に寄付されます。
ご参加のご検討をお願いします。