毎週、土曜日は結城ゼミ。
月曜日は、F&Bマーケティングの講義。
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科、
今年度の結城義晴のカリキュラムです。
その立教大学池袋キャンパスも、
新緑に染まって、美しい季節です。
昨日はそのF&Bマーケティングの第2回目の講義。
Fはフード、Bはベバレッジ。
F&Bでフード&ベバレッジ。
すなわち食品産業のマーケティング。
私の得意分野のひとつ。
楽しみつつ、元気に、講義している。
さて消費動向を示す指標のひとつ。
4月の車名別新車販売状況。
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会の発表。
トップはどの車か。
ニュースに触れた人にはわかるだろうが、
そうでない人は想像してみてもらいたい。
答えは第1位がホンダのフィット。
3月に続いて2カ月連続でトップ。
とはいってもフィットの販売台数は8574台で、
前年同月比で3割弱減。
第2位は、スズキの軽自動車「ワゴンR」。
これも販売台数7919台で、前年に対して5割近くのマイナス。
第3位はダイハツの軽自動車「ムーヴ」。
これも販売台数7468台、15%の減少。
要は、小型車・軽自動車など低価格の車が上位を占めた。
ずっとトップを走っていたトヨタのプリウスは、5位に後退。
なんと前年比81.6%減の4876台。
これは東日本大震災後、各社とも完成車生産が停止され、
その影響が販売を直撃。
ただしそれだけが原因ではない。
消費マインドがここに表れている。
一方、携帯3社の決算で、
3番手のソフトバンクが躍進。
売上高は3兆0046億円で初の3兆円超え。
凄い会社になってきた。
連結営業利益は6291億円で5%プラス、
純利益は前期比96%増の1897億円で、
これも過去最高。
スマートフォンの「iPhone」が9%の増収を確保。
「iPad」も好調で、携帯電話契約件数は16%増。
業界第1位のNTTドコモは売上高4兆2242億円、-1%。
営業利益は8447億円で1%増。
第2位のKDDIは3兆4345億円で微減。
営業利益4719億円で6%プラス。
「三占」のこの業界。
ソフトバンクの躍進で、面白くなってきた。
これだけ普及した携帯電話。
一人ひとりが所有し、使用し、実感しているから、
その面白さが増幅される。
「モバイル・マーケティング」
マーケティングのキーワードのひとつ。
携帯可能な情報端末を利用したマーケティング手法のこと。
インターネットに接続できる携帯電話やモバイルPCなど。
早稲田大学商学部長の恩蔵直人さんは、書いている。
「マーケティングの理論や枠組みの多くは
欧米からの輸入であるが、モバイル・マーケティングに関しては
現在までのところ我が国がリードしている。
数少ない我が国発のマーケティングの枠組みといえるだろう」
それは三占の競争による。
寡占から三占へ。
それも、悪くはない。
さて、今日は、「知る人ぞ知るスーパーマーケット」。
その紹介。
株式会社ロピア。
旧㈱ユータカラヤ。
高木秀雄代表取締役社長。
今年1月24日に社名変更。
コーポレートアイデンティティも刷新した。
ロープライスとユートピアからつくられた造語が、
「ロピア」[Lopia]
文字通り「安値の理想郷」。
1971年(昭和46年)に「肉の宝屋藤沢店」として創業し、
1976年(昭和51年)、早くも食肉店のチェーン展開を開始。
1994年(平成6年)、スーパーマーケットに参入。
1997年(平成9年)、新業態「新鮮大売ユータカラヤ」希望ヶ丘店を開発し、
2000年(平成12年)には、新業態店を4店舗、食肉専門店を2店舗出店し、
大飛躍。
以後、スクラップ&ビルドを積極的に推進して、
業績は、うなぎのぼり。
最新の決算は24店舗、314億円。
4月27日、横浜市都筑区のセンター南駅。
東急港北ショッピングセンター地下1階にオープンした最新店。
地下1階といっても、このフロアには、
ハックドラッグ、無印良品、コム・サ・イズム、ローラ・アシュレイが入り、
ロピアとともに強力な布陣。
この物件は、1998年(平成10年)、
東急百貨店の関連会社㈱港北東急百貨店によって開業。
その後、2004年東急百貨店に吸収合併され、
さらに2006年(平成18年)改装し、
1階から5階までは専門店ビルとなった。
いかに背景に港北ニュータウンの巨大新興住宅地を抱えているとはいっても、
100万人商圏が条件の百貨店は成立しなかった。
東急百貨店は地下1階の食料品売場を、
テナントの銘店を入れつつ、直営した。
現在の運営主体は東急モールズデベロップメント。
港北 TOKYU ショッピングセンターと命名されているが、
今回は第3回目の大リニューアル。
この地下1階の東急百貨店のあとの広大な売場に、
ロピアが入った。
入口をはいると、青果部門。
市場スタイルの売り方。
バナナの試食販売。
ときには1本丸ごと試食に出すこともある。
単品量販がロピアの哲学。
トマトの売場も壮観。
地下1階で若干天井が低く感じられるが、
店内は明るく、元気にあふれている。
根菜類売り場はカゴ売り。
青果部門から惣菜部門へ。
お弁当も単品量販。
積み上げられている。
鮮魚部門の目玉は、
ブラックタイガー15匹入り500円。
8点盛1999円、
6点盛999円、
少量多品種盛699円。
生本マグロだけでコーナーをつくる。
ロピアの最強部門は精肉。
全体の20%の売り上げ構成。
対面売り場とセルフ売り場を組み合わせて、
これでもかと売り込む。
社員が手書きしたPOPも、
力強くて楽しい。
シースルーの精肉バックヤードは広い。
従業員がてきぱきと動いて、
それが店全体の活気をつくっている。
焼き鳥売り場も量販態勢。
壁面多段ケースで国産豚切り落とし68円。
「月間特売品」でオープン記念セールではない。
普段と変わらずオープンし、
普段と変わらず売場をつくる。
それがロピアの基本方針。
加工肉のボリューム陳列。
これも普段と変わらない。
奥主通路沿いの売場。
後ろは旧東急百貨店時代のエスカレーター。
コストはかけず、そのままにして、
卵売り場で遮蔽している。
震災直後には品切れしていた納豆も、
ご覧のボリューム陳列。
郊外百貨店のマーケットで、
単品量販する。
それが顧客からの支持を得る。
奥主通路から右翼に曲がるコーナー。
セオリー通り牛乳売り場。
冷凍食品全品半額の売場。
ヨーグルトのエンドは2アイテム。
ウォルマートのよう。
そして冷蔵ケースに「春の新商品フェア」。
ティラミスなどのケーキ売り場。
売りたい商品、売れる値段。
これが実に明確。
最後にレジ前の菓子売り場。
天井には機関車が走る。
これはアメリカのウェグマンズ。
その機関車の下にはお菓子の小屋。
ロピアは4月27日にオープンした。
このSC全体のグランドオープンの2日前。
混雑が予想されるため、
ディべロッパーから早期の開店を要請された。
それくらいロピアにかかる期待は大きい。
もちろんこのSCは、起死回生を狙っている。
最上階の7階にはダイソーの大型店とカルチャ-センター。
6階は赤ちゃん本舗とナムコ・ワンダーパーク。
5階にライトオンをはじめとするカジュアルウェアのショップとフードサービス。
4階はユニクロと書店のリブロを核にホビーショップが並ぶ。
3階は、珍しいことにしまむらが核で、ハニーズ、タルボット、
さらにキッズ売場。
そして2階は、SHIBUYA109のアウトレット。
全国初の出店。
そして1階はザラが広い面積を取って核店舗になり、
モールにはセブン-イレブンも入店した。
地下1階はロピアがSC全体で最大面積で出店。
郊外百貨店は成り立ちにくいけれど、
こういった都市型のショッピングセンターは、
大いにあると思う。
その最大の集客装置がロピアである。
そして祝祭日、週末以外のウィークデーの鍵を握るのもロピアである。
そんなことを専務の高木勇輔さんと話した。
ロピア全従業員も、気合の入る新店である。
<結城義晴>