Everybody! Good Monday!
[vol21]
2011年の21週目。
5月は第4週に入る。
最初にお知らせ。
『店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』の申し込みボタンができました。
本ホームページ右段。
よろしくお願いします。
さて商人舎ホームページの月曜連載、
「常盤勝美の2週間天気予報」では、
もう昨日、カロリン諸島に台風2号発生を伝える。
台風のことが話題になると、
完全に春がおわり、
夏になった気がする。
一方、こちらは年中、夏気分のネバダ州ラスベガス。
毎年書いている気がするが、
このネバダ州の州都はカーソンシティ。
ラスベガスは最大都市であるが、
州都ではなく、
さらに世界有数のカジノ都市だが、
今やこの面でも一番ではない。
マカオにトップの座を譲った。
1840年代末、カリフォルニア州でゴールドラッシュが起こる。
サクラメントなどその中心地。
ラスベガスは砂漠の中の重要な中継地点となるが、
金鉱ブームが去った頃、1929年の大恐慌。
ここで産業がほとんどないネバダ州は、
税収確保のために、賭博を合法化。
1931年のことだった。
さらにこの1931年、ラスベガス南東48Kmに、
フーバーダムが着工。
1930年段階の人口5165人。
これがラスベガス発展の第1段階。
このころを「ギャンブリングの時代」という。。
第2段階は、1970年以降。
「ゲーミングの時代」と呼ばれる。
人口は12万5787人。
第3段階は、1990年代から2000年後。
「エンターテインメントの時代」。
人口は2000年に47万8434人に飛躍する。
そして第4段階の現在。
新たに「コンベンション&リゾートの時代」を迎えている。
2010年の人口58万3756人、21万1689世帯。
ラスベガスという都市自体が、
「業態転換」を図ってきた。
大事なことは、ギャンブリングもゲーミングも、
エンターテインメントも、
リゾート&コンベンションが伸びる時代となっても、
なくなってはいないということ。
つけ加えられ、厚みを増してきている。
だから郊外には新興住宅地ができ、
新しい小売業態やフォーマットが登場してくる。
ただし、リーマンショック以降、経済が冷え込み、
開発スピードは停滞。
それでも私たちにとって、最新の業態やフォーマットは、
視察し、勉強する価値をもつ。
第9回商人舎USA視察研修会第2日が始まった。
大アクシデントで急遽、ホノルル経由でラスベガス入りしたメンバーも、
朝から元気に顔を見せてくれて、
8時からさっそく、バス2台に分かれて出発。
この日の目的は、
店舗視察しつつ、商品調査を展開する。
参加者87名は17チームに分かれて、
17カテゴリーの価格と陳列量を、
品種別・あるいはカテゴリー別に調査する。
それによって、企業の商品戦略・価格戦略が明らかになる。
まず、スミス・フード&ドラッグ。
クローガーの傘下にあるがこのエリアでは、
47店、25.9%の食品小売業シェア第1位企業。
そのフレッシュ・フェアという比較的新しいフォーマットの店。
青果部門、デリ部門を強化し、
グロサリーはクローガーの強みを活かした。
シェア第2位は、ボンズ。
南カリフォルニアとこのネバダに展開するボンズは、
1996年にセーフウェイに買収されてしまった。
この地での展開は24店舗、16.1%の占拠率。
この店は「ニューライフスタイルストア」という新しいフォーマット。
2005年からセーフウェイがチャレンジする企業再生プロジェクト。
一言でいえば、旧来の店を、
ホールフーズやウェグマンズに近づけようという試み。
第3位は、アルバートソン。
41店、14.8%のシェア。
2006年に3分割されてしまったかつてのエクセレントカンパニー。
現在この地のアルバートソンは、
食品卸売業最大のスーパーバリュの傘下にあるが、
ほとんどの店の状態は良くない。
従って、視察と調査の対象からはずした。
第4位が、Wal-Mart Supercenterで、
11店でシェア13.9%。
言わずと知れた全米ナンバー1小売業にして、
世界最大企業。
この店はその2900店の中でも繁盛店のひとつ。
年商1億2000万ドル(1ドル100円で換算すると120億円)。
ウォルマートの「プロジェクト・インパクト戦略」から、
いち早く元に戻していて、アクション・アレーと呼ぶ島陳列が復活。
顧客の支持は高い。
第5位は、メンバーシップホールセールクラブのコストコ。
4店舗で、シェア8.4%。
どこの店も大繁盛で、
例外を見たことがない。
今回の調査によって、
際だつ差異を見せた。
第6位のシェアは、
ウォルマートのSam’s Clubが5店舗で、6.2%。
最近は店舗の見直しを図って、
コストコそっくりの店をつくっている。
そして第7位に、
これもウォルマートNeighborhood Marketが入ってきて、
11店舗で、シェア5.3%。
スーパーセンター、サムズ、ネイバーフッドマーケット、
3フォーマットを合わせると25.4%のシェアとなって、
ウォルマートはラスベガス第2位の企業として、
クローガー系のスミスを急追している。
その次の第8位に、Whole Foods Marketが入ってくる。
4店舗でシェア2.7%。
オーガニック&ナチュラルスーパーマーケットで、
ウォルマートができないことを展開する代表格。
青果部門をはじめとして、
オーガニック商品が店舗に満載されている。
この店の価格と商品調査がどんな結果を招くか。
大いに関心が高まる。
この店ではインタビューがあった。
第9位は、スマート&ファイナルで、
7店、1.6%の占拠率。
今回は立ち寄らず。
そして第10位がTrader Joe’s。
4店舗、1.6%のシェア。
トレーダー・ジョーは2010年度、
売上高850億ドル(100円換算で8500億円)、365店舗。
ドイツのアルディの傘下にある小型のスーパーマーケット。
世界中から商品を集め、PB商品が9割を占める。
アンサム店は2万スクエアフィートの売り場に、
3000アイテムを品ぞろえする比較的大型の店。
ここでもインタビューに応じてくれた。
インタビュー後に、1号車グループは店頭で記念撮影。
第11位が、99 Cents Only Storeで、
11店、0.6%のシェア。
ダラージェネラル、ファミリーダラー、ダラーツリーに次ぐ、
バラエティストア。
何の変哲もない店だが、
低コストオペレーションを展開しながら、
一定以上の客数を持っていて、
確かな営業歴を生み出す。
そして最後に、サンフラワー・マーケット。
アメリカでは、スーパーマーケット業態のジャンルのひとつに、
ファーマーズマーケットのフォーマットがある。
店舗中央奥に青果物の立体陳列があって、
その前面は平台の青果部門。
レジの前は広いバルク販売コーナー。
このタイプの店が、確実に顧客に支持を得ている。
マーケットで「ポジショニング」を確立している。
私の「業態・フォーマット論」の発見に、
きっかけをつくってくれた店のひとつ。
この店の調査結果はどうなるか。
これも楽しみだ。
2日目は、こういった店舗群以外にも、
ラスベガス・ギャラリアのスーパーリージョナルショッピングセンターも訪れた。
その紹介は明日に譲るが、
2日目は、とにかく、たくさん見る。
そしてたくさん調査する。
鳥の目と虫の目を、
物量作戦で叩きこむ。
それがとてもいい結果を導き出す。
最後に訪れたのはやはりトレーダージョー。
参加者にとっても、ホールフーズとともに、
人気を二分する店。
店頭には「エコバッグ」の宣伝。
トレーダージョーのエコバッグは大人気。
店内は楽しくて、清潔で、
商品は健康的で、安い。
1日の最後に訪れると、
「みんなで買い物」の気分になる。
しかしそれが良い。
自分が一番買い物したい店こそ、
学びの宝庫であるからだ。
夕方、ホテルに帰り、
午後7時半から9時まで、
ホノルル組に対する本当に駆け足の特別講義。
講義では、鳥の目、魚の目を、
私の全力を挙げてレクチャーする。
それが自分の調査の「虫の目」と一体となって、
一人ひとりの考え方、見方が確立していく。
私はいつも繰り返す。
「虫の目」とは、現場を見る力。
細部まで丁寧に「見極める能力」。
これを支えるのが、専門性と現場主義。
「鳥の目」は、大局を見る力。
全体像を俯瞰しながら、「見渡す能力」。
これを支えるのが、情報量と知識。
「魚の目」は、流れを見る力。
時間の経過の中で、現在と未来を「見通す能力」。
これを支えるのは、経験と見識。
そして、「四つ目の目」は、
謙虚で、真摯で、真っ正直な「心の目」である。
この4つの目を身につけることこそ、
「知識商人」への道である。
疲れ切っているにもかかわらず、
真剣なご清聴、心から感謝。
今回の参加者87名。
全員が日本を代表するナレッジ・マーチャントになってほしい。
ナレッジ・マーチャントは、
肉体労働もできるし、
知識労働もできる。
ブレインズ〈脳〉とハンズ〈手〉を使いこなす。
ハードワークによって店回りをし、
同時に調査しつつ頭を使い切る。
今日の研修がすべて、
知識商人につながっている。
みなさんも、
Everybody! Good Monday!
<結城義晴>