結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年05月24日(火曜日)

アメリカ非食品業態に鮮明な「複占・三占」状態を俯瞰する

ネバダ州ラスベガスで、
もう5日目の朝。

商人舎第9回USA研修会ベーシック・コースの87名は、
これから帰国します。

その全体写真撮影風景。
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ウォルマートの広大な駐車場に集まって。

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全員が写るように並んで。
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そして全体写真。
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みんなの顔がコメ粒大で、恐縮。
ご家族、ご友人、会社のみなさん、
探してください。

誰がどこにいるか。
どんな満足顔をしているか。

ツアーのスタートから、航空機の欠航で、
Bグループがホノルル経由となってしまった。
それでもハワイのウォルマートやホールフーズを、
オプションで視察し、プラス・アルファの成果を得た。

全体でも、これだけの人数でしかできない、
コラボレーションの果実を獲得した。

なにより、活気とエネルギーがあった。

帰ったら、やるぞ!
自ら、変わるぞ!

そんな気概に溢れた人間集団と化していた。

これこそ奇跡だと、私は思った。

さて、ブログはラスベガス滞在3日目にさかのぼる。
視察は、いよいよ最後の日。

この日の朝は、結城義晴の第2回セミナー。
ベーシック・コーズはたっぷりとセミナーの時間をとる。

ホテル2階の会議会場には、
7時半ごろから参加者が次々に集まってきた。
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前日、17チームが視察店の商品調査を行った。
調査内容を商品構成グラフにまとめ、分析するために、
会場のあちらこちらでディスカッションが始まった。
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広い会場に、17チームがそれぞれに集まり、
真剣な議論が展開されている。
その姿をみると、なんだか、とてもうれしい。
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その真剣さに10分講義開始時間を延長し、
8時40分、講義をはじめる。

トラブル発生のため、
参加者87名が一堂にそろうのはこの講義が初めて。
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私も、力が入る。
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アメリカ小売業の業態の変遷、
最新のチェーンストア・ランキング、
業態論からフォーマット論まで、
重要なテーマを2時間にわたって語った。
「鳥の目」「魚の目」がなければ、
「虫の目」は生きてこない。

もちろん虫の目は、調査・研究を、
科学的にチームごとにすることによって、
客観化される。

それに私の講義で「鳥の目・魚の目」を補強する。
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朝早くからのご清聴を感謝。

さて、アメリカ小売業
今日は非食品企業のチェーンストア・ランキングを見ていこう。
<フォーチュンなどから商人舎が作成したランキングに基づいている〉
食品を扱う会社も、
非食品を知らなくてよいとは言えない。

非食品小売業が、
真剣に食品を研究していることは、
周知の事実だ。

しかし食品小売業は、非食品の研究が足りない。

アメリカの非食品小売業第1位は、
ウォルマート。

ウォルマートは食品小売業としても第1位で、
アメリカのスーパーマーケット関係者は、
いつもウォルマートを研究しているから、
日本よりも非食品の理解が深い気がする。

私はいつも、ウォルマートを基準にして、
アメリカを見る。
年商4050億4600万ドル。店舗数4304。
この数字が、ウォルマートを基準にせざるを得ないことを、
如実に表している。
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第2位はコストコ。
年商762億5500万ドル、540店。
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ウォルマートが唯一かなわないジャンル、
それがメンバーシップホールセールクラブの業態。
コストコに対して、ウォルマートはサムズというバナーで対抗しているが、
まったく足もとにも及ばない。
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そこで、サムズはなりふり構わず、
コストコのコピー作戦に出た。
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コストコの会員費が16億9100万ドル、
純利益が13億0300万ドル。
つまり会員費で利益を出している業態。
その会員費も、いつでも返金を了解しますと謳っている。

その緊張感がコストコ全店に満ち溢れている。

第3位はターゲット。
673億9000億ドルで、1750店舗を展開するディスカウントストア。
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赤のターゲット、青のウォルマートいわれるほど、
店舗のカラーリングは対照的。
店づくりも、ウォルマートと対象的。
生い立ちも対照的。
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ウォルマートがバラエティストア出身なのに対して、
ターゲットはデイトンハドソンという百貨店出身。
何からなにまでウォルマートと正反対のポジショニング。
だから存在の意味がある。

ウォルマートとターゲットの中間のポジショニングだったKマートは、
だから衰退し、没落した。

第4位はドラッグストア1位のウォルグリーン。
年商633億3500万ドル、7397店。

第5位はホームセンター1位のホーム・デポ。
591億7600万ドル、1966店。

第6位はCVSケアマーク。
ドラッグストア第2位。
年商553億5500万ドル、7025店。
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第7位はホームセンター2位のロウズ。
472億2000万ドル、1694店舗。

4位から7位までは、
ドラッグストアの2強とホームセンターの2強。

ドラッグストア第3位のライト・エイドは256億6900万ドルで、
アメリカ小売業ランクの13位だから、
まだ2強に食いついていて、
3強とも考えることができる。
これを「三占」と呼ぶ。

対してホームセンターの第3位メナードは、
チェーンストアランキング43位で、年商78億9700万ドル。
ホームセンター産業は「複占」の様相が顕著だ。

第8位は、シアーズ・ホールディングス。
シアーズのGMS、
そしてKマートのディスカウントストア及びスーパーセンターを展開する。
年商440億4300万ドル、3519店。
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要は没落したシアーズと破産したKマートを、
ホールディングカンパニーのもとに統合し、
生きながらえている会社。

第9位は家電専門手のベスト・バイ。
年商373億1400万ドル、1192店。
しかし家電の1位はウォルマート。
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第10位はGMS業態のJ.C.ペニー。
175億5600万ドル、1101店。
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リージョナル・ショッピングセンターに入って、
メイシーやコールズ、ディラードなどの百貨店と並んでいると、
JCペニーは紛れもない百貨店だと見えてくる。

荒井伸也さんが指摘した「大衆百貨店」こそ、
GMSと呼ばれた業態の正体だったことは、
今や明らかである。
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第11位は百貨店第1位のコールズ。
年商171億7800万ドル、1058店。
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この店はもう、シアーズやペニーとそっくり。
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ジュニア・デパートメントストアと位置付けられている。

百貨店の3位は、有名なノードストロームの82億5800万ドル、184店。
伝説のサービスは健在で、
メイシーズへの対抗勢力の筆頭。

百貨店4位はディラードの58億9000万ドル、309店。
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ディラードは1店当たりの売上高は少ないが、
百貨店業態としては低コストの運営でしっかり利益を出している。
その意味でポジショニングの明確な企業だ。

百貨店業界も淘汰が進み、メイシーズのガリバー状態。

非食品小売業第12位は、
オフィスサプライ業態のステープルス。

年商163億4300万ドル、1555店。

オフィスサプライ業態の2位は、
オフィス・マックスの59億5300万ドル、918店。
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3位は、オフィス・デポの51億1400万ドル、1124店。

この業態も三占になっている。

非食品第13位はオフ・プライス・ストアのTJX。

年商158億4500万ドル、2154店。
TJマックスとマーシャルの二つのバナーを持つ。
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ブランド品のディスカウンターという特殊な業態。
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この業態の2位はロスで、71億8400万ドル、1004店。
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この分野も複占状態。

そして非食品13位はアマゾン・ドット・コム。
店舗数0。
年商は128億2800万ドル。
インターネット小売業。
ここまで伸びてきた。

最後に第14位はダラージェネラル。
バラエティストアだが最近はダラーストアとも呼ぶ。

そしてこの業態の2位はファミリーダラー、
74億10万ドル、6655店。

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3位はダラーツリー。
52億31万ドル、3806店。

この業態も三占。

GMSが王者で、
何でも売っている。

そんな世界はもう30年前に終わった。

GMSという総合業態が没落し、
バラエティ豊かな業態ごとに、
複占・三占になっている。

それがアメリカの非食品小売りマーケットである。

さてこの状態、
食品マーケットに波及してくるのか。

ここに大きな知的興味がわくが、
それは、明日に続く。

<結城義晴>

2011年05月23日(月曜日)

ラスベガス2日目には商人舎特有のハードワーク視察と徹底商品&価格調査が展開された

Everybody! Good Monday!
[vol21]

2011年の21週目。
5月は第4週に入る。

最初にお知らせ。
『店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』の申し込みボタンができました。
本ホームページ右段。
よろしくお願いします。

さて商人舎ホームページの月曜連載、
常盤勝美の2週間天気予報」では、
もう昨日、カロリン諸島に台風2号発生を伝える。

台風のことが話題になると、
完全に春がおわり、
夏になった気がする。

一方、こちらは年中、夏気分のネバダ州ラスベガス。
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毎年書いている気がするが、
このネバダ州の州都はカーソンシティ。
ラスベガスは最大都市であるが、
州都ではなく、
さらに世界有数のカジノ都市だが、
今やこの面でも一番ではない。

マカオにトップの座を譲った。

1840年代末、カリフォルニア州でゴールドラッシュが起こる。
サクラメントなどその中心地。

ラスベガスは砂漠の中の重要な中継地点となるが、
金鉱ブームが去った頃、1929年の大恐慌。

ここで産業がほとんどないネバダ州は、
税収確保のために、賭博を合法化。

1931年のことだった。

さらにこの1931年、ラスベガス南東48Kmに、
フーバーダムが着工。
1930年段階の人口5165人。
これがラスベガス発展の第1段階。
このころを「ギャンブリングの時代」という。。

第2段階は、1970年以降。
「ゲーミングの時代」と呼ばれる。
人口は12万5787人。

第3段階は、1990年代から2000年後。
「エンターテインメントの時代」
人口は2000年に47万8434人に飛躍する。
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そして第4段階の現在。
新たに「コンベンション&リゾートの時代」を迎えている。
2010年の人口58万3756人、21万1689世帯。

ラスベガスという都市自体が、
「業態転換」を図ってきた。

大事なことは、ギャンブリングもゲーミングも、
エンターテインメントも、
リゾート&コンベンションが伸びる時代となっても、
なくなってはいないということ。

つけ加えられ、厚みを増してきている。

だから郊外には新興住宅地ができ、
新しい小売業態やフォーマットが登場してくる。

ただし、リーマンショック以降、経済が冷え込み、
開発スピードは停滞。
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それでも私たちにとって、最新の業態やフォーマットは、
視察し、勉強する価値をもつ。

第9回商人舎USA視察研修会第2日が始まった。
大アクシデントで急遽、ホノルル経由でラスベガス入りしたメンバーも、
朝から元気に顔を見せてくれて、
8時からさっそく、バス2台に分かれて出発。

この日の目的は、
店舗視察しつつ、商品調査を展開する。

参加者87名は17チームに分かれて、
17カテゴリーの価格と陳列量を、
品種別・あるいはカテゴリー別に調査する。
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それによって、企業の商品戦略・価格戦略が明らかになる。

まず、スミス・フード&ドラッグ。
クローガーの傘下にあるがこのエリアでは、
47店、25.9%の食品小売業シェア第1位企業。
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そのフレッシュ・フェアという比較的新しいフォーマットの店。

青果部門、デリ部門を強化し、
グロサリーはクローガーの強みを活かした。
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シェア第2位は、ボンズ。
南カリフォルニアとこのネバダに展開するボンズは、
1996年にセーフウェイに買収されてしまった。
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この地での展開は24店舗、16.1%の占拠率。

この店は「ニューライフスタイルストア」という新しいフォーマット。
2005年からセーフウェイがチャレンジする企業再生プロジェクト。
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一言でいえば、旧来の店を、
ホールフーズやウェグマンズに近づけようという試み。

第3位は、アルバートソン。
41店、14.8%のシェア。
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2006年に3分割されてしまったかつてのエクセレントカンパニー。
現在この地のアルバートソンは、
食品卸売業最大のスーパーバリュの傘下にあるが、
ほとんどの店の状態は良くない。
従って、視察と調査の対象からはずした。

第4位が、Wal-Mart Supercenterで、
11店でシェア13.9%。
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言わずと知れた全米ナンバー1小売業にして、
世界最大企業。

この店はその2900店の中でも繁盛店のひとつ。
年商1億2000万ドル(1ドル100円で換算すると120億円)。

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ウォルマートの「プロジェクト・インパクト戦略」から、
いち早く元に戻していて、アクション・アレーと呼ぶ島陳列が復活。
顧客の支持は高い。

第5位は、メンバーシップホールセールクラブのコストコ。
4店舗で、シェア8.4%。
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どこの店も大繁盛で、
例外を見たことがない。

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今回の調査によって、
際だつ差異を見せた。

第6位のシェアは、
ウォルマートのSam’s Clubが5店舗で、6.2%。

最近は店舗の見直しを図って、
コストコそっくりの店をつくっている。

そして第7位に、
これもウォルマートNeighborhood Marketが入ってきて、
11店舗で、シェア5.3%。

スーパーセンター、サムズ、ネイバーフッドマーケット、
3フォーマットを合わせると25.4%のシェアとなって、
ウォルマートはラスベガス第2位の企業として、
クローガー系のスミスを急追している。

その次の第8位に、Whole Foods Marketが入ってくる。
4店舗でシェア2.7%。
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オーガニック&ナチュラルスーパーマーケットで、
ウォルマートができないことを展開する代表格。
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青果部門をはじめとして、
オーガニック商品が店舗に満載されている。
この店の価格と商品調査がどんな結果を招くか。
大いに関心が高まる。
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この店ではインタビューがあった。
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第9位は、スマート&ファイナルで、
7店、1.6%の占拠率。
今回は立ち寄らず。
そして第10位がTrader Joe’s。
4店舗、1.6%のシェア。
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トレーダー・ジョーは2010年度、
売上高850億ドル(100円換算で8500億円)、365店舗。
ドイツのアルディの傘下にある小型のスーパーマーケット。
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世界中から商品を集め、PB商品が9割を占める。

アンサム店は2万スクエアフィートの売り場に、
3000アイテムを品ぞろえする比較的大型の店。

ここでもインタビューに応じてくれた。
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インタビュー後に、1号車グループは店頭で記念撮影。
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第11位が、99 Cents Only Storeで、
11店、0.6%のシェア。
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ダラージェネラル、ファミリーダラー、ダラーツリーに次ぐ、
バラエティストア。
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何の変哲もない店だが、
低コストオペレーションを展開しながら、
一定以上の客数を持っていて、
確かな営業歴を生み出す。

そして最後に、サンフラワー・マーケット。
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アメリカでは、スーパーマーケット業態のジャンルのひとつに、
ファーマーズマーケットのフォーマットがある。
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店舗中央奥に青果物の立体陳列があって、
その前面は平台の青果部門。
レジの前は広いバルク販売コーナー。
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このタイプの店が、確実に顧客に支持を得ている。
マーケットで「ポジショニング」を確立している。

私の「業態・フォーマット論」の発見に、
きっかけをつくってくれた店のひとつ。

この店の調査結果はどうなるか。
これも楽しみだ。

2日目は、こういった店舗群以外にも、
ラスベガス・ギャラリアのスーパーリージョナルショッピングセンターも訪れた。
その紹介は明日に譲るが、
2日目は、とにかく、たくさん見る。
そしてたくさん調査する。

鳥の目と虫の目を、
物量作戦で叩きこむ。

それがとてもいい結果を導き出す。
最後に訪れたのはやはりトレーダージョー。
参加者にとっても、ホールフーズとともに、
人気を二分する店。
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店頭には「エコバッグ」の宣伝。
トレーダージョーのエコバッグは大人気。
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店内は楽しくて、清潔で、
商品は健康的で、安い。
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1日の最後に訪れると、
「みんなで買い物」の気分になる。
しかしそれが良い。

自分が一番買い物したい店こそ、
学びの宝庫であるからだ。

夕方、ホテルに帰り、
午後7時半から9時まで、
ホノルル組に対する本当に駆け足の特別講義。
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講義では、鳥の目、魚の目を、
私の全力を挙げてレクチャーする。
それが自分の調査の「虫の目」と一体となって、
一人ひとりの考え方、見方が確立していく。

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私はいつも繰り返す。

「虫の目」とは、現場を見る力。   

細部まで丁寧に「見極める能力」。
これを支えるのが、専門性と現場主義。

「鳥の目」は、大局を見る力。   

全体像を俯瞰しながら、「見渡す能力」。
これを支えるのが、情報量と知識。

「魚の目」は、流れを見る力。  
時間の経過の中で、現在と未来を「見通す能力」。
これを支えるのは、経験と見識。

そして、「四つ目の目」は、
謙虚で、真摯で、真っ正直な「心の目」である。

この4つの目を身につけることこそ、
「知識商人」への道である。

疲れ切っているにもかかわらず、
真剣なご清聴、心から感謝。

今回の参加者87名。
全員が日本を代表するナレッジ・マーチャントになってほしい。
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ナレッジ・マーチャントは、
肉体労働もできるし、
知識労働もできる。


ブレインズ〈脳〉とハンズ〈手〉を使いこなす。

ハードワークによって店回りをし、
同時に調査しつつ頭を使い切る。

今日の研修がすべて、
知識商人につながっている。

みなさんも、
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

2011年05月22日(日曜日)

ジジとラスベガス[2011日曜版vol21]

ユウキヨシハルのおとうさん。
うちにいません。
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ヒコーキにのって、
そらのうえをとんで。
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アメリカへ。
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ひろいひろいアメリカ。
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ことしは、3月と5月、6月、7月、
それから10月。
もう1回、ふえそうです。
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雪をかぶった山もとびこえて。
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砂漠のまんなかの街。
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ラスベガス。
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おとうさんは、ここで、
しごと。
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今回は90人もの人があつまってくれた。
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みんなでVサイン。
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ボクは、ねてますが。
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それから、ふた組にわかれて、
セミナー。
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ボクは、ダンボールのうえで、
ポカポカと、ひるねしてますが。
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おとうさんの講義。
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熱がはいってる。
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ボクは、ポカポカと、
ねてますが。
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いいきぶんで、
ねてますが。
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夕ご飯は、
デザイナーのニシカワさんと。
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チーフ・ディレクターのビンさんとも。
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ボクも、ごはん、
たべたくなった。
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たべるときは、
いっしょうけんめい。
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かおをつっこんで。
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しんけんに、たべます。
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おいしい。
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まんぞく。
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おとうさんは、
噴水ショーをみる。
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ボクは、みあげるだけ。
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ラスベガスの街は、
にぎやか。
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でも、勉強にもいい街です。
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アサノ先生が写真をとってます。
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とまるホテルは、
モンテカルロ。
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なんだかたのしそうですが、
ボクはおなかいっぱいたべて、
ぐっすり、ねむって、
まってます。
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こんかいも、
ぶじにかえってきてくれることだけを、
ねがっています。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2011年05月21日(土曜日)

商人舎視察研修会basic編はトラブルにも負けず「最悪を覚悟し最善を尽くす」

そろそろ、本屋さんに並び始めました。
『店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』(㈱イースト・プレス刊)。
結城義晴著。
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写真は横浜・有隣堂のドラッカー・コーナー。

私自身は今、それを見ることができないのですが、
それでも嬉しいものです。

昨日は、成田空港に集合し、
第9回商人舎USA視察研修会ベーシック・コースのスタート。
ラスベガス4泊6日の行程。

参加者数87名(東日本大震災のため急きょ、キャンセルの方が3名ありました)。
それに日本からの事務方を加えて、
いよいよ旅立ち。
商業界時代を通じても、商人舎になってからも、
最大の人数の視察研修会。

是非とも、大きな成果を参加者のみなさんに差し上げたいと、
意気込んで計画し、設計しておりました。

ところが、まさにまったく「想定外」のアクシデント。

今回は90名を超える人数のため、
ABふたグループに分かれて、
UA便に搭乗することになっていました。

ところが集合直前ともいうべき午前11時。
Bグループを運ぶ台北からのUS便が、
機材トラブルで欠航となってしまった。

その便には半数の45名が乗る予定でした。

それからが大変。
商人舎チーフ・コーディネーターにして、
旅行代理店トッパントラベルサービスの鈴木敏さんが、
あらゆる手を尽くし、何とか、
ホノルル経由ラスベガス行きの便を確保。

一方、 Aグループは予定通り14時から、成田空港内で結団式。
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こちらは総勢、46名。

飛行機が飛ばなくなったわけを話しながら、
「最悪を覚悟して最善を尽くす」
私は心構えを語った。

Aグループは元気にラスベガスに出発しよう。
そしてBグループの到着を待とうと意志一致。
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一方、出国直前にBグループにお詫びとご協力のお願いをする。
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Aグループは、成田から8時間半のフライトでサンフランシスコ空港に到着。
そして国内線に乗り換えてラスベガスへ。

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ラスベガス渓谷に入ってきた。
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ラスベガスは、真っ白な雲が浮かぶ良い天気。
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すぐに、ウォルマートスーパーセンター環境対策店舗を視察。
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年商1億2000万ドルの大繁盛店。
1ドル100円で換算すれば120億円。

見事な青果部門。
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バナナとトウモロコシは定番中の定番。
ロールバックでUSA産を1コ33セントで販売。
33セントです。
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ベーカリー売場も充実。
カゴ盛りのバゲットの売り方がいい。
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レジ前のコンコース。
真ん中にバゲット。
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近づくと、こんな売り方。
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そのレジ前の陳列も素晴らしい。
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そしてレジはフレンドリーをモットーとする。
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インタビューに応じてくれたのは、
マネジャーとアシスタントマネジャー。
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ずいぶんと勉強になるインタビューだった。
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さらに店内をツアーしながら、
アシスタントマネジャーから、
細かく解説してもらう。
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多少業績の伸びが鈍化したとはいえ、
世界最大の企業にして、米国最大の総合小売り業。
「ウォルマートを中心に回るメリーゴーランド」であることに変わりない。

売場づくりのレベルは高い。
マネジャーやアソシエーツの士気も高い。
さらに極めてフレンドリー。
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一同、大いに感動して、
たっぷり2時間を超える視察が終わる。
ホテルに到着後、直ちに結城義晴の第1回セミナー。
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広い会場は、Aグループだけの参加で、
半分しか席が埋まらない。
それでも私は、変わらず、最善を尽くす講義をした。
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夕方6時から8時半まで、
いつものようにテンションの高い講義。
しかし、やはり別行動をとっているBグループのことが心に残っていた。
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私の講義の後、明日からの視察および調査の概要説明、
グループ分けを行って解散。

一方、Bグループのホノルル経由組。
同じく20日午後、成田の会議室で結団式を行い、出発。
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19時過ぎ発のホノルル便。
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太平洋上のハワイ・ホノルルに到着。

みんな元気な様子でなにより。
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ALOHAと書かれた緊急チャーターの専用バスに乗り込み、
急きょ、トランジットの4時間ほどを、
ホノルル市内の店舗視察に活用。
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バスから見える海と空とビーチ。
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そしてカメハメハ大王像の前で、
観光気分満点の集合写真。
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さらに海辺での記念撮影。
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海辺の散策。
心なしかラスベガス組よりも、
足取り、軽そう。
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そしてウォルマートの視察。
ハワイにはスーパーセンターがないので、
非食品総合ストアのディスカウントストアを視察。
スーパーセンターを理解するために、
ディスカウントストアを見ることは、
とても効果的な学習法だ。
Bグループは図らずも、それをした。
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さらにホールフーズの視察。
この店もいい。
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そして無事にホノルル発ラスベガス行の飛行機に乗ってから、5時間半。
ラスベガス空港は、すっかり真夜中。
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みんなの到着を待つ間、一瞬、ウトウトしてしまった。
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それもそのはず。
到着時刻は夜の11時55分。
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笑顔を見せてBグループがラスベガスへやってきた。
本当にお疲れ様でした。
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時刻は、5月21日0時21分。
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Bグループはホノルルとラスベガスというめったにないツアーとなった。
Aグループは予定通り、ウォルマートをじっくり学んだ。

その両グループが合体して、明日から、
本格的な研修が始まる。

最悪を覚悟して、最善を尽くす。
すると女神はほほ笑んでくれる。

ご協力のみなさんに、
心から感謝。

この研修会、
まだまだ何か奇跡が起こりそう。

そんな予感を抱かせつつ、来週へ。
乞う! ご期待。

<結城義晴>

2011年05月20日(金曜日)

「桃・柿育英会」と「負けるな! びはん」そしてコーネル・ジャパンの労務問題講座

読売新聞の一面コラム『編集手帳』。
「桃・柿育英会東日本大震災遺児育英資金」を取り上げた。
新設された東日本大震災の遺児に給付する育英資金の制度。
発起人は建築家の安藤忠雄さん、ノーベル物理学賞の小柴昌俊さんらで、
安藤さんが実行委員長。

小売業界ではファーストリテイリングの柳井正さんが発起人として参加、
運営資金としてまず約2億2000万円を寄付する。

寄付金の募集活動は、
すでに4月9、10日、および4月23日~5月8日、
日本国内のユニクロ店舗で展開。
商品1枚について100円を寄付する支援プログラム。

編集手帳のコラムニストは武者小路実篤を引き合いに出す。
〈桃栗三年 柿八年 だるまは九年 おれは一生〉。
「桃と栗は3年、柿は8年かかってやっと実がなる。
達(だる)磨(ま)大師の場合は『面壁九年(めんぺきくねん)』、
壁に向かって座禅を組むこと9年にして悟りを開いた。
自分はこつこつと一生をかけて実るのだ」

私は中学生だったか高校の初めだったか、
白樺派の武者小路を読み漁っていた時期がある。

だから余計に「桃・柿」に対しても親近感がある。

イオンの岡田卓也名誉会長が、ながく、
「風樹会」という奨学金制度やっていたが、
こちらは交通遺児の育英資金供与。
できることをやる。
それがとても尊い。

昨日、横浜の商人舎にお手紙が届いた。
便せん3枚にびっしりと書かれた文字。
意志を感じさせる。
間瀬慶蔵さんからのものだった。
㈱びはんコーポレーション専務取締役。
岩手県下閉伊郡山田町で被災したスーパーマーケットの経営者。

朝日新聞に掲載された記事「店はなくても青空市」。
それがびはんの物語。
私はブログに書いて応援した。
ご了解を得て掲載させていただく。

初めまして、私は
岩手県山田町にあるスーパー「びはん」を経営している
間瀬慶蔵と申します。

結城さんのブログを見つけ、拝見させていただきました。
『食品商業』や『販売革新』を読んでいたので、
結城さんのことは知っておりましたが、
あまりの感激に目にじわっとくるものがありました。
感動しました。ありがとうございます。

この震災をきっかけに、
他のスーパーが町内に参入しようとする動きがある中、
「がんばろう びはん、負けるな びはん」の激励の言葉、
勇気づけられました。心からお礼申し上げます。

少し自己紹介をさせてください。
私は、大学卒業後、イオン㈱に入社し、
8年間修業の上、山田町には3年前に帰ってきました。
社長の父は健在ではありますが、私は専務として日々、
店の指揮をとっておりました。

3月11日、私は店内にいまして、
従業員といっしょにお客さまを避難させ、
その後従業員も避難させ、店に施錠をして、店横の高台に行き、
津波が来るのを見ていました。

もちろん、店がのみこまれる瞬間もこの目で見ていました。
その時はもう恐ろしくて恐ろしくて、
自分の命のこと、家族のことばかり考えていました。

波が引き、次の波はもっと高いのではないかと思い、
他の避難者といっしょに海水の中、
さらに高台へと連れて行きました。
その後、やはり家族が心配で探しに行きました。

全員の無事を確認し、
その日の夜は子供と2人でお寺に避難しました。
津波直後から町内のあちこちで火事が発生していて、
プロパンガスの「ドーン」と爆発する音、
スタンドの爆発する音、
大きな余震、
さむい夜に子供と2人で眠れぬ夜を過ごしました。

翌日、翌々日は、店のあった場所に行き、
わずかに残った菓子、食品、飲料などを、
他にも集まってきた従業員と
避難所に配って歩きました。

その時に声をかけてきた町民の方々に
「びはんはどうするの?」という言葉に、
自然と「またやりますよ」という言葉が出ていました。

たくさんの方の期待の言葉にはげまされ、
13日の夜は眠れませんでした。
14日には、内陸の取引先を回り、
なんとか商品を仕入れることができないか交渉して、
15日の青空市開店にこぎつけました。
開店したのはいいのですが、
新聞も広告もない状態で、
開店を町民に知らせる必要がありました。

拡声器を役場から借り、
流されずに残った軽トラで町内を走らせました。

そこで言われた言葉が
「こっちに売りに来い」でした。

逆に叱られました。

そんな言葉が多数あり、
移動販売もすぐに始めました。

その時のお客さまの言葉
「待ってた~」
「助かる~」
「ありがとう!!」
「また来て~!」
この言葉に元気をもらった時、
やっぱり自分は商売人なんだなと、
つくづく感じました。

現在では、青森のマエダストアーさんから
無償でゴンドラや冷ケースを頂き、
被災しなかった旧山田病院にて、
約20坪の程度の売り場を設け、
青空と2か所で営業しています。

商品は、同じく被災したマイヤさんから仕入れております。
皆さまの支援に感謝!!感謝!!です。
今後は、前、核店舗であった店を
同じ場所に8月上旬オープンの目標で
準備を進めている状況です。

必ず「びはん」は復活し、
山田町も復興させます。
見ていてください。

長々と書かせていただきました。
同梱の「山田の醤油」は、
当社のブランドで、
内陸の業者でつくらせていたので無事でした。

甘~い味で、
白身魚のお刺身や煮物に最適です。

どうぞご賞味ください。

びはん 間瀬より

読んでいて、涙が出てきた。
応援したい。
ずっと、ずっと。

「ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ」

「山田の醤油」を売る運動もやろうと思う。
仕入れたい企業、店舗。
どんどんお知らせください。

間瀬さんにお願いして、
手当てします。

全国のお客様も、
「山田の醤油」、
どんどん買って、
どんどん使ってくれるに違いありません。

さて、昨日はコーネル大学RMPジャパン5月講義の二日目。
1日4時限で労務問題講座が連続する。

第1講座は弥富拓海さん。
賃金管理研究所所長。

テーマは「強い企業であり続けるための賃金体系と福利厚生」
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弥富先生の考え方は、
「企業は力強く成長し続けなければならない」20110520105747.jpg
そのためにいかに人財を育てるか。
企業成長のために賃金や給与、福利厚生がある。

弥富先生の講義は、単なる賃金体系づくりではない。
企業のあり方、成長を前提にしている。

もちろんピーター・ドラッカーの思想が底辺に流れている。
第2講座の講師はUIゼンセン同盟会長の落合清四さん。
「労働組合問題~民主的労働組合と労使関係」20110520105830.jpg
UIゼンセン同盟は組合員110万人、
世界最大の労働組合。

このうち、流通サービス業が約80万人、繊維産業が約30万人。
そしてどちらにも含まれるが、
パートタイマー、派遣などの臨時労働者が約45万人。

これだけの人々を組織する落合さんは、
旧ニチイのご出身。
我々の仲間。

落合さんの講義は、
日本労働運動の歴史概観に始まり、
労働者の位置、働くことの意味、
健全な労使関係の構築、
そして流通産業の課題まで。
極めてレベルの高い講義。

コーネル・ジャパンでしか聞くことのできない貴重な話だった。
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企業は、人間尊重と社会との関係性と、
そして自らの成長とを正三角形で保ちつつ、
発展していかねばならない。

会社と労働者と顧客も、
等関係で自律していなければならない。

落合さんの話は、
顧客満足(Customer Satisfaction)と
従業員満足(Employee Satisfaction )との一致を意味している。
それが労働運動の指導者の主張であるところに大きな意味がある。
第3・第4講座は木下潮音さんによる「小売業の労務問題」
木下さんは第一芙蓉法律事務所の弁護士。20110520110035.jpg
流通・サービス業、チェーンストア専門に労務問題の指導をしている。
豊富な経験に基づいた的確な指摘は小気味良いし、実務的である。20110520110731.jpg
滑舌のよい講義はあっという間に2時間がすぎ、
質疑応答の時間。

関西スーパーマーケットの岡秀夫さんが真っ先に質問。
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木下さんは三期生からの質問に、
これまたてきぱきと、
丁寧に答えてくださった。
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そして、最後に、6月のSMシミュレーションゲームについて、
私からの短いガイダンス。

伝説の1期生、奇跡の2期生も同様に、
このゲームを楽しみ、学んだ。

3期生もぜひ、来月の2日間、しっかりコミュニケーションをとり、
楽しみつつ、経営の醍醐味を味わってほしいものだ。
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コーネル大学リテール・マネジメント・プログラム・オブ・ジャパン。
3期生もあっという間に、8カ月が終わった。

3月4月は大震災のために、
授業が順延となったが、
期間は8カ月を経過して、
本来ならばあと2回。

本当にあっという間だった。

しかし短く感じるほどに、
中身は充実している。

あとわずか。
もちろん、延期した講義は、
時期をずらして再現される。

そして7月下旬にはニューヨーク州イサカへの卒業旅行。

私はこの産業内大学が存在していることを、
すべての人々に感謝したい。

ドラッカーの唱えたポスト・モダン。

日本商業のポスト・モダンを、
このビジネススクールは目指す。

まだまだだけれど、
続いていることそのものが、
ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ、
現代化を推進していると信じたい。
<結城義晴>

2011年05月19日(木曜日)

スーパーマーケットの業界挙げた節電策とコーネル・ジャパンの上田惇生版「ドラッカー講座」

食品スーパーマーケット三協会の発表。
「スーパーマーケットにおける電力使用抑制策について」
今夏の節電のガイドラインを業界として発表。
高く評価できる。

朝日新聞が取り上げてくれた。

目標は業界として、
東京・東北電力管内で、
ピーク時電力15%以上の削減。

「事前準備」と実際の「節電の取り組み」とに項目が分けられ、
後者は①照明、②冷凍冷蔵ケース、③空調において、
ガイドラインが示されている。

例えば店舗内の照明を50%減らす。
店舗内のほか、看板や駐車場の照明も減らす。
夏の電力使用量の約55%を占める冷凍・冷蔵ケースは、
一部の稼働を停止したり、温度設定を切り上げたりする。
冷凍食品売り場のを封鎖する。

店頭に張り出すポスターも6種類つくられた。
これも、とてもいい。

是非、多くのスーパーマーケットが、
ガイドラインに沿ってアクションを起こしてほしい。
店頭にポスターを張り出してほしい。

私からもお願いしたい。

一方、日経新聞震災現地取材班の報告。
「仙台の百貨店苦戦 山形や盛岡は回復」
「4月の売上高は仙台市の店舗が1年前に比べ約2割落ち込む一方、
盛岡市や山形市などでは前年比プラスに回復」

「仙台でしか買えないような高級ブランドなど不要不急の消費を控え、
地元で生活必需品を購入する傾向が強まっているためだ」

そして取材班は言い切る。
「長く続いていた仙台への一極集中が
緩みつつある」

「仙台市内の藤崎、三越仙台店、さくら野百貨店の4月の売上高は、
軒並み前年同月比20%以上のマイナス」

しかし仙台以外の都市では回復基調。
盛岡市の「川徳」。
4月売上高はプラス5.6%。
衣料品プラス17.9%、家具プラス57.5%。

福島の「中合本店」。
4月に売上げが前年同月水準に回復。
そして5月に入って5%前後のアップ。

山形の「大沼」。
2月はマイナス5%、3月はマイナス25%。
しかし4月はプラス2%。
東北地方では「ストロー現象」といわれた。
「高速道路・新幹線の開通に伴って買物客が仙台」の百貨店に向かった。

日本全体のストロー現象は東京一極体制をつくった。
東北ではそれが仙台一極となりつつあった。
だから仙台以外の都市の百貨店は苦戦を強いられてきた。

それが東日本大震災によって変わってきた。
震災は小売業の構造や地図をも塗り替える。

さて昨日は、3カ月ぶりのコーネル大学ジャパン。
法政大学のボアソナードタワー25階。
イノベーションマネジメント研究セミナー室。
夏日を思わせる快晴の午後。
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元気に三期生がそろった。

午後1時からの講義は、
上田惇生先生。

ドラッカー学会代表。
ドラッカーの分身にして、
ドラッカー翻訳の第一人者。

講義は「ドラッカーの経営思想の神髄」
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いつもの通り、ホワイトボードに、
次々に言葉が書き連ねられながら、
講義はどんどん進んだ。
ドラッカーの真髄があふれ出てきた。
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とりわけ今回の講義では、
先生ご自身が乗っていた。

私はパソコンに上田先生の言葉を打ち込みながら聞いていたが、
メモ書きだけでも6000字にもなった。
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そのメモのなかから、
ドラッカーの思想の真髄。
「理想を求め、
手持ちの道具で、
ケースバイケースで、
一歩一歩」

上田先生も東日本大震災への対応を、
「ドラッカーならこう考える」として語ってくださった。

それが、
「理想を求め、
手持ちの道具で、
ケースバイケースで、
一歩一歩」

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なんと講義は2時間にわたった。
上田先生は立ちっ放しで、熱をいれて語ってくださった。
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15分の休憩。
この後は、今年の講義の目玉「質疑応答の時間」が設けられている。
その合間に、主席講師の荒井伸也先生と三人で語らう。
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そして質疑応答が始まった。
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(株)平和堂の福嶋繁さん。
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上田先生は、じっくり考えてから、
ゆっくりと答えてくださる。
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㈱紀ノ国屋の阿部智則さん。
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上田先生はふたたび、みたび、
膨大なドラッカーの著作の中から、
その言葉を検索するコンピュータのように記憶をたどって、
的確な概念を導き出して答えてくださる。

どこから切ってもドラッカー。
しかしそれは上田惇生そのものでもある。
ドラッカーの考え方に心より共感して、
それが上田惇生の哲学を作っている。
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上田先生がドラッカーの名言を抜き出してみたら、
7000もあったそうだ。
そのなかから最後に、三つ挙げてくださった。

ここではその三つのうちのひとつを引用させていただこう。
「成果をあげる人とあげない人の差は才能ではない。
いくつかの習慣的な姿勢と、
基礎的な方法を身につけているかどうかの問題である。
しかし、組織というものが最近の発明であるために、
人はまだこれらのことに優れるに至っていない」。

私は隣に座っていて、
言葉にできない快感を得た。
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コーネル大学ジャパンの講義の基調を、
荒井伸也先生とともに形成してくださる上田先生。
そしてドラッカー。

私はつくづく、いい学校だと感じつつ、
先生方に心から感謝した。

第3講座はCS・ホスピタリティ実践研究所代表の田中実さん。
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田中さんは巣鴨信用金庫前常務理事で、
現場でホスピタリティを作り上げた人。

「サービスから ホスピタリティへ」をテーマに、
CA・ESとホスピタリティを重視した経営戦略を語ってくださった。
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信用金庫は金融界で、
小売業のローカルチェーンの位置づけとなる。
メガバンクがナショナルチェーン、
地方銀行がリージョナルチェーン。

そのローカルチェーンにおいて、
「金融ホスピタリティ」を標榜して、
地域になくてはならない存在となった。
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いつしか太陽は西に傾いて、
それでも東京の街を見下ろしていた。
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第4講義は結城義晴。
夕方の6時30分から。
「サービスのマーケティング・マネジメント」
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イントロダクションは、篠山紀信とハロルド・ジェニーンと柳井正
ちょうど1年前のこのブログで書いたこと。
『プロフェッショナル・マネジャー』の「三行の経営論」。
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上田先生との質疑応答で、
前の講義が押したので、
私の持ち時間は1時間15分。

私は立教大学ビジネスデザイン研究科で、
サービス・マーケティングを担当している。
その半年に及ぶ講義全45時間分を絞りに絞って、75分。

大いに駆け足で語ったために、
エッセンスだけになってしまって、恐縮。

しかし大事なところだけの講義。
私の問題提起、しっかり受け止めて、考えてほしい。

今月の標語。
「まだまだ、
ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ」

ドラッカー先生に通ずるところがあって、
私はちょっとうれしかった。

<結城義晴>

2011年05月18日(水曜日)

ビックカメラが楽天市場出店の「すでに起こった未来」と高まる電気料金値上げ論議

思っていたような現象が起こってきた。

ビックカメラが「楽天市場」に出店する。
日経新聞の記事。

楽天は現在、
インターネット通信販売モールの最大手。

もちろんビックカメラも、
自社サイトでのインターネット販売を展開してきた。
それに楽天を加える。

チャネルを広げる行為。
考えてみれば当たり前。

「家電やパソコン、携帯電話、ゲームソフトなど10万品目」を扱い、
アイテム構成は今後も増やしていく予定。
「価格は自社の通販サイトの水準に合わせる」

「楽天のポイントをつけ、ビック独自のポイントは付けない」。

グループの通販事業全体の売上高は、
2012年8月期には500億円程度。
それを早期に楽天市場内で最大級の100億円規模にする方針。

インターネット・モールにも、
核店舗が出現し始めたことになる。

「楽天市場の販売総額は2010年12月期に9500億円」
その出店数は約3万5000店。
ほとんどが中小企業。

そこに大型核店舗のテナント導入。
今後も大いにあること。

リアルのショッピングセンター開発の定石。

野村総合研究所によると、
2011年度のインターネット通販市場は8兆2800億円。
2015年度には11兆8000億円の予測。
4年間で4割の拡大が見通されている。

インターネット販売の世界にも、
まだまだイノベーションが起こる。

そしてそれはリアル店舗で、
既に起こった未来である。

さて、これも日経の記事だが、
日産自動車カルロス・ゴーン社長が、
東日本大震災で被災したいわき工場を通常操業に回復させて、
350人の従業員に対して発言。
「“ベリー・ストロング・ゲンバ”を
目の当たりにして誇りに思う。

皆さんは日産だけでなく、
日本の復興の象徴と言っても過言ではない」。

こういった発言は本当に、いい。

さて、これも日経新聞のコラム『大機小機』
コラムニスト隅田川氏が大胆なコメント。

電力を巡る諸問題に対して、
「極めて有効な手段がある」と胸を張る。
「それは電力料金を引き上げることだ」

日経MJでも、東京大学教授の伊藤元重さんが、
電力料金の値上げを主張している。

隅田川氏の根拠は3つ。
「第1に、それは、
極めて当然である。

「原発の損害賠償コストが極めて大きく、
電力会社が賄いきれないということは、
これまでの電力料金が、
原発によって電力を生み出すためのコストを
十分織り込んでいなかったということだ」

「原発の電力を安く使い過ぎてきたということである」

「よって原発分の電力はより高いものと再評価し、
そのぶん料金を引き上げるのが正しい」

「第2に、それは、
極めて効率的かつ公平な節電の手段である」

「価格を引き上げれば、
それをあまり必要としない需要から
順番に節減されていく」

「第3に、それは、
経済社会構造を望ましい方向に変えるだろう」

関東地域への一極集中の是正、
風力などの自然エネルギーへのエネルギー構造の転換促進など。

もちろん「これだけ迷惑をかけながら
値上げするのかという感情的反発も強い」と指摘したうえで、
「損害賠償を保証するためのコストは、
何らかの形で国民全体が担うことになる。
どうせ担うなら、
電力料金の引き上げという形で負担するのが
最も効率的かつ公平なのである」

皆さんはどう考えるだろうか。

さてさて昨日は、大阪。
寺岡ニューバランスフェアで記念講演。
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テーマは「大震災に学ぶこと」
この時期、このテーマを訴えずにはおれない。

東北で被災した企業や店舗の報告をしたうえで、
このブログでも書いた堺屋太一さんの「非常時対策」5段階。

(1)救助の段階⇒原則「軽いものから先に」
1.最も急ぐ軽いものは「情報」。
2.「生活物資」。
まず「飲料と医薬の配布」。
その次が「緊急の食料」。
そしてその次が「燃料と衣料」。
3.「安全な生活空間の準備とそこへの搬送」

(2)救済の段階「被災後10日が目安」
・道路、水道、衛生、電力、ガスなどのライフラインの応急処置
・大事なのは速度
・最低限のライフラインをつなげるリミットは1カ月以内

(3)復旧の段階「被災後1カ月から」
・水道、道路、電力、鉄道などを旧(もと)に復すとともに、
・店舗や飲食店を再開させ、日常生活を復元させる
・精神的安定やコミュニティの再建創造

そして強調したかったのが、
(4)復興の段階には、
「新しいグランドデザイン」をつくること
さらに、
(5)振興の段階では、
「世界のモデル」となること

ここまでを展望した復興と振興を目指したい。
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今回は午後1時から始めて、2時間と13分。
ご清聴を感謝したい。
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講演がおわってから、固い握手。
㈱万代代表取締役社長の加藤徹さん。
商人舎発足の会発起人のお一人。
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今回もいちばん前で聴講してくださった。
先週のチャリティセミナーでも、
聴講に来てくださって、
心から感謝。

㈱八百民社長の平山幹人さんも、
いちばん前の席での聴講。
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平山さんもチャリティセミナーに続いて来てくださった。
ありがとうございます。

最後の最後に㈱寺岡精工専務取締役の高野公幸さんと写真。
20110517185150.jpg
いつもお世話になります。

寺岡精工グループも、
世界の関係会社などから義援金が送られてきて、
それに本社が寄付金を大幅に加えて、
日本赤十字に送った。

大阪への日帰り講演。
熱心な聴講に、
私も元気づけられた。

今週は講義の週。
まだまだ序の口、これから続く。
がんばります。

<結城義晴>

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