毎月初めに発刊している『月刊商人舎』。
毎日書いているブログからその月の分を抜粋して、
[結城義晴の毎日更新宣言Review]として再編集した小冊子。
32~36ページ。
商人舎発足の会発起人の方々を中心に、
200人ほどの皆さんにお送りしている。
おかげさまで大好評をいただいているが、
今月初めにお送りした封筒に、
『店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』を同封するはずのところ、
一部の皆さんにそれが抜け落ちていました。
心よりお詫びします。
できるだけ迅速にお送りするつもりですが、
出版社でも在庫が切れていて、印刷中ですので、
ちょっと時間がかかります。
申し訳ありません。
ところで、
『店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』。
略称『店ドラ』となった。
㈱万代総務部の黒田智さんの命名。
さすが関西人。
これから商人舎では『店ドラ』と呼びます。
ありがとうございました。
その『店ドラ』。
在庫切れで、
アマゾンでも店頭でも、
手に入りにくい。
本当に申し訳ありません。
いま、増し刷り中。
今週も水曜日の明後日、
午後10時からNHK教育テレビのEテレ。
「100分de名著・ドラッカー」の第2回。
今回は「何のための企業か」。
上田惇生先生の語りをたっぷり楽しんでください。
もう一つお知らせ。
『小売業界大研究』(結城義晴著・産学社刊)
イオンビジネススクールではテキストにしているし、
小売業・製造業・卸売業など、
各社で新入社員の研修用教材にしている。
その2011年版が、刷り上ってきた。
商人舎スタッフの全力投球で、
資料データが全面刷新され、
私自身も、内容を一部書き直しした。
こういった本は、
毎年アップデートするのがよい。
この、新刊本の香り、
いいもんです。
さて、日経新聞最終面の「交遊抄」
イエローハット創業者の鍵山秀三郎さんが書いている。
タイトルは「喜び名人」。
その喜びの名人は、
詩人・書家の相田みつをさん。
「会った瞬間、好きになってしまった」
鍵山さんはこう、書く。
「人は誰でも自分の失敗を隠したがるものだが、
相田さんは自分の失敗談や苦労話を
笑い話に変えてしまう。
その人柄に引かれた」
人間、こう、ありたい。
「あれほど清澄という言葉が似合う人は
後にも先にも見たことがない」
鍵山さんが言うのだから、すごい。
「何をしても『こんな景色は初めてだ』
『こんなおいしいものは初めてだ』と喜んでくれる。
お世辞ではなく心からそう言える人だからこそ、
他人の心をつかむ詩を書けたのだろう」
相田みつをさんは「喜び名人」。
ほんとうに思う。
こう、ありたい。
2016年に「銀座地区最大の商業施設」オープン。
朝日新聞も日経新聞も取り上げた。
日経は一面と15面で大々的に報道。
J・フロントリテイリングと森ビルの共同計画。
現在の松坂屋銀座店を2013年に閉鎖し、取り壊して、
地上12階・地下6階、延べ床面積約14.8万㎡の新ビルを建設。
百貨店を中心にした店舗は、地下2階~地上6階の4万~4.5万㎡。
2017年にはオフィスや文化施設なども追加的に開業する予定。
総事業費は800億~900億円。
昨年秋に三越銀座店が増床して好調。
こちらは店舗面積約3.6万㎡。
松坂屋跡地の集積はそれを上回って最大。
私は百貨店業態そのものの相対的衰退を指摘しているが、
しかし百貨店がすべてなくなるわけではない。
むしろ残存した百貨店は、大繁盛するに違いない。
その条件は、良い立地と最大の売り場面積。
百貨店ほど従来のセオリーが当てはまる業態もない。
しかしどちらの条件も大事で、
どちらかが欠けても成り立ちにくい。
その意味で、
今回のJ・フロントの判断は、
適格だろうと思う。
奥田務会長の発言は、
「百貨店にはこだわらずに検討する」。
しかし私は、百貨店にこそ、
こだわってほしいと思う。
こだわるべきだと考える。
拙著『メッセージ』より、
「タイムトンネル」
時間を忘れさせる。
ときを感じさせない。
本来、店はそうあるべきだ。
映画や書物やスポーツや音楽を楽しむときのように、
店にいるときには充実して、
去りがたい気持ちを客に抱かせる。
どんな店も、入口を入るときにはドキドキして、
店内をめぐると、めくるめく楽しさがあって、
出口を出たときに時間が止まっていたことに気づく。
こんな夢を見ているのは私だけだろうか。
商品や価格や、品揃えやサービスには、
客にときを忘れさせるほどの魅力と魔力がある。
そして客が納得するショートタイムショッピングがある。
夢とリアリティが、
暮らしのマネジメントとエンターテインメントが、
共存する店。
すべての店は
タイムトンネルでなければならない。
<第4章・戦略と政策より>
東京・銀座最大の店。
それは時を忘れさせる夢の百貨店であってほしい。
私はそう思う。
百貨店のことを語るとき、
イギリスはロンドンの「ハロッズ」を抜きにはできない。
イギリス小売業は、
3つの企業で代表される。
スーパーマーケットのテスコ。
この会社が最大売上高で最多店舗数。
1982店。
マルチプルストアのマークス&スペンサー。
これが総合スーパー業態。
690店。
そして百貨店のハロッズ。
ハロッズはナイツブリッジの1店舗。
(ブランチは数か所あるが)
売り場面積は9万2000㎡。
今回のJ・フロント銀座の2倍。
モットーはOmnia Omnibus Ubique。
つまり「あらゆる商品を、あらゆる人々へ、あらゆる場所へ」。
「あらゆる」と言い切るには、最大面積が必須。
それがハロッズで9万㎡。
日本橋三越本店は13万9155㎡、
新宿伊勢丹も6万4296㎡。
この2店舗だけが飛びぬけて年商2500億円前後。
私は5万㎡が日本の百貨店の一つの分岐点だと思うが、
いかがだろう。
アフリカの原住民は数字を数える時、
1、2、3まで数えて、
あとは「たくさんたくさん」となるそうだ。
差別的な表現になってしまうかもしれないが、
この「たくさんたくさん」と抽象化される手前のラインが、
その業態の最低適正規模。
それが日本の百貨店では、
5万㎡前後。
つまり、1万㎡、ダメ。
2万㎡も、弱い。
3万㎡も、まだまだ。
4万~5万㎡。
あとは、たくさんたくさん。
しかし銀座地区を見渡すと、
4万5000㎡で最大とすれば、
これは「夢」を追うことができる。
タイムトンネルとなる資格はある。
ぜひとも百貨店にこだわってほしいものだ。
タイムトンネルの店にこそ、きっと、
「喜び名人」が多数、参集するに違いない。
<結城義晴>
[追伸]
1週間後のお知らせです。
来週火曜日14日。
TERAOKAニューバランスフェア福岡での記念講演。
午後1時から、例年通り、
福岡スターレーンで開催されます
九州、中国地方の皆さん、
おいでください。