管直人政権発足からちょうど1年。
民主党内からは退任要請の圧力が強まり、
自民・公明両党からは速やかな辞任が迫られる。
その両論の間の無重力状態に浮かぶように菅直人。
一方、忘れかけた事件も甦る。
「村上ファンドの最高裁判決、上告を棄却」
日経新聞は社説で取り上げ、
朝日新聞もニュースを報道。
発端はホリエモンの「ライブドアのニッポン放送株取得」事件。
それに絡んでインサイダー取引の違法行為を起こした。
証券取引法違反の村上世彰被告(51歳)は、
懲役2年、執行猶予3年が確定。
日経は「市場の公正を損なうような悪質な取引が厳しく裁かれた」
そしてそれが「当然である」と言い切る。
村上被告の考え方と手法は、
「関係者に対して背信的で、
社会的にひんしゅくを買うもの」と、
厳しく断罪された。
断罪されるのは当然。
こういった事件の被告を、
英雄視することは間違いだ。
ヨーロッパでは、
メルケル首相のもと、
ドイツが2020年までに原発廃止を意思決定した。
このあたりに意思決定の素早さには、
感心させられる。
しかしそのドイツを中心に、ヨーロッパに、
野菜の病原性大腸菌の感染問題が広がっている。
その感染問題は5月中旬に表面化した。
風評被害も甚大。
菌は腸管出血性大腸菌O104。
感染すると溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症する例が多い。
これは腎機能を低下させる。
ドイツ国内の死者は22人、感染者は2700人を超えgた。
さらに欧米12カ国に感染が広がった。
しかしこの事件の発端や経路の解明に「てこずって」いるし、
被害の拡大が止まるメドが立たない。
この面では、
「ドイツ政府機関の反応の遅さや危機管理のまずさ」に、
批判が起こりつつある。
一方、日本の外食の生肉提供。
東京都が生食用の食肉を扱う都内の施設を緊急調査。
焼肉店など飲食店の78.5%で、
国の衛生基準が守られていなかった。
調査対象は東京都内の飲食店5302店舗、
期間は5月6日~31日。
「トリミング処理をしていない」店が51.4%。
「器具の洗浄消毒を83度以上の湯で行う」の基準不徹底施設は49.5%。
「生食用の専用の調理器具を使っていない」ところは18.6%。
驚くべき実態だが、
それが日本の外食産業の現段階なのかもしれないし、
それが業界常識の範囲内なのかもしれない。
だとすると、本当に安全な「生食」を、
内食・外食・中食にかかわらず、
提供できる店には、
絶大なる支持が集まるはず。
そして絶大なる信頼は、
「国の衛生基準」の厳守から生まれる。
村上ファンドも、
ホリエモンも、
菅直人も、
アンゲラ・メルケルも、
焼肉酒家えびす社長の勘坂康弘も。
厳守すべきものは、
社会のルールと、
仕事をする人間としてのモラル。
これが守れない者を、
ヒーローとすることに、
私は組しない。
<結城義晴>