3月11日の、
あの大津波・大震災から、
3カ月が経過した。
新聞もテレビも、このニュースを取り上げ、
政治の混迷をあげつらう。
朝日新聞が一面トップで取り上げたが、
「雇用と仕事」が最大の問題であると思う。
朝日新聞が被災した42市町村長にアンケートをした。
「6割余りが被災者の生活再建の見通しが立っていない」と回答。
最優先課題の回答は約7割でトップが「雇用の確保・創出」。
次が、「被災者の生活資金支援」
第3位が「仮設住宅など住まいの確保」。
ただし福島県内の首長は15人中13人が、
「原発事故の早期収束・安全確保」と回答した。
仕事ができないと収入がない。
だから生活できない。
これも大きな問題ではある。
しかし仕事がないと、
生きがいを持てない。
これこそ深刻な問題だと思う。
どんな人間も仕事を持つことが、
生きるエネルギーとなる。
利益を上げたり儲けたりの仕事でなくとも、
地域にお役立ちする仕事、
ボランティアの仕事、
社会に貢献する仕事。
だから「仕事」の問題。
「雇用」とはその仕事をつくり、
与え、雇うことだ。
生活は、例えば国や自治体が、
一定期間、ある程度、面倒を見ることもできる。
しかし仕事こそ、
人間が生きるために必要なものだと、
私は思う。
この震災にあって、
ご主人を亡くしたヨークベニマル中浦店のベーカリー・マネジャー。
「毎日、仕事している方がいい」と言って、
元気に働いた。
仕事が、
つらい出来事を忘れさせてくれる。
仕事に没頭することで、
自分を取り戻せる。
自分を維持することができる。
その仕事を、
一人ひとりの被災者に、
準備し、提供する。
いま、私たちがやらねばならないことは、
これだと思う。
地元の小売業やサービス業が優先すべきは、
仕事を提供することだ。
さて、5月の消費動向調査。
一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、
前月比1.1ポイント上昇の34.2。
これは消費者心理を示す指標だが、
4カ月ぶりの改善。
大震災後の自粛ムードは解消されつつある。
身の回り品の価格上昇もひとまず落ち着いた。
それでも、被災地を中心に、
「収入や雇用の先行き不安」は拭い去れていない。
消費者態度指数は4項目を調べる。
その4つの指標がすべて上向きとなった。
小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。
それが良い方向に向かいつつある。
4つの指標のうち、「暮らし向き」は1.6ポイント上昇。
「耐久消費財の買い時判断」は2.6ポイント改善。
しかし、「収入の増え方」と「雇用環境」は、
0.2ポイントの向上にとどまる。
どうやら日本中の問題点は、
「雇用と収入」。
それを裏付ける「仕事」に、
収れんされてきた。
人々は働きたがっている。
これこそ日本再生のうれしい原動力だと思う。
一方、昨日の日経新聞の『消費のなぜ』
保存食が好調な売れ行きを続ける。
保存食とは缶詰やレトルト食品など。
東日本大震災の直後、備蓄用に売れた。
買い溜めされた。
日経新聞は分析する。
「もしもの時の備えに加え、
日ごろの食卓の『もう1品』として、
活用される場面が増えた」
〝二つのニーズを持つ商品”というわけだ。
サミットとマルエツの事例が紹介される。
サミットでは震災直後の3月、
缶詰が前年同月の1.7倍に増加。
5月に入っても10%以上の売れ行きが続く。
サミットは顧客データ付ID-POSシステムを導入しているから、
どんなカスタマーがどんな缶詰を購入し続けているかは、
わかっているはずだ。
売れ筋はコンビーフやサンマ、サバなど。
おかずに使える「味付け缶」。
マルエツでは、レトルトや冷凍食品が、
3月に前年の1.5倍以上、
5月も同1割ほど上回る水準で売れている。
投稿・公開サイト「クックパッド」では
「缶詰」の検索数が震災後に約1.6倍になった。
「備蓄用に買った缶詰の活用法に気づいた主婦らが、
日々の料理に積極的に使い始めた」
日経記事は最後に、日本缶詰協会の推計データを公開。
缶詰の市場規模は2009年が約2500億円。
「近年は頭打ち傾向」ではあったが、
震災後は「便利なもう1品」となるか。
この記事が、広告タイアップ企画でなければよいのだが、
そうだとしても「保存食」の味の見直しや簡便性のニーズに、
消費者が再び目覚めたことは確かだろう。
震災後の変化に商機がある。
今週もこのブログを読んでくださって、
心から感謝。
よい週末を。
<結城義晴>