結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年06月14日(火曜日)

訃報 吉野ストア社長の安川光男さん逝去

6月10日、
安川光男さんが亡くなった。
昭和28年12月6日生まれ、
享年58。

吉野ストア㈱代表取締役社長。

私が㈱商業界の社長を務めていたころ、
アメリカ視察セミナーが開催されて、
初めて安川さんと出会った。

明るくて、好奇心旺盛で、型破りで、
それでいて繊細な経営者。

私たちはすぐに意気投合した。

シアトルでは、
マリナーズのメジャー・リーグを観戦した。

満員のスタンド。
イチローがホームランを放って、
私たちを歓迎してくれた。

ゲームが終わって、
出口に向かって観客がごった返す中、
安川さんだけ行方不明になった。

みな、心配したが、
仕方なくホテルに戻った。

安川さんは一人だけいち早く帰っていて、
ニコニコしていた。

それから安川さんとの交流が始まった。

スーパーマーケットトレードショーの会場で会った。
寺岡ニューバランスフェアの講演会を聴きに来てくれた。
私は何度も、「店を見に行きます」と言った。

それから3年ほどして、2008年秋、
㈱商人舎の第2回アメリカ視察研修会。
私は安川さんに団長をお願いした。

型破りの経営者で、
ちょっと心配だったが、
見事、団員をまとめてくれて、
団員の意見を私に伝えてくれた。
スピーチも上手で、
キリリと締まった特徴的な研修会となった。

解団式のとき、
固い握手をして別れた。

安川さんは、
「吉野の桜、ぜひ、
見に来てください」

その言葉が、今年の4月に実現した。

安川さんから突然、電話が入った。
「今週末に宿をとりました。
吉野に来てください」

私は率直に、この厚意を受けた。
吉野桜の「一目千本」。
感動した。
20110418170541.jpg

吉野ストアにも訪れた。
安川さんがつくり上げた結晶のような店。

ここでも私は感動した。

意欲的な若い取締役が育っていて、
好感が持てた。

「吉野のお客さんのことを、
誰よりもよく知っていて、
誰よりも自分の顧客に奉仕しようとする店」

そんなスーパーマーケットを目指してほしい。

吉野を去る日、
安川さんと電話で話した。

「明日、手術をします。
大丈夫です」

私は安川さんに色紙を書いた。

朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝。

ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ。

それ以降も、安川さんは胃癌と闘い続けた。
2年2カ月の闘病だった。
そして逝った。

心から哀悼の意を表したい。

今朝、私は羽田から福岡へ。
20110614122330.jpg
空路、近畿地方あたりにさしかかったころ、
黙祷し、安川さんのご冥福を祈った。

合掌。

さて、日経新聞の経済欄コラム『大機小機』
コラムニストの癸亥氏が、
「日本の株が安い理由」と題して書いている。

「東京株式市場の時価総額は、
バブル末期の1989年末が611兆円、
東日本大震災直前の今年2月末が329兆円」

「市場規模は半分程度にまで縮小」

その理由を三つあげる。
第1は、「企業の責任」。
「大企業の事業資産当たり営業利益率は、
この10年間の平均で4%を下回る。
ここから租税負担を控除すると、
同純利益率は2.4%に届かない」

「多くの企業は没個性化し、市場並みに振る舞っている」
「競争企業をあえて後追いせず、
技術力、経営力で世界を席巻する個性的企業」

「天才への渇望」をコラムニストは指摘する。
「優等生は年を経ずして凡庸に戻る。
しかし、天才は時を超越する。
天才を輩出してこそ、日本市場に覇気が戻ろう」

コラムニスト癸亥氏は第2に、
「投資家にも責任がある」という。
そして第3に、
「政府にも責任がある」と追い打ちをかける。

企業、投資家、政府。
みんなに責任があり、
天才の出現が沈滞の突破口となるというのだが、
こんな論には意味がない。

平凡な人々が平凡に仕事して、
非凡な成果を上げる。

その仕組みをつくる。

サム・ウォルトンが言い放った言葉だが、
私も含めて凡庸な人々の価値ある仕事ぶりにこそ、
私たちは大きな期待と夢を抱くべきである。

もしも凡庸な人々の努力の結晶が、
株価に反映しないとしたら、
株式市場の存在にもまったく、
意味はない。

<結城義晴>

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.