菅直人首相に対する新聞各紙の物言い。
尋常ではない。
テレビ雑誌も同様。
週刊誌となるともう、異常を通り越している。
みんなサド侯爵か?!
しかしこれは、
国民の総意に近いものとなった。
朝日新聞社説。
「はっきりしていることがある。
首相に長期続投の目などないという現実だ」
そして提言する。
「最後の使命を明らかにして、理解を求めるのだ」
しかしこれとても、飛び切り優しい。
父が子を、兄が弟を、
諭すような言い回し。
それも仕方ない。
何しろ、昨日20日、
やっと復興基本法が成立した。
東日本大震災の発生から3カ月以上、14週と4日。102日。
ただし復興政策の企画立案と実施態勢の大枠が固まっただけで、
復興財源や復興庁の制度設計などは未定。
そのうえ、国民のマインドは、
菅直人から完全に離れた。
「おやめなさい」
父でもないし、兄でもないが、
これしか言えない。
悲しいことに。
それでもうれしいニュースもある。
スーパーコンピューター国際会議で、
計算速度を競う世界ランキング「TOP500」が発表され、
日本のスパコン「京(けい)」が第1位となった。
ドイツのハンブルクで開催されているが、
京は理化学研究所と富士通の共同開発中のスパコン。
1秒当たり8162兆回の計算能力が示された。
京とは、「一、十、百、千、万、億、兆」の次の単位。
1億の1億倍、兆の1万倍、10の16乗。
「京」はその目標をネーミングされるという宿命を持った。
そして「1兆の8162倍」を1秒間に計算した。
つまり自分の名前にもう一歩ではあったが、
それでも第2位の中国の「天河1A」を大きく引き離した。
現在672台のコンピュータのラックで構成され、8162兆回。
2012年には800台以上をつないで、
自分の名前「1秒に1京回」を達成する。
日本が首位に立ったのは、
2004年の「地球シミュレータ」以来、7年ぶりという。
この開発企業はNECだった。
それから大きな夢が描かれた。
そして夢に向かって、
一歩ずつ歩んできた。
ピーター・ドラッカー先生は、
「自分の強みを知れ、その分野でトップになれ」と諭したが、
スパコンで世界1というのは、
日本人としてことのほかうれしい。
東日本大震災も、こうありたい。
復興・振興の夢を描きたい。
その夢への道筋を展望したい。
さて日経新聞に、
「三越伊勢丹、8月に首都圏3店舗定休日」の記事。
伊勢丹新宿本店が8月16日を除く火曜日、
三越日本橋本店は8月1日と29日、
三越銀座店は22日を、
定休日にする。
目的は、定休日を設けた代わりに、
「営業日に店員を手厚く配置」し、
「顧客サービス向上」を実現させる。
大いに評価したい。
同社が首都圏の店舗に定休日を導入するのは約8年ぶりだとか。
アメリカのトレーダー・ジョーは、
1万平方フィート(280坪)の店に、
60人から70人の人員を配置する。
そのうえ、店舗での仕事は主に3種類。
①キャッシング(レジ)
②補充陳列
③クレンリネス
この3種類の仕事に全員でかかる。
全員がこの仕事をマスターしている。
「あとは全員でフレンドリーサービス!」
「キャプテン」と呼ばれる店長が胸を張る。
これがトレーダー・ジョーの「強み」だ。
現場の仕事の種類を削減する。
現場の仕事を軽減する。
そのうえでホスピタリティ・レベルを上げることに集中する。
その設計をする。
リードする。
それがマネジメントの役割である。
「サービスの向上、ホスピタリティの実現」
スローガンに掲げ、現場に強いていて、
「休暇は取れず、人員はギリギリ」
これでは実践躬行とはならない。
万にも億にもならないのに、
京を口にすることと似ている。
さて昨日の午後は、
商業経営問題研究会(通称:RMLC)の6月例会。
会場は港区虎ノ門の日本チェーンストア協会会議室。
歴代の会長の写真に見守られての研究会。
初めに和田光誉さんの報告。
「2011年度主要食品スーパーマーケット決算概況」。
和田さんは、自ら取材・集計した詳細なデータをもとに、
上場企業39社の動向を解説してくれた。
先月報告してくれた総合スーパーとはずいぶん異なっている。
39社中増収増益企業は24社。
ライフコーポレーション、
バロー、オークワ、サミット、ヤオコーなど。
一方、減収減益企業は7社。
ヨークベニマル、マルエツなど。
食品スーパーマーケットは、下半期からの好調さを維持し、
総じてよい決算内容だった。
その後、結城義晴による「アメリカ最新報告」。
5月に視察した主だった企業の写真を紹介しながら、
「フォーマット論」と「ポジショニング」について解説した。
いま、自分でも最も関心を寄せているテーマ。
終了後、月曜日はいつものように立教大学へ。
大学院ビジネスデザイン研究科F&Bマーケティングの授業。
今回は「世界の食品トレンドとヨーロッパの内食産業」
こちらは3時間。
「疲れたら休め」
自分に当てはまる言葉のようだが、
私の場合、講義やレクチャーは苦にはならない。
語りながら、中身を深く考えている。
話しながら、聴き手の反応を観察している。
そこから新しい考え方やアイデアのヒントがつかめる。
むしろ充実した時間である。
それを月曜日から与えられていることに、
心から感謝しつつ、今週が始まった。
<結城義晴>