あ~あ。
復興担当大臣の辞任。
松本龍。
わずか9日間の任期。
関東大震災後に設置された帝都復興院。
山本権兵衛内閣が、
内務大臣後藤新平を指名し、
後藤が総裁となって現在の東京がつくられた。
後藤は元鉄道院総裁・東京市長、
復興院幹部には後藤の腹心やブレーンが集結。
震災が起こったのは1923年9月1日、
帝都復興省案が立案され、
復興院設置は9月27日。
東日本大震災は3月11日、
復興対策本部は6月27日発足、
復興担当大臣辞任は7月5日。
当事者意識のなさに、
言葉もない。
不幸な日本。
不憫な日本人。
今月の商人舎標語。
「明日のために今日を決める」
まるで、この辞任を予感し、
皮肉るような今月の標語となってしまった。
ピーター・ドラッカー先生の言葉。
「未来を築くために初めになすべきことは、
明日何をなすべきかを決めることではなく、
明日をつくるために今日、
何をなすべきかを決めることである」
復興のための心構えは、
ここにある。
国の代表として、
今日、何をなすべきかを決めたことが、
「辞任」とは、
明日のことも、未来のことも、
考えていないばかりか、
今日の責任さえ感じていない。
言葉がない。
日本経済新聞社の2011年夏のボーナス調査中間集計。
企業の平均支給額は前年比4.6%プラス。
その日経新聞が伝える夏のボーナス商戦、
スタートは好調。
ただし東日本大震災の影響で、
冬の賞与支給額は「下振れ」の予想もあって、
「不透明」。
いまこそ、復興本部のキリリとした対策が、
ボーナス支給や消費活性化に貢献する時なのだが。
さて昨日午前中は、三菱食品株式会社へ。
6月末まで「株式会社菱食」だった。
7月1日から社名を変更し、
三菱食品株式会社。
5階フロアは、
ランの品評会のようだった。
菱食時代は31年10カ月。
私はずっと、ジャーナリストとして、
この会社を見てきた。
「日本橋、京橋、平和島」
食品産業界での通称。
日本橋が国分、
京橋が明治屋、
平和島が菱食。
それぞれの本社があるところの名称を使って、
称した。
明治屋は三菱商事の傘下に、そして三菱食品に。
菱食も名を変えて、三菱食品に。
だから今は、日本橋と平和島。
その平和島の菱食の約32年間は、
廣田正の時代だったといってよい。
もちろん役員、社員、従業員一丸となって、
食品卸売業の社会的な存在感を示すことに邁進してきた。
「新物流」を構築し、
リテールサポートを実現させてきた。
いま、三菱食品は中野勘治会長のもと、
新時代に向けて船出した。
その三菱食品の基礎を築いたのが、
廣田菱食だった。
昨日は、その廣田正さんと面談。
2時間余りの有意義な時間。
廣田さんはまず、語る。
「政治も会社も、官民ともに、いまこそ、
リーダーの存在が重要になっている」
では、いま、真のリーダーとは何か。
「大衆を魅了するリーダーシップ」
廣田さんの言葉は的確。
組織をリードするだけのリーダーでは足りない。
大衆を魅了し、大衆を先導するリーダーシップこそが、
いま必要とされる。
皆さんの周辺のリーダー。
「大衆を魅了しているか」
米国スーパーマーケット産業の趨勢。
日本のチェーンストア業界の過去・現在・未来、
スーパーマーケット業界の統合の意味合い。
食品卸売業界の来し方・行く末。
政治と大震災対策の問題点。
廣田さんにも講師をお願いしているコーネル・ジャパンの話。
話題は様々な領域に及んだ。
そして廣田さんの見識の高さに、
今更ながら感服しつつ、
私はこの時間を楽しんだ。
感謝します。
「なだ万」のお弁当もおいしかったです。
三菱食品を辞して、
東京タワーのたもとへ。
機械振興会館。
社団法人流通問題研究協会のIDR研究交流会。
今日は、玉生弘昌さんの講演。
㈱プラネット代表取締役社長の玉生さんは、
今期からこの社団法人の会長に就任。
冒頭に前会長の三浦功先生がご挨拶とメッセージ。
三浦先生は協会の相談役理事に就任。
社団法人流通問題研究協会は、
47年前に誕生した。
創立会長は当時、一橋大学商学部長の深見義一先生。
三浦先生は、創立の時からこの協会に関係し、
中核となって活動を担ってきた。
「これからは流通を、
ライフラインとライフスタイルに区分して、
その相乗効果を考えるべきです」
素晴らしい。
この考え方に、
私、大賛成。
「安全安心のライフライン流通を前提にして、
自分らしい生活を創るライフスタイル流通が、
役割を果たします」
いまから30年も前、
流通産業研究所所長理事長の上野光平先生が主張した。
生活マネジメントの軸と、
生活エンターテインメントの軸。
生活マネジメントの軸がライフライン、
生活エンターテインメントがライフスタイル。
私が主張する「コモディティ&ノンコモディティ」と、
この考え方はシンクロする。
三浦先生に続いて玉生さんの講演。
「流通業界の安全を支えるネットワーク」
地震と原発・放射能の問題が整理され、
今後の対策が提案された。
「精緻なシステムは危機に弱い。
ルーズなシステムのほうが危機に強い」
「中央集権より現場自立。
中央依存より相互依存」
「いざという時の現場力」
その現場力発揮の三つの条件。
①組織目的の共有化
②企業価値の共有化
③解決方法の共有化
そして結論は、
「システムは共同で、
競争は店頭で」
玉生さんらしい問題提起と提案。
素晴らしかった。
まさに大衆を魅了するリーダー。
その後、夕方、
立教大学池袋キャンパスへ。
F&Bマーケティングの講義。
今日はゲストスピーカー。
この講座も充実。
最後は常連メンバーとともに、
「一軒め酒場」へ。
4人で、飲んで食って6000円也。
充実した暑い夏の一日だった。
心に残るは廣田正さんの言葉。
「大衆を魅了するリーダーシップ」
心から感謝。
<結城義晴>