菅直人首相が正式に退陣を表明し、
各紙で菅政権の総括が行われている。
すべてが皮肉たっぷり。
一方、それを受けて、
27日(土曜日)に公示し、
29日(月曜日)に投開票される、
拙速な民主党代表選。
前原誠司氏の出馬表明で、
やっと対立軸が見えてきた。
ただしそれでも、この軸は、
「小沢一郎」という人間に近いか遠いか。
今週末のテレビ・新聞は、
これまたお祭り騒ぎ。
候補者全員そろった討論会など、各局が企画して、
視聴率争いを展開するに違いない。
自民党・谷垣禎一総裁が何とわめこうとも、
こちらは蚊帳の外。
あれだけ、こぞって「菅降ろし」をしたのだから、
ここは実のある日本国首相を選んでもらいたい。
さて、福島原発事故によるセシウム汚染で出荷停止されていた牛肉。
岩手、福島、栃木産が政府によって解除され、
出荷停止は全面的になくなった。
それでも風評被害で、
牛肉は、売れない。
毎日新聞では関西スーパーマーケットを取り上げた。
同社は、「宮崎など自社グループ牧場で飼育した牛肉だけを売っている」
「にもかかわらず、今夏の国産和牛の売上げは、
昨年比で数%落ちた」
出荷停止が解除されても、
風評被害から解放されるのは、
時間がかかる。
小売業も独自に検査して、
この風評被害に立ち向かう。
静岡県知事の川勝平太さんの言葉を引こう。
静岡文化芸術大学学長から転身した学究知事。
「無知は恐怖の源です」
そして風評被害には、
知識と情報で対抗する。
これ以外にない。
昨日の25日、滋賀県南彦根の平和堂ビバシティへ。
平和堂本社に隣接する大型ショッピングセンター。
その2階のビバホールで、
アメリカツアーのガイダンス講義。
この6月に第一斑の総勢50名とともに
アメリカのダラス、サンフランシスコの流通視察を行った。
この9月には、第二班の視察を実施する。
だからこの日は、一斑・二班の計103名が集まり、
一斑の視察報告会と、二班に向けた視察ガイダンス。
夏原平和社長、古川幸一専務も同席して、
朝9時からスタート。
はじめに、第一斑団長の村上茂人さんが、
二つの目標を示した。
一斑には、持続的なイノベーションと、
自分自身の行動を要請、
二班には、見て、聞いて、感じて、体験してほしいということ。
第一班の団長として、
平和堂取締役教育人事部長として、
村上さんの開講の挨拶は、
とてもよかった。
その後、6月の参加者が8グループに分かれて
15分ずつ視察報告を行った。
各チームとも、視察店を分析し、
そこから学んだこと、
自らの業務に取り入れ実行していること、
さらに会社への提案などを発表。
ともに参加したほかのチームも、
この秋に参加するメンバーも、
真剣に耳を傾けた。
私は、この連続的・継続的な研修が、
必ず成果をもたらすと考えている。
各チームの報告を聞き、
それぞれに講評するのが私の役目。
各チームの報告に、
私は想像以上の満足を感じた。
8チームが発表を終え、全体講評を行う。
チェーンストアは分業のシステムだ。
だから本部・商品部と店舗が一体となって、
学んだこと、提案したことを、
実行しなければならない。
その結果、イノベーションが起こる。
私の主張は変わらない。
午前の部の最後は、夏原社長の総評。
夏原さんご自身が、
アメリカに学ぶ姿勢を強く持つ。
アメリカに学んだ経験も豊富だ。
したがって、きわめて実践的で、役立つ総評となった。
かつて、呉服のやまとや鈴乃屋もアメリカに学んだ。
アメリカでは呉服を着る習慣はもちろんないし、
呉服のチェーンストアも存在しない。
しかし彼らはアメリカに真摯に学んで、
見事なチェーンストアをつくった。
そんな学び方をしてほしい。
それが夏原さんの言わんとすること。
夏原さんも故渥美俊一先生に師事した。
その意味では私も同窓の後輩。
私たち二人の考えは、
その意味で一致している。
昼食をはさんで、午後は、
第二班秋の参加者に向けたガイダンス講義。
平和堂は理念の企業である。
近江商人の三方よし。
「売り手よし、買い手よし、世間よし」
この考え方に基づいた経営を貫いてきた。
さらに故成瀬義一先生の教えを大切にする。
「商人よ、正人たれ」
成瀬先生は倉本長治商業界主幹の愛弟子。
「損得より先に善悪を考えよう」
そして写真の白板に書いてある言葉。
「店は客のためにあり、
店員とともに栄える」
アメリカのウォルマートやウェグマンズのミッションは、
倉本長治や成瀬義一と一致している。
アメリカ視察研修のガイダンス講義は、
そこから始まる。
最後は、「企業の目的」。
ご存知ピーター・ドラッカー先生の『マネジメント』より。
「企業の目的として有効な定義はひとつしかない。
すなわち顧客の創造である」
「従って企業は二つの、そして二つだけの基本的機能を持つ。
それがマーケティングとイノベーションである。
マーケティングとイノベーションだけが、
企業に成果をもたらす」
もう一つ、「Integrity」。
これもドラッカー先生。
「マネージャーとして、はじめから、
身に着けていなければならない資質が、
ひとつだけある。
才能ではない。
真摯さである」
この考え方を徹底しつつ、
アメリカから多くのことを学び、
イノベーションを起こしたい。
最後に第一斑と第二班の団長、副団長のみなさんと写真。
左から村上さん、
私の隣が第二班団長の常務取締役経営企画本部長の平松正嗣さん、
第二班副団長の販売促進部部長の杉崎邦彦さん。
朝日新聞の「経済気象台」で、
「購買力平価」(こうばいりょくへいか)が取り上げられた。
PPPと略されるが、Purchasing Power Parity Theory。
外国為替レートの決定要因を、
実勢価格で説明する概念。
自国通貨と外国通貨の購買力の比率によって試算した為替レート。
1921年にスウェーデンの経済学者グスタフ・カッセルが発表。
テキストやこのブログでも、
私は米国での為替レートを1ドル100円にしているが、
いつも講義で言う。
「120円くらいが妥当だと思う」。
それはこの購買力平価に沿っている。
経済気象台では、トヨタ自動車のカムリを例に出した。
現在米国内での最低小売希望価格は、2100ドル。
日本では250万円。
これを割り算すると、1ドル119円となる。
私の実勢為替レート。
トヨタ・カムリでちょうど良い。
事前ガイダンスが終わって、
いよいよ始まった。
秋への始動。
暑い暑い日だったが、
私の気分は爽快だった。
皆さんも、爽快な週末を。
<結城義晴>
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