第95代の野田佳彦新首相が指名された。
野田さんは、民主党三役人事を内定した。
幹事長に輿石東参院議員会長、
政調会長は前原誠司前外相、
国会対策委員長は平野博文元官房長官。
ちょっと無責任な言い方に聞こえるかもしれないが、
人事はいつだって、面白い。
如何にきれいごとを言おうと、
如何に立派な大義を持とうと、
人事でそれが本当かどうかが、
一目瞭然となるからだ。
野田氏は今回の代表選挙前に、
唯一、「小沢詣で」をしなかった。
しかしそれでも、
小沢一郎の盟友・輿石参議院会長を幹事長に据えて、
当選直後の第一声の「ノーサイド」の公約を守った。
自民党・公明党との大連立を掲げ、目指す野田新首相だが、
その前の党内一致は必須と考えている。
菅直人前首相の轍を踏まず。
そんな考えが見える。
いまだにフクシマ原発問題は未解決だし、
震災後の復興・振興も軌道に乗っていない。
財務悪化は恒常化し、デフレは解消されずの状況なのだから、
脇目も振らず挙党一致を志向するのは、
「どじょう総理」らしくて、いいと思う。
今日の夕方の会合で、野田・輿石は、
ルックスが悪すぎるというジョークも出たが、
どじょうとなまずでも、まったく構わない。
問題解決に向かってまっしぐら。
決まったからには、
野田さんに頑張ってもらおう。
私は、そう思う。
民主党代表となってから、
野田さんがちょっと若返った感じがするのが、
これまた、面白い。
昨日は、韓国・テグで開催されている世界陸上で、
男子ハンマー投げ・室伏広治選手が、
金メダル獲得。
今季自己最高の81メートル24を投げた。
こちらは無条件にうれしい。
父親の室伏重信さんと二人で、
柔軟体操をする姿がほほえましい。
私は今日も、忙しい一日。
朝一番で、
東京・大門のカスタマー・コミュニケーションズ㈱へ。
毎月恒例の取締役会。
今日は新しくて、鋭い提案があって、
企業として本当に視野が開けた。
この会社にも期待がかかる。
午後は、東京ドームホテル。
UIゼンセン同盟流通部会第5回労使懇談会。
はじめに主催者を代表して、
労使幹事会代表でダイエーユニオンの藤吉大輔さんがあいさつ。
UIゼンセン同盟には現在6つの部会がある。
その6部会を、製造、サービス、流通の3部会に集約し、
各部会への権限委譲が進められる。
それによってスピードアップを図り、
流通を取り巻く震災後の厳しい環境に対応していく。
冒頭のあいさつは決意表明のようだった。
次いでUIゼンセン同盟落合清四会長があいさつ。
コーネル大学RMPジャパン講師を務めていただいている。
「震災で、絆の大切さを感じたが、何かが変化した。
リーマンショック後、欧州でいわれる『連帯経済』への傾斜がそれだ。
①倫理的な金融、②フェアトレード、③社会的責任消費の3つ。
震災後にこの傾向がみられる」
「豊かさとはこれまで、金・モノを中心にした快楽の追求だった。
それが安全・安心、そして快適へと変化している。
この理念の変化が産業政策に反映される必要がある」
藤吉さん、落合さん、どちらも、
挨拶としてはもったいないくらいの質を伴っていた。
基調講演は流通産業大学特別教授の石原武政先生。
「震災復興下における地域再生と流通産業役割と課題」がテーマ。
被災地の経済貢献のために果たす小売業の在り方を、
中小商業の視点を交えながら講演。
次に、経済産業省商務流通グループ流通政策課長の佐合達矢さんの報告。
「消費財流通に関するサプライチェーン改善に向けた取り組みについて」
製配販連携でインフラを共有し、全体の無駄を省く施策が、
丁寧に語られた
この日最後のプログラムは、
私がコーディネーターを務めるパネルディスカッション。
テーマは、
「震災からの復旧・復興に向け、流通産業政策に期待するもの」
パネリストは石原先生と佐合さん、そして野村総研の高木裕之さん。
高木さんはサービス事業コンサルティング部ゼネラルマネジャー。
2時間にわたったパネルディスカッションは、
学者、コンサルタント、行政マンから、
それぞれの立場でのコメントが展開された。
冒頭に徳島阿波踊りの話を振り、
蜂須賀小六の「無礼講」のお許しをいただいて、
白熱した論議を意図した。
私は、次々に質問を投げかけ、自らコメントし、
考えつつ、楽しんだ。
震災時に小売業が果たしたライフラインの役割、
震災後の「ベーシック」への消費変化、
地域に「開かれた産業」としての小売流通業のあり方、
そして将来へのグランドデザインとビジョン。
多岐にわたる質問に、
パネラーの皆さんは、
真摯に答えてくださった。
コーディネーターとしての最初と最後はやなせたかしさんの言葉。
「正義とは実は簡単なことなのです。
困っている人を助けること」
「ひもじい思いをしている人に、
パンの一切れを差し出す行為を
『正義』と呼ぶのです」
「困っている人、飢えている人に食べ物を差し出す行為は、
立場が変わっても国が違っても『正しいこと』には変わりません」
「絶対的な正義なのです」
「だから正義って相手を倒すことじゃないんですよ。
アンパンマンもバイキンマンを殺したりしないでしょ。
だってバイキンマンにはバイキンマンなりの正義を
持っているかも知れないから」
「怪獣を倒すスーパーヒーローではなく、
怪獣との闘いで壊された街を
復元しようと立ちあがる普通の人々が
ヒーローであり、正義なのです」
ご清聴に、心から感謝。
閉会のあいさつは労使幹事会副代表の土佐谷正孝さん。
㈱セブン&アイホールディングス人事企画部シニアオフィサー。
これが実によかった。
「今回の震災では店長をはじめとする現場力が発揮された。
その現場を生かすことに労使ともに努力したい」
その後、会場を移し、記念のパーティ。
乾杯のあいさつは同じく幹事会副代表の河田靖彦さん。
河田さんはセブン&アイグループ労働組合連合会会長。
参議院議員の柳澤光美さんも駆け付けた。
そして怒涛の懇親。
原信ナルスホールディングス㈱副社長の五十嵐安夫さん。
今回、原信の支援は群を抜いていた。
そのありがたさは、被災地の多くの小売企業から聞いた。
五十嵐さんたちは今もなお、被災地支援を続けている。
㈱セブン&アイホールディングス人事企画部シニアオフィサーの土佐谷さん。
パネリストのお二人。
佐合さん(左)と高木さん。
お疲れ様でした。
㈱平和堂取締役教育人事部長の村上茂人さん。
6月のアメリカツアーの団長を務めていただいた。
㈱日本リテイリングセンター代表取締役の渥美田鶴子さんと
リサーチャーの渥美六雄さん。
流通部会副部会長の新妻健治さん。
イオングループ労働組合連合会会長。
固い握手。
最後の最後は、その新妻さんが中締めのあいさつ。
新妻さんは、いつもながらキリリとしたスピーチ。
今回も勉強になったし、
小売流通業の存在価値を確認できた。
それが何より、うれしかった。
台風12号接近、上陸の恐れあり。
皆さん、気を引き締めて。
<結城義晴>