結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年08月24日(水曜日)

百貨店・総合スーパー・スーパーマーケット・コンビニの7月販売統計と「一人は万人のために、万人は一人のために」

島田紳助が去り、
前原誠司が表舞台に。

夏の終わりには、
何かしら事件が起こる。

さらりと受け流して、
秋に目を向けよう。

さて、うれしいことがありました。

今春卒業した立教大学大学院生の渋木克久さん。
結城ゼミのゼミ長だったが、
その渋木さんの修士論文が、
吉野家ホールディングス『CSR報告書 2011』に、
掲載された。
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渋木さんの論文は外食産業の海外投資をテーマにしたものだが、
吉野家の田中常泰専務がインタビューに応じてくれた。

渋木さんも渾身の力を込めたすぐれた論文となり、
もちろん出来上がった作品は吉野家にお送りした。

それが「学生の企業研究活動のサポート」という項目で、
『CSR報告書』に写真入りで掲載されたわけ。

CSRとはCorporate Social Responsibilityの頭文字をとったもので、
「企業の社会的責任」を示す。

それを報告書として毎年発表する。

吉野家HDはこのあたりしっかりした会社で、
上質のCSR報告書となっている。
(ダウンロードして中身もご覧いただきたい)

渋木さんも大喜びだが、
私も指導教授として、これ以上にない誇りと感激。

さて、百貨店からコンビニまでの7月の実績報告。

まず全国百貨店の7月の売上高概況。
日本百貨店協会が発表。

総売上高は6006億6333万円。
2カ月ぶりの前年同月比マイナスだが、
そのマイナスも0.1%。
ほぼ前年並みといえる。

7月は意外なことに、
宝飾品や特選衣料雑貨などの高額商材の動きがよかった。
身のまわり品はプラス3.8%、
美術・宝飾・貴金属プラス5.3%と好調だった。
これは震災の影響が少しずつ薄らいできて、
消費マインドが回復してきたことが要因。

次に、7月のコンビニの販売統計調査。
日本フランチャイズチェーン協会発表。

既存店ベースの売上高は7454億1100万円で、
前年同月比は、こちらはプラス9.5%。
これで9カ月連続プラスを記録して、
ちと古いが中畑清張りに「絶好調」。

来店客数プラス2.4%、
客単価プラス6.9%。

さらには商品別売上高の前年同月比が、
日配プラス7.1%、
加工食品プラス0.7%、
非食品プラス26.1%、
サービスがプラス14.3%と、
すべての項目でプラスを達成。

冷やし麺や飲料などの夏物商材が売れたが、
非食品が26%も伸びているところに注目しておきたい。

コンビニの社会的機能が、
広がりつつある。

そして、日本チェーンストア協会の販売統計
加盟するのは総合スーパー9社を中心に、
スーパーマーケットやニトリ、ダイソーといった企業60社。

総売上高は1兆1226億8741万円。
前年同月比プラス2.1%で、
2カ月連続で伸びた。

住関連商品の中でも特に
「家具・インテリア」の売れ行きが好調で、
プラス10.9%だった。
ここにはニトリの数字が貢献している。

さらにアナログ放送が7月24日に終了し、
地上デジタル放送へ完全移行したことに伴い、
薄型テレビやレコーダー、チューナーなどの
駆け込み需要も大きかった。

最後に、スーパーマーケット3団体発表
7月の販売統計。

総売上高は堅調な伸びを見せた。
既存店ベースで8709億4400万円で、
前年同月比プラス1.7%。

4月以降、ずっと前年同月比を割っていたので、
久しぶりの好調な数字。

新日本スーパーマーケット協会副会長の増井徳太郎さんも嬉しそう。
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数値を細かく見ていと、
食品の合計が7324億5247万円でプラス1.4%。

青果は相場高の影響があり、
1063億7582万円で、プラス1.1%。

水産は全体的な水揚げ高の不足に加え、
関東では、天候の影響で「土用の丑」のうなぎ販売が不調だった。
売上高は757億6634万円、マイナス1.3%。

畜産は810億2010万円で、プラス0.6%。
牛肉の放射線汚染問題があったにも関わらず、
プラスを維持できている。

なぜか。

「牛肉の売上げが20~30%下がったからといって、
売上げが水産品へは流れていかない。
鶏や豚、輸入牛の売上げが増加する。
つまり、日本人に『肉中心の食生活』が定着している」(増井さん)からだ。

畜牛農家やそれにかかわる産業医は大きな痛手だが、
スーパーマーケットでは代替商品が売れていく。
それが輸入牛肉、豚肉、鶏肉。
惣菜は763億8607万円のプラス3.1%で、
今月も好調。

日配品は1600億6683万円で、プラス2.0%、
一般食品は2328億3670万円で、プラス1.7%。

最後に、非食品が930億8941万円のプラス1.9%、
その他が476億8202万円でプラス1.3%だった。

今月のゲストスピーカーは
日本生活協同組合連合会の青竹豊執行役員
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生協とは、
「組合員が出資して、
自分たちの生活をよりよくするために
必要な事業を行うことを目的とする」組織。

つまり「売る機関」ではなく「買う組織」だ。
日本では、地域生協や大学生協が有名だが、
今日では、地域生協の宅配事業が、
もっとも大きなウエイトを占めている。

「この宅配事業が震災後、大きな役割を果たしている。
震災後、近隣のスーパーマーケットがなくなってしまった地域がある。
そんなところでは買物難民や高齢者の宅配利用が増えている

「宅配事業で使用されるトラックも大いに役立った。
トラックを改造し、移動販売ができるようにしたのだ。
この移動販売へのニーズは今、非常に高い」

「例年、8月は宅配事業が不調となる傾向があるが、
今年は内食需要の高まりによって、
好調をキープしている」

「被災地域にあるみやぎ生協は、
県民の約70%が生協に加入している。
さらに宮城県との災害協定を結んでいたため、
震災直後の支援物資を非常にスムーズに
避難所へ届けることができた」

日本生協連では、
今後は放射線問題などに関する学習会を
積極的に開催していく。

私は、震災や原発問題が起こった時こそ、
生協の出番であると考えている。

「一人は万人のために、万人は一人のために」
協同・助け合いの理念は生協の根底にあるものだが、
それはすべての商業・小売業、サービス業も、
共有しなければならないものだ。

理念だけ声高で、
実行が伴わないのが、
一番いけない。

<結城義晴>

2011年08月23日(火曜日)

「公平と不公平」のオクシモロンの問題解決を果たすのは「機縁」と糸井重里は言った!

残暑が残るというものの、
一雨ごとに秋がやってくる気がする。
昨日は横浜の商人舎オフィスで、
窓を開け放って仕事した。

蝉の声が耳をつんざくほどに響いたが、
不思議なもので、しばらくしたら、慣れる。

私は、40代の終わりからメニエル氏病で、
いつも、耳がシンシンと鳴っているから、
蝉の声はそれを掻き消してくれて、
むしろ快適ささえ感じる。

ちょっと自虐的ではあるが、
そんな短い、季節の隙間。

残暑 お見舞い申し上げたい。

さて昨日は夕方に、
㈱イースト・プレス書籍1部の中西庸(よう)さん来社。
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ご存知『店ドラ』の担当編集者。
『店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』
お陰様で、書店でも売れ行き好調です。
「ドラッカー・コーナー」におかれるといいのだけれど、
どうしても小売り・サービス、販売・営業などの書籍売り場に並ぶ。

それでも、読者は見つけて買ってくれるそうだ。
ありがたいことです。

もっともっと、アピールして、
この本の値打ちを広めたい。

ふたりして、そう、誓い合った。

中西さんは、最近担当した『論語』など、
新刊本を持ってきてくれて、そのうえで情報交換。

来年の春に向けて、
新しい本の執筆に取り組むことにした。
楽しみにしてください。

さて、「ほぼ日」。
糸井重里さんが主宰するサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」

考えてみると、「もしドラ」にしろ「店ドラ」にしろ、
「ほぼ日」にしろ、つづめて表現するのが心地よい。
そんな語感の時代に入っている。

[毎日更新宣言]はさしずめ「マイ宣」」だろうか。
その「ほぼ日」の巻頭言は、
「今日のダーリン」とタイトルされている。

昨日の巻頭言は良かった。

糸井さんは今年、ずいぶんと、
「公平・不公平」について考えた。

「なんでも公平であるべきだ‥‥よく言われます。
不公平はよくない‥‥正しいのだと思います」

「ただ、ほんとうに悩ましいのは、
原理主義的に公平を実現しようとすると、
どんどん減っていってしまうものがあるということです」

これが問題意識。

鋭い。

被災地に送られた救援物資、支援物資の話。
「公平に配れないから、配らない」

「50人の人がほしいものが、35しかなかったら、
それは配るわけにはいきません」

こんなことが、「きっとあちこちであったでしょう」

糸井さんは言う。
「あなたが『配る立場』になったときに、
どうするだろうか、ということも考える必要がある」

そこで、論理は展開する。
「35人の人をよろこばせることと、
15人の方々の不満について『なんとかする』ことと、
両方ができるような方法があるか‥‥というわけです」

これが私の強調する「オクシモロン」
オクシとは鋭い、賢いという意味のギリシャ語、
モロンは鈍い、愚かだとう意味。
それらを合わせて、オクシモロン。

「創造的破壊」「ヘタウマ」など、
現代の問題解決のカギを握る考え方。

糸井さんは再び語る。
「『配らない』と思考停止するのではなく、
15人の人がよろこべる方法は、ないものだろうか?
そういう考え方が求められているんだと思うのです」

最初からの思考停止が一番よくない。
ただし、「ほんとうは『公平』とか『平等』って、
神様仏様にも出来てないことなんですよね」

そこで糸井さん、結論に近づく。
「そういうことについて『機縁』ということばで、
説明した坊さんがいました」

「ある命を救うことができた『縁』もあるし、
ある命を奪うことになった『縁』もある‥‥」

「できないことを追いかける」のではなく、
じぶんのその立場で目の前の「できることを、する」

これは、東日本大震災の時の、
ヨークベニマル物江信弘店長と全く一緒の心境。
「自分にとって今、できることは何か。
お客様のために今、できることは何か。
それだけを考えていた」

オクシモロンの問題解決のひとつが、
「機縁」。

大きな収穫。

そういえば、㈱カスミ会長の小濵裕正さんが言っていた。
「バイヤーは100店全店に並べる商品ばかり追いかけて、
100店のロットに至らないものは視野に入らない。
チェーンオペレーションの行き過ぎた弊害です」

「公平」と「顧客の喜び」「店の役割」。

オクシモロンと「機縁」で解決の方向が見えた。

さて日経新聞「消費欄」。
「店内に設けたベーカリーで販売する『焼きたてパン』の人気が高まっている」
つまり「インストアベーカリー」の人気が上昇しているという記事。

それは東日本大震災の影響。

製パンメーカーは、原材料価格高騰で値上げに踏み切った。
しかしスーパーマーケットはほとんどの企業が価格を維持した。
さらに震災直後も、品切れはなかった。
「頼りになった」
いなげや練馬上石神井南店を訪れた50代の主婦の言。

いなげやでは震災以降、5月まで、
インストアベーカリーの売上げが2割増。
6月以降も2~3%の伸び。
一方、メーカー品は前年割れが続く。

現在、メーカーの食パンの価格帯は、
特売にかけられることもあって150円程度。
スーパーマーケットの「焼きたての食パンは250円程度」

価格差はある。

しかし、ブランドスイッチが起こりつつある。

サミットは全99店のうち、51店にベーカリーを導入。
7月の売上げは前年比5%増。

ヤオコーも震災前までは前年割れだったが、
「足元は前年実績を上回っている」

スーパーマーケットのインストアベーカリー。
震災と製パンメーカーの値上げが、
追い風になって、やっと利益が出る体質がつくれるか。

これまで確かなニーズはあった。
しかし営業利益が出なかった。

それが売れてきた。
売れれば売れるほど、
ロスは減るし、
コスト率は下がる。
少しだけ安くも売れる。


そして利益が出る。

オクシモロンの問題解決に悩んでいたインストアベーカリー。
チャンス到来。

震災が機縁をもたらしたかもしれない。

頑張れ、インストアベーカリー。
ナンバ君も。

<結城義晴>

2011年08月22日(月曜日)

中部大学・武田邦彦教授の持論「衰退する業界・企業の4つの特徴」に共感!

Everybody! Good Monday!
[vol34]

2011年第34週、8月第4週。
㈱商人舎、夏季休暇が終わり、
今日から全力疾走で、営業再開。

お待たせしました。
よろしくお願いします。

さて、一般的にみれば、
生徒・児童の夏休みも10日を切った。
いよいよ、子供たちは宿題の追い込み時期。

この週末は、涼しくて、9月の到来を予感させた。
人気ブログ[常盤勝美の2週間天気予報]では、
「19日(金)頃から秋雨前線が日本列島南岸付近に停滞」
「東日本を中心に、気温が平年をかなり下回った」

「週後半は全般に平年並みに戻る」

そして来週は、まだまだ「残暑」。
残暑お見舞い申し上げる

今朝の朝日歌壇より四句。

玉のやうな第一週よ夏休み
[東京都・井原三郎]

これで始まった。

日めくりを数枚忘る暑さかな

[可児市・金子嘉幸]

さらに、祭りでは。
古老来て草書のやうに踊るなり
[名古屋市・可知豊親]

そしてこうなった。
とんぼうの肩に止まりて山近し
[姫路市・田中明美]

今週のトレンドは、
お盆の「祭りのあと」のだらだら消費、
しかしそれでも、
子供たちの夏休みの終わりごろ。

そんな気分で生活が営まれる。
この暮らしの基本トーンを知っておきたい。

さて、日経MJ の『底流を読む』。
編集委員の田中陽さんが、
「不毛の価格競争 再考の時」と題して提言。

田中さんはいつも、鋭い切り口で、
ズバリズバリと言を呈する。

「直近の四半期や半期決算の蓋を開けたら、
好業績の数字が並んでいる」

山崎製パンの飯島延浩社長は、
「事業内容を一変させた」
セブン&アイ・ホールディングス村田紀敏社長は、
「消費は強い」。

それもあろう。
しかし、田中さんは言う。
「理由は簡単だ」

「供給量が絞られ、
特売を打たなくても商品が売れたからだ」

その通り。

学習院大学の上田隆穂教授。
「これまでは意味のない値下げが目立った」
これも、おっしゃる通り。

そして田中さんの問題提起。
「供給体制が回復して
再び価格競争を招くのか」

「小売業は反射的に
価格引き下げのアクセルを
踏んでしまうのか」

私は、4月21日のこのブログで書いた。
「震災特需と商人の品格」

「震災特需」
それがあった業態と地域。
それがなかった業態と地域。

鮮明に浮かび上がった。

そこで、「特需」を受けた企業群は、
どう行動するか。

もちろんこれは、
「未来の自分の売上げの先食い」
という側面もある。

ただし3月にはすべての企業が、
特売を控えた。

すなわち定価で販売し、
これだけの売上げ増だった。
粗利益は上がっただろうし、
営業利益も出たはず。

今日は、はっきりと言っておこう。

被災した企業や地域は、
壮絶だ。

「震災特需」の利益。
いかに使うかが、
商人の品格である。

本当の志が、わかる。

ディスカウントを社是のようにする企業は、
ずっとそれを貫いた。
しかも円高は進む。

だから値下げをすることは、
企業の存在価値だ。
ニトリ、オーケー、大黒天物産、
エトセトラ、エトセトラ。

しかし小売業がすべて、
安売り大会に参加するのは、
いかがなものか。

それが田中さんの指摘だと思う。

8月のうちは夏休みだらだら消費。
9月に入って、どんな姿勢を見せるのか。

それぞれの企業に問われている。

さて、先週金曜日の第38回PCSA公開勉強会での講演。
中部大学教授・武田邦彦先生。

実に面白い資源材料学の学者。
「試験で点数をつけない先生」である。

たとえば、問題を出しておいて、
答案用紙に一番下まで書けば100点。
半分なら50点、4分の1なら25点と明言する。
字の大きさ、行間の広さは問わず。
そしてその通りに採点する。

3年に一人くらい、
横組みの答案用紙に、
縦に1列、最後の行のあたりまで、
書いてくる者がいる。

それでも100点。
「いじめて、出席とって、採点して。
これはやらない」

その武田先生の持論。
「業界や企業がダメになる現象、
衰退していく業界の特徴」

第1は、業界が団結していない状態。
思い当たる節、大あり。

第2は、業界が、
正しいことをしていると思い込んでいる状態。

武田先生は、水俣病事件を例にとった。
水銀事件を起こしたチッソ㈱。

彼らはずっと確信していた。
「工場設計は県と一緒にやった。
われわれは規則を守っている。
間違ったことはしていない」

しかし、犠牲者は出ていた。
このことにたいして、まず、
謙虚にならねばいけない。

第3が重要。
「多様化しないと業界は潰れる」

特定のところに進化してしまうと、危険。
多様化の方向に進歩しているならば大丈夫。

私の言う「業態からフォーマットへ」。
フォーマットとは、業態が、
「企業や事業の戦略行動によって分化したもの」

フォーマットの否定は、
業界の衰退を意味することになる。

第4が、業界や企業が、
「先手を打って社会に出ていかない状態」。

成功した業界、失敗した業界を見ているとわかる。
バッシングを受けてから社会に出ていくとダメ。
あらかじめ正しい情報を出しておけば大丈夫。

「俺は正しいことをやっているんだ」
ふんぞり返っている業界、企業は崩壊する。
良いことが、そのまま素直に、
理解されるように先手を打つ。

これです。

武田先生の話を聞いていると、
元気が出てくる。

夏の終わりに向かって、
今週も。

Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

[追伸]
第10回記念商人舎USA視察研修会。
経営戦略コースと商品戦略コース。
スペシャル編とマーチャンダイジング編の重箱スタイル。
日程は10月28日~11月4日、10月30日~11月6日。
申し込み締め切りは、
9月8日(木曜日)。

ご検討と申し込みは、
お早目に。

何しろ、大久保恒夫さんと林廣美先生が、
特別講師として参加してくださるのだから。

2011年08月21日(日曜日)

ジジと祭りのあと[2011日曜版vol34]

ずいぶん、
すずしくなりました。

ジジです。
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とくに、夜は、
すごしやすい。

虫の声など、
きこえます。
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にゅうどう雲も、
さっていきます。
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ユウキヨシハルのおとうさん、
いそがしい夏でした。

元気に、あちこち、
うごきまわっていました。
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とくに、阿波踊り。
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「徳島にはまった」

おとうさんは、そう、
いいました。
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踊るアホウに、見るアホウ。
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おなじアホなら、
踊らにゃ、ソンソン。
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阿波踊りは、えんえんと、
つづきました。
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演舞場での「踊り込み」がおわってからも、
カラオケでうたって、おどる。
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おなじアホなら、
うたわにゃ、ソンソン。
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でも、おとうさんは、
おもいました。

「祭りのあとのさびしさ」
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吉田タクローと岡本おさみ。

祭りのあとのさびしさが
いやでもやってくるのなら
祭りのあとのさびしさは
たとえば女でまぎらわし

またらいねんです。
祭りは。

こんやは、おとうさん、
ぐっすりねむっています。

今宵の酒に酔いしれて

ボクも、
ねむくなってきました。
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だから、ねます。
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ボクには、
祭りもないし、
祭りのあとも、
ないけれど。
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「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ」
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「ヨイヨイヨイヨイ・・・・・・・・」

<『ジジの気分』(未刊)より>

2011年08月20日(土曜日)

第38回PCSA公開勉強会で講演、パネルディスカッション、そして武田邦彦先生の「人生楽しく」

夏の甲子園大会決勝、
西東京の日大三高が、
青森の光星学院を、
11対0の大差で破り優勝。

私はリアルタイムで試合を見ることはできなかったが、
「赤勝て、白勝て、どっちも勝て」のスタンスだから、
これはこれでよかったと思う。

東日本大震災の被災地から出場した八戸の高校が、
よくぞここまで来た。

八戸はスーパーマーケットの㈱ユニバースの本拠。
さぞやみんな残念なことだろう。
東北に真紅の優勝旗を持ち帰ることはできなかった。

しかし、それでも、
選手たちの健闘を、
率直にたたえたい。

今年は特に、あらゆる健闘を、
素直に賞賛したい気分だ。

しかしその一方、
昨日のニューヨーク外国為替市場で、
1ドル75円95銭と、
戦後最高値が更新された。

日銀は砂漠に水を撒くがごとき対応を迫られているが、
欧米の経済と金融が悪くて、
相対的に円が高くなっているこの状況を、
解消することはできそうもない。

輸出産業は耐えるしかない。

さて昨日の報告。
午後から、東京のザ・グランドホール品川。
第38回PCSA公開経営勉強会が開催された。
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PCSAはパチンコ・チェーンストア協会。

今回は「東日本大震災」にテーマが絞られて、
その対応の報告や今後の考え方の議論が行われた。
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第1部は、
㈱ダイナムの取締役兼法務部部長の森治彦さん。

「大震災に被災した地域とパチンコホールの共存」
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3・11以降、ダイナムは積極的に店舗の営業再開や地域支援、
そして情報開示をしてきた。

さらに節電への取り組みも、
いち早く意思決定し、実行してきた。

その経緯と考え方を、
的確に、丁寧に報告してくれた。

森さんは、私が㈱商業界社長の時代から、
「結城会」のメンバーでもあって、
その優秀さは誰もが認めるところだが、
講演も大したものだ。

素晴らしかった。

第2部が私の出番。
「大震災で小売業が果たした役割」
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パチンコ業界の人々に、
小売業がいかにインフラとなって活躍したのかを、
報告するのが私の役回り。

私は「店長」の重要性を強調したが、
それは小売業に限らない。
外食産業もサービス業も、
エンターテインメント産業も、
有店舗事業はすべて、
現場のリーダーである店長がその使命の多くを担っている。

しかし、店長が腕を振るうお膳立ては、
本部がしなければならない。

別の言い方をすると、
人間が活動する前始末を、
システムが担保しなければいけない。

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さらにライフライン(命綱)の役割を果たすことは、
それだけで「正義」である。

そしてライフラインには、
肉体的な要素とともに精神的な条件もある。
サービス業はその精神的な安定や喜びを担うものだ。

すなわちライフラインの一環である。

ライフラインとなる心構えは、
宮澤賢治の「雨ニモマケズ」。

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイゝトイヒ
北ニケンクワヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ

ご清聴を、感謝したい。
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第3部は、パネルディスカッション。
コーディネーターはPCSA代表理事の加藤英則さん。
㈱夢コーポレーション社長。

パネラーは4人。
自民党前衆議院議員の葉梨康弘さんと、
㈱日本イノベーション社長の和田裕さん、
UIゼンセン同盟常任中央執行委員の内堀良雄さん、
そして元ジャスダック取締役の牛島憲明さん。

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和田さん、内堀さん、牛島さんは、
パチンコ・トラスティ・ボード(PTB)有識者懇談会のメンバー。

特に和田さんは通産省の官僚で、
大阪万国博覧会の発案者。
現在、PTB座長として、パチンコ産業の健全化に尽力。

そのパネルディスカッション。
それぞれが東日本大震災の中間総括をしたうえで、
パチンコ産業がいかに対応すべきかを論議した。

前代議士の葉梨さんは、
警察庁官僚出身で、
風適法などの専門家。

そこから葉梨さんが政治と行政の立場で議論を展開し、
和田さんはそれを受けて大所高所から問題を整理しつつ、
産業化のためのビジョンと道筋を明示した。

内堀さんは働く者の立場から、
パチンコホールの存在価値を明らかにし、
今後の業界の展望をしてくれた。

牛島さんは業界サイドの「タカ派」の論者。
真正面から産業化への方法論を展開。

それぞれに、立場や役割のはっきりした討論で、
業界の立ち位置が鮮明になった。

コーディネーターの加藤さんの切り回しも、
淡々としていて、私はちょっと驚いた。
良かった。

最後の第4部。
中部大学教授の武田邦彦先生。
『パチンコ礼賛論』
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この講演、素晴らしかった。

テレビでもおなじみの引っ張りだこの武田先生。
専門は資源材料工学だが、
原子力やウランの専門家でもあって、
「日本原子力学会平和利用特賞」を受賞されている。

政治とマスコミの裏側を暴き、
人間の生の本質を語る。

私は久しぶりに、
良い講演を聴いた気がした。
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武田先生は、
「武田邦彦(中部大学)」というブログを書いている。
味もそっけもない体裁だが、
中身は濃い。

震災後はほぼ毎日更新。
ご愛読をお勧めしたい。

そのブログで、2月16日に「パチンコ礼賛論」を書いた。
そうしたらものすごいバッシングを受けた。

しかし主張は変えない。

武田先生の基本は、
人間の生きる意味は「人生楽しく」である。

武田先生はブログの中で書くし、講演でも語る。
「他人の人生を苦しめることは容易だし、批判も楽だ。
でも、多くの人が楽しめることを発明することは難しい」

日本人は楽しんでいない。
楽しめていない。

それを取り戻そう。

これが武田先生の主張。

私は、昨年、パリで、
食品産業が共有できるテーゼは、
「プレジャー(歓喜)」であることを再発見した。

武田先生の主張は「プレジャー」にあると感じた。

武田先生の「衰退業界の4つの現象」。
私にはとりわけ面白かったし、
ためになった。

その内容は、来週、掲載の予定。

最後に山田孝志㈱TRY&TRUST社長の締めのあいさつ。
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いい勉強会だった。

その後の懇親会も盛り上がった。

参加者全員が、それぞれに、
武田先生の語ったプレジャーを感じ取っていた。

みなさんも、今週末、
プレジャーをどうぞ。

仕事にも休暇にも、
プレジャーが存在する。

<結城義晴>

2011年08月19日(金曜日)

「市民生活を守る砦たれ」キョーエイの店に徳島の強みを感じた!

夏の甲子園大会。
明日の決勝の対戦が決まった。
青森・八戸の光星学院と、
西東京の日大三校。

今年を象徴するようなカード。

私の心境は、
「赤勝て、白勝て、どっちも勝て」

しかし全国的にみると、
東日本大震災被災地の光星学院に、
圧倒的な人気が集まる。

日大三校が闘いづらいかというと、
そうでもないと思う。

完全に外野の声は無視して、
己に没頭すればよい。

今日2時過ぎ、福島県沖を震源に、
震度5弱の地震。

まだまだ余震が続く。
忘れてはいけない。

さてキョーエイの店舗。
まずタクト店。
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キョーエイの基幹店で、
様々な実験が行われる。

例えば、高野保男さんがコンサルティングに入って、
レイバースケジューリングプログラムの導入を図るときには、
タクト店が舞台となった。

新しい店舗デザインを採用するときにも、
タクト店がそのモデルとなった。

年商約23億円で、実験に耐えうる店。
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現在は、入り口を入ると、
「すきとく市」が展開されている。
「好き」と「徳島」が縮まって、「すきとく」。
いわゆる地産地消の農家直送の売り場。
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私は日本の食品市場の場合、
江戸時代の「藩」の単位で、
マーケティングが成り立っていると考える。

その藩が巨大な場合、
地産地消は大きなマーケットとなる。
だから徳島=キョーエイのような場合、
地産地消はジャスト・ミートする。
それが「すきとく市」。
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ローカルチェーンでも、
全店で大きな売り場をつくる必要はない。
一番売る店、二番目に売る店、三番目に売る店、
5番手くらいまででいい。

農家や生産者もそのほうがやりがいが出ることは確かだ。

その中で超のづく売れ筋商品が出てきたら、
全店に広げればいい。
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このタクト店、まず青果部門が良い。
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そして鮮魚部門も強い。
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ローカルチェーンの強みは何処にあるか。
それは地元に卸売市場がある部門。
つまり青果と鮮魚。
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ちょうど「ライブ販売」をやっていた。
握りずしのライブ販売。
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新鮮な寿司アイテムが、
目の前で次々につくられる。
「握りたての握り寿司」

当然ながら寿司は絶対にウェグマンズを超えている。
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夏はウナギ。
鰻の平台も充実。
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冷凍干物もパネルをつくり、
きちんとコーナー展開。
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タクト店の特徴の一つが惣菜デリ。
対面売り場とセルフ売り場を振り分けて展開。20110819172353.jpg

デザートには「ミセスケイコ」のコーナー。
こういったコーナー展開のブランディングが、
キョーエイは上手だ
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タクト店には現時点のキョーエイの特徴が満載されている。
それをいかに他の店に反映させるか。

タクト店で開発された「知識商人の知恵」を、
他店にも水平展開できるか。
もちろん他店にも「知識商人の知恵」が生まれる。
それをタクト店がいかに取り入れるか。

ホールフーズマーケットでも、
オースティンのヘッドクオーターの店が旗艦店といわれる。
フラッグシップストア。

その旗艦店の開発ノウハウが全店に活かされる。
フラッグシップストアは様々な実験が行われるからだ。

仮説を立て、実験をして、それを検証する。
そして全店に展開できるものは、全店に。
この店だけのものは、この店で。

この考え方が重要だ。

沖浜店もいい店。
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この店は「すきとく市」もタクト店以上。
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農家の協力も積極的。
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徳島一番のスーパーマーケットだけに、
農家への説得力も強いし、
農家の協力も大きい。
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その生産者マップ。

売場はどんどん広がる。
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そしてひとつ一つの商品に由来がある。
それを伝える。
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他のキョーエイの店同様に、
青果部門がいい。
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現在のアメリカのスーパーマーケットのトレンドも、
しっかり学んでいる。
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この店の特徴は、地域の子供たちの写真を、
各売り場にどんどん掲示していること。

レオナルド・ダ・ビンチの最後の晩餐が、
パネルになっている。
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店全体が、大塚美術館のようなところもある。

この店は子供を大切にする。
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最後のレジ前。
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タクト店、沖浜店。
両店をご案内いただいて、
私は、満足した。

阿波踊りに熱狂する徳島。
そこで生活する顧客たち。
そしてキョーエイの店。

すべてに一気通貫されたものがある。
それがキョーエイの強み。

「市民生活を守る砦たれ」
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故倉本長治商業界主幹がキョーエイに送った言葉。
それが社是となっている。

倉本主幹は、きっと阿波踊りのパワーを感じ取ったに違いない。
そして「市民」という言葉を使った。
徳島の市民は、他県他市の市民とは違う。

阿波踊りの情熱を持った市民のための、
生活の砦となれ。

これは阿波踊りの熱狂の中に身を置けるものにしかわからない。

これこそキョーエイの強みなのだと思う。

何度も言おう。
この夏、
私は徳島に、
はまった。

< 結城義晴>

2011年08月18日(木曜日)

「総合スーパー再生への道」日経新聞の記事から連想すること

17日までのお盆休みが終わり、
いよいよ動き出した企業も多い。

電力消費量が気になるところだが、
何とかこの夏も乗り切ることができそう。

今日は、お盆を海外で過ごした人々の帰国ラッシュ。

甲子園高校硬式野球全国大会は、
準々決勝で、ベスト4が決まった。

被災地から青森・八戸の光星学院、
久しぶりの古豪・栃木の作新学院、
西東京の強豪・日大三校、
そして岡山の関西高校
(「かんぜい」と読む)。

東高西低の観はあるが、
今年は、こんなところか。
一日の延期もなく、
予定通りスケジュールをこなし、
明日は準決勝。

2011の暑い夏の甲子園、
ピークを迎える。

さて、一昨日、昨日と日経新聞が連載した。
「総合スーパー再生への道」
上編は「専門店化によって再生する方法」

東京メトロ東西線の行徳駅の商店街で展開するイオンの専門店。
自転車店、酒販店、ペット専門店。

ワイン専門店「イオンリカー」は、商店街の単独店を実験し、
総合スーパー約20店に導入。
「ワインの売上高構成比が平均2ポイント伸び、10%を超えた」

「今後は、手芸店やガーデニング専門店、高齢者向け店舗など、
約10種類の専門店を開発し、2年で全店を手直しする計画」。

「総合」を小さな「専門」に切り刻んで、
その小さな専門部門のショップ化から、
「総合」を再生しようという考え方。

セブン&アイ・ホールディングスも、「キッズタウン」を開発。
昨年9月に開店したショッピングセンター・アリオ橋本店に導入。
イトーヨーカ堂の「玩具・子供服」の売り場だが、
「まるで外部テナントのような場所に配置された」
こちらもイトーヨーカ堂の通常店と比べて、
「単位面積当たり売上高が3割」増加。
一定の成果を見せた。

このグループには傘下に赤ちゃん本舗があって、
その影響もあるのだろう。

一方、ダイエーは桑原道夫社長が、
「GMSからの決別」を掲げる。

何をするか。
「スーパースーパーマーケット」への転身。

私には1980年代の物言いのように聴こえる。

この用語は、故渥美俊一先生の概念。
1980年代にアメリカで一斉に転換が始まった。
スーパーマーケットの「スーパーストア」づくり。
ただし、日本のスーパーストアは一応の完成を見ている。
ダイエーが今更、「スーパースーパーマーケット」を目指すのは、
「遅ればせながら」の感が強い。

日経の記事には、こうある。
「衣食住を一通りそろえるGMSの扱い品目は約10万にも及ぶ。
だが特定分野の品ぞろえがより豊富で価格も安い、
家電量販店や衣料品専門店などに客を奪われ」、
その結果、「何でもあるが買う物は何にもない」店になった。

かつて『販売革新』誌は、
「あいまい総合」と揶揄したが、
それはもう25年も前のことだ。
総合スーパー各社の業績は回復基調にあるとはいうものの、
「これまで何度も繰り返してきた再生の試みは不発に終わってきた」

この記事ではその突破口が「専門店化」と言いたげだが、
根本の問題は「非食品」にある。

アパレルファッションやホームファッション、家電。
これらを放棄し、食品特価を図るスーパーマーケット化戦略は、
その専業企業の長い長い行列の後ろに並ぶだけでしかない。

根本の問題は、何か。

そう思って、昨日の下編を待った。
タイトルはこうだった。
「ニーズ直結」カギ握る 原点回帰で震災特需に対応

イトーヨーカ堂・石巻あけぼの店が家電売り場を復活させた。
「同社は約4年前に大型家電の販売から基本的に撤退」

しかし東日本大震災からの復興需要で、
「家電を求める消費者が急増」。

「家電を含む住居関連品の売上高は前年比2倍」
これは同じ復興需要の中の食品部門の3~4割増をはるかに上回る。

仙台泉店、平店でも、復興需要対応の家電販売は続行。

震災と前後して、総合スーパー(GMS)が
「消費者起点」という原点回帰に突き進む。

ダイエーも、自転車や子供服などをひそかに売り場に戻している。

震災対応としては、
東北の総合スーパーの売上げは2桁増で絶好調。
イオンの岡田元也社長はコメントする。
「1カ所で衣食住がそろうGMSの強みが再評価された」

これが総合スーパー再生のキーコンセプト。
「1カ所で衣食住がそろう」

ただし、日経の記事も指摘するように、
「特需はいつまでも続かない」。

そこで、記事はこうまとめようとする。
「消費者ニーズに的確に応える仕組みと人材育成が急務だ」

この総括、まったくつまらない。
「マーケティングとマネジメントが必要だ」
こう、言っていることと同じ。

ケーススタディとして取り上げるのが、
イオンリテール。
イオンが総合スーパー専業と位置付ける企業。

このイオンリテールが、
「地域4事業部制を8つに再編」。

狙いは明確。
「大手メーカーの売れ筋や輸入品などは本部に集約する」
それと同時に。
「地域のニーズに合った商品仕入れ」は各地の事業部に任せる。
しかしこれは逆に、
コモディティディスカウントに徹することの否定である。

一方、イトーヨーカ堂は「ザ・プライス」。
「3年で販管費比率を5ポイント圧縮」。
その結果、2010年度に初めて黒字転換。
このザ・プライスの低経費作戦を総合スーパー全体に「転用」する。

イトーヨーカ堂亀井淳社長。
「過去を捨てて挑戦する体質に、
ようやく、なり始めた」

この2日連載の「総合スーパー再生への道」の記事の最後のフレーズ。
「こうした意識が
足元の売り上げ増という追い風によって
薄れてしまえば元も子もない。
再生は緒に就いたばかりだ」

申し訳ないけれど、
これもつまらない。

こうした意識とは経費削減の意識。
足元の売上げ増とは震災特需。

そのうえ「再生」はもう、10年以上も続けられていて、
「緒に就いたばかり」ではない。

アメリカではウォルマート・スーパーセンターが、
史上最強のフォーマットといわれている。

この5月に新たに「白物家電」のショップを導入して、
シアーズを叩きのめしにかかった。

フランスのカルフールも、
国内は絶好調。

イギリスのテスコは、
「エクストラ」と呼ぶ総合スーパーのフォーマットが、
これも好調。

日本の総合スーパーは、どうするのか。
それは何か。
少なくともこの記事からは見えてこない。

解決策を語ろうとすれば、
話は長くなるし、
本1冊でもとても足りない。

この日経の連載に、
何らかのヒントがあるかとも期待したが、
ここから分かったのは二つ。

岡田元也イオン社長の指摘、
「1カ所で衣食住がそろう」コンセプト。
ここに鍵があることは確かだし、
そのためのマーケティングとマネジメントの再生が必須。
これも真実だ。

私は総合スーパーに限らず、
「業態の時代」は、
終わった
と考えている。
とりわけ百貨店と総合スーパーは「業態」のままでは、
未来はない。

フォーマットとは、
「業態が細分化」されたもので、
経営戦略が色濃く反映されたもの。

業態が社会的機能分類ならば、
フォーマットは戦略行動が色濃く映し出され、完結したもの。

その新しいフォーマットをつくって、
それによって企業全体を蘇生させるくらいの転換が必須。

日本の総合スーパー企業にとって、
ウォルマートとターゲットの研究は必須課題である。
コストコやサムズも熟知しておく必要がある。。
そしてテスコとマークス&スペンサーの研究も欠かせない。

ピーター・ドラッカー教授の言葉。
「既に起った未来」を丁寧に読み取り、
「1カ所で衣食住+薬」が揃うフォーマットを創造する。

「専門店化」も戦略行動の反映としては、
一つの在り方かもしれないが、
それだけではない。

ましてや震災特需が、
総合スーパー再生のきっかけになるはずもない。

考え方を認識するためには、
大いに役立つだろうが。

さて、話は8月14日(日曜日)。
13日から二日間、四国は徳島を訪問。
徳島阿波踊りでは演舞場で踊り込み、
鳴門の大塚国際美術館では、陶板画を堪能。

14日午後は、キョーエイの代表店を、
これまた堪能。

タクト店20110818233106.jpg
そして沖浜店20110818233241.jpg

どちらの店も、
ダイエーが志向するというスーパースーパーマーケット。
日本中のスーパーマーケット専業企業が、
1980年代から30年かけて、
食品スーパーマーケットのフォーマット化に、
精進してきた。

その結果が、現在の日本のスーパーマーケット産業だ。
キョーエイの2店舗の写真紹介は、
明日に続く。

<結城義晴>

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