東日本大震災後の新しい試みで、
いい話ふたつ。
まず、セブン‐イレブン。
非常用無料電話を店舗に設置していく。
昨日のテレビ・ニュースなどでも、
盛んに取り上げられた。
震災の発生後、
人の命に次いで重要なのは、
情報。
しかし今回も電話が通じなかった。
特に現在最も日常的な携帯電話は、
全く通話できなかった。
セブン‐イレブンの店舗に無料で、
震災時にも通じる電話が設置されれば、
これは助かる。
NTT東日本との共同事業。
来年2月までに、東京23区内の全店に設置される。
やがて全国の1万3000店に広げられるに違いない。
社会のインフラとして、
ライフラインとして、
「情報」のカギを握るに違いない。
私はスーパーマーケットやドラッグストア、
もちろん総合スーパーやホームセンターなどでも、
店長室に衛星回線の電話を設置することをお願いしている。
「人の命に次いで重要な情報」
情報が人の命を守ることにもなる。
セブン‐イレブンの試み、
大いに評価しつつ、
コンビニ業界挙げての取り組みにしてもらいたいし、
小売業界全体の共通インフラにもしてもらいたい。
お願いします。
小売業の地位を上げること、
確実です。
もう一つ。
イオンが、
「広域ネットスーパー・サービス」を始める。
日経新聞の記事。
顧客はインターネットで注文する。
パソコンや携帯を使えない高齢者などには、
カタログを用意し、電話やファクスで受注する。
取り扱い商品は、約8000品目。
青果、鮮魚、精肉、日配、さらに加工食品、日用品など。
つまりはスーパーマーケットとそん色ない商品構成。
配達の時間帯は正午~午後9時、
受注時間は24時間。
午前中に注文すればほぼ当日中に届く。
午後3時までに注文すれば、翌日配達。
「利用手数料はネット、カタログとも、
1回の買い物額が5000円未満で315~630円で調整中。
5000円以上は210円とする見込み」
注文を受けると、
実際の店舗で商品をピッキングし、
宅配業者に委託して配達。
この秋11月にまず青森県でスタートし、
来年3月までに東北の全県に広げ、
さらにそれ以降は東北以外にも拡大。
「買い物弱者」救済サービスで、
社会的に非常に有益なこと。
ニーズは確実にある。
しかし問題は最低限の利益が出ないこと。
私もインターネット通販などは伸びると考えているが、
「ネットスーパー」には否定的見解を持つ。
だからイオンのこの試みは、
ボランティアの意味が強いのかと思ったが、
そうでもないらしい。
記事には、こうある。
「4月から三重、岐阜両県で実験し、
高齢者を中心に1日数十件を受注。
採算性にめどがついたとして本格導入する」
はたして客数数十人で、
ネットスーパーは成立するのか。
手数料はもっと高く設定されたほうがいいのか。
まだまだボランティア活動と実験の域を、
完全に逸脱したとは考えられないが、
それでも意欲的試みであることは確かだ。
さて昨日は、
コーネル大学ジャパン第3期、
9月補講の二日目。
朝7時半に専用バスで川越市内のホテルを出発し、
8時には、ヤオコー南古谷店の視察。
一昨日の夜、
狭山物流センターで仕分けされた商品が、
店着してからどのように流れていくのかを見る。
この日も、㈱ヤオコー顧問の大塚明さんと、
ロジスティックス推進部物流センター担当部長の本城宗尚さんが、
随行しつつ、丁寧に説明してくれた。
販売部長の小澤三夫さんも駆けつけてくれた。
小澤さんは「スーパーマーケット店長大賞」の、
栄えある第1回受賞者。
久々の対面におもわず握手。
その3人の皆さんから店内作業の解説をしていただき、
それぞれに視察。
開店前作業を、
それぞれの視点で見て回る第三期生。
視察しながらも、ディスカッションを欠かさない。
なにやら惣菜部門の一角に人だかり。
写真を撮る者、動画撮影をする者。
皆がじっくりと見入っていたのは、
ヤオコー名物「手作りおはぎ」。
丹念で手際の良いパートタイマーさんの手さばきに感心する第三期生に、
うれしいサプライズ!
「どうぞ、試食してみてください」
作りたてを頬張る。
「うんまい!」
次々に試食する第三期生。
「ご馳走様でした」
その後、隣接する研修センターへ移動。
1階の研修室は、部門別に分かれている。
充実した設備に誰もが驚いている。
2階の談話室に移動。
ここでも壁に掲げられたパネルに皆が見入っている。
川野幸夫会長のお母様「川野トモ」さんの語録。
談話室で最後の質疑応答。
すべての質問に丁寧に答えてくださった皆さんに感謝。
本城さんへ心から感謝の握手。
ありがとうございました。
ヤオコー南古谷店を後に、
1時間ほどバスにゆられると、
到着したのはロヂャース物流センター。
正しくは北辰商事㈱岩槻配送センター(さいたまMDセンター)。
北辰商事㈱副社長の太田順康さんが迎えてくれた。
太田さんはコーネル・ジャパン伝説の第1期生の級長。
第2期からは、ロデャースのセンター視察をプログラムに加え、
太田さんには講師も務めてもらっている。
早速、2班に分かれてセンター内を視察。
ロデャースは自動発注を基本とする。
入荷時の商品スキャンは重要。
合理的な考え方で作られたセンターを見て回る。
ロデャースのセンターの独特の機能のひとつは、
非食品の「全品スキャン」。
ただし、9つの大手問屋&メーカーの納品商品を除く。
非食品は誤配も多い。
だから自分で全品スキャンをする。
手間暇がかかっているように思えるが、
最初に正確な商品登録を行うことが、
商品管理の基本中の基本。
それが物流の低コスト化になるし、
自動発注のベースにもなる。
スキャンされ各店別に振り分けられるラインに見入る三期生。
センター視察を終え、会議室に移動。
太田講師からロヂャースの物流戦略の講義を受ける。
はじめに、太田さんを紹介。
「経営戦略としての『物流』の位置づけ」がテーマ。
戦略を実現するための最重要課題が物流であり、
物流を制する企業こそが勝ち組となる。
その太田さんの持論を体現したのがこのセンター。
既存物流センターの問題点、
あるべき物流センターの姿、
そして大震災時の復旧対応を画像を交えて語ってくれた。
太田さんを囲んで、センター玄関まえで記念撮影。
(右端の㈱タカヤナギ副社長の高柳智史さんが写っていませんでした。
ごめんなさい)
センター視察を終え、ロヂャース大宮店へ。
店内での専用端末による自動発注チェック作業など、
実地の説明を受ける。
3班に分かれて説明を聞き、質問をし、売り場を見て回る。
こうして2日間にわたる授業も終了。
朝7時半から午後2時過ぎまで、
充実した講義だった。
長い長い付き合いの太田さんとも、感謝の握手。
ありがとうございました。
コーネル・ジャパンは私にとって、
「商業現代化」を実現する拠点のひとつだった。
太田順康さん、大久保恒夫さんをはじめとして、
伝説の第1期生、
奇跡の第2期生、
実行の第3期生。
素晴らしい同志たち。
9月の補講の次は11月のサミットでの補講。
いとおしいような講義もあと1回。
すべての皆さんに、心から感謝。
<結城義晴>