昨日29日、午後8時のユナイテッド航空で、
ダラスを発って、デンバー経由、
サンフランシスコ着。
時差が2時間あったので、
国際空港に着いたのは、
こちらの時間で23時30分。
朝から1日ダラスを視察し、
バスの中でも解説し通しで、
話す側、聞く側、
ともに強行軍。
サンフランシスコは、
いつものホテル日航に落ち着いて、
一安心。
さて、米国の第2四半期の国内総生産(GDP)が発表された。
第2四半期とは4月から6月までのこと。
年率換算で前期比プラス1.3%。
8月末に発表された改定値に比べると、
0.3ポイント上方修正された。
この中で、米国GDPの7割ほどを占める個人消費支出は、
0.7%プラス。
改定値は0.4%増の見立てだったので、
0.3ポイント上方修正。
これが景気変動のカギを握る。
そして個人消費は小売業、サービス業が担う。
失業率は9%台で米国経済の問題点のひとつだが、
その雇用情勢も若干改善。
輸出のプラス幅は3.6%だが、
第1四半期の1~3月期よりも縮小。
アメリカ合衆国は消費大国だ。
しかしGDPの伸びに関しては、
このところ輸出に依存してきた。
外需で稼ぎ、景気回復を図り、
それが個人消費に反映されて、
小売業もサービス業も潤う。
これを逆にしなければいけない。
ノーベル経済学賞のポール・クルーグマンは、言い切る。
「米国にとって国際競争力は幻想だ。
国内のサービス業の生産性があがることが、
国民の生活の豊かさにつながる」
一方、日本では総務省から、
8月の全国消費者物価指数が発表された。
2010年を100として指数化すると、
生鮮食品を除く総合指数は99.9%。
前年同月よりも0.2%上昇。
2カ月連続アップだが
「足元の物価の動きは小さい」。
つまり「変わらず」ということ。
さらに8月の家計調査は、
1世帯あたり消費支出28万2008円。
物価変動を調整した実質ベースで、
前年同月比マイナス4.1%。
6カ月連続マイナス。
日本も小売業、サービス業の奮闘が望まれる。
さてその米国個人消費を刺激する筆頭株のウォルマート。
2900店を超えるスーパーセンターの先導役を担うのがプラノ店。
何しろ「実験はここから始まる」からだ。
そのプラノ店がなりふり構わぬ「売り込み」態勢に入った。
第1に「アプライアンス・マーケット」の新設。
第2は、
アクション・アレーの完全復活。
全コンコースの島陳列販促。
ほとんどすべてのコンコース上に、
アクション・アレーを復活させて、
これでもかと、売り込む。
ここまでが昨日のブログ。
第3は、精肉のイノベーション。
店舗入り口付近の青果物陳列のトップに、
「You’ll love our new beef」の呼びかけ。
「あなたは私たちの新しい牛肉を好きになってくれるだろう」
米国農務省認定の牛肉を、
大々的に売り込む。
そのうえ、「100%マネー・バック保障」。
理由のいかんを問わず、
すべての商品の返品を受け付け、返金する。
これによって、牛肉は3割伸びた。
豚肉も鶏肉も、
「100%保障」を行っていて、
精肉部門の改革は急だ。
5ドル以下の商品だけ集めたコーナー展開。
この売り場も回転率を高めている。
精肉売り場の最後には、
職人が握る寿司売り場。
グロサリーのゴンドラアイルでは、
商品の入れ替えと売り場の変更を行っていた。
ハロウィンからサンクスギビングデーに向けて。
秋の品ぞろえへの変更をする。
加工肉からパッケージ・デリまでの売場は、
ウォルマートの重要部門だ。
乳製品売場のコンコースで、
アメリカンフットボールのダラス・カーボーイズのプロモーション。
これまた「売らんかな」の姿勢。
玩具売場は全米ナンバーワン。
何しろトイザらスを経営不振に追い込んだほど。
そのToys売り場には、
最新の売れ筋製品がズラリ。
「NEW」のスポッターが一斉に並んだ。
9月の終わりの時期に、
これだけアピールすると、
サンクスギビングデー後のブラックフライデーや、
クリスマス商戦で、マーケットをリードすることができる。
またまた「売らんかな」むき出し。
そして、ハロウィン売り場。
オレンジ一色。
ウォルマートは他のどの企業よりも、
ハロウィンは派手に、大げさに展開する。
車内でも、プレゼンテーション・コンテストを実施する。
しかし今年は、さらに展開を変えた。
これだ。
ガーデン売場に続く祭事スペースに、
なんとクリスマスツリー。
ウォルマートの「売らんかな」改革の第4は、
このプロモーションの「早仕掛け」。
もちろんそれによって、
クリスマスツリーの隣に、
夏・秋のバカンス用品のバーベキュー調理台が並ぶ、
という違和感は生まれた。
しかしそれも148ドルの超お買い得。
ウォルマートの「売り込み」姿勢、
早仕掛けにとどめを刺す。
グリーティング・カード売り場も、
ご覧の充実ぶり。
店舗出口付近では、
クリアランスセール。
プラノ店コ・マネジャーのシェイさん。
マーカス店長に代わって、
丁寧に説明してくれたうえ、
店内ツアーもしてくれた。
心から、感謝。
なりふり構わぬ「売らんかな」の姿勢が見えるが、
ウォルマートの余裕の部分も、
彼女から感じ取った。
やるとなったら、かつての方法も復活させる。
シアーズを徹底的に叩きに走る。
精肉は100%保障を展開する。
そしてクリスマスの早仕掛け。
「米国個人消費振興を支える」
そんな気概すら感じさせてくれたウォルマート。
これこそ、私たちが学ぶことである。
(明日につづきます)
<結城義晴>