今日から10月1日。
いまサンフランシスコ。
こちらに来ていると、
もう年末商戦に入っていることを、
つくづくと実感する。
ウォルマートではないが、
景気が良くないときには、
「早仕掛け」が必須。
先頭を走っている企業は、
みな、早仕掛け。
しかし早仕掛けといっても、
拙速はいけない。
私の言葉で言えば、
「慌てず、急げ」
その10月の商人舎標語。
「着眼大局 着手小局」
今回のツアーのスローガンにもしたが、
伊藤忠商事中興の祖・瀬島龍三さんの三つの心得の第一。
目をつけ、判断するのは、
大きな視点、高い視野から。
実行、実践するのは、
小さく、細かく、厳しく。
Think global,Act local に通じる。
もちろんアメリカ研修の極意にも、
繋がっている。
「鳥の目」「魚の目」と、
「虫の目」。
そして「心の目」。
さて10月のおさらい。
商売上は、2つの山がある。
第1が、10月2週の土曜日から「体育の日」にかけての3連休。
8日(土曜日)、9日(日曜日)、10日「体育の日」祝日(月曜日)。
第2は、10月31日の「ハロウィン」。
アメリカにいるからいっそう、そう感じるのだろうが、
日本でも、ハロウィンは広がってきた。
外国文化を積極的に取り込むのが日本人。
ここに躊躇はいらない。
商売にも欠かせないプロモーションである。
私自身の10月のスケジュールは、
このツアーが終わって、3日に帰国し、
5日後の9日から16日まで、
ドイツ・フランスの研修。
20日は、流通科学大学のセミナー。
21日は、コーネル大学のセミナー。
22日、23日は立教大学の結城ゼミ合宿。
そして28日から、11月6日まで、
商人舎USA研修会。
「着眼大局、着手小局」で、
1カ月を有意義なものにしたい。
さて平和堂アメリカ研修。
私と五十嵐ゆう子さんを入れて、53名。
バスの中も満杯。
それは熱気を意味する。
トレーダージョーの前で写真。
良い店です。
良い企業です。
そのトレーダージョーも、
10月1日からマネジメントシステムを変え、
人事評価を変える。
こちらは365店・年商85億ドルのトレーダージョーの中で、
2番目の売上げを誇る店。
1番は、ニューヨーク・マンハッタンのユニオンスクェアの店。
世界最大都市のど真ん中の店が、
一番の売上げを上げることは分かる。
しかしサンフランシスコは大都市といえど、
この店は、ど真ん中にはない。
サンフランにもユニオンスクェアはあるが、
そこにある店ではない。
立地背景が違うからこそ、
この店の凄さがうかがわれる。
店頭にはハロウィンのディスプレー。
入り口から店内をうかがうと、
1万平方フィート(280坪)の店舗面積の店にしては、
広々としている。
壁面をご覧いただきたい。
たのしい。
右側から見て。
左側から見て。
正面から見る。
そう、サンフランシスコ湾が、
立体的に表現されている。
リカー売場の背景も、
この店だけの世界をつくっている。
この店のオリジナリティ。
それでいて、まぎれもなく、
トレーダージョー。
これはチェーンストアの極意。
クルー・マネジャーのポール・チャイさんにインタビュー。
場所がないので立ち話だったが、
1時間にも及んだ。
通訳は五十嵐ゆう子さん。
この店は280坪に、
170人のクルーとマネージャーがいる。
「自分がここで働いているのは、
お客様が来てくれるから。
カスタマーが来ることがプライオリティだ」
ピーター・ドラッカーの言葉。
「企業・事業の目的は、
顧客の創造である」
倉本長治。
「店は客のためにある」
ポールさんが自分の言葉で説明してくれた。
「我々はカスタマーを、
自分の家に大切な友人を迎えた時と
同じように店に迎える」
これはホスピタリティの極意。
「顧客はゲスト・私はホスト」
ホストとゲストは対等である。
この「ホスト」という言葉から、
「ホスピタリティ」は派生した。
すなわち、顧客とマーチャントは、
対等な関係にある。
「サービス」は「サーバント」から生まれた言葉。
サービスする側と、される側。
ここにあるのは「主従の関係」。
ホスピタリティは「対等の関係」。
これがトレーダージョーの根本姿勢である。
ポール・チャイはクローガーで20年働いた。
その後、カブフーズに2年。
それからトレーダージョーにやって来た。
しかしこのトレーダージョーが、
一番好きだ。
私は想像した。
確信に近いインスピレーション。
「顧客との対等な関係」がトレーダージョーにあるからこそ、
彼はトレーダージョーを、
最後の働き場所と決めたに違いない。
店のデコレーションが、
トレーダージョー第2の売上げをつくっているのではない。
それは二次的な条件だ。
もちろん二次的な要素も大切だし、
この二次的要素を完璧にして、
ゲストを迎え入れる舞台とすることも重要だ。
顧客との関係づくり。
クルーやマネジャーがそれをする。
このカスタマー・リレーションが、
結果として売上げにつながるのだ。
平松正嗣団長、杉崎邦彦副団長とも、
握手してくれた。
本当は全員と、
対等な関係の同志として、
握手したかった。
ポール・チャイとトレーダージョーに、
心から感謝。
すごく良い10月の始まり方だった。
(つづきます)
<結城義晴>