糸井重里さんが毎日書いているブログ。
「今日のダーリン」
ウェブサイト『ほぼ日』こと、
「ほぼ日刊イトイ新聞」の巻頭言。
私のブログと同じに毎日書くが、
糸井さんの巻頭言は1日で消える。
2日目には見ることも、読むこともできない。
これも一つのやり方。
だから、どうしても、毎日、
このサイトに飛んでいかなければならない。
それを狙いとしている。
ただし、一定期間経ってから、
ひとつの読み物としてまとめられる。
その10月16日版。
「たいていのものごとは、
人がイメージしたいような『右肩上がり』では進まない。
うまく行く場合にしても、
階段のような感じになるもんだ」
これ、まったくの同感。
私もかつて『食品商業』の巻頭に書いた。
そして『メッセージ』という単行本にまとめた。
十箇月と一瞬
調査・研究とは、
十箇月の妊娠のようなものであり、
問題の解決とは、
ある朝の分娩のようなものである。
人間も組織も、
企業も店舗も商品も、
本来、段階型に成長する。
階段を登るように発展する。
十箇月の停滞に耐えて、
ある、ひとつの階段を登る。
停滞が長く、つらいほど、
登るステージは高い。
ああ、つらい。
ああ長い。
ああ、しんどい。
ああ退屈。
だからこそ
たったひとつのステップアップが
ああ、うれしい。
ああ尊い。
たとえば十箇月の
調査と研究。
一瞬の
問題解決。
この繰り返しが
仕事である。
その積み重ねが
革新となる。
糸井さんのダーリンは続く。
「ある程度は『右肩上がり』の斜面として進んで、
『停滞』という伸びない時期にさしかかる。
『スランプ』とかいわれるのも、こういうときだ。」
「で、その『停滞期』に気づくと、
何をどうしたらいいかジタバタとしたり、
新しい考えや、いままでとちがう状況に出合おうとする。
しばらくは、あたまの中が腫れたような感じで過ごす。
おかげで、また動き出せるようになって、進む。
『右肩上がり』が、少し進む」
「階段の『ステップ(足を乗せられる部分)』が、
『停滞期』というやつの別名なのだと、気づく」
「長年いろいろやっていると、
『ステップ』は、あるに決まってるものだとわかるから、
その時期に、心地よい危機感だとか、
目玉の付け替えだとか、
空気の入れ替えだとかをやると決めて準備ができる。
まだ『右肩上がり』の時期に、
『そろそろ、このままじゃだめだな』と思うようになる。
なんか、うまく行ってるときには、
どこかで『賞味期限切れ』の腐った匂いがしているのだ」
朝日新聞のニュース。
「東北の大学、志望者減」
福島大学が29%マイナス、東北大学も13%マイナス。
河合塾の調査。
「東京電力福島第一原発事故を含めた震災の影響とみる」
こうまとめられている。
悲しい感じがする。
読売新聞巻頭コラム『編集手帳』。
「厚生労働省の調査によれば、
福島、宮城、岩手の3県で、
不眠症に悩む人の割合が平均32.0% と、
震災前の約5倍に増えた」
「原発事故の影響が広範囲に及んでいるせいだろう」
大学への受験生の心持ちもわからないではない。
しかし、今年こそ東北地方、福島県の大学への希望者が増えてほしい。
日経新聞のスポーツ欄で始まった連載。
「大相撲改革 待ったなし(1)ファン離れ 止められず」
その最後のところ。
「『土俵が充実すれば人気は回復する』と繰り返す親方は多い。
新大関・琴奨菊の誕生など明るいニュースも出てきたが、
経営目標として『土俵の充実』というほどあいまいな言葉もない。
土俵外の具体的な改革を軌道に乗せなければならない」
コア・ビジネス・クォリティと
ホスピタリティ・クォリティ。
顧客ロイヤルティは、
その掛け算の結果のものだ。
足し算ではない。
土俵の充実がコアビジネス・クォリティ。
土俵外の具体的な改革こそ、ホスピタリティ・クォリティ。
どこの世界も、ホスピタリティ・クォリティの欠如が、
根本的な問題である。
そしていつまでも、
「土俵の充実」だけ言い続けている親方衆の存在が。
<結城義晴>