「小泉、声の張りがない」。
はじめ、私はメモをした。
しかし話すごとに声は響き渡り、
手が大きく動き出し、
聴衆は引き込まれていった。
やはり、小泉の話には、
説得力があった。
元首相・小泉純一郎氏の講演。
全日食チェーン50周年記念大会でのこと。
「1988年に厚生大臣になったときに、
全国に100歳以上の人は2400人だった。
今年9月の発表では、
それが4万7000人を超えている。
1県当たりにすると1000人。
100歳はもう、珍しくはなくなった。
私たちは一つの目標を達成してしまった。
しかしただ生きているだけではだめだ。
100歳でも、
生きる喜びをもって暮らせる社会を、
つくること大事だ」
帰国してからのヨーロッパ報告、
申し訳ないことに中断している。
帰国してからも、
毎日毎日、あっちこっち動き回って、
いそがしい。
しかし、それが、
私の「喜びをもって」生きること。
昨日20日は、
東京台場のホテルグランパシフィック。
全日食 創業50周年記念「躍進チェーン大会」が、
開催された。
会場にはいつものように、
取引先のメーカー・卸、関連企業のトップ、幹部、
政治・行政、業界団体、マスコミ、消費者、
そして全日食チェーンの加盟店オーナーたちが、
全国から駆け付けて、参集した。
はじめに田中彰会長が開会のあいさつ。
全日食チェーン商業協同組合連合会代表理事。
50年前
いくつかの業種は淘汰された。
だから覚悟をもって臨む必要がある。
天職としての商いの代を繋ぐ。
一時勝負ではない。
規模という経営資源が足りないことの自覚と覚悟。
だから衆知を結集し 絶対的競争力を培養する。
その機能を本部が持つ。
環境変化が起こっている。
それが店頭にそよと吹く風の中に含まれている。
それを、チェーン施策に変えていく。
隊列を整え、覚悟を決める。
一番目の車輪は行政の視点。
二番目の車輪は取引先。
三番目の車輪は地元の顧客。
そして4番目の車輪は、社員・幹部。
この4つのエンジンの総力で、全体を動かしていく。
4輪駆動をどう隊列をつくって、どう動かすか。
50周年を迎えた今年、
東日本大震災で東北・関東の加盟店が被災した。
全日食は、その被災地、被災加盟店の仲間を、
素早い商品供給で支援した。
復興、復旧のために、
地域のお客様との絆を大切に、
ボランタリーチェーンとしての絆を確認しつつ、
次の50周年に向かって、
地域商業の担い手になっていこう。
50年を感謝しつつ先を望みたい。
新たな決意表明だった。
第一部の記念講演は、
小泉純一郎元総理。
「日本の歩むべき道」
2009年に政界を引退したが、
小泉節は健在。
「日本は1923年9月1日に、
関東大震災で10万5000人の死傷者を出した。
第二次大戦では300万人が亡くなった。
それでも日本は復興を果たし、平和を築いてきた。
今年大震災で3万人近い死者行方不明者がでたが、
日本は必ず復興する」
「オイルショック後、エネルギー政策は、
備蓄、省エネ技術の開発、代替エネルギーの開発の3つだった。
原子力への傾斜はここから始まっている。
フクシマ原発事故を体験し、
決して原子力エネルギーは安いものではないと知った。
地震、津波、台風、自然災害の多い日本には向かない。
エネルギー政策の変更はやむを得ない」
それが「生きる喜びを持った社会」につながる。
そんな話だった。
第二部は躍進チェーン大会。
大会会長のあいさつは、
全日本食品㈱社長の齋藤充弘さん。
50年間の歩みと、全日食チェーンのイノベーションの軌跡を振り返りつつ、
50年目に起こった大災難の中から、我々は立ち上がっていこう。
仲良く、朗らかに「和の経済」で進んでいこうという決意表明だった。
この後、政治家や行政トップの来賓のあいさつが続いたが、
目玉は小泉進次郎衆議院議員。
父上に似て、話はうまい。
女性経営者たちはみな、携帯で写真を撮りまくり。
女性ファンが多いのも父上譲り。
メーカーからは味の素㈱社長の伊藤雅俊さん。
東日本大震災では、「製販配」サプライチェーンは、
ライフラインを守りきった。
これは大したものだった。
結局、お客様のすぐ隣でお客様の生活を守る者が勝者。
50年間、それをしてきた全日食チェーンに敬意を表したい
「命の素・食」を支えると、未来の生活が良くなる。
質の高い日本らしい食をつくっていきたい。
味の素という社名を「命の素」とひっかけて、
アピール。
卸からは三菱食品㈱の新社長・井上彪さんが、
祝辞を述べた。
全日食チェーンを「若さあふれる馬力」と評した。
「その絆を深め、本部・加盟店一体となって、
機能強化してほしい」
二部の最後はこれも恒例の『大会宣言』。
今年は、被災地のジュニアボード東北会議会長の服部浩幸さんと
ジュニアボード全国会議前会長の寺島良昌さん。
力強い宣言に、会場の全員が聞き入った。
第三部は祝賀会。
会場設置の幕間は、恒例のバイオリン・カルテット演奏。
いつもながら、素敵な演出。
斎藤さんごのみか。
そして祝賀会がスタート。
全日食チェーン商業協同組合連合会の渡辺正之代表理事が、
開会のあいさつ。
来賓祝辞に続き、いよいよ鏡開き。
取引先の新旧トップが壇上にあがり、1,2,3でよいっしょ。
乾杯のあいさつは、
サントリーフーズ㈱社長の栗原信裕さん。
そして、いよいよ懇親。
まず齋藤充弘社長と、
三菱食品㈱特別顧問の廣田正さん。
同じく三菱食品会長の中野勘治さん。
「あなたは超人だ」と盛んに褒めていただいたが、
「褒め殺し?」
しかし「忙しすぎて体を壊すな」と、
優しいお気遣い。
心から感謝。
同じくスピーチの終わった井上彪社長。
さらに中嶋隆夫副社長。
中嶋さんには11月18日、
日本チェーンストア協会主催のパネルディスカッションで、
パネラーをお願いしている。
私がコーディネートする。
よろしく。
一方、三井食品㈱前社長で特別顧問の水足眞一さん。
エコス㈱会長の平富郎さんと塩原屋㈱社長の笠原良一さん。
平さんはいつも「結城さんと一緒にアメリカに行きたい」といってくださる。
来年こそ、ご一緒しましょう。
日本ボランタリーチェーン協会会長の小川修司さん。
日本ボランタリーチェーン協会副会長の菅田茂さん。
㈱ジュエラーズジャパン社長。
伊藤ハム㈱社長の堀尾守さん(右)と相談役の河西力さん。
㈱伊藤園社長の本庄大介さん。
右は何度も登場しているが、
私の相棒・松井康彦さん。
商人舎エグゼクティブ・プロデューサー、アド・パイン代表。
国分㈱東京支社第二部長の千木良治さん。
コーネル・ジャパン実行の第三期生。
こちらは日経MJデスクの白鳥和生さん(右)と 、
記者の大島有美子さん (左)。
そこに㈱プラネット社長の玉生弘昌さん。
玉生さんは財団法人流通問題研究協会会長。
中締めのあいさつはカルビー㈱社長の伊藤秀二さん。
万歳三唱でぴしっと決まった。
全日本食品顧問の小川和夫さんと、監事の成田嘉一さん(右)。
ご苦労様でした。
そして50周年おめでとうございます。
全日本食品㈱副社長の高畠滋夫さん。
齋藤充弘社長と二人三脚で、次の50年を目指す。
最後の最後に、田中彰会長と。
創業50年おめでとうございます。
閉会のあと、
赤いブレザーの事務局の皆さんが、
最後に集合。
その皆さんの後姿を見つつ、私も帰路に。
昨夜は、急に冷え込んだ。
お台場のベイブリッジが美しい。
橋の下ではカラフルな屋形船。
そのまま帰るにはもったいない。
景色を見ながら、お台場の夜を少し楽しんだ。
50年は次の50年のためにある。
「この一瞬の積み重ねこそ、
君という商人の全生涯」
故倉本長治商業界主幹の言葉が浮かんだ。
<結城義晴>