「スーパー、被災者の就職支援」
日経新聞本紙が取り上げてくれた。
小売業の4つの協会と加盟企業が、
東日本大震災の被災者の就職支援に乗り出す。
日本チェーンストア協会、
日本スーパーマーケット協会、
新日本スーパーマーケット協会、
オール日本スーパーマーケット協会。
総加盟社数は計400弱に上る。
素晴らしいこと。
これぞまさに、社会的責任。
協会加盟各社はそれぞれ採用可能な人数を集約し、
合同の就職説明会を開催する。
採用の目途は新卒・既卒合わせて年間100人規模。
さらに今後10年間、同規模の採用を続ける。
11月に「流通4団体被災者支援委員会(仮称)」が、
立ち上げられる。
この委員会は、
「加盟各社が被災者をどの程度雇えるか調査するとともに、
被災地のハローワークや学校などに採用情報を伝える」
就職説明会は、2012年初めから、
被災地などで開かれる予定。
さらに年内をめどに専用ホームページが開設され、
採用募集企業一覧や企業情報、
さらに仕事の具体的な内容が公開される。
記事には、企業名が上がっている。
大阪の阪食、関東のヤオコー、マルエツなどが、
採用を前向きに検討している。
このブログの10月8日版で、
大阪の㈱万代がすでに来年の新卒採用に関して、
7人の被災地出身者を内定したことを報じた。
新日本協会の横山清会長は、語っている。
「単年度の施策ではきちんと支援できない」
そこで、今後10年間、採用は続けられる。
100人といわず、
1000人、1万人と、
採用の枠を広げ、
それを続けてもらいたいものだ。
さて、学校法人中内学園が、
「リテール科学研究所」を設立した。
その記念シンポジウムが、
六本木アカデミーヒルズ49で開かれた。
ダイエーの創業者・故中内功さんが創設した学校法人。
現在はその長男の潤さんが理事長。
はじめに記念講演。
中内学園流通科学大学の石井淳蔵学長。
「小売の産業化を考える」
日本におけるチェーンマネジメントの革新からスタートして、
その小売産業化の課題まで、
高い見識に基づいた提言がなされた。
生鮮三品の取扱いマネジメントを、
アカデミズムとして評価してくださったのは、
ありがたかった。
そのあと、パネルディスカッション。
タイトルは「巨星、集う」
その記念写真。
前列左から、
伊藤雅俊さん。
㈱セブン&アイ・ホールディングス名誉会長。
岡田卓也さん。
イオン㈱名誉会長相談役。
清水信次さん。
㈱ライフコーポレーション代表取締役会長兼CEO、
日本チェーンストア協会会長。
横山清さん。
㈱アークス代表取締役社長、
社団法人新日本スーパーマーケット協会会長。
後列は、真ん中が、
中内学園理事長の中内潤さん、
右が流通科学大学学長の石井淳蔵さん、
左は、商学部教授の清水信年さん。
パネルディスカッションの司会。
パネルディスカッションは、
まったくかみ合わないように見えたが、
「士農工商」の序列への反骨と、
商売による社会変革の気概にあふれていた。
だからきわめてスリリングで、
私にはとても面白かった。
伊藤雅俊さん。
「お客様にご奉仕することは、
日本人が一番すぐれている。
そのうえで、財務比率を考え、
自己資本比率を意識した経営をする」
岡田卓也さん。
「小売業は平和産業であり、
地域産業、人間産業である。
その小売業が立派にならねばならない。
規模が大きいということではなく、
近江商人のように立派な商人であることだ」
清水信次さん。
「私たちは毎日、最末端で、
1億2600万人のお客に商品やサービスを手渡ししている。
ところが士農工商の域から脱し切れていない。
どうしても国民と一緒にやらねばならない」
清水さんは、
「国民生活産業消費者団体連合会」設立の意義を訴えた。
重厚長大の「経団連」に対して、
軽薄短小の「生団連」。
横山清さん。
「ピークアウトした国内市場。
本格的なチェーンストア展開は、ツーレイト。
落穂拾いでも顧客ニーズに対応する道はある。
地方で、手を組んで、
協同組合と株式会社を、
足して2で割るようなことをやっている」
中国・成都から帰国したての伊藤雅俊さん、
シンガポールから帰ったばかりの岡田卓也さん。
「生団連」発足に駆けずり回る清水信次さん。
そして「新スパ」会長、
ユニバースとの統合で奮闘の横山清さん。
「ふるさとに語ることなし」
本意は異なるが、
坂口安吾の言葉が浮かんだ。
セミナー終了後、
六本木ヒルズ51階の会場に場所を移して、懇親会。
都心の青山、新宿を真下に眺望できる大きな窓がある。
まず、岡田さん、清水さんに挟まれて、懇談。
翌日、すなわち今日は、同じ会場で、
コーネル大学主催のセミナーが開かれる。
新日本スーパーマーケット協会も主催。
それに合わせてコーネル大学から、
ジーン・A・ジャーマン名誉教授、
ビル・E・ドレイク教授が来日。
伊藤名誉会長を囲んで、
ドレイク教授(左)、ジャーマン名誉教授と奥様。
さらに㈱カスミ会長の小濵裕正さん(左)、
岡田名誉会長、
ニッコーレン㈱会長の本間謙伍さん(右)、
私も加わり記念のショット。
ジャーマン先生の奥様は、
1年ぶりの来日。
再会をとても喜んでくださった。
岡田名誉会長を挟んで、小濵さんと。
シンガポールでのアジア小売業大会の話で盛り上がった。
こちらは三菱食品㈱特別顧問の廣田正さんと清水名誉会長。
清水さんは「生団連」の発足に向けて、
精力的に活動中。
この後も2つの会合があるとか。
最近の政治家や経団連のトップたち、行政官たちを評して、
「頭は良いし、ハートもあるが、腹がない」
「腹が据わっていない、腹芸ができない、太っ腹がいない」
そんな意味。
ご支援を約束して、固い握手。
中内学園理事長兼学園長であり、
今回、新設されたリテール科学研究所所長をつとめる中内潤さん。
「より豊かな社会の実現を目指す」ために、
それを支えるリテール機能を科学的に研究する。
これが研究所設立の理念。
そして流通科学大学の石井淳蔵学長(左)と、
石原武政特別教授。
石井学長は今回、
私の著書『小売業界大研究』と
『小売業ハンドブック』を手に入れて、
読んでくださったとか。
「小売業のダイナミズムがよく描かれている」
(私)「あれは学生や新人向けにやさしく書いたものです」
「いや、高度なことが書かれていますよ」
お褒めいただいて、恐縮。
石原先生とは、
8月のUIゼンセン同盟流通部会の労使懇談会でご一緒した。
先生は基調講演をされ、
私がコーディネートを務めたパネルディスカッションにも登場いただいて、
しっかりと議論した。
さらに中内学園関係者。
専務理事の川一男さん。
シジシージャパンの顧問でもある。
元ダイエー専務。
川さんには、もう30年も前に、
『販売革新』誌のインタービューで
お会いして以来のお付き合い。
お互いにがんばりましょうと、
ファイティングポーズで。
こちらは関西スーパーのコーネル・ジャパン・トリオ。
右から、伝説の1期生、福谷耕治さん、
奇跡の2期生、柄谷康夫さん
実行の3期生、岡秀夫さん。
大阪からそろって駆けつけてくれた。
コーネル・ジャパンの卒業生たちも、
ジャーマン先生、ドレイク先生に会うために参集。
皆で、お二人を囲んで記念写真。
コーネル・ジャパン第1期の事務局長の大高愛一郎さん。
その幼馴染の㈱マルタ社長の渡辺太郎さんと、
セミナー前の昼食をご一緒。
渡辺さんは私のブログのファンだそうで、
大高さんが紹介してくれた。
渡辺さんは、郡山と東京を往復しながら、
スーパーマーケットのプロモーションの会社を経営している。
この日は、郡山で東日本大震災を経験した時の話をしてくれた。
まじめでフラットな大高さんの友人だけあって、
とても真摯な語り口。
応援します。
シンポジウムには、商業界同友会からも、
勉強家が集った。
㈱ダスキンくりはら社長の栗原一博さん(真ん中)と、
㈱シバタ社長の大久保守晃さん。
栗原さんは商人舎の発足の会の発起人のおひとりで、
来年の商業界ゼミナール実行委員長。
懇親会が終わって麻布十番の蕎麦屋に入ったら、
なんと、同じ会に参加していたお二人と、偶然、バッタリ。
オール日本スーパーマーケット協会の、
専務理事の松本光雄さん(真ん中)と常務の前田伸司さん。
松本さんなじみの老舗蕎麦屋だそうで、
私はお薦めのかき揚げと太打ちそばをいただいた。
これが本当においしかった。
めまぐるしい一日だった。
「この一瞬の積み重ねこそ、
君という商人の全生涯」
今日も倉本長治先生の言葉を思い出していた。
<結城義晴>