Everybody! Good Monday!
[vol44]
2011年第44週。
10月最終日が今日で、
今日はハロウィンで、
明日から11月第1週に入る。
[マーケット・ストリート]
アメリカでは、
いま、ハロウィン・イベントの真っ最中。
[HEB]
ー
それでいて、11月第4木曜日、今年は24日の、
サンクスギビングデーの休暇を視野に入れつつ、
さらにその1カ月後のクリスマス商戦を見通す。
[ターゲット]
アメリカでは秋の大プロモーションが、
3段階で用意されている。
私は日本でも、この3段階は、
大いに使えると思う。
①10月31日のハロウィン。
②11月23日の勤労感謝の日。
③12月25日のクリスマス。
さて、今、私はワシントン。
そう、アメリカ合衆国の首都。
商人舎第10回記念USA研修会は、
順調に進んでいて、
経営戦略specialコースは、
ダラスで巨大チェーンの最も激しい競争状況を学び、
ワシントンにやって来た。
ダラスでは、
ウォルマート・スーパーセンターの実験店プラノ店、
さらにスーパーセンターのエコストアHE型最新店、
そしてネーバーフッド・マーケットを巡った。
このタイプは、順次、ウォルマート・マーケットと名を変えていく。
さらにウォルマートのライバル・ターゲット、
ウォルマートのサムズ・クラブのライバル・コストコ。
どちらもがっぷり四つに組んで、
覇を競っている。
前者はハイパーマーケット(総合スーパー)での競争、
後者はメンバーシップ・ホールセール・クラブでの競合。
ダラス・プラノ地区のこの凌ぎあいは、
私たちの定点観測の対象。
しかもウォルマートではインタビューをくり返し、
逐次、改善改革の進展の様子を知ることができる。
ターゲットとコストコは、
「自らの強み」を活かして、
ウォルマートに堂々と立ち向かっている。
それがとてもいい。
だからウォルマートにもイノベーションの気概があふれてくる。
その後、クローガー・シグニチャーと、
セーフウェイ傘下のトムサム・ニューライフスタイルストア。
アメリカ二大ナショナル・スーパーマーケットチェーン。
そして話題の中心・ホールフーズ。
もう108店になったスプラウツ・ファーマーズマーケット。
この地のローカルチェーン・ユナイテッドのマーケット・ストリート。
ホスピタリティを最大の特徴に、
名だたる競合店たちのなかで、
ポジショニングを築こうとしている。
そしてテキサスに侵入し、
荒らしまわっているハードディスカウンター・アルディ。
もちろんHEBのフード&ドラッグとセントラルマーケットは、
初日に訪問して、元気づけられた。
ここには、大河ドラマのような、
役者勢揃いの競争があって、
私の解説の見せ所、聞かせどころ。
圧倒的に時間が足りない。
ダラスでは二度のセミナーを用意した。
二度目はメリッサ・フレミングさんと共演。
フレミングさんは元HEB上級副社長で、
対ウォルマート作戦とプライベートブランド構築の立役者。
良いレクチャーだったし、
私の見解と一致。
当然のことだ。
毎年会って、講義を聴き、情報を交換しているのだから。
昨日、ダラスを後に、ワシントンD.C.へ。
朝5時半、暗いうちにホテルを出発。
ダラス・フォートワース空港で、朝日を拝む。
ニュースでは、ニューヨークには雪が降ったとか。
窓から見える風景にも、雪が混じっている。
それが緑に変わって、
ワシントンD.C.に到着。
空港には模型飛行機。
休む間もなく、
目指すはウェグマンズ。
この店、素晴らしい。
一同、息を飲む。
ウェグマンズは2010年度年商55億9900万ドル。
100円換算で5599億円。
日本のスーパーマーケット第1位のライフコーポレーションよりも、
アークス&ユニバース連合軍よりも規模は大きい。
店数は76店舗。
1店平均、なんと7367万ドル(73億6700万円)。
その原動力は、第1に人。
ホスピタリティあふれ、イノベーションに燃える人財集団。
第2は、店と商品。
ミールソリューションの最高峰。
ウェグマンズが1986年に始めた「プリペアードフード」と、
1990年にスタートさせたフードサービス部門が、
世界のスーパーマーケットに進化を促した。
そして第3が、コンシステント・ロープライス。
ウォルマート対策のエブリデーロープライス。
この店はきっと、年商100億円くらいは目指していると思う。
ウェグマンズを後に、
ブルームへ。
アメリカのスーパーマーケット業界第5位は、
ベルギー資本のデレーズ・アメリカ。
その中核はフードライオン。
10%台の低経費体質で1990年代後半に注目された、
あのフードライオン。
2004年に開発されたのが、このブルーム。
買い物簡便性を志向したアップスケールタイプ。
しかしこの地では、完璧な負け組。
ウェグマンズのあとで訪れたので、
その客数の違いに、一同、唖然。
決定的に欠けているのは、
フード&ドラッグではないこと。
だから隣にCVSファーマシーがはいっている。
これは完全な時代遅れ。
三番目は、このエリアナンバーワン占拠率のジャイアントフード。
40%を超えるシェアで、
地域第1位の企業。
この会社は1998年にオランダのアホールドに買収され、
現在、アホールドUSA傘下。
アホールドUSAは全米第4位のスーパーマーケット企業で、
デレーズ・アメリカのひとつ上。
アメリカのスーパーマーケット業界は、
第4位と第5位が外資ということになる。
そのジャイアントフードだが、
よく健闘している。
しかし店づくり、品ぞろえなど、
20世紀型のコンベンショナル・スーパーマーケットそのもの。
時代遅れ。
店舗奥主通路のサービス・デリと調剤部門が核だが、
青果、精肉、鮮魚など、ひどく弱い。
結局、ラガードの顧客がグロサリーを買いに来る店となっている。
ラガードとは伝統顧客とでも訳したらいいか、
保守的で、意地っ張りの顧客のこと。
最後に、ハリスティーター。
205店舗で年商40億ドル(4000億円)クラスのローカルチェーン。
ただしノースカロライナに本社を持つラディック社の傘下にある。
アメリカのローカルチェーンは何らかの形で、
別資本のもとであることが多い。
インディペンデントとして、
自己資本で経営を続けることが難しいからだし、
安定した資本のもとで、
存分にス―パーマーケットを展開したほうが、
安全でもある。
このハリスティーターは、
21世紀アップスケール型に変身している。
部門ごとに「マーケット」と称してショップ形式をとり、
顧客囲い込み戦略を展開している。
そのため小型店、旧型店を次々に閉鎖し、
企業全体のイノベーションを志向中。
結局、ワシントン郊外のこのエリアは、
ウェグマンズとハリスティーターの21世紀タイプと、
フードライオン、ジャイアントフードの20世紀型との闘いの構図になっていて、
勝者は明らか。
図らずも、20世紀型はヨーロッパ資本の外資企業ということになる。
とてもいい学習素材が提供された1日となった。
一方、30日11時30分に成田から出発した
商品戦略MDコースの面々。
11時間30分の長旅を終え、
元気にダラス・フォートワース空港に到着。
㈱廣甚の若い2人はもちろん、
㈱今治デーパートの佐伯誉さんも笑顔。
ダラスからは国内線に乗り換えワシントンD.C.へ。
その合間にダラスの空気を吸い込む。
㈱サンエーの皆さんと中込美津子さん(左)。
こちらのコーディネーターは林廣美先生。
先生をかこんで、記念撮影。
ワシントンD.C.には午後3時過ぎに到着。
早速向かったのは、こちらもウェグマンズ。
その最新店。
ワシントンD.C.から北東に30分ほど行ったショッピングセンター立地の店。
周辺にはコストコ、JCペニーなど多くのナショナルチェーンが出店し、
まだまだ開発途上の商業エリアだ。
売り場のいたるところに、
コンシステント・ロープライスやセール品のPOPが張り出されている。
新店だけに、価格訴求は一段と強い。
ウェグマンズの前で再び記念撮影。
林先生の車中解説を聞きながら、再び市内へ。
二番目の視察はハリスティーター。
この店の周辺には若い共働き世帯が多く、都市型の店。
2階がス―パーマーケット、
1階にファーマシーの変則的都市型店舗。
この時点で宵闇が迫り、体感温度もぐっと下がってきた。
今日の視察はこの2店舗で終了し、宿泊ホテルへ。
ホテルでSPコース、MDコースが合流。
そして、シーフード&ステーキレストランのピア・セブンへ移動。
ステーキ・ディナー・コースを食しながらの
楽しい合同懇親会。
乾杯の発声は㈱マルトの安島浩社長。
明日からの研修の充実を祈念し、声高らかにカンパイ!
参加企業の紹介と、
参加目的などを語ってもらいながら、
それぞれに懇親。
朝早いSPコース参加者も、長時間フライトのMDコースも、
疲れているはずだが、楽しんでくれた。
もちろん先生方も、みんなの話を真剣に聞き入った。
お酒が入り、リラックスしてきた。
最後はゲスト講師陣からのメッセージ。
初めに大久保恒夫さん。
㈱セブン&アイフードシステムズ社長。
大久保さんの話は、熱かった。
自身の経歴を振り返りながら、
最後は小売商業の地位を上げるために、
皆で頑張ろうと締めくくった。
そして林廣美先生。
日本フードサービス専門学院学院長。
もちろん日本の惣菜マーチャンダイジング指導の第一人者。
スーパーマーケットの惣菜の現場で起こっている問題に触れ
明日から何を学ぶべきかを語った。
ちょっと長かった。
酒を飲みながら、大事な講義を聴いた気分。
そして現地コーディネーターの浅野秀二先生。
商人舎サイトで連載中の『ジョージ君、アメリカに行く』が絶好調。
「健康になるとセクシーになる」
この話の続きは車中でもっと、語ってもらおう。
最後に私からも一言。
「ポジショにング競争の時代。
それはレース型競争ではない。
コンテスト型競争だ」
ホテルに戻って、
㈱むすんでひらいて社長の原田政照さん、林先生、浅野先生と。
原田さんは商人舎ツアー2度目の参加。
明日からは全員そろって、ワシントンD.C.へ。
ゲスト講師の講義も楽しみだ。
気合は十分。
体力は気力でカバー。
では今週も、
Everybody! Good Monday!
<結城義晴>