ウェブサイト「あらたにす」、
2012年春、終了。
朝日新聞、日経新聞、読売新聞の紙面読み比べサイト。
記事の冒頭が三つ並んで掲載され、
全文を読むときにはリンク先の各社のウェブサイトに飛ぶ仕組み。
私にとっては便利なページだった。
欧米を旅行中も、
「あらたにす」から「日本の今日」を知った。
2007年10月、3紙が合意。
同2007年11月30日、「事業組合」スタート。
2008年1月31日「あらたにす」オープン。
私はこれを「三占」への露骨な共闘戦線と見た。
「三占とは三者によって
市場のほとんどが占有されてしまうこと」
「あらたにす」は4番手以下を振り落す戦略。
それからほぼ4年。
終了の理由ははっきりしている。
アクセス数と広告収入の低迷。
どのメディアも同じ。
これで一番、ほっとして、
「ざまーみろ」(失礼?)の気分でいるのは、
毎日新聞だろう。
運営主体の「日経・朝日・読売インターネット事業組合」は解散、
しかし新設される「ANY連絡協議会」によって、
3社の協力体制は強化される。
やはり4番手以下を振り落す作戦だけは、
継続される。
ちなみにAは朝日、Nは日経、Yは読売。
このANYの並び順、
かのナベツネ氏からは、
文句出ないのだろうか。
どうでもいいことだけれど。
さて、大阪府知事選告示。
橋下徹前知事が大阪市長選立候補のため、
知事を辞任。
そこで府知事と市長のダブル選挙となった。
大阪府知事選は今日の10日告示、
大阪市長選は13日告示、
ともに27日に投開票。
テレビで映像を見る限り、
私は橋本徹のとんがった物言い、
好きではない。
府知事を辞職し、
市長へ乗り換える発想も、
スタンドプレーに見える。
もとはと言えば、「行列のできる法律相談所」。
テレビ番組から登場したタレント政治家。
拙著『メッセージ』(商業界刊)から、
「集権か、分権か」
中央集権か、地方分権か。
本部集中か、個店対応か。
集めると効率が上がり、
分けると能率が下がる、のか。
いや、ムリに集めるとムダ、ムリが生じ、
分けると、キメ細やかな対応ができる、のか。
機能の集中と役割の分散。
責任の集中と無責任の分散。
雪印の一連の行為も、
続々摘発される他の不正事件も。
ダイエーの水際の再建も、
あのKマートの連邦破産法適用も。
集権と分権の論理破綻の中で起こり、
集中と分散の範囲再整備の中で蘇る。
マキュアベッリの「君主論」によれば、
最も理想的な政治とは最良の独裁者によるもの、となる。
最も唾棄すべきは、
衆愚政治と衆愚組織。
権力と機能の集中と分散を
時と状況に応じてスピーディに使い分ける。
そんな絶対的なカリスマの存在こそが、
社会と大衆の求めるものなのかもしれない。
最良の独裁者が、集めて、分ける。
理想のカリスマが、分けて、集める。
社長よ、部長よ、店長よ。
衆愚にまみれた長と名のつく者たちよ。
最良の独裁者たれ。
理想のカリスマたれ。
それがとりもなおさず、
集権と分権との全体最適のあり方を体現することになる。
「最も理想的な政治とは
最良の独裁者によるもの」
橋本徹は、これを気取っているのかもしれないが、
マキュアベッリは、チェーザレ・ボルジアに、
このイメージを求めたし、
ユリウス・カエサルに理想を感じた。
万が一にも、
最良の独裁者や理想のカリスマでなければ、
とんだピエロに成り下がる。
さてさてTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)。
日経新聞の経済コラム『大機小機』で、
常連コラムニストの隅田川氏が語る。
「これまでの議論は、
あまりにも『白か黒か』でありすぎた」
「TPP賛成派は、
この機会を逸すると日本経済は二度と立ち直れないかのような議論を展開し、
反対派は、経済社会の枠組みが根本的に変わるかのように主張した」
「しかし、これはかなり極端な議論である」
私も同感。
「TPPの影響は本来長期的なものであり、
その影響の表れ方もこれからの政策姿勢しだいで大きく異なる」
そこで三つの提案。
「第1に、『輸出の増加がメリットで輸入の増加はデメリット』という姿勢ではなく、
輸出も輸入も増やしていくという政策姿勢が必要だ」
「第2に、TPPを機に国内経済の構造改革を進めることが必要だ」
「第3に、東アジアの経済統合にリーダーシップを発揮することが必要だ」
「TPPは、加入しさえすればよいわけではない」
「TPPの議論は、これからが本番なのである」
維新の会の「大阪都構想」も、
「白か黒かの極端な議論」の観が強い。
それはテレビの大好きな「勧善懲悪」の発想であり、
「最良の独裁者」とは正反対の「衆愚の扇動」である。
しかし結果は分からない。
大阪府民、大阪市民、あなたたちが主役だ。
頑張れ!
さてさて昨日は、商人舎オフィスに来客。
小笠原荘一さん。
日本チェーンストア協会常務理事。
来週金曜日に、
協会主催のパネル・ディスカッションが開催される。
「東日本大震災からの教訓と課題」
パネラーは製配販から三人の皆さん。
日清食品㈱代表取締役社長・中川晋(すすむ)さん、
三菱食品㈱取締役専務執行役員・中嶋隆夫さん、
㈱イトーヨーカ堂取締役専務執行役員・竹田利明さん。
コーディネーターは結城義晴。
もう準備も着々と進んで、
いい内容になりそう。
小笠原さんはその打ち合わせに来てくださったが、
丁寧な仕事ぶりは本当にありがたかった。
心から感謝。
11月18日(金曜日)16時~17時30分、
東京・八方園。
協会会員の皆さん、
多数ご参加ください。
昨日夕方からは、渋谷で、
単行本発刊の打ち上げ。
東洋経済新報社刊『1秒でわかる! 小売業界ハンドブック』。
1秒ではわからないけれど。
最近は必ず「1秒ではわからないけれど」を、
付け加えることにしている。
だから私的(?)には、
この新書本のタイトルは、ちょっと長くなる。
『1秒でわかる! 小売業界ハンドブック 1秒ではわからないけれど』
これを一息に言い切る。
この本は、結城義晴編著、商業経営問題研究会著。
つまり共著。
その執筆メンバーがほぼ全員集まって、
ご苦労さん会、慰労会。
前書きと第1章執筆、全体監修の私、
その隣から、第2章執筆の和田光誉さん、
第4章担当の宮崎文隆さん、
第5章と全体編集の二宮護さん。
大きく息を吸って~、一気に。
『1秒でわかる! 小売業界ハンドブック 1秒ではわからないけれど』
よろしく。
<結城義晴>