今日11月15日は「七五三」。
「しち・ご・さん」と読みます。
ちょっと、しつこいけれど。
その七五三につきものの千歳飴。
「ちとせあめ」と読む。
千歳の飴。
七五三の「子供の成長を祝う日」に、
親や祖父母が、子や孫に、
たとえて千歳までの長寿の願いを込めて、
この飴を食べて祝う。
だから細く長い飴。
直径は約15mm以内だが、
長さはなんと1m以内と決められている。
飴の色は紅白で、縁起色。
千歳飴袋も鶴亀や松竹梅などの縁起の良い図案。
この千歳飴、江戸の元禄時代に登場。
浅草の飴売り七兵衛が、長い飴を長い袋に入れて売り出した。
名づけて「千年飴」「寿命糖」。
どんな時代にも他者と異なる知恵を働かせる商人がいた。
それがやがて、
子供の成長を願う「七五三」の代名詞のようになって、
今日に至る。
小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。
それが飴になった。
さて、「明日への希望」と言えば、
日本のスーパーコンピューター「京」。
理化学研究所と富士通の共同開発。
スパコン世界性能ランキング「TOP500」で、再び首位。
史上初の毎秒1京回を超える計算速度を達成。
その数値は1京510兆回。
1兆は1億の1万倍、1京はその1兆の1万倍。
日本の科学技術力は、高い。
嬉しいかぎり。
中央演算処理装置を増設させて連結し、
前回の1.3倍の高速化に成功。
2位は中国、3位は米国。
実用化に関して富士通は、
「京」の改良版で、毎秒2京回の製品を開発し、
年明けの1月から出荷予定。
一方、アメリカのIBMも、
同性能の「セコイア」を2012年中に開発すると表明。
日本が中国、アメリカに追われるの図。
願わくば、政治もそうあってほしい。
その政治に関して、日経新聞のコラム『大機小機』。
コラムニスト夢風氏が、
「危険な『安全運転』」と題して書く。
タイトルがいい。
まさにオクシモロン。
「いまの世界には、共通した病理がある」
「経済がよくない、だから社会不安が高まる。
そこで政治はポピュリズムに走る」
「結果的に経済は良くならずに、財政悪化が深刻になる。
そしてますます、失業や格差といった社会不安が高まる」
「社会不安とポピュリズムの悪循環」。
「世界が注目しているのは、
この悪循環を食い止める強い政治リーダー」の登場。
ちなみにポピュリズムとは、
「情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、
その支持を求める手法
あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動」
<『知恵蔵』より>
大阪市長選挙も告示され、
現職の平松邦夫と前大阪府知事の橋下徹の一騎打ち。
ここでもポピュリズムが顔を出す。
コラムニストは嘆く。
「これはもう民主主義そのものの危機になる」
今はむしろ、
「『つらいかもしれないがこうしようではないか』と訴え、
国民を説得する点にこそ、リーダーの役割がある」
「野田佳彦首相は目下「安全運転」に徹し、
多くを語らない」
「首相にとっての安全運転は、
実は日本経済にとって非常に危険な運転」
コラムニスト、嘆くことしきり。
日曜祭日など、
高速道路をトロトロと超安全運転で走るドライバー。
後続車や回りの車をやきもきさせて、ストレスを募らせる。
「危険な安全運転」。
経営においても、同じことが言える場合がある。
会社が下降線をたどり続けているにもかかわらず、
なんらイノベーションに取り組まず、
従来通りの業務に終始する輩。
「危険な安全運転」に、
気をつけよ!
さてもう一つの話題。
日経新聞「消費」欄。
このコーナー、ときどきいい記事がある。
「カット野菜派、増える」
食品スーパーマーケットの店頭で、
この秋、カット野菜の売上げが伸びている。
直接の理由は、
9月10月の葉物類の卸価格の高騰。
生野菜の代替品として、
店側はカット野菜を提案した。
価格が安定しているからだ。
この時に購入した消費者が、
引き続き積極的に買い求めている。
記事はこんな分析をする。
背景には、便利さと安全性がある。
パッカーの努力で、
カット野菜工場のクレンリネスや製品の安全性は、
消費者にも浸透してきた。
もちろんあらかじめカットしてあるのだから、
便利な商品であることは間違いない。
1972年、現在の全米第1位のクローガーは、
はじめて「スーパーストア」を出店させ、実験を開始する。
日本では「スーパースーパーマーケット」と呼んだ。
その後、全米のスーパーマーケットは、
店舗の大型化と品揃えの深さを追求し始める。
いわゆる「デプス・アソートメント」。
それが成就するのは1980年代に入ってからだが、
そのプロセスのなかから、1970年代後半、
カット野菜が登場し始めた。
その後、1986年、
ウェグマンズが調理済み食品を扱う実験店を、
先行的にオープン。
1996年、食品マーケティング協会(FMI)が、
「ミール・ソリューション」のコンセプトを発表すると、
カット野菜も全面展開を見せ始める。
現在は、ウェグマンズ、ホールフーズといったアップスケールタイプはもちろん、
クローガー、セーフウェイのナショナルチェーン、
ウォルマートまで、カット野菜は当然の品ぞろえカテゴリーとなった。
アメリカでは小売りベースで、
3000億円を超える市場にまで成長した。
この傾向は、ヨーロッパでも同様。
こちらも1990年代中盤から伸び始めた。
マークス&スペンサー、テスコ、セインズベリー。
「生野菜を食べない」イギリスで800億円市場。
カルフール、オーシャン、カジーノなどの営業強化によって、
「食」にうるさいフランスで1000億円市場。
わが国においてもカット野菜産業全体で、
1000億円程度の規模があると思われる。
これらは農産物流通学研究室の廣津亜矢子さんの調査。
写真はホールフーズのカット野菜コーナー。
パックと袋物のオーガニック。
カット野菜も充実。
ウェグマンズは対面コーナー。
「ベジー・マーケット」と名づける。
「Veggi Market」。
「Fresh cut & pre-washed」とある。
まったくもって、一味違う「カット野菜」の売り方。
アメリカ人もヨーロッパ人も、
買って帰って再度、洗いはしない。
そのまま調理する。
だから日本以上に、本当の簡便食品。
よく売れる。
ついでにホールフーズのカット・フルーツ。
日経の記事では、
日本のいなげやと東急ストアを取り上げる。
いなげやの11月1日から9日の直近のカットサラダ、
1パック98円程度の商品の販売額は前年比4%増。
いため物や鍋物向けのカット野菜180円前後の商品は6%増。
東急ストアの10月のカット野菜は、
販売量が前年同月比13%増、
売上高も同比12%増。
林廣美先生の口癖。
「カットするだけで売価3倍。
それが飛ぶように売れる」
カット野菜は生鮮野菜に比べ、
安いわけではない。
しかしあらかじめ商材を手当しておくので、
価格が安定している。
野菜相場が高騰すると、
この時点で、お買い得感が出る。
そのうえ、手軽に調理できる。
安全でもある。
11月から12月の年末商戦。
浅草の飴売り七兵衛のごとく、
「カット野菜」に一段の工夫をすれば、
必ず売れる。
林先生の言葉が響く。
「カットするだけで売価は3倍」
そのうえでお客様は喜んでくれる。
<結城義晴>