結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年11月24日(木曜日)

「ダンシガシンダ・談志が死んだ」と百貨店・総合スーパー・SM・コンビニ業態別10月営業概況総まとめ

「ダンシガシンダ」
回文そのままに、
談志が死んだ。

落語家の立川 談志が、
喉頭(こうとう)癌で、逝去。
享年75。

1936年(昭和11年)1月2日、東京生まれ。

独自の理論と型破りな芸風。
理論とは1965年発刊の『現代落語論』。
落語界のタブーにも踏み込んだ。

落語を落語家自身が理論化するなど、
そもそも型破りだったが、
それが生き方にも表れていた。
しかし、芸はクラシックを端正に演じた。

そして落語にイノベーションをおこした。
談志はイノベーターだった。

1966年にスタートした人気番組「笑点」の初代司会。
その切り回しと、座布団を出したり入れたりの機知は、
いま思い出しても絶品で秀逸。

その後、前田武彦、三波伸介、三遊亭圓楽、
そして現在の桂歌丸と続くが、
断然、談志が良かった。

2001年に亡くなった3代目古今亭志ん朝は、
1938年3月10日生まれ。
こちらは型破らずの名人。
「男の色気」とは志ん朝のことだった。

関西の天才・2代目桂枝雀は、
1939年(昭和14年)8月13日生まれ。
おもろい落語に徹した枝雀は1999年の3月に自殺を図り、
そのまま意識が回復することなく、
4月19日に心不全のため死去。
「おもろい」爆笑落語と自殺。
枝雀らしかった。

1936年の談志、
1938年の志ん朝、
1939年の枝雀。

みんな早世して、談志が一番長く生きたが、
それでも75歳。

私はこの3人の名人と同じ時代に生きたことを、
日本人として誇りにするものだ。

さて、今月も各小売業態の販売統計結果が
続々と発表されている。

11月18日、日本百貨店協会から発表の
「全国百貨店売上概況」

10月の売上高総額は5109億6162万円。
前年同月と比較すると、マイナス0.5%。
マイナス幅は少ないものの、これで4カ月連続。

先月、仙台地区の対前年の売上高増減率はプラマイ0と、
落ち着きを見せたかと思いきや、
今月はプラス9.7%(全店ベース)と復調。
今後、復興需要は季節の変わり目に高まるのかもしれない。

次は11月21日に、日本フランチャイズチェーン協会から、
「コンビニエンスストア統計調査月報」が発表。

店舗売上高は全店ベースで7496億8200万円。
昨年の10月売上高はたばこ増税の影響により、
6429億9300万円にとどまっていた。
その反動で、今年はプラス16.6%と大幅アップ。

来店客数はプラス6.2%(既存店ベース)、
客単価がプラス7.5%、
店舗数でもプラス1.8%(全店ベース)。

商品構成でみると、
非食品はなんと、プラス48.8%。
すべての項目で、
たばこ増税の影響の大きさがうかがえる。

11月22日、日本チェーンストア協会による、
「チェーンストア販売統計」の発表。
こちらは総合スーパーの販売データと見てよい。
協会売上高の約半分を8社の総合スーパー企業が占める。

10月の総販売額は1兆0443億5504万円で、
前年同月比(既存店ベース)はマイナス0.9%。
前月比ではプラス5.8となっている。

部門別概況をみると、
食料品は動きが鈍く、マイナス2.2%。
衣料品は秋冬物が10月上旬に好調でプラス1.2%、
住関品はストーブや電気毛布などが売れ、
プラス0.8%だった。

同じく11月22日には、
「スーパーマーケット統計調査」も発表された。
こちらの3協会の合同発表。
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10月実績の速報結果。
総売上高7989億2323万円で、
前年同月比マイナス1.3%(既存店ベース)。
食品合計が6623億7416万円のマイナス1.8%。
非食品合計が847億9462万円でプラス0.3%。

食品の部門別売上げ。
生鮮3部門は、
青果が1020億4049万円でマイナス3.3%、
水産が664億7119万円でマイナス2.4%、
畜産が789億7275万円でマイナス2.7%。

惣菜は食品の中で唯一、プラス0.5%で、
672億8092万円。
日配が1421億3463万円でマイナス2.1%、
一般食品が2054億7418万円でマイナス0.9%。

新日本スーパーマーケット協会の増井徳太郎副会長。
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「10月は25℃を越えた日が8日間もあった。
よって寒暖の差が大きく、毎週末のように雨が降った。
そのため、売場変更が思うようにいかず、
冬物商材が伸び悩んだ。」

「東日本・北日本の青果は放射能の影響で、
相変わらず値がつかず、
生鮮の仕入れが西にシフトしている。
青果は高騰し、例えば、
京都産の小松菜に1束680円の値がつくこともあった。
結果、顧客の買い控えにつながった」

「精肉は気温が高めだったこともあり、
すき焼き肉は売れず、ステーキや焼き肉材料中心に売れた」

「エリア別にみると、
関西エリアの前年同月比が既存店ベースでマイナス2.7%、
全店ベースでプラス3.5%だった。
これは集計している関西エリアの企業で、
新店オープンの動きが加速しているから」

「競合環境がますます厳しくなっている。
ディスカウントストアなどへの業態転換も目立つ。
そのため、客数は同じでも単価が下がる。
また、増税、円高、TPP問題、ヨーロッパの金融問題など、
消費者の先行き不安感が増すような要素が多い。
このような心理状況はこれからも影響してくるだろう」

今月のゲストスピーカーは、
㈱マミーマート総合企画室長の青木繁さん。
同社は埼玉を中心に展開しているスーパーマーケット。
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青木さんは先週、コーネル・ジャパンを修了したばかりの「実行の第3期生」。

「マミーマートでは2~3年前から、
従来のハイ&ロー型店舗から、
EDLP(Every Day Low Price)型店舗への転換を行っている。
昨期は16店舗を転換した。
今期も10店舗の転換を予定している。
ただし、EDLPでも、
お客さんが目的をもって来ていただける店、
Destination Store(デスティネーション・ストア)を目指している。
“より良い商品を、より安く”する仕組みづくりを行っている」

さすがにコーネル・ジャパンで勉強しただけのことはある。
いいコメント。

「差別化をはかるため、
青果では今期から契約産地の品質管理を徹底し、
専任担当を常駐させている。
最近ではロマネスコ(カリフラワーの一種)の作付を、
契約農家に依頼し、人気が高まっている」

「販売面では、“笑顔の接客”をモットーに、
従業員教育に力を入れている。
また、外部機関に依頼をし、
店舗や従業員のチェック機能も強化している」

「低価格企業としてのブラッシュ・アップは
不可欠であると考えており、
経済産業省の『生産性向上プログラム』の研修に取り組んでいる。
6店舗で実験的な改善策に取り組んでおり、
6店舗すべてで効果があがっている。
たとえば、バックルームの定位置管理の徹底、
在庫の適正化、労働時間の削減など。
労働時間に関しては1店舗、5時間の削減に成功。
この労働力をどのように活用していくか、
どのように人員配置をシフトしていくかが重要」

コーネル・ジャパン最後の講義は、
サミットでの作業システムとマンアワー・コントロール。
ここでもコーネルがらみのコメントが出てきた。

青木さんのスピーチ。
修了論文とともに、こちらも合格をつけよう。

談志が死んだ。
しかしその後を継ぐ水準の落語家は、
いまのところ見当たらない。

小売流通業界には、
後継者が続々と登場。

その意味では、心強いことだと、
結城義晴、喜んだ。

<結城義晴>

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