結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年11月29日(火曜日)

「2012年は復活の年」その根拠と、原発後遺症風評被害に凛として立つ小売業

私は今日から、中国・上海。

三日間の短い旅だが、
2011年の最後に上海の流通業を、
この目で見ておきたいと考えた。

上海の変化は、
日本以上に激しい。

その変化のスピードを実感しておくことに、
大きな意義があると思う。

今年はアメリカ、ヨーロッパ、
そして中国を訪れた。
ほんのわずかな期間に、
ほんのわずかなところにしか行けないが。
それでも「自分の目で見、自分の耳で聞く」。
ピーター・ドラッカー先生の言うことを実践する。

朝、一番で羽田空港国際線ターミナル。
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新装なったターミナルは気持ちいい。
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JAL081便に乗り込む。
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3時間で、上海・虹橋空港。
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タクシーで25分。
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1日駆け巡って、
夜は上海蟹を堪能。
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英気を養った。

明日からその上海報告。
ご期待いただきたい。

さて、今朝は、日経新聞のコラム『大機小機』に元気づけられた。
コラムニスト富民氏が、
「来年は日本復活の年に」と題して書く。

「今年は日本経済にとって大変厳しい年だった」
日本経済だけでなく、日本国民にとって、
本当に大変な年だった。

言わずと知れた東日本大震災。
その後遺症は津波よりもひどい原発事故、
さらに国際商品価格高騰と「超円高」、
そして金融にとって「最大のリスクはユーロ危機」。

これは、「世界景気のブレーキ」となった。

しかし、富民氏は言う。
「ユーロ圏の輸入に占める日本のシェアは2%、
南欧など重債務国の借り入れに対する比率も3%以下で、
影響は相対的に小さい」

そのうえ、「ドル安からユーロ安に流れが変わり、
円の対ドル上昇に歯止めがかかることになる」
ユーロ危機も日本にとってはデメリットばかりとは言えない。

「原発ショックの影響」こそ甚大で、
「不安心理で経済が萎縮し、先が読めない」

しかし、しかし。
「過去3回の世界の原発事故の先例を見ると、
事故直後にゼロ成長となったが、
1年後には成長路線に復帰した」

富民氏の指摘は、
「事故処理と安全対策が進めば、
やがて日本も立ち直り、
来春には明るさを取り戻すのではないか」

地震・津波への対応も、
「遅れていた大震災の復旧・復興も、
第3次補正予算の成立で本格化し、
来年度の景気を1%押し上げる計算だ」

富民氏、日本にとって明るい事象を続ける。
「再生可能エネルギー開発も急ピッチだ。
ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟もプラスに働く」

その結果、
「日本経済が元気を取り戻す環境が
次第に整ってくる」

一方、世界のリーダー国の現状。
ヨーロッパ。
「ユーロ危機で当分身動きが取れそうにない」

アメリカ。
「議会に財政を人質として取られ、
景気の二番底が懸念される」
いま、アメリカン航空の、
連邦破産法11条適用申請のニュース
が、
飛び込んできた。

さらに中国。
「対欧輸出の減少に加え、
地方財政の赤字拡大と不動産価格の下落で、
成長エンジンに黄信号が点滅している」
ここ、上海でも不動産バブル崩壊の兆し。
インド。
「貿易赤字の拡大とインフレで通貨ルピーが下落し、
失速気味だ」

では、世界のけん引役はどの国になるのか。
「欧州の信用収縮が広がれば
外資依存度の高いアジア新興国は一時的にせよ
機関車役を降りざるを得ないだろう」

そして結論。
「来年はけん引車がいなくなる中で
日本経済が久々に存在感を高め、
復活への足掛かりをつかむ年になりそうだ」

これは我々日本が世界の経済や消費の中で、
お役立ちするときがやってくることを示す。

こんなに元気がでることはない。

自分たちの役割がある。
それが増してくる。

こういったことをエネルギーに変えて、
私たちは2012年に向かう。

いい年にしたい。
痛切にそう思う。

さて福島県産の食品や農産物の販売運動が、
小売業の中で広がっていて、嬉しい。

朝日新聞も日経新聞も、
こういったニュースは積極的に報道してくれる。

イオンは29、30日に東京都内の11店で、
福島県産の新米とリンゴを販売する

自主検査で、放射性物質が機器で検出できる値よりも低いことを確認。
それを店頭でもはっきりと表示する。

イオンは他の産地の商品でも、
「放射線が検出されたら売らない」という方針だ。

イオンリテール食品商品企画本部の岡田俊美副本部長は、
朝日新聞に語る。
「福島産だから危ないとか安全とかではなく、
ほかと同じように安全な商品をお客様に買ってもらえるようにしたい」

イトーヨーカ堂も
「東北かけはしプロジェクト」を始めた。
来月7日から東北産品を応援販売する。
福島産のコメや牛肉も販売。

コメには、「郡山産」と表示している。
福島県郡山市でつくられたことがわかるような仕組み。

福島市の大波地区産のコメから
国の暫定基準値を超えるセシウムが検出された後も、
「売れ行きに特に影響はない」

通販大手のカタログハウスは8月末から、
東京・新橋の直営店で福島産野菜を売っている。
検査した放射線量の数値を店頭で紹介。
いまはリンゴやキュウリ、カブが好評だ。

担当者は「複数回訪れて購入する人もいて、
爆発的ではないにせよ安定的な売り上げになっている」
12月からはコメも売り始める。

高島屋は、「稲作名人」を歳暮で扱う。
郡山市の農家がつくったコメだが、
これまでに1袋5キロ(5565円)の高級米が235袋売れた。

「あえて、お歳暮で贈ることで、
相手も福島産を食べても大丈夫と思ってくれるのでは」
これはなんと顧客の声。

「きちんと説明すれば、
消費者は冷静に対応してくれる」

イトーヨーカ堂広報室の発言。

私たちは意志をもって、
風評被害にも立ち向かわねばならない。

凛として立つ。

世界経済に対しても、
顧客に対しても、
得体のしれない風評に対しても。

それが私たちの2012年である。

<結城義晴>

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