中国は日本に対して時差1時間。
つまりは日本時間23時は中国の22時。
いまそのギリギリの時間。
ブログのリミットまで1時間を切った。
今日も一日、上海郊外を駆けずり回って、
夕食を済ませて、
全員が完全に打ち解けて、
部屋に帰って、時差を実感する。
アメリカは東西に広い国土で、
4つのタイムゾーンに分かれ、
東海岸と西海岸では3時間の時差がある。
中国も広い国土だが、
どっこい時差はない。
全中国が日本と1時間の時差。
「統一」が中国の安定のために唯一最大のテーゼだからだ。
昨日から中国・上海。
2泊3日で駆け巡り。
とは言っても、3日目には朝の便で帰国するから、
実質1日半の旅程。
私は羽田から上海空港に飛んで、
ホテルにチェックインした後、
すぐに市内の商業施設を訪問。
今日は上海初日の行動日記。
まず最初は、久光百貨店。
日本のそごう系列の百貨店。
静安寺の隣にある繁盛百貨店。
店頭で全員で写真。
㈱万代副社長の山下和孝さん(中央)、
常務の不破栄さん(右)、
そして今回のコーディネーターのシン・チエさん(左)。
後列は㈱エクゼの前田仁さん(真ん中)、
㈱JTB西日本の小阪裕介さん(右)。
久光の地下1階のフレッシュマートはスーパーマーケット形式。
日本で言えばクイーンズ伊勢丹かシェルガーデン。
この店が上海のクオリティ・スーパーマーケットの水準を決めている。
オーガニック果物の品ぞろえがトップにある。
鮮魚丸モノも、鮮度がいい。
刺身五点盛り。
日本人顧客を主たるターゲットにしているから品揃えしているが、
中国人には寿司だけでなく刺身も人気が高い。
肉売り場の対面販売には日本ハムのコーナーがある。
日本のメーカーが惜しみなく協力している。
レジ横のケーキ売り場の充実。
現在の上海人は、よくケーキを食べる。
コーディネーターのシンさんが解説してくれた。
フレッシュマートの反対側のテナント・ゾーンでは、
アイスクリームショップに長い行列。
菓子売り場は、
日本のアニメキャラクターのイラストが使われて、
にぎやか。
もちろんチョコレート売り場には、
ゴディバなどがあって、百貨店の品ぞろえ。
そして山崎製パンのインストアベーカリーが、
すごい品揃えとすごい人気。
製造販売の焼き立てパンを提供しているが、
顧客だけでなく店員も多い。
ショップの入り口には、
食パンがワゴンで大量販売されている。
いずれにしても久光フレッシュマートが、
上海では「ハイ・クオリティ・スーパーマーケット」の標準を形成。
それをまず視察。
次に向かったのは伊勢丹。
ショッピングモールに二核の百貨店が向き合う形。
伊勢丹の食品売り場には、
シティ・マートというスーパーマーケットが入っているものの、
その姿は見るも無残。
本来の伊勢丹のイメージとは程遠い。
久光から地下鉄一駅隣で、
食品は完全に打ちのめされている。
さらに都心に向かって、
GLジャパン・プラザ。
㈱グローカルジャパンの経営。
しかし、この店も閑散としている。
日本人の経営だが、
残念ながら上手くはいっていない。
さらに都心部に入って、
観光地「新天地」へ。
1842年に南京条約が結ばれ、
上海には列強が居留地を設けた。
これを「租界」と呼んだ。
そのフランスの租界が姿を改め、
「新天地」となった。
だからヨーロッパ風、フランス風の建物が並ぶ街並み。
広場に噴水があったりする。
カフェもあって、一種独特の異国情緒を醸し出している。
この雰囲気が、現在、
アメリカ各地に登場している「ライフスタイルセンター」に酷似している。
面白い現象だ。
その新天地そばの太平洋百貨店。
台湾資本の百貨店で、人気が高い。
地下2階の食品売り場を目指してきたら、
ユニクロに変わっていた。
そのユニクロに顧客が群がる。
地下2階とはいえ、直接、地下鉄につながる好立地。
オープンはなんと11月26日。
ユニクロはここ上海でも大人気。
食品の頻度にとって代わる集客力を、
ユニクロの商品とサービスが持ち合わせていることを、
図らずも証明した形になった。
さらに都心のインディペンデント・スーパーマーケット「Zクラブ」。
個人経営の小型スーパーマーケット。
黒板に手書きのPOPが、
個人経営らしくて、いい。
巨大マンションの1階に出店しているが、
大都会の真ん中で狭小商圏型の店舗を目指す。
プライベートブランドも開発している。
宅配なども合わせて展開して、
食品買い物難民に利便性を供している。
最後に都心から30分ほど車で外に出たカルフール。
郊外ショッピングセンター「クリスタル・ホール」の核店舗として出店。
モール内のインストアベーカリ―が大人気。
店名は「Ichido」。
太平洋百貨店同様に台湾資本。
上海市内の百貨店やショッピングモールで、
山崎製パンのインストアベーカリーと、
人気を二分している。
上海には台湾資本の小売業が多数進出して、
いずれも成功を収めている。
考えてみると、台湾には、
毛沢東の共産党に追われた資本家や商売人が移住してきた。
もともと商才にたけた人々だった。
だから今、逆に上海に戻って、
その才能を発揮させている。
上海での競争の中で、
台湾勢を見過ごしてはならない。
さて、2008年までは中国第1の小売業だったカルフール。
ハイパーマーケットは今の上海で中核的な業態。
日本の歴史でたとえると、
昭和40年代から50年代の高度成長のときに似ている。
人々が生活の向上にどん欲で、
フルライン型の総合スーパーがとにかく便利で、
生活拡大のニーズを満たした。
地下2階の売り場は非食品と家電。
だから生活必需品を中心に、
衣食住、それに家電までそろえた便利な総合店が、
絶大なる人気を誇る。
ディスカウントのニーズとコンビニエンスのニーズ。
ただしこのころのコンビニエンスは総合品揃えの便利性。
その代りスペシャルティのニーズは捨てる。
それが現在の上海のカルフール。
広大な2フロア店舗によって、
この二つのニーズを満たしている。
スロープをあがって地下1階に上がる。
自動スロープの両サイドにも商品陳列。
メーカーやベンダーは場所代を払って、
この売り場に商品を並べる。
いわばコンコースのエンド陳列のようなもの。
上に上がると、加工食品の重点販売方式。
これがカルフールの特徴。
単品量販で、必需品の安売りを展開。
しかし生鮮食品には力を入れる。
特に青果部門は、カルフールの強み。
この店の葉物の凄さを見てほしい。
青果は平台の島陳列を多用して、
これまたばら売りの単品大量。
鮮魚部門には水槽が設けられ、鮮度を強調する。
シーズン真っただ中の上海蟹も人がついて販売。
コーディネーターのシンさんによると、
「安いけど、おいしくない」
精肉は平ケースの対面販売。
人件費が安いからだろうが、
セルフパックを並べて売る場合にも、
対面方式を採用する。
冷凍食品ももちろん、
平ケースで単品大量販売。
惣菜は当然ながら、対面販売方式。
ディスカウント・ニーズとコンビニエンス・ニーズに、
さらにスペシャルティ・ニーズを付け加え始めた。
ハイパーマーケットの競争がピークを過ぎて、
新しい段階に入ったことを意味している。
バルク売り場とバラ売り場。
上海には、1980年代と現在の2010年代が同居している。
それがカルフールのデリカテッセンによく表れている。
レジ前には、
フランスで展開されている新コンセプト「プラネット」のエコバッグが、
これまた大量にハンガー陳列されている。
カルフールは中国国内店舗を一部売却して、
収益性の確保に舵を切り始めた。
なるほどと思わせる。
なぜか。
それは明日の店長インタビューで明らかになる。
カルフールを後に都心に戻ると、
もう、とっぷりと日は暮れて、
身も心も心地よい疲労感でいっぱい。
そこで、上海王宝和大酒店へ。
上海蟹では現在、最も評判の高いレストランとホテル。
南京路歩行街の世紀広場に隣接する四つ星ホテル。
ロビーの壁にも見事な装飾。
天井からぶら下がったシャンデリアも、
蟹に劣らず、すばらしい。
再び全員で、期待に胸ふくらませながら写真。
出てきた上海蟹。
この11月末の時期は最適。
雌の大ぶりの上海蟹、
しかも調理前に確認したが、
ぴちぴちと生きていて、
鮮度が抜群。
調理された蟹を目の前に、
顔もほころぶ。
これまで食した上海蟹の中で、
最高の味だった。
これは間違いない。
蟹さんに、心から感謝しつつ、
旅はつづく。
<結城義晴>