結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年11月30日(水曜日)

上海小売業視察[前編]久光百貨店(そごう)フレッシュマートからカルフールまで市内駆け巡り

中国は日本に対して時差1時間。
つまりは日本時間23時は中国の22時。

いまそのギリギリの時間。

ブログのリミットまで1時間を切った。

今日も一日、上海郊外を駆けずり回って、
夕食を済ませて、
全員が完全に打ち解けて、
部屋に帰って、時差を実感する。

アメリカは東西に広い国土で、
4つのタイムゾーンに分かれ、
東海岸と西海岸では3時間の時差がある。

中国も広い国土だが、
どっこい時差はない。

全中国が日本と1時間の時差。

「統一」が中国の安定のために唯一最大のテーゼだからだ。

昨日から中国・上海。
2泊3日で駆け巡り。
とは言っても、3日目には朝の便で帰国するから、
実質1日半の旅程。

私は羽田から上海空港に飛んで、
ホテルにチェックインした後、
すぐに市内の商業施設を訪問。

今日は上海初日の行動日記。

まず最初は、久光百貨店。
日本のそごう系列の百貨店。
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静安寺の隣にある繁盛百貨店。
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店頭で全員で写真。

㈱万代副社長の山下和孝さん(中央)、
常務の不破栄さん(右)、
そして今回のコーディネーターのシン・チエさん(左)。
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後列は㈱エクゼの前田仁さん(真ん中)、
㈱JTB西日本の小阪裕介さん(右)。

久光の地下1階のフレッシュマートはスーパーマーケット形式。
日本で言えばクイーンズ伊勢丹かシェルガーデン。
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この店が上海のクオリティ・スーパーマーケットの水準を決めている。

オーガニック果物の品ぞろえがトップにある。
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鮮魚丸モノも、鮮度がいい。
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刺身五点盛り。
日本人顧客を主たるターゲットにしているから品揃えしているが、
中国人には寿司だけでなく刺身も人気が高い。
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肉売り場の対面販売には日本ハムのコーナーがある。
日本のメーカーが惜しみなく協力している。
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レジ横のケーキ売り場の充実。
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現在の上海人は、よくケーキを食べる。
コーディネーターのシンさんが解説してくれた。

フレッシュマートの反対側のテナント・ゾーンでは、
アイスクリームショップに長い行列。
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菓子売り場は、
日本のアニメキャラクターのイラストが使われて、
にぎやか。
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もちろんチョコレート売り場には、
ゴディバなどがあって、百貨店の品ぞろえ。
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そして山崎製パンのインストアベーカリーが、
すごい品揃えとすごい人気。
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製造販売の焼き立てパンを提供しているが、
顧客だけでなく店員も多い。
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ショップの入り口には、
食パンがワゴンで大量販売されている。
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いずれにしても久光フレッシュマートが、
上海では「ハイ・クオリティ・スーパーマーケット」の標準を形成。
それをまず視察。

次に向かったのは伊勢丹。
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ショッピングモールに二核の百貨店が向き合う形。
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伊勢丹の食品売り場には、
シティ・マートというスーパーマーケットが入っているものの、
その姿は見るも無残。
本来の伊勢丹のイメージとは程遠い。
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久光から地下鉄一駅隣で、
食品は完全に打ちのめされている。

さらに都心に向かって、
GLジャパン・プラザ。
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㈱グローカルジャパンの経営。

しかし、この店も閑散としている。
日本人の経営だが、
残念ながら上手くはいっていない。

さらに都心部に入って、
観光地「新天地」へ。
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1842年に南京条約が結ばれ、
上海には列強が居留地を設けた。
これを「租界」と呼んだ。

そのフランスの租界が姿を改め、
「新天地」となった。
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だからヨーロッパ風、フランス風の建物が並ぶ街並み。
広場に噴水があったりする。
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カフェもあって、一種独特の異国情緒を醸し出している。
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この雰囲気が、現在、
アメリカ各地に登場している「ライフスタイルセンター」に酷似している。

面白い現象だ。

その新天地そばの太平洋百貨店。
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台湾資本の百貨店で、人気が高い。
地下2階の食品売り場を目指してきたら、
ユニクロに変わっていた。
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そのユニクロに顧客が群がる。
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地下2階とはいえ、直接、地下鉄につながる好立地。
オープンはなんと11月26日。
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ユニクロはここ上海でも大人気。
食品の頻度にとって代わる集客力を、
ユニクロの商品とサービスが持ち合わせていることを、
図らずも証明した形になった。

さらに都心のインディペンデント・スーパーマーケット「Zクラブ」。
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個人経営の小型スーパーマーケット。
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黒板に手書きのPOPが、
個人経営らしくて、いい。

巨大マンションの1階に出店しているが、
大都会の真ん中で狭小商圏型の店舗を目指す。

プライベートブランドも開発している。
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宅配なども合わせて展開して、
食品買い物難民に利便性を供している。

最後に都心から30分ほど車で外に出たカルフール。
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郊外ショッピングセンター「クリスタル・ホール」の核店舗として出店。
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モール内のインストアベーカリ―が大人気。
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店名は「Ichido」。
太平洋百貨店同様に台湾資本。

上海市内の百貨店やショッピングモールで、
山崎製パンのインストアベーカリーと、
人気を二分している。

上海には台湾資本の小売業が多数進出して、
いずれも成功を収めている。

考えてみると、台湾には、
毛沢東の共産党に追われた資本家や商売人が移住してきた。
もともと商才にたけた人々だった。

だから今、逆に上海に戻って、
その才能を発揮させている。

上海での競争の中で、
台湾勢を見過ごしてはならない。

さて、2008年までは中国第1の小売業だったカルフール。
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ハイパーマーケットは今の上海で中核的な業態。
日本の歴史でたとえると、
昭和40年代から50年代の高度成長のときに似ている。
人々が生活の向上にどん欲で、
フルライン型の総合スーパーがとにかく便利で、
生活拡大のニーズを満たした。

地下2階の売り場は非食品と家電。
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だから生活必需品を中心に、
衣食住、それに家電までそろえた便利な総合店が、
絶大なる人気を誇る。
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ディスカウントのニーズとコンビニエンスのニーズ。
ただしこのころのコンビニエンスは総合品揃えの便利性。
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その代りスペシャルティのニーズは捨てる。
それが現在の上海のカルフール。
広大な2フロア店舗によって、
この二つのニーズを満たしている。

スロープをあがって地下1階に上がる。
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自動スロープの両サイドにも商品陳列。
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メーカーやベンダーは場所代を払って、
この売り場に商品を並べる。
いわばコンコースのエンド陳列のようなもの。

上に上がると、加工食品の重点販売方式。
これがカルフールの特徴。
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単品量販で、必需品の安売りを展開。
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しかし生鮮食品には力を入れる。
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特に青果部門は、カルフールの強み。

この店の葉物の凄さを見てほしい。
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青果は平台の島陳列を多用して、
これまたばら売りの単品大量。
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鮮魚部門には水槽が設けられ、鮮度を強調する。
シーズン真っただ中の上海蟹も人がついて販売。
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コーディネーターのシンさんによると、
「安いけど、おいしくない」

精肉は平ケースの対面販売。
人件費が安いからだろうが、
セルフパックを並べて売る場合にも、
対面方式を採用する。
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冷凍食品ももちろん、
平ケースで単品大量販売。
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惣菜は当然ながら、対面販売方式。
ディスカウント・ニーズとコンビニエンス・ニーズに、
さらにスペシャルティ・ニーズを付け加え始めた。
ハイパーマーケットの競争がピークを過ぎて、
新しい段階に入ったことを意味している。
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バルク売り場とバラ売り場。
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上海には、1980年代と現在の2010年代が同居している。
それがカルフールのデリカテッセンによく表れている。
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レジ前には、
フランスで展開されている新コンセプト「プラネット」のエコバッグが、
これまた大量にハンガー陳列されている。
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カルフールは中国国内店舗を一部売却して、
収益性の確保に舵を切り始めた。

なるほどと思わせる。

なぜか。

それは明日の店長インタビューで明らかになる。

カルフールを後に都心に戻ると、
もう、とっぷりと日は暮れて、
身も心も心地よい疲労感でいっぱい。

そこで、上海王宝和大酒店へ。
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上海蟹では現在、最も評判の高いレストランとホテル。

南京路歩行街の世紀広場に隣接する四つ星ホテル。
ロビーの壁にも見事な装飾。
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天井からぶら下がったシャンデリアも、
蟹に劣らず、すばらしい。
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再び全員で、期待に胸ふくらませながら写真。
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出てきた上海蟹。
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この11月末の時期は最適。
雌の大ぶりの上海蟹、
しかも調理前に確認したが、
ぴちぴちと生きていて、
鮮度が抜群。

調理された蟹を目の前に、
顔もほころぶ。
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これまで食した上海蟹の中で、
最高の味だった。

これは間違いない。

蟹さんに、心から感謝しつつ、
旅はつづく。

<結城義晴>

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