結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年11月30日(水曜日)

上海小売業視察[前編]久光百貨店(そごう)フレッシュマートからカルフールまで市内駆け巡り

中国は日本に対して時差1時間。
つまりは日本時間23時は中国の22時。

いまそのギリギリの時間。

ブログのリミットまで1時間を切った。

今日も一日、上海郊外を駆けずり回って、
夕食を済ませて、
全員が完全に打ち解けて、
部屋に帰って、時差を実感する。

アメリカは東西に広い国土で、
4つのタイムゾーンに分かれ、
東海岸と西海岸では3時間の時差がある。

中国も広い国土だが、
どっこい時差はない。

全中国が日本と1時間の時差。

「統一」が中国の安定のために唯一最大のテーゼだからだ。

昨日から中国・上海。
2泊3日で駆け巡り。
とは言っても、3日目には朝の便で帰国するから、
実質1日半の旅程。

私は羽田から上海空港に飛んで、
ホテルにチェックインした後、
すぐに市内の商業施設を訪問。

今日は上海初日の行動日記。

まず最初は、久光百貨店。
日本のそごう系列の百貨店。
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静安寺の隣にある繁盛百貨店。
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店頭で全員で写真。

㈱万代副社長の山下和孝さん(中央)、
常務の不破栄さん(右)、
そして今回のコーディネーターのシン・チエさん(左)。
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後列は㈱エクゼの前田仁さん(真ん中)、
㈱JTB西日本の小阪裕介さん(右)。

久光の地下1階のフレッシュマートはスーパーマーケット形式。
日本で言えばクイーンズ伊勢丹かシェルガーデン。
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この店が上海のクオリティ・スーパーマーケットの水準を決めている。

オーガニック果物の品ぞろえがトップにある。
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鮮魚丸モノも、鮮度がいい。
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刺身五点盛り。
日本人顧客を主たるターゲットにしているから品揃えしているが、
中国人には寿司だけでなく刺身も人気が高い。
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肉売り場の対面販売には日本ハムのコーナーがある。
日本のメーカーが惜しみなく協力している。
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レジ横のケーキ売り場の充実。
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現在の上海人は、よくケーキを食べる。
コーディネーターのシンさんが解説してくれた。

フレッシュマートの反対側のテナント・ゾーンでは、
アイスクリームショップに長い行列。
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菓子売り場は、
日本のアニメキャラクターのイラストが使われて、
にぎやか。
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もちろんチョコレート売り場には、
ゴディバなどがあって、百貨店の品ぞろえ。
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そして山崎製パンのインストアベーカリーが、
すごい品揃えとすごい人気。
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製造販売の焼き立てパンを提供しているが、
顧客だけでなく店員も多い。
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ショップの入り口には、
食パンがワゴンで大量販売されている。
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いずれにしても久光フレッシュマートが、
上海では「ハイ・クオリティ・スーパーマーケット」の標準を形成。
それをまず視察。

次に向かったのは伊勢丹。
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ショッピングモールに二核の百貨店が向き合う形。
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伊勢丹の食品売り場には、
シティ・マートというスーパーマーケットが入っているものの、
その姿は見るも無残。
本来の伊勢丹のイメージとは程遠い。
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久光から地下鉄一駅隣で、
食品は完全に打ちのめされている。

さらに都心に向かって、
GLジャパン・プラザ。
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㈱グローカルジャパンの経営。

しかし、この店も閑散としている。
日本人の経営だが、
残念ながら上手くはいっていない。

さらに都心部に入って、
観光地「新天地」へ。
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1842年に南京条約が結ばれ、
上海には列強が居留地を設けた。
これを「租界」と呼んだ。

そのフランスの租界が姿を改め、
「新天地」となった。
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だからヨーロッパ風、フランス風の建物が並ぶ街並み。
広場に噴水があったりする。
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カフェもあって、一種独特の異国情緒を醸し出している。
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この雰囲気が、現在、
アメリカ各地に登場している「ライフスタイルセンター」に酷似している。

面白い現象だ。

その新天地そばの太平洋百貨店。
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台湾資本の百貨店で、人気が高い。
地下2階の食品売り場を目指してきたら、
ユニクロに変わっていた。
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そのユニクロに顧客が群がる。
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地下2階とはいえ、直接、地下鉄につながる好立地。
オープンはなんと11月26日。
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ユニクロはここ上海でも大人気。
食品の頻度にとって代わる集客力を、
ユニクロの商品とサービスが持ち合わせていることを、
図らずも証明した形になった。

さらに都心のインディペンデント・スーパーマーケット「Zクラブ」。
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個人経営の小型スーパーマーケット。
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黒板に手書きのPOPが、
個人経営らしくて、いい。

巨大マンションの1階に出店しているが、
大都会の真ん中で狭小商圏型の店舗を目指す。

プライベートブランドも開発している。
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宅配なども合わせて展開して、
食品買い物難民に利便性を供している。

最後に都心から30分ほど車で外に出たカルフール。
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郊外ショッピングセンター「クリスタル・ホール」の核店舗として出店。
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モール内のインストアベーカリ―が大人気。
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店名は「Ichido」。
太平洋百貨店同様に台湾資本。

上海市内の百貨店やショッピングモールで、
山崎製パンのインストアベーカリーと、
人気を二分している。

上海には台湾資本の小売業が多数進出して、
いずれも成功を収めている。

考えてみると、台湾には、
毛沢東の共産党に追われた資本家や商売人が移住してきた。
もともと商才にたけた人々だった。

だから今、逆に上海に戻って、
その才能を発揮させている。

上海での競争の中で、
台湾勢を見過ごしてはならない。

さて、2008年までは中国第1の小売業だったカルフール。
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ハイパーマーケットは今の上海で中核的な業態。
日本の歴史でたとえると、
昭和40年代から50年代の高度成長のときに似ている。
人々が生活の向上にどん欲で、
フルライン型の総合スーパーがとにかく便利で、
生活拡大のニーズを満たした。

地下2階の売り場は非食品と家電。
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だから生活必需品を中心に、
衣食住、それに家電までそろえた便利な総合店が、
絶大なる人気を誇る。
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ディスカウントのニーズとコンビニエンスのニーズ。
ただしこのころのコンビニエンスは総合品揃えの便利性。
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その代りスペシャルティのニーズは捨てる。
それが現在の上海のカルフール。
広大な2フロア店舗によって、
この二つのニーズを満たしている。

スロープをあがって地下1階に上がる。
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自動スロープの両サイドにも商品陳列。
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メーカーやベンダーは場所代を払って、
この売り場に商品を並べる。
いわばコンコースのエンド陳列のようなもの。

上に上がると、加工食品の重点販売方式。
これがカルフールの特徴。
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単品量販で、必需品の安売りを展開。
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しかし生鮮食品には力を入れる。
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特に青果部門は、カルフールの強み。

この店の葉物の凄さを見てほしい。
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青果は平台の島陳列を多用して、
これまたばら売りの単品大量。
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鮮魚部門には水槽が設けられ、鮮度を強調する。
シーズン真っただ中の上海蟹も人がついて販売。
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コーディネーターのシンさんによると、
「安いけど、おいしくない」

精肉は平ケースの対面販売。
人件費が安いからだろうが、
セルフパックを並べて売る場合にも、
対面方式を採用する。
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冷凍食品ももちろん、
平ケースで単品大量販売。
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惣菜は当然ながら、対面販売方式。
ディスカウント・ニーズとコンビニエンス・ニーズに、
さらにスペシャルティ・ニーズを付け加え始めた。
ハイパーマーケットの競争がピークを過ぎて、
新しい段階に入ったことを意味している。
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バルク売り場とバラ売り場。
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上海には、1980年代と現在の2010年代が同居している。
それがカルフールのデリカテッセンによく表れている。
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レジ前には、
フランスで展開されている新コンセプト「プラネット」のエコバッグが、
これまた大量にハンガー陳列されている。
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カルフールは中国国内店舗を一部売却して、
収益性の確保に舵を切り始めた。

なるほどと思わせる。

なぜか。

それは明日の店長インタビューで明らかになる。

カルフールを後に都心に戻ると、
もう、とっぷりと日は暮れて、
身も心も心地よい疲労感でいっぱい。

そこで、上海王宝和大酒店へ。
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上海蟹では現在、最も評判の高いレストランとホテル。

南京路歩行街の世紀広場に隣接する四つ星ホテル。
ロビーの壁にも見事な装飾。
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天井からぶら下がったシャンデリアも、
蟹に劣らず、すばらしい。
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再び全員で、期待に胸ふくらませながら写真。
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出てきた上海蟹。
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この11月末の時期は最適。
雌の大ぶりの上海蟹、
しかも調理前に確認したが、
ぴちぴちと生きていて、
鮮度が抜群。

調理された蟹を目の前に、
顔もほころぶ。
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これまで食した上海蟹の中で、
最高の味だった。

これは間違いない。

蟹さんに、心から感謝しつつ、
旅はつづく。

<結城義晴>

2011年11月29日(火曜日)

「2012年は復活の年」その根拠と、原発後遺症風評被害に凛として立つ小売業

私は今日から、中国・上海。

三日間の短い旅だが、
2011年の最後に上海の流通業を、
この目で見ておきたいと考えた。

上海の変化は、
日本以上に激しい。

その変化のスピードを実感しておくことに、
大きな意義があると思う。

今年はアメリカ、ヨーロッパ、
そして中国を訪れた。
ほんのわずかな期間に、
ほんのわずかなところにしか行けないが。
それでも「自分の目で見、自分の耳で聞く」。
ピーター・ドラッカー先生の言うことを実践する。

朝、一番で羽田空港国際線ターミナル。
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新装なったターミナルは気持ちいい。
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JAL081便に乗り込む。
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3時間で、上海・虹橋空港。
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タクシーで25分。
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1日駆け巡って、
夜は上海蟹を堪能。
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英気を養った。

明日からその上海報告。
ご期待いただきたい。

さて、今朝は、日経新聞のコラム『大機小機』に元気づけられた。
コラムニスト富民氏が、
「来年は日本復活の年に」と題して書く。

「今年は日本経済にとって大変厳しい年だった」
日本経済だけでなく、日本国民にとって、
本当に大変な年だった。

言わずと知れた東日本大震災。
その後遺症は津波よりもひどい原発事故、
さらに国際商品価格高騰と「超円高」、
そして金融にとって「最大のリスクはユーロ危機」。

これは、「世界景気のブレーキ」となった。

しかし、富民氏は言う。
「ユーロ圏の輸入に占める日本のシェアは2%、
南欧など重債務国の借り入れに対する比率も3%以下で、
影響は相対的に小さい」

そのうえ、「ドル安からユーロ安に流れが変わり、
円の対ドル上昇に歯止めがかかることになる」
ユーロ危機も日本にとってはデメリットばかりとは言えない。

「原発ショックの影響」こそ甚大で、
「不安心理で経済が萎縮し、先が読めない」

しかし、しかし。
「過去3回の世界の原発事故の先例を見ると、
事故直後にゼロ成長となったが、
1年後には成長路線に復帰した」

富民氏の指摘は、
「事故処理と安全対策が進めば、
やがて日本も立ち直り、
来春には明るさを取り戻すのではないか」

地震・津波への対応も、
「遅れていた大震災の復旧・復興も、
第3次補正予算の成立で本格化し、
来年度の景気を1%押し上げる計算だ」

富民氏、日本にとって明るい事象を続ける。
「再生可能エネルギー開発も急ピッチだ。
ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟もプラスに働く」

その結果、
「日本経済が元気を取り戻す環境が
次第に整ってくる」

一方、世界のリーダー国の現状。
ヨーロッパ。
「ユーロ危機で当分身動きが取れそうにない」

アメリカ。
「議会に財政を人質として取られ、
景気の二番底が懸念される」
いま、アメリカン航空の、
連邦破産法11条適用申請のニュース
が、
飛び込んできた。

さらに中国。
「対欧輸出の減少に加え、
地方財政の赤字拡大と不動産価格の下落で、
成長エンジンに黄信号が点滅している」
ここ、上海でも不動産バブル崩壊の兆し。
インド。
「貿易赤字の拡大とインフレで通貨ルピーが下落し、
失速気味だ」

では、世界のけん引役はどの国になるのか。
「欧州の信用収縮が広がれば
外資依存度の高いアジア新興国は一時的にせよ
機関車役を降りざるを得ないだろう」

そして結論。
「来年はけん引車がいなくなる中で
日本経済が久々に存在感を高め、
復活への足掛かりをつかむ年になりそうだ」

これは我々日本が世界の経済や消費の中で、
お役立ちするときがやってくることを示す。

こんなに元気がでることはない。

自分たちの役割がある。
それが増してくる。

こういったことをエネルギーに変えて、
私たちは2012年に向かう。

いい年にしたい。
痛切にそう思う。

さて福島県産の食品や農産物の販売運動が、
小売業の中で広がっていて、嬉しい。

朝日新聞も日経新聞も、
こういったニュースは積極的に報道してくれる。

イオンは29、30日に東京都内の11店で、
福島県産の新米とリンゴを販売する

自主検査で、放射性物質が機器で検出できる値よりも低いことを確認。
それを店頭でもはっきりと表示する。

イオンは他の産地の商品でも、
「放射線が検出されたら売らない」という方針だ。

イオンリテール食品商品企画本部の岡田俊美副本部長は、
朝日新聞に語る。
「福島産だから危ないとか安全とかではなく、
ほかと同じように安全な商品をお客様に買ってもらえるようにしたい」

イトーヨーカ堂も
「東北かけはしプロジェクト」を始めた。
来月7日から東北産品を応援販売する。
福島産のコメや牛肉も販売。

コメには、「郡山産」と表示している。
福島県郡山市でつくられたことがわかるような仕組み。

福島市の大波地区産のコメから
国の暫定基準値を超えるセシウムが検出された後も、
「売れ行きに特に影響はない」

通販大手のカタログハウスは8月末から、
東京・新橋の直営店で福島産野菜を売っている。
検査した放射線量の数値を店頭で紹介。
いまはリンゴやキュウリ、カブが好評だ。

担当者は「複数回訪れて購入する人もいて、
爆発的ではないにせよ安定的な売り上げになっている」
12月からはコメも売り始める。

高島屋は、「稲作名人」を歳暮で扱う。
郡山市の農家がつくったコメだが、
これまでに1袋5キロ(5565円)の高級米が235袋売れた。

「あえて、お歳暮で贈ることで、
相手も福島産を食べても大丈夫と思ってくれるのでは」
これはなんと顧客の声。

「きちんと説明すれば、
消費者は冷静に対応してくれる」

イトーヨーカ堂広報室の発言。

私たちは意志をもって、
風評被害にも立ち向かわねばならない。

凛として立つ。

世界経済に対しても、
顧客に対しても、
得体のしれない風評に対しても。

それが私たちの2012年である。

<結城義晴>

2011年11月28日(月曜日)

「大阪府市合せ」の橋下徹市長流ポピュリズムは12月商戦には凄く役立つ!

Everybody! Good Monday!
[vol48]

2011年11月の最終週、
そして今週木曜日から12月に突入。

東日本大震災が起こった年も、
あと1カ月となりました。

今年はなぜか自由律俳句を取り上げたり、
最後の最後にギターを取り出して歌ったり、
感情的な面で何かをやったり、
何かを訴えたりしがっています。

私自身が。

荒草を分け入るわが家戻れざることを予感す一時帰宅に

[原発に近い富岡町に家がある 半杭蛍子さん<朝日歌壇より>]

それらしき気温に目覚め今朝の冬
[東京都 田治 紫<朝日俳壇より>]

『AERA』12月5日号。
ブータン幸せ、大阪府市合わせ

創刊以来いまだにしつこく、ダジャレ・タイトル。
でも、今回は新聞各紙が「大阪府市合わせ」の言い回しを使った。

法政大学大学院政策創造研究科・坂本光司教授とゼミ生の研究、
「47都道府県幸福度ランキング」で、
最下位の大阪府。

その大阪府知事選挙と大阪市長選挙の同日ダブル選挙。
大阪維新の会の圧勝。
橋下徹市長と松井一郎知事が誕生し、
「大阪都構想」の実現に踏み出す。

「大阪府市合わせ」で「不幸せ」脱出。

「談志が死んだ」よりも、
頻繁に使われた。

朝日新聞『天声人語』は、釘をさす。
「小泉元首相への熱狂的な支持は、
どうやら『不毛な興奮』だったと、
後になって多くが気づいた。
似ているとされる橋下流の行方はいかに。
全国の目がそこに集まる」

日経新聞『春秋』は、もっと確信に満ちた駄目押しコメント。
「『作家だから東京へ住まなきゃならないということになるなら、作家をやめます]と言い、
『これは本音です』と駄目を押したのは司馬遼太郎である。
東京への対抗心を隠さぬこと、本音をさらけ出すことも大阪流」

「ならば小欄も、
人の心を何とも強引につかむ橋下さんへの不安を、
本音で指摘しておこう」

大阪府民、大阪市民が選んだ選択は重い。
ただしこれがポピュリズムであることは間違いない。
私もこれは指摘しておこう。

「社会不安とポピュリズムの悪循環」
それが現在の世界の「共通の病理」。
日経新聞『大機小機』のコラムニスト夢風氏に賛成する。

「経済がよくない、だから社会不安が高まる。
そこで政治はポピュリズムに走る」

「ポピュリズム」とは、
「情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、
その支持を求める手法、
あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動」

<『知恵蔵』より>

もちろん既存政党にもこれまでの現職市長にも、
大阪府市民だけでなく、国民が覚めている。

そんな時にこそ、ポピュリズムは台頭する。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験にしか学ばない」
鉄血宰相オットー・ビスマルクの言葉。

とはいっても私自身、
今年は自分にも他者にも、
感情に訴えたがっている。

そんな空気が蔓延していて、
大阪維新の会圧勝。

「全国の目がそこに集まる」

「大阪都」をまねて「中京都構想」のもとに、
愛知・大村秀章知事、名古屋・河村たかし市長も群がる。

大阪人は「不幸せ? ちゃうちゃう」と元気。
それが大いに救いであり、確かなエネルギーとなっている。

さて今週は、もう、
12月商戦に向かって、
まっしぐら。

商売やビジネスに関しては、
橋下流ポピュリズムは大いに参考にした
い。

「情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、
その支持を求める手法」
それがポピュリズム。

情緒や感情によって「購買」態度を決める顧客。
その顧客を重視し、その支持を求める手法。
これは商売そのもの。

ただしここでも、
ポピュリズム商法が蔓延してくると、
すべての基本にあるテーゼ、
例えば「損得より先に善悪を考えよう」こそ、
重大な考え方になる。

12月商戦では、
そんなことが頻繁に起こる。

さて今週の私のスケジュール。
今日は、夕方から立教大学大学院サービス・マーケティングの講義。
明日の火曜日は一番で、羽田から中国・上海へ。
水曜、木曜と上海滞在。
今回は4人+添乗員の小さなグループ視察。

金曜日は、「国民生活産業消費団体連合会」の設立総会。
略称「生団連」は重厚長大の「経団連」の対極にポジションする団体連合会。
夕方5時からその設立懇親会。

その後夕方7時から銀座で、
「大久保恒夫&結城義晴ふたりのビッグ・ショー」
今年春までNHKアナウンサーだった住吉美紀さんが総合司会
住吉さんはデュエットで歌声まで披露してくれる。

乞う、ご期待。

日経MJトップ特集は「GMS再生『聖域なし』」
ヨーカ堂、第2の業務改革。

「業務改革」に聖域はない。
あるのは「外部環境の変化に合わせて業務を見直す」こと。
まずは大久保さんが提唱している「挨拶」から。

そのうえで発注や品揃え、在庫管理を徹底して見直す。

そのために「衣料品の移動集約」の仕組みを取り入れ、
百貨店事業部からは「複販率」の指標を取り入れて改革を進める。
衣料品はバーゲンに入ると2~3割引きで販売し、
それでも売れなければ販売力のある店に移動させる、
あるいは冬物衣料ならば北の店に移動させる。

そうして売り切り、
移動させて空いたところには次の商品を早めに導入する。

「複販率」は『来店客一人あたりの平均買い上げ点数の指標」。
これらが本格的な業務改革に結びつくかどうかはわからない。

大型店はニトリや洋服の青山など、
強力なテナントを入れる。
渥美俊一先生が言い続けていた「場所貸し」の発想。

亀井淳イトーヨーカ堂社長は、
「専門店導入はケースバイケース」。
ドラッカー先生のようなことを言う。

業態&フォーマット論者の私は、
総合スーパーはまさに「ケースバイケース」でしか、
成績を確保できないと考えている。

それが本格的な業務改革なのかどうか。
12月のイトーヨーカ堂の売場にその答えが出ている。

楽しみなことばかりの12月商戦。
まずは上海視察とふたりのビッグ・ショー。

頑張ります。

みなさんも、Good Monday!

<結城義晴>

2011年11月27日(日曜日)

ジジの感謝[2011日曜版vol48]

こんにちは。
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ジジです。
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ユウキヨシハルのおとうさん、
いっちゃいました。
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トランクもって、ガイコクへ?
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ちがいます。
今週、
シャンハイにはいくらしいけど、

きょうは、たのしいゴルフ。
きのうは、大学とスタジオ。

だからボクは、
ジブンのことは、
ジブンでします。
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それができないと、
生きていけない。
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そう、ジブンで、
ごはん、たべる。
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「ウェッジ」という雑誌で、
「売れ残りペットはどこへ行く?」という特集。
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ボクたちのなかまにとっては、
おそろしいお話。
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1年に70万頭のペットが、
どこかにほうむられているそうなんです。
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ボクはしあわせです。
うまれたときは、
かあさんといっしょ。
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それからユウキ家にもらわれてきた。
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そして、とてもたいせつにしてもらった。
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歌までつくってもらった。

あんまり ひざしが まぶしくて
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あんまり せなかが やわらかくて
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ジジの目 ジジの目 黄色にとけた♪
ジジの目 ジジの目 黄色にとけた♪

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こんどのふたりのビッグ・ショーで、
うたってもらえる。

ありがとう、おとうさん。
いまは、いないけど。
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こころから、かんしゃします。
ボク、しあわせです。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2011年11月26日(土曜日)

イオン・マルナカ統合で藤本昭さん会長に就任、私はオール小売り市場連合会AKRで講演

小売り流通業界話題の企業統合&トップ人事。
マックスバリュ西日本会長の藤本昭さんが、
25日付で退任し、マルナカの代表取締役会長に就任。

マックスバリュ西日本は、
イオン・グループ最大にして、
最高利益を上げるスーパーマーケット企業。

藤本さんはそのマックスバリュ西日本の社長・会長を歴任し、
中国地方と四国瀬戸内海方面に明るい。

10月にイオン傘下に入ったマルナカと山陽マルナカの会長として、
これ以上ないといううってつけの人物。

私は昨年10月にヨーロッパで、藤本さんとご一緒した。
スーパーマーケット経営の専門家であり、
見識の高さ、経営力は定評のあるところ。

イオンの強みは、
藤本さんのような経営者群の存在にある。

マルナカの現社長・中山明憲さんは在任、
山陽マルナカは中山さんが代表権のない会長に就き、
新社長にはイオン琉球社長の栗本建三さんを迎える。

藤本、栗本両氏は常駐して、
イオン本体やマックスバリュ西日本と、
マルナカ・山陽マルナカとの連携に目を配る。

藤本さんを頂点に、
イオン傘下にある現在のマルナカは、
今後も店名や雇用体制に変化はない。

中国新聞によると、
イオン側は「両社の強みを生かし、
より満足していただける売り場づくりに励んでいく」とコメント。
マルナカは「イオングループの一員となり、
新生マルナカとして地域により貢献したい」と発言。

この件によって、イオンの売上高は、
セブン&アイ・ホールディングスを超えた。

すなわち現在の日本小売業界最大売上高企業はイオンとなった。

今朝の日経新聞『大機小機』。
「人口減少・高齢化と需給のミスマッチ」と題して、
コラムニスト希氏が書く。

「人口減少が既存産業での需要減退につながることは間違いない」

しかし、コラムニストの指摘はマイナスばかりではないという点にある。
「高齢化は新たな需要も生み出すはずである」

「現状は、その需要を生かし切れていない」

そして2つの問題点を挙げる。

第1は、「高齢化に伴い、顕著に需要が増加する分野が
公的コントロール下に置かれていることだ」

「病院の混雑ぶりや介護施設の不足をみれば、
莫大な未充足需要は明白だが、
自然に価格が上がったり、
供給が増えたりする仕組みにはなっていない」
つまり高齢化で需要が拡大する分野に、
市場原理が働いていないという指摘。

第2は「民間の努力不足」。

従来から「団塊世代の退職で巨大なシルバー市場が生まれる」との期待があった。
しかし現状は「シルバー市場は難しい」との嘆きばかり。

なぜか。
「若者は人数が減ってもマスである」
対して高齢者は、
「所得・資産・嗜好のあらゆる面で細分化されている」

「高度成長期のマス市場に慣れた企業には、
若者狙いの方が楽なのだ」

この指摘、実に鋭い。

その証拠となる現象を明らかにする。
「高齢化が進むこの国で、
街にはファストフード、ファストファッションが花盛りという奇妙な光景」

「円高などで産業空洞化を懸念する声が強いが、
人口減少社会で企業がグローバル市場に活路を求めるのは当然だ」
この見解にも私は同感。

「今求められるのは、
官民双方の工夫で内需=シルバー市場を活性化し、
空洞化を埋めていくことだろう」

まったくもって、賛成。

産業の空洞化を埋めるのが民間の仕事であるし、
小売りサービス業の役目だ。

さて昨日は、大阪。

AKR共栄会主催の第六回AKR協力会で講演。
AKR共栄会は、平成9年、
大阪市旭区小売市場連合会からスタート。
いわゆる「公設市場」の連合会。
AKRのAは旭区のA、
Kは小売り市場(Kouri-ichiba)のK、
Rは連合会(Rengokai)のK。

現在は、名称を変更し、
オール小売市場連合会(All Kouri-ichiba Rengokai)。

「共同仕入れ」「共同配送」事業によって、
市場活性化を目指す事業組織として活動している。

加盟小売り市場は、
大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県にまたがる。

AKR共栄会本部は、
店舗支援として企画提案、店舗運営の経営アドバイス、
さらに店舗視察や研修、勉強会の支援を行うが、
今回の講演はその勉強会のひとつ。
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私のタイトルは「製配販協業のマーケティング・マネジメント」
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中小の小売業連合会に、
製造業や卸売業が協力する。
すなわち製配販の協業。

そのためのマーケティング・マネジメント論。
フィリップ・コトラーは言う。
「マーケティングは個人によっても行われるが、
交換には相当量の業務と技術が必要であり、
組織体がこれを行うのが普通である。
その意味でマーケティングとは組織体のマーケティングを指しており、
そこでマーケティング・マネジメントを論じることになる」

私は製配販の協業体全体で、
「マーケティング・マネジメントを展開せよ」と訴えた。

そのためにマーケティングの定義を確認し、サービス産業化を提案し、
そのうえで、コモディティとノンコモディティの持論を展開。
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アメリカから持ち帰った「パワーレード」を掲げて、
コモディティ化現象を解説。
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最後は、ドラッカーとクリステンセンのイノベーションのすすめ。

小売業には大動脈・大静脈もあるが、
毛細血管もなければならない。

両方が必要なのだと思う。
これは私の確信。

AKR幹部の皆さんと記念写真。
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コープこうべから転籍し、
AKRの事務方を支える島本博史さん。
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イオン・マルナカの統合で、
寡占化はますます進む。

一方で、かつての公設市場も、
毛細血管としてしっかり機能している。

私が考える「自然界の森」のような小売業界になってきた。
大木も雑草も、
環境に適応できる者が生き残る。
それが産業の空洞化を埋め、
新しい産業構造を構築するに違いない。

<結城義晴>

2011年11月25日(金曜日)

[2011帰国後の米欧報告記②]英国テスコの米国版超小型店フレッシュ&イージー・エクスプレスの巻

今日の横浜は快晴。

11月下旬だというのに、
晴れやかな日が続く。

その横浜を後に、
大阪に向かう。

最近、私自身は気分爽快。
申し訳ないくらい。

4大新聞の一面コラムすべてで、
「談志が死んだ」を取り上げた。
どこかがこの回文を使うかと思ったが、
不謹慎だとの批判を恐れたか、
どこも「ダンシガシンダ」とは書かなかった。

ちなみに『談志が死んだ』は、
2003年12月に講談社から単行本として発刊されている。

それにしても一面コラム。
志の輔、談春、志らくなどなど、
弟子たちを養成したという評価をしているが、
談志自身そんなことは二の次だったと思う。

「勝手にしな!」
あの世があるなら、
そう言い放っているに違いない。

私は、談志、志ん朝、枝雀の次は、
まだ出てきていないと感じている。

こういった名人たちは、
団子状態で登場してくるのかもしれない。
団子状態で凡人が出てくるのが常だが。

さみしいことだ。
ほんとうに。

さてクリスマスまで1カ月に迫った。
私も今年、やり残したことをやり遂げねばならない。

その一つが、このブログでの、
アメリカ・ヨーロッパ報告のつづき。

今年は2月の終わりから3月にかけて、
サクラメントとサンフランシスコを訪れた。

その後、3月11日の東日本大震災
私は今でも、東北関東大震災と呼んだ方がいいと考えている。

震災のあと、5月の下旬に、
商人舎ベーシック・チーム90人とラスベガスに居座り、
そのまま次のチームを迎えて、
ラスベガスからサンフランシスコ・サクラメント。

6月はダラス、サンフランシスコ。

7月はコーネル大学ジャパンの卒業研修で、
ニューヨーク州のイサカとマンハッタン。

9月下旬から、再びダラスとサンフランシスコ。

10月中旬は、ドイツ・ケルンとフランス・パリ。

そして10月下旬に、
商人舎スペシャル編&マーチャンダイジング編で、
ダラス、ワシントンDC、ニューヨーク、
ロサンゼルス。

あ~あ、思い出しても、
疲れる。

その最後の10月のレポートが、
完結していない。

これからクリスマスまで、
[2011帰国後の米欧報告記]と題して、
とびとび連載でお届けしよう。

それが私からの皆さんへのクリスマス・プレゼント。

その第2回目となるが、今日は、
フレッシュ&イージー・エクスプレスの巻

私たちがロサンゼルス滞在中の11月2日、
ラシエネガにオープンした超小型店。
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〝Fresh&Easy Express″
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テスコがイギリスからアメリカに進出を遂げたのは、
2007年11月。
店名は「フレッシュ&イージー・ネイバーフッドマーケット」

私はちょうど㈱商業界の社長を辞したばかりで、
この時も西海岸に滞在中だった。

テスコのアメリカ進出とは妙に縁がある。

11月8日にロサンゼルスで5店舗がオープン。

私はノブ・ミゾグチさんとともに、
翌日の11月9日に3店舗を視察した。

この時、ロサンゼルス・タイムズのビジネス欄は、
「ラルフとトレーダージョーをブレンドした店」
と紹介した。

私はそれに反論。
「いや、アルディとトレーダージョーを
足して2で割った店だ」

トレーダージョーもアルディも1万スクエアフィート。約280坪。
そして品揃え限定型。いわゆるリミテッド・アソートメント。
そのうえプライベートブランド主力のフォーマット。

アルディはノンフリルの店で、
ウォルマートをしのぐハード・ディスカウンター。
レーダージョーは安全・安心、健康、環境のマーチャンダイジングを志向し、
さらにホスピタリティあふれる店になっている。

両者はドイツのアルブレヒト・ファミリー傘下の兄弟企業。

テスコのフレッシュ&イージーは、
両社の「良いとこどり」を狙ったものだった。

この時の店舗面積はいずれも、
ちょうど1万スクエアフィート(約280坪)。
品揃えは、3500SKUのリミテッドアソートメント型。
このあたりアルディ、トレーダージョーと同じ。

当初のプライベートブランド(PB)比率は、商品構成の5割。
初年度に91億ドル(9100億円)の初期投資でスタートし、
最新決算の2010年度は164店舗で
年商4億9500万ドル(495億円)

まだまだ大きな赤字。

しかし米国CEOティム・メイスンは、
「400店体制になれば損益分岐点をクリアできる」と発言。

テスコは、イギリス第1位の小売業にしてスーパーマーケット企業。
年商675億7300万ポンド(1ポンド120円で8兆1087億円)、5380店。

本国では、マーケットシェア30%の圧倒的支持をもつ。
その理由のひとつはマルチ・フォーマット戦略

テスコはイギリス本国で主に4つのフォーマットを展開している。
第一に最大のフォーマットがテスコ・エクストラ
これはハイパーマーケット(いわゆる総合スーパー)で、
平均6625㎡(2000坪)、212店。

第二がテスコ・スーパーストアで、
これが標準的なスーパーマーケット。
2780㎡(842坪)で470店。

第三がテスコ・メトロで、1081㎡(326坪)、186店。

そして第四にテスコ・エクスプレス
205㎡(62坪)で1285店。

米国のフレッシュ&イージーは、
英国におけるテスコ・メトロのサイズで、
しかもニューコンセプトが取り込まれていた。

そのメトロ規模の米国フレッシュ&イージーに今回、
エクスプレスを加えて、ダブル・フォーマット戦略となった。

そのフレッシュ&イージー・エクスプレス。
店舗面積は3000スクエアフィート(約85坪)。
2500SKU。

コンビニエンスストア型のスーパーレット(ミニスーパー)。
面積を3分の1に小型化し、品揃えを7割程度に絞り込んだ。

店舗の外側はガラス張りで見通せる。
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店外入り口のところにカート置場。
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チェックアウトは、ネイバーフッドマーケット同様にセルフレジ。
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店舗入り口から右手に青果部門がある。
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クレート陳列で、これは標準店と同じ。
日本のコンビニよりも断然品ぞろえは豊富。
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右手はパック野菜などが並ぶ。
単身者向けの品ぞろえというよりも、
オールラウンドなアソートメントで、
スーパーマーケットの代位機能を果たす。
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青果部門からリーチインケースの精肉部門へ。
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このリーチインケースが、いい。
可視率が高くて、もちろん省エネでもある。
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肉は必需アイテムが品揃えされて、
しかも鮮度が良い。
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そのつき当たり奥壁面が
「Authentic Italian」をコンセプトにしたインストアベーカリー売場。
小型店でも1日3回、インストアでパンを焼く。
右手にジャム類の関連販売。
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その左手には、パッケージド・ベーカリー。
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反対側から見たところ。その奥が駐車場になる。
フレッシュ&イージー・カラーのグリーンの什器が目立つ。
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そして奥壁面はデアリー(乳製品)売場につづく。
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ヨーグルトなどのデザート製品、卵、果汁飲料が並ぶ。
冷蔵リーチインケースの中に絞り込まれた品揃えが、
それでも主力商品は多フェーシングで陳列されていて、
見やすくて買いやすい。
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奥壁面からさらに壁面にそって続く冷蔵ケース。
牛乳コーナーからアイスクリームコーナーへ。
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これはコンビニコンセプトだが、
冷蔵販売するビールやワインの酒コーナー。
1本売りから箱売りまで充実している。
オランダビールを集めた「ダッチコーナー」など輸入ビールも豊富。
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その冷蔵ケースに続いて冷凍ケース。
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冷凍ケースでは冷凍食品、アイスクリーム、氷が売られている。
日本のコンビニよりも圧倒的にスーパーマーケットの品ぞろえ。
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レンジ対応の簡便ミール商品「eat well」 。
これもプライベートブランド。
フレッシュ&イージーはミールソリューション・アイテムの開発を、
活発に展開している。
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オーブンで焼くだけのぺペロニ。
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手羽など冷凍生肉も扱っている。

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壁面の最後は常温で販売する箱売りのビールや水。
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その横には、カフェ・コーナー。
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ホットとアイスのディスペンサーが置かれ、
右横にあるセルフ・レジで、すぐに購入できる。
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冷凍・冷蔵ケースの対面はクッキー・チョコ類の品ぞろえ。
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そのゴンドラエンドには、チョコバーやガムなどの菓子。
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そしてセルフレジがならぶ。
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セルフレジの裏側は雑誌コーナーと切り花コーナー。
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その前にある湾曲した冷蔵ケースが目を引く。
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カット野菜や成形ハンバーグが品ぞろえされた「Fresh Deals」エンド。
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そして入り口付近にデリ・コーナー。
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電子レンジ対応の豊富なプリペアードフードは、
十分にメインディッシュになる。
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パスタ、ピザメニューも充実している。
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1人用で約5ドル、ファミリー容量で15ドルの価格帯商品。
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ゴンドラアイルはシリアル、調味料、飲料など。
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青果コーナーの裏は、スナック売場。
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雑貨類も必需品に絞り込まれている。
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小型店ながらペットフードも品揃えは必需品を欠かしていない。
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カフェコーナーからみるレジ。
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レジは対面配置で5台。
もちろん、セルフチェックアウトのため、
後方にスタッフが1人ついている。
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米国フレッシュ&イージーの品揃えの絞り込みには、
英国での4ケタを超える経験が生かされている。

だから、店内で買物しても、実になめらかに回遊できるし、
不便を感じさせない。

写真を見ていただくだけでも、
この店がコンビニではなく、
立派なスーパーマーケットであることを理解いただけるだろう。
それに重要なことは、
フレッシュ&イージーのレギュラー店とエクスプレスに、
「商品とサービスの統一」が図られていること。

これは相乗効果を生み出す。

この「統一感」に関しては、本国のテスコは、
エクストラからスーパーストア、メトロ、エクスプレスまで、一貫している。

アメリカにはコンビニはあっても、
ほとんどがガソリンスタンド併設型。
日本のコンビニのような、優れて便利な業態は、
アメリカ消費社会には存在しない。

この空白マーケットをフレッシュ&イージー・エクスプレスは狙っている。

このエクスプレスの登場によって、
テスコが日本から撤退する理由も明らかとなる。

いつも言うが、
日本は異常ともいえるコンビニ発達消費社会

これは東京大学の松原源一郎教授が指摘している。

だから、テスコ・ジャパンの小型店やエクスプレスは、
長くて立派なコンビニ・チェーンの行列の一番後ろに並ばざるを得ず、
短期間ではうまくいく目途が立たなかった。

これに対して、アメリカ小売業界は、
コンビニを発祥させたという歴史を持ちながら、
そのイノベーションはストップした。

ここに本国のイギリスで大成功しているコンビニ機能を併せ持つ小型スーパーマーケットを、
しかもダブル・フォーマットでもってくるというのが、
テスコの最初からの戦略だったわけだ。

アメリカでもマルチ・フォーマット戦略を採用し始めたテスコ。
日本からはいち早く撤退を決めたが、
かの地では「成功するまでやる」に違いない。
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「成功するまでやめない」とはいっても、
当面はフレッシュ&イージー・エクスプレスの今後にかかっている。

ウォルマートは、小型店実験の「マーケット・サイド」を閉じ、
「ウォルマート・エクスプレス」というバナーの実験店を出した。
これも簡便ニーズ対応型小型フォーマットである。

ウォルマート・エクスプレスにフレッシュ&イージー・エクスプレス。
アメリカはいま「エクスプレス」ばやりで、忙しいことだ。

<結城義晴>

2011年11月24日(木曜日)

「ダンシガシンダ・談志が死んだ」と百貨店・総合スーパー・SM・コンビニ業態別10月営業概況総まとめ

「ダンシガシンダ」
回文そのままに、
談志が死んだ。

落語家の立川 談志が、
喉頭(こうとう)癌で、逝去。
享年75。

1936年(昭和11年)1月2日、東京生まれ。

独自の理論と型破りな芸風。
理論とは1965年発刊の『現代落語論』。
落語界のタブーにも踏み込んだ。

落語を落語家自身が理論化するなど、
そもそも型破りだったが、
それが生き方にも表れていた。
しかし、芸はクラシックを端正に演じた。

そして落語にイノベーションをおこした。
談志はイノベーターだった。

1966年にスタートした人気番組「笑点」の初代司会。
その切り回しと、座布団を出したり入れたりの機知は、
いま思い出しても絶品で秀逸。

その後、前田武彦、三波伸介、三遊亭圓楽、
そして現在の桂歌丸と続くが、
断然、談志が良かった。

2001年に亡くなった3代目古今亭志ん朝は、
1938年3月10日生まれ。
こちらは型破らずの名人。
「男の色気」とは志ん朝のことだった。

関西の天才・2代目桂枝雀は、
1939年(昭和14年)8月13日生まれ。
おもろい落語に徹した枝雀は1999年の3月に自殺を図り、
そのまま意識が回復することなく、
4月19日に心不全のため死去。
「おもろい」爆笑落語と自殺。
枝雀らしかった。

1936年の談志、
1938年の志ん朝、
1939年の枝雀。

みんな早世して、談志が一番長く生きたが、
それでも75歳。

私はこの3人の名人と同じ時代に生きたことを、
日本人として誇りにするものだ。

さて、今月も各小売業態の販売統計結果が
続々と発表されている。

11月18日、日本百貨店協会から発表の
「全国百貨店売上概況」

10月の売上高総額は5109億6162万円。
前年同月と比較すると、マイナス0.5%。
マイナス幅は少ないものの、これで4カ月連続。

先月、仙台地区の対前年の売上高増減率はプラマイ0と、
落ち着きを見せたかと思いきや、
今月はプラス9.7%(全店ベース)と復調。
今後、復興需要は季節の変わり目に高まるのかもしれない。

次は11月21日に、日本フランチャイズチェーン協会から、
「コンビニエンスストア統計調査月報」が発表。

店舗売上高は全店ベースで7496億8200万円。
昨年の10月売上高はたばこ増税の影響により、
6429億9300万円にとどまっていた。
その反動で、今年はプラス16.6%と大幅アップ。

来店客数はプラス6.2%(既存店ベース)、
客単価がプラス7.5%、
店舗数でもプラス1.8%(全店ベース)。

商品構成でみると、
非食品はなんと、プラス48.8%。
すべての項目で、
たばこ増税の影響の大きさがうかがえる。

11月22日、日本チェーンストア協会による、
「チェーンストア販売統計」の発表。
こちらは総合スーパーの販売データと見てよい。
協会売上高の約半分を8社の総合スーパー企業が占める。

10月の総販売額は1兆0443億5504万円で、
前年同月比(既存店ベース)はマイナス0.9%。
前月比ではプラス5.8となっている。

部門別概況をみると、
食料品は動きが鈍く、マイナス2.2%。
衣料品は秋冬物が10月上旬に好調でプラス1.2%、
住関品はストーブや電気毛布などが売れ、
プラス0.8%だった。

同じく11月22日には、
「スーパーマーケット統計調査」も発表された。
こちらの3協会の合同発表。
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10月実績の速報結果。
総売上高7989億2323万円で、
前年同月比マイナス1.3%(既存店ベース)。
食品合計が6623億7416万円のマイナス1.8%。
非食品合計が847億9462万円でプラス0.3%。

食品の部門別売上げ。
生鮮3部門は、
青果が1020億4049万円でマイナス3.3%、
水産が664億7119万円でマイナス2.4%、
畜産が789億7275万円でマイナス2.7%。

惣菜は食品の中で唯一、プラス0.5%で、
672億8092万円。
日配が1421億3463万円でマイナス2.1%、
一般食品が2054億7418万円でマイナス0.9%。

新日本スーパーマーケット協会の増井徳太郎副会長。
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「10月は25℃を越えた日が8日間もあった。
よって寒暖の差が大きく、毎週末のように雨が降った。
そのため、売場変更が思うようにいかず、
冬物商材が伸び悩んだ。」

「東日本・北日本の青果は放射能の影響で、
相変わらず値がつかず、
生鮮の仕入れが西にシフトしている。
青果は高騰し、例えば、
京都産の小松菜に1束680円の値がつくこともあった。
結果、顧客の買い控えにつながった」

「精肉は気温が高めだったこともあり、
すき焼き肉は売れず、ステーキや焼き肉材料中心に売れた」

「エリア別にみると、
関西エリアの前年同月比が既存店ベースでマイナス2.7%、
全店ベースでプラス3.5%だった。
これは集計している関西エリアの企業で、
新店オープンの動きが加速しているから」

「競合環境がますます厳しくなっている。
ディスカウントストアなどへの業態転換も目立つ。
そのため、客数は同じでも単価が下がる。
また、増税、円高、TPP問題、ヨーロッパの金融問題など、
消費者の先行き不安感が増すような要素が多い。
このような心理状況はこれからも影響してくるだろう」

今月のゲストスピーカーは、
㈱マミーマート総合企画室長の青木繁さん。
同社は埼玉を中心に展開しているスーパーマーケット。
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青木さんは先週、コーネル・ジャパンを修了したばかりの「実行の第3期生」。

「マミーマートでは2~3年前から、
従来のハイ&ロー型店舗から、
EDLP(Every Day Low Price)型店舗への転換を行っている。
昨期は16店舗を転換した。
今期も10店舗の転換を予定している。
ただし、EDLPでも、
お客さんが目的をもって来ていただける店、
Destination Store(デスティネーション・ストア)を目指している。
“より良い商品を、より安く”する仕組みづくりを行っている」

さすがにコーネル・ジャパンで勉強しただけのことはある。
いいコメント。

「差別化をはかるため、
青果では今期から契約産地の品質管理を徹底し、
専任担当を常駐させている。
最近ではロマネスコ(カリフラワーの一種)の作付を、
契約農家に依頼し、人気が高まっている」

「販売面では、“笑顔の接客”をモットーに、
従業員教育に力を入れている。
また、外部機関に依頼をし、
店舗や従業員のチェック機能も強化している」

「低価格企業としてのブラッシュ・アップは
不可欠であると考えており、
経済産業省の『生産性向上プログラム』の研修に取り組んでいる。
6店舗で実験的な改善策に取り組んでおり、
6店舗すべてで効果があがっている。
たとえば、バックルームの定位置管理の徹底、
在庫の適正化、労働時間の削減など。
労働時間に関しては1店舗、5時間の削減に成功。
この労働力をどのように活用していくか、
どのように人員配置をシフトしていくかが重要」

コーネル・ジャパン最後の講義は、
サミットでの作業システムとマンアワー・コントロール。
ここでもコーネルがらみのコメントが出てきた。

青木さんのスピーチ。
修了論文とともに、こちらも合格をつけよう。

談志が死んだ。
しかしその後を継ぐ水準の落語家は、
いまのところ見当たらない。

小売流通業界には、
後継者が続々と登場。

その意味では、心強いことだと、
結城義晴、喜んだ。

<結城義晴>

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