昨日、上海から帰国しました。
最後の夜は摂氏11度。
もちろん最後のディナーも中華料理。
鮑・アワビ。
最後といっても、
2泊3日の2泊目だけれど。
だから二夜とも中華。
上海の夜景とイルミネーションは素晴らしい。
東京や横浜、大阪も、
夜景やイルミネーションは、
良いけれど、
上海にはエネルギーがある。
自己主張が強い。
そんな上海の夜。
コーディネートしてくれたシン・チエさんも、
すばらしい。
みんな満足し、堪能して、
昨日、ホテルを後にした。
左は㈱万代副社長の山下和孝さん、
右は常務の不破栄さん。
いい旅でした。
私はまた、小売り流通に対して、
新しい理論のインスピレーションを得た。
アメリカにはいつもいつも行って、
インスピレーションを理論化するのに役立つ。
上海や中国、そしてヨーロッパは、
インスピレーションそのものを私に与えてくれる。
もちろん日本の小売業や流通業からも、
多くのインスピレーションを与えられる。
しかし来年は上海や北京、成都、大連に、
インスピレーションを仕入れに行く機会が増える。
そんな予感がする。
土地バブルは崩壊しかけているけれど、
この人間のエネルギーは、
人々にインスピレーションを与えてくれる。
さて昨日は上海のウォルマート、カルフールの紹介をした。
それを上回るハイパーマーケットがある。
それはRTマート。
フランスのオーシャンと提携していて、
台湾資本。
いま、上海を先導している小売業態は、
ハイパーマーケットたる総合スーパー。
そのハーパーマーケットで一番力があるのが、
台湾企業のRTマート。
今日はそのRTマートを分析報告しようと思っていたが、
残念ながら来週に持ち越し。
上海で一番強い小売業が台湾資本。
不思議な関係ではある。
このハイパーマーケット業態に、
日本の企業は見当たらない。
上海の日本企業では、
コンビニのファミリーマートとローソン。
そしてユニクロのファーストリテイリング。
さらにイタリアンレストランのサイゼリヤ。
総合スーパーやスーパーマーケット以外の業態では、
マーケットをリードする企業がある。
しかし上海にいると、
あらためて日本料理や日本文化が、
ひどく好まれているし、
尊敬さえされていることがわかる。
寿司、刺身、ラーメン、エトセトラエトセトラ、
それを支えるジャパン・テクノロジー。
しかしマーケットをリードする業態は、
どうだろう。
こんな感じをどこかで体験したことがある。
「デジャヴ(既視感)」
(㈱商業界刊『メッセージ』より)
「儲けよう」と思えば思うほど、儲からない。
「売ろう」 とあせればあせるほど、売れない。
逆に、お客が喜ぶことだけを考える。
夢中になって 「良い品を安く」と仕事をする。
こんなとき、驚くほど売れる。
不思議なくらいに、儲かる。
あなたには、そんな経験はなかっただろうか。
そして、そんなときには、以前に、どこかで、
同じ瞬間を味わったような気がしなかっただろうか。
デジャヴのめまいを感じなかっただろうか。
一九三〇年のマイケル・カレン。
七〇年代のハリー・B・カニンガム。
八〇年代のサム・ウオルトン。
先人の足跡を追うと必ずそんな場面が登場する。
昭和三〇年代の大高善雄。
四〇年代の中内功
その後の多くの創業者たち。
名もない商人たち。
ひるがえって、現在。
会社は大きくなった。
人も多くなった。
金のかかった店やシステムをもてるようにもなった。
そのかわりに失ったものが、ある。
今あなたは、お客が喜ぶことだけを考えているのだろうか。
夢中で「良い品を安く」と仕事をしているだろうか。
「損得より善悪を」と胸を張れるだろうか。
「儲けよう」と思えば思うほど儲からないし、
「売ろう」とあせればあせるほど売れない。
デジャヴのめまいは、
先人と志を同じくするところにしか生まれないのである。
今回の上海では、
台湾企業の経営力と、
日本文化の優秀性を感じ取った。
これもインスピレーション。
どこかで得た「デジャブ」に近い感覚。
インスピレーションを得ることを、
「気づき」といたりするが、
それは違う。
インスピレーションはやがて理論化が待っている。
そうならねば単なるもうけ主義だ。
儲けるための気づきと、
理論化のためのインスピレーションは異なる。
そのことを私は今回、
短い上海旅行の既視感のような感覚の中から、
学んだ。
これは大きな収穫だった。
<結城義晴>