結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年12月08日(木曜日)

イトーヨーカ堂「キャッシュバックセール」廃止/万代の今年度新店

日経新聞の『会社研究』で、
セブン&アイ・ホールディングスが取り上げられた。
その(上)は 「ヨーカ堂改革、背水の陣」

イトーヨーカ堂社長の亀井淳さんは、
日経新聞夕刊の『人間発見』にも今週、連載で登場していて、
いい話をしている。

ショッピングセンター開発を担当している当時、
「大型SCには高齢者らがゆったりと過ごせる休憩所を設ける」。

「明るくきれいなトイレ作りにも力を入れてきました。
買い物が現実の世界だとすると、
トイレは利用者がほっとできる、ある意味で非現実の世界」

亀井さんの視点は正しい。

けれども総合スーパー業態は「回復途上」。
「セブン&アイ・ホールディングスの連結経常利益が2012年2月期、
17%増の2840億円と最高益を更新する」

ただし、これはセブン-イレブンのおかげ。
イトーヨーカ堂は足を引っ張っている。

ここで重要な改革。
「キャッシュバックセール」の廃止。
昨年12月を最後に同セールをやめた。

「レシートをみせれば最大で20%程度を返金するこの手法は、
簡単に売り上げが作れて予算達成に役立つ半面、
利益はついてこない」

「かかるコストは年間50億円程度とみられるが、
副作用はそれ以上に大きい『麻薬』」。

ポイントセールの5倍増、10倍増なども、
同じく小売業にとっての『麻薬』。

それを止めた。
「売り上げはすべてを癒やす」
この「業界の呪縛からの脱却」である。

「危機感から部門横断的に約50人の緊急対策チームを組成」
そのチームでの激論の末の結論。

「今年上期、ヨーカ堂は60億円の営業黒字に浮上。
売上高が減る一方で、
粗利益率が約30%と1.4ポイントも改善した」

ただしこれも『麻薬』をやめただけ。
記事では「収益構造改革はまだ『5合目』」と指摘する。

本格回復は「祖業」の衣料品改革。
しかしこれとても、いまだ迷走。

亀井さんは「生ぬるい商売はしない」と、
背水の陣を敷いた。

「我々はまだ過去の成功体験に縛られている」
これは鈴木敏文会長の言。

イトーヨーカ堂の本格改革は、
これから。

私は業態論とフォーマット論でも、
イトーヨーカ堂のコンセプトが問い直されていると考えるが、
いかがだろうか。

さて、昨日は大阪での2日目。
㈱万代の新店を視察した。
朝から兵庫県の伊丹荒牧店へ。
今年9月オープン。
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2階にしまむら、1階にセガミ・ドラッグ、
駐車場の反対側に西松屋などを誘致し、
万代は600坪とたっぷり売場をとった意欲店舗。
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しまむらと万代のマッチングがいい。

入り口では、いちご1パック398円が大々的にアピール。
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万代は1品1品が魅力的な商品。
ダイコンとネギ。
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鮮魚部門ではよこわの販売。
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パック商品の商品化も的確。
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この時期はとらフグとあんこう。
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そして天然真鯛598円。
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個食なべ物用セット2パックで698円。
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次々にお買い得単品が続く。
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豚ロースしゃぶしゃぶ用138円。
このボリューム。
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豚もも切り落としは100グラム98円。
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ひき肉売り場のボリューム陳列。
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国産若鶏モモ肉。
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安くて、味が良くて、鮮度が良くて、たっぷり。

鍋用豆腐、絹あげ、うすあげのエンド平台。
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惣菜部門の煮物。
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米飯売り場。
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寿司カテゴリーに一人、
米飯カテゴリーに一人、
こういった分担でバイヤーが担当している。

揚げ物売り場。
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カキフライ298円。
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本当に1品1品に魅力がある。

スープバーと実際に手で握ったおにぎり。
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菓子パンの98円均一と88円均一のアイランド売り場。
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カテゴリーごとに、
1品ごとに、
力のこもった開発や仕入れが行なわれ、
商品化が展開されている。

万代の売り場には、
その単品の力とカテゴリーの魅力がある。
左から吉川英樹惣菜部マネジャー。
圓石一治店長、
東本明店次長、
黒田久徳デイリー部マネジャー。
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一気に初年度で36億円の年商を上げる勢いで推移。
凄い店だ。

次に、宝塚中筋店。
荒牧店から直線で10分ほどの約300坪。
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300坪で改装を施し、
20億円を売り上げる。

こちらは「べたべた」の万代スタイルの店。
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中ノ忠敏店長をかこんで、激励。
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最後に、12月にオープンしたばかりの中小阪店。
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入り口や出口あたりにお祝いのランの花が並ぶ。
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御堂宏司店長を囲んで、笑顔。
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入り口の青果部門からして気合が入っているが、
「万代のイメージを一新」。
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要は洗練された店。

しかしオープニングセールはすごいインパクト。
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その一例。
バターロール105円。
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ドラッグ部門を導入した。
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万代は100坪から300坪、600坪まで、
いわばマルチ・フォーマットのような展開。
148店舗。

ただしそれはすべて、
一貫したマーチャンダイジング。
4つのフォーマットで、
統一したライフスタイル提案をするテスコと同じ。

だから、迷いはない。

商品部も店舗も、スーパーバイザーも、
全社挙げて、50周年の3000億円に向けてまい進中。

2012年は日本全体にとっても「復活の年」だが、
ここで「迷いない」方針と仕事の実現が、
一番重要となる。

日本国も迷いなく、
全国民あげて一心に突き進みたいものだ。

<結城義晴>

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