日経新聞コラム『大機小機』。
「ポピュリズムの季節が来る」のタイトル。
「来る2012年は、
世界のあちこちで
トップが交代期を迎える」
その結果、各国に共通の現象が強まる。
「国民の目先のニーズを重視するポピュリズムの傾向」
だから「内政重視に終始する」との予想。
まず3月には、ロシアの「プーチン大統領復帰」。
秋には、米国の「オバマ大統領が国民の審判を受ける」。
中国では、「胡錦濤氏から習近平氏へのバトンタッチが予定」。
その結果、「ポピュリズムの季節到来」。
「ポピュリズム」とは、
「情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、
その支持を求める手法、
あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動」
<『知恵蔵』より>
そして2012年は、
「多くの国で、グローバリゼーションの揺り戻し現象」が強まる。
ここでコラムニスト一礫氏は、
渋沢栄一を引き合いに出す。
平成20年、
㈱ヤオコー会長の川野幸夫さんが、
渋沢栄一賞を受賞して、
ご自身、「一番うれしい賞」だったというが、渋沢は、
「外国から取り入れた資本主義を
わが国の風土に根づかせるべく、
日本的価値を付加した」
いわゆる「論語算盤の経営哲学」
日本の小売業・サービス業の成長の歴史は、
まさにこれだった。
セブン‐イレブンがその典型。
ダイエーもイトーヨーカ堂も、イオンも、
ヨークベニマルも関西スーパーもサミットも、
ライフコーポレーションもヤオコーも。
ユニクロもしまむらも。
渋沢は、その中で強調した。
「公利と道理は欠くべからざるもの」
渋沢が残した言葉。
「道理に伴って事をなす者は必ず栄え、
道理にもとって事を計る者は必ず滅ぶ」
倉本長治は、きっぱり。
「損得より先に善悪を考えよう」
年の瀬が迫るにしたがって、
毎年、この気持ちが強まる。
日経MJ 「1000人の家計簿」に、
「正月の出費・消費」が出ている。
11月25日から27日の3日間、
マクロウミルが20~60代の男女1000人に、
インターネット調査で回答を得た。
まず「お年玉」。
渡す人は57.4%。
その金額は「1万~3万円未満」が44.1%。
「1万円未満」が34.1%、
「3万円~5万円未満」が15.7%。
ここまでで9割を超えた。
昨日のデニーズの大久保恒夫さんの発言のように、
外食費などと同様に、お年玉も割安になってきた。
この割安感は、すべてにわたって、
「値ごろ感」とつながってくる。
ただしこのアンケートで分かったこと。
今年のお年玉、
「増やす」が「減らす」を大幅に上回った。
割安感が蔓延する中で「増やす」と、
喜ばれる。
大久保さんの認識と、同期してくる。
「700円から800円の価格帯で、
品質を上げるとPRしなくても売れる」
「初売り」に関しては、
「行かないつもり」が38.0%、
「行くつもり」の17.1%。
「行かない」が「行く」の2倍。
私も、行かない。
買いには。
見には、行くが。
初売りはどんな業態の店に行くか。
百貨店、ショッピングセンター、
ファッション・専門店ビル。
そして総合スーパー。
さらにアウトレットモール、家電専門店、
つまりディスカウント型。
大阪の㈱万代は三ガ日、営業を休む。
スーパーマーケットはそれも、大いに良し。
大晦日まで一所懸命に売りまくって、
正月元旦、二日、三日まで、
社長からパートタイマーまで、
完全に休む。
もちろん、元旦から店を開ける業態や会社、
二日や三日から初売りをする業態や会社。
それぞれ、自分の方針を貫くのがよろしい。
かつてのイトーヨーカ堂グループ。
グループ会社ごとに、面白い現象が生まれた。
元旦に一番活躍したのが、
24時間365日の業態コンビニのセブン‐イレブンだった。
二日はおせち料理に飽きた顧客に、
ファミレスのデニーズが、喜ばれた。
三日はお年玉で買い物に来る顧客に、
百貨店のロビンソンや、
ディスカウントストアのダイクマが、
大歓迎された。
そして総合スーパーのイトーヨーカ堂が四日あたり。
スーパーマーケットは、
一番日常生活に密着しているから、
最後に五日くらいから売れ始めた。
ヨークベニマルやヨークマート。
業態ごとの役割が、
正月明けのエンジンのかかり方と、
連動していた。
いまは全業態が元旦を目指して、
店を開けてくる傾向が強まった。
これはポピュリズムとは違う。
あなたの会社はどういう考え方で、
どういう正月の営業方針を出しているのか。
自分の在り方が、明快であれば、
それでいいと、私は思う。
ただし、一つ注文。
経営者やリーダーは、
働く人々の気持ちを、
よく考えるべきだ。
正月手当をもらって、
働くのがいい人もいるだろう。
いや正月は、家族とゆっくり迎えたい、
という人もいるだろう。
もちろんここでも、
警察官や消防士、
入院患者を持つ病院の医者や看護師は、
正月も何もない。
小売業やサービス業にも、
こんな職業と同じ業態や企業はある。
ここで、読者への質問。
正月元旦営業の考え方にも関連してくる問題だ。
今日のダイナム・ジャパン・ホールディングス事業報告会で、
社長の佐藤洋治さんが幹部に対して質問した
「賃金と人件費のそれぞれの定義を述べよ」。
みなさんにはこたえられるか。
佐藤さんは、何人かを指名した。
めいめいがそれぞれに、
一生懸命に答えた。
それぞれにいい回答だった。
賃金とは、
「雇用契約における労働の対価として、
使用者(雇用主)が労働者に支払うすべてのもの」
人件費は、
「従業員を雇用することによって発生する費用」
これは辞書に書いてある。
「では、経営するマネジメントとして、
賃金と人件費をどうしたいか?
上げたいか、下げたいか?」
このブログの読者にも質問しよう。
「賃金は上げるのがいいか、下げるのがいいか、
どうするのがいいか?
人件費は上げるのか、下げるのか、
どうするのがいいか?」
経営者も幹部も、
店長もバイヤーも。
答えなくともよいから、
考えてほしい。
ついでにコンサルタントも、
ジャーナリストも。
答えは明日、公開しよう。
乞う! ご期待。
<結城義晴>