Merry Christmas!
立教大学正門の言葉。
外側からは、St.Paul’s Christmas
2011クリスマス・イブです。
「しかし、やって来たのは、
サンタならぬカンパ」
いつでも君のそばによろこびが
いつでも君のそばにしあわせが
あるように♪
山崎眞幹作詞・作曲「祈り」。
今年はとりわけ、
そう、思う。
小さな喜び
ささやかな幸せ
明日への希望
これは結城義晴作。
私はクリスマス・イブの日に、
朝から、結城ゼミ。
現役の7人のゼミ生が集合して、
3週間後に迫った修士論文・調査研究レポートの仕上げ。
キャンパスでは、冬の木々が語りあっている。
穏やかな12月24日、土曜日。
ビジネスデザイン研究科は、
社会人MBAの大学院。
馴染みのない人には、
なんだか遠いところのように感じられるかもしれないが、
まったくそんなことはない。
小売りの仕事、メーカーの仕事、
サービス業の仕事、
インターネット・ビジネスの仕事。
そんな仕事に邁進する社会人が、
自分の仕事を人一倍こなし、
時間のやりくりをして修士課程を学ぶ。
実際に私のゼミからは、
イオンやマルエツ、
マクドナルドやドラッグストアの幹部、社員が、
修士をとって卒業していった。
みな、社会人経験を積んだうえで、
最新のマネジメントやマーケティングの体系を学んだ。
どれほど自分の人生に役に立ったか。
私はそんなナレッジ・マーチャントに助力する。
嬉しい役目だし、
遣り甲斐のある仕事だ。
さて昨日は、夕方に、
㈱ライフコーポレーション東京本社に並木利明常務を訪問。
国民生活産業・消費者団体連合会がこの12月2日に発足。
その「生団連」の来春の取り組みについての相談。
左は、広報部兼社会・環境推進担当課長の金子和夫さん、
私の隣は並木常務、
その隣は、清水信次会長秘書で「生団連」設立準備室の鶴巻積さん、
秘書室兼広報部課長代理の細野真梨子さん。
東京本社に隣接する神田和泉町店に立ち寄った。
1階が駐車場、2・3階が店舗の2層タイプ。
よくできた店だ。
声掛けがしっかりしていて、
活気があり、繁盛している。
Life Style Supermarket。
この名に負けない店になってきた。
ネットスーパーの会員も募集中。
ライフの店舗の底力が上がっている。
岩崎高治社長や並木常務の苦労が実ってきた。
もちろん現場の皆さんの奮闘が、
その第一の原動力だ。
さて、シンポジウム「問われる成人力」が、
日経新聞の特集で取り上げられた。
文字・活字文化推進機構と日本経済新聞社の共催。
「成人力」――いったい何のことか。
作家の浅田次郎さんは、定義する。
「人間の力をすべて総合した人間的な成熟度」
「知識力とか、判断力とか、教養とか、
大人としての実力だと思う」
「昔風の言い方をすれば、
『この人は人物だな』という人がいる。
そんなふうに思わせる人は、
成人力にすぐれた人ではないかと思う」
作家の言い方、モノ言い。
わかったようでわかりにくい。
文化庁長官の近藤誠一さん。
経済協力開発機構(OECD)が「国際成人力調査」を始めた。
ここで使われた「成人力」は、アングロサクソンの経済学者的な発想。
「企業などで必要な知識を素早く吸収し、
それを応用してビジネスに役立てる、
自分自身の社会的な市場価値を上げるのに役立てる、
問題に直面したら手際よく片づける問題処理能力、そういうもの」
近藤さんはもう一つ日本的な捉え方も提起する。
「数字では測れない
その人が持っている総合的な魅力や知恵だ」
「物事を処理していく上で、周りのことも考え、
周りの人と連帯しながら問題をなるべく摩擦少なく解決していく。
より社会的・グループ思考的な視野に立って
物を判断し、行動し、意見を言い、
リーダーシップを発揮できる人」
これは、いい見解。
三井物産㈱代表取締役の雑賀大介さん。
「私は一言で言うと、
人のせいにしないということではないかと思う」
このシンポジウムの基調講演。
浅田次郎さんが皮肉たっぷりに語る。
タイトルは「明治維新を支えた識字率」
江戸時代、読み書きのできる日本人が多かった。
現在は「識字率」といって、その反対語の「文盲率」は使わない。
「教養度が高かった明治時代に比べると、
近ごろ日本人が少しずつ
子どもっぽくなった気がする」
私は「気がする」という言い方、大嫌い。
主観的だし、無責任。
次郎さんは、気がする根拠を上げる。
「定年の延長で社会的寿命が一気に延びた。
医療や福祉が充実して身体的寿命も延びた。
このことで人生が引っ張られて延びた」
「すると自然に人間が昔より
若くなったということではないか」
「若くなると良いこともあるけれども、
悪いこともずいぶんある」
「若返るというのは、
いい方を変えればバカになるということでもある」
このあたりは、作家的。
若返って、バカになる。
浅田次郎、
私より一つ上の還暦。
あなたも、私も、
若返っている。
一転、同じく日経新聞の記事。
「小売り各社、おせちの予約好調」
「軒並み前年を上回っている」という明るそうなニュース。
それも「特に高価な商品に人気」が集中とか。
実態はどうなっているのか。
まず、イトーヨーカ堂。
「金額ベースで前年比3割増」
しかも「4万円の商品の予約が2~3割増」
イオンリテールは、金額ベースで2割増。
高島屋では、20日までの予約件数は前年比7%増。
「大人数でも食べられる3段重を中心に人気が高い」
伊勢丹新宿本店は10%増の予約。
生活協同組合のユーコープ事業連合は、
22日までの予約が1割増。
「家族向けの1万5000~2万円程度の商品が売れ筋」
コンビニのローソンは、
なんと前年比6割増の予約件数。。
「売れ筋は和・洋・中が1段ずつ入った3段重(1万7300円)だが、
限定500個の3万円のおせちはすでに売り切れた」
私の個人的なネットワークでは、
セブン-イレブンのおせちの評価が高い。
私は食べていないけれど。
記事の結論は、やはり震災の影響。
「正月を家族や親類などで過ごそうとする傾向」の強まり。
広告代理店的なトレンドで言えば、
「絆と巣篭り」消費。
しかし、まず二つの事実。
第1に、業態ごとに
売れ筋の価格帯が異なる。
第2に、業態ごとに
高額品の価格帯が違う。
従って第3に、
スーパーマーケット・コンビニの高額帯と、
百貨店の売れ筋価格帯が重なる。
総合スーパーは両社と重なる。
厳密に言えば、スーパーマーケットには、
ディスカウント型とノンコモディティ型があり、
後者はコンビニと重なる。
ノンコモディティ型はデパ地下の売れ筋と競合することになるが、
それならば一般に生活圏に立地するだけに、こちらが強い。
勢い百貨店は高額品で圧倒的なバリューを必要とし、
それがかなえば売れ筋も売れる。
第4に、全体に、
同品質同価格のユニット当たり価格を見ると、
例年よりも確実に安くなっている。
第5に、家族で楽しむ、親類も加わって食事する、
仲間やグループで食べるとなると、
総量は飛躍的に増える。
だから第6に、高額品が売れる。
第7に、予約販売が増える。
それが、今年のおせちの傾向。
クリスマス・イブにおせちを考察する。
これは「成人力」を養うことの一部?
「知識商人」ならば、
確実に大切なテーマではある。
では、知識商人のみなさん。
Merry Christmas!
<結城義晴>