結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年12月24日(土曜日)

「成人力」シンポジウムの浅田次郎の「若返ったバカ」発言と「おせち予約好調&高額化」の根本理由

Merry Christmas!
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立教大学正門の言葉。

外側からは、St.Paul’s Christmas
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2011クリスマス・イブです。

しかし、やって来たのは、
サンタならぬカンパ」

いつでも君のそばによろこびが
いつでも君のそばにしあわせが
あるように

山崎眞幹作詞・作曲「祈り」。

今年はとりわけ、
そう、思う。

小さな喜び
ささやかな幸せ
明日への希望

これは結城義晴作。

私はクリスマス・イブの日に、
朝から、結城ゼミ。
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現役の7人のゼミ生が集合して、
3週間後に迫った修士論文・調査研究レポートの仕上げ。

キャンパスでは、冬の木々が語りあっている。
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穏やかな12月24日、土曜日。

ビジネスデザイン研究科は、
社会人MBAの大学院。

馴染みのない人には、
なんだか遠いところのように感じられるかもしれないが、
まったくそんなことはない。

小売りの仕事、メーカーの仕事、
サービス業の仕事、
インターネット・ビジネスの仕事。

そんな仕事に邁進する社会人が、
自分の仕事を人一倍こなし、
時間のやりくりをして修士課程を学ぶ。

実際に私のゼミからは、
イオンやマルエツ、
マクドナルドやドラッグストアの幹部、社員が、
修士をとって卒業していった。

みな、社会人経験を積んだうえで、
最新のマネジメントやマーケティングの体系を学んだ。
どれほど自分の人生に役に立ったか。

私はそんなナレッジ・マーチャントに助力する。
嬉しい役目だし、
遣り甲斐のある仕事だ。

さて昨日は、夕方に、
㈱ライフコーポレーション東京本社に並木利明常務を訪問。
国民生活産業・消費者団体連合会がこの12月2日に発足。
その「生団連」の来春の取り組みについての相談。
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左は、広報部兼社会・環境推進担当課長の金子和夫さん、
私の隣は並木常務、
その隣は、清水信次会長秘書で「生団連」設立準備室の鶴巻積さん、
秘書室兼広報部課長代理の細野真梨子さん。

東京本社に隣接する神田和泉町店に立ち寄った。
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1階が駐車場、2・3階が店舗の2層タイプ。
よくできた店だ。
声掛けがしっかりしていて、
活気があり、繁盛している。
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Life Style Supermarket。
この名に負けない店になってきた。
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ネットスーパーの会員も募集中。
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ライフの店舗の底力が上がっている。
岩崎高治社長や並木常務の苦労が実ってきた。
もちろん現場の皆さんの奮闘が、
その第一の原動力だ。
さて、シンポジウム「問われる成人力」が、
日経新聞の特集で取り上げられた。
文字・活字文化推進機構と日本経済新聞社の共催。

「成人力」――いったい何のことか。
作家の浅田次郎さんは、定義する。
「人間の力をすべて総合した人間的な成熟度」
「知識力とか、判断力とか、教養とか、
大人としての実力だと思う」

「昔風の言い方をすれば、
『この人は人物だな』という人がいる。
そんなふうに思わせる人は、
成人力にすぐれた人ではないかと思う」

作家の言い方、モノ言い。
わかったようでわかりにくい。

文化庁長官の近藤誠一さん。
経済協力開発機構(OECD)が「国際成人力調査」を始めた。

ここで使われた「成人力」は、アングロサクソンの経済学者的な発想。
「企業などで必要な知識を素早く吸収し、
それを応用してビジネスに役立てる、
自分自身の社会的な市場価値を上げるのに役立てる、
問題に直面したら手際よく片づける問題処理能力、そういうもの」

近藤さんはもう一つ日本的な捉え方も提起する。
「数字では測れない
その人が持っている総合的な魅力や知恵だ」

「物事を処理していく上で、周りのことも考え、
周りの人と連帯しながら問題をなるべく摩擦少なく解決していく。
より社会的・グループ思考的な視野に立って
物を判断し、行動し、意見を言い、
リーダーシップを発揮できる人」

これは、いい見解。

三井物産㈱代表取締役の雑賀大介さん。 
「私は一言で言うと、
人のせいにしないということではないかと思う」

このシンポジウムの基調講演。
浅田次郎さんが皮肉たっぷりに語る。
タイトルは「明治維新を支えた識字率」

江戸時代、読み書きのできる日本人が多かった。
現在は「識字率」といって、その反対語の「文盲率」は使わない。
「教養度が高かった明治時代に比べると、
近ごろ日本人が少しずつ
子どもっぽくなった気がする」

私は「気がする」という言い方、大嫌い。
主観的だし、無責任。

次郎さんは、気がする根拠を上げる。
「定年の延長で社会的寿命が一気に延びた。
医療や福祉が充実して身体的寿命も延びた。
このことで人生が引っ張られて延びた」

「すると自然に人間が昔より
若くなったということではないか」

「若くなると良いこともあるけれども、
悪いこともずいぶんある」

「若返るというのは、
いい方を変えればバカになるということでもある」
このあたりは、作家的。

若返って、バカになる。

浅田次郎、
私より一つ上の還暦。

あなたも、私も、
若返っている。

一転、同じく日経新聞の記事。
「小売り各社、おせちの予約好調」

「軒並み前年を上回っている」という明るそうなニュース。
それも「特に高価な商品に人気」が集中とか。
実態はどうなっているのか。

まず、イトーヨーカ堂。
「金額ベースで前年比3割増」
しかも「4万円の商品の予約が2~3割増」

イオンリテールは、金額ベースで2割増。

高島屋では、20日までの予約件数は前年比7%増。
「大人数でも食べられる3段重を中心に人気が高い」

伊勢丹新宿本店は10%増の予約。

生活協同組合のユーコープ事業連合は、
22日までの予約が1割増。
「家族向けの1万5000~2万円程度の商品が売れ筋」

コンビニのローソンは、
なんと前年比6割増の予約件数。。
「売れ筋は和・洋・中が1段ずつ入った3段重(1万7300円)だが、
限定500個の3万円のおせちはすでに売り切れた」

私の個人的なネットワークでは、
セブン-イレブンのおせちの評価が高い。
私は食べていないけれど。

記事の結論は、やはり震災の影響。
「正月を家族や親類などで過ごそうとする傾向」の強まり。

広告代理店的なトレンドで言えば、
「絆と巣篭り」消費。

しかし、まず二つの事実。
第1に、業態ごとに
売れ筋の価格帯が異なる。

第2に、業態ごとに
高額品の価格帯が違う。

従って第3に、
スーパーマーケット・コンビニの高額帯と、
百貨店の売れ筋価格帯が重なる。

総合スーパーは両社と重なる。

厳密に言えば、スーパーマーケットには、
ディスカウント型とノンコモディティ型があり、
後者はコンビニと重なる。

ノンコモディティ型はデパ地下の売れ筋と競合することになるが、
それならば一般に生活圏に立地するだけに、こちらが強い。
勢い百貨店は高額品で圧倒的なバリューを必要とし、
それがかなえば売れ筋も売れる。

第4に、全体に、
同品質同価格のユニット当たり価格を見ると、
例年よりも確実に安くなっている。

第5に、家族で楽しむ、親類も加わって食事する、
仲間やグループで食べるとなると、
総量は飛躍的に増える。

だから第6に、高額品が売れる。
第7に、予約販売が増える。

それが、今年のおせちの傾向。

クリスマス・イブにおせちを考察する。

これは「成人力」を養うことの一部?

「知識商人」ならば、
確実に大切なテーマではある。

では、知識商人のみなさん。
Merry Christmas!

<結城義晴>

2011年12月23日(金曜日)

「左翼vs右翼」ではなく「グローバリストvsローカリスト」

天皇誕生日の祭日。
今上天皇は今日で78歳。

明後日は、2000年の昔、
イエス・キリストが誕生した日とされる。

この三連休は、
誕生日に絡む。

おめでたい日々と、
認識しておきたい。

この三連休は、
クリスマス商戦の「ギリギリ消費」。

世間は淡々と進んでいる。
それも「ギリギリ」の前哨戦。

必ず、最後に、
爆発する。

準備は、OK?

さて、日経新聞『大機小機』が面白い。
コラムニスト手毬氏が、
「左翼はどこへ行った」を書く。

「左翼・右翼」は、
「フランス革命期の議会で、
議長の左手に急進派、右手に保守派が陣取ったことに始まる」

左側に陣取った左翼が急進派、革新派。
フランス語でgauche(ゴーシュ)。

「先ごろ来日した欧州のさる国の閣僚の話」を紹介。
「欧州では左翼、右翼という政治区分は時代遅れで、
『ローカリスト』と『グローバリスト』という分け方が
現実に近い」

「地元主義者」と「地球主義者」とコラムニストは訳す。

「前者は反EU(欧州連合)、
反ユーロ、反グローバル化、反移民を唱え、
後者はその逆になる」

なるほど、納得。

「日本でも、環太平洋経済連携協定(TPP)への賛否の分布は、
右、左では割り切れない。
グローバリスト対ローカリストの方が納得する」

「ローカリストは、
郷土や母国の伝統や歴史にこだわる」

小売流通企業もサービス企業も、
グローバリストとローカリストに分けられよう。
私はいつも、そのことを考えている。

しかし、何でも、
二律背反でものを考えるべきではない。

「右翼vs左翼」で、
はっきりと分けられる時代ではないと同時に、
グローバリストvsローカリストには、
「グローカリスト」という造語がある。

商売人はやはり「グローカリスト」でなければと思う。

もうひとつ日経新聞に、
カルロス・ゴーン日産社長登場。57歳
日産がフランスの仏ルノー傘下に入ったのが1999年、
その時、COO(最高執行責任者)に就任。
2001年からCEO(社長兼最高経営責任者)。
現在は親会社ルノーの会長兼CEOでもある。

まず、東日本大震災を語る。
「震災の爪痕は大きかったが、
回復も早かった」

「今回の復興を見て、
なぜ日本が世界3位の経済大国なのか、
私個人も納得できた気がする」

「人々は規律を守り、
コミュニティー(共同体)のために
献身的に努力する。
お世辞ではなく、
日本のパワーを世界に示したと思う」

この日本のパワーは、
私たち自身、もっと、つよく、
自覚したほうがいい。

ヨーロッパ危機についてもコメント。
「欧州が最大のリスク要因であることは間違いないが、
他の地域は意外に明るいのではないか。
欧州が世界に悪影響を与えるというよりも、
そこだけがマイナスで他から取り残されるというイメージだ」

「日本や米国は一定のカーブで回復し、
新興国市場も伸びる」

2012年を、ゴーン流に一言で表現。
『モデレート・グロース』の年になる」
モデレートを日経は「そこそこの」と訳したが、
「穏やかな、緩やかな」といった意味。
グロースは「成長」。

ゲームに勝つには。
「現場力や品質管理などに強みがある日本企業に必要なのは
人材や考え方のダイバーシティ(多様性)だ」

「新市場を現地のパートナーと協力しながら開拓する」

ここで、「相手から学び、こちらも教える」
これは学校の先生や大学・大学院の教授の心構えに通じる。

「成功体験に固執するのは良くない」
セブン&アイ・ホールディングス鈴木敏文さんの持論。

「組織のなかに多様性を定着させることが、
日本企業や日本社会の課題ではないか」
このあたりファーストリテイリング柳井正さんと同意見。

なんだかカルロス・ゴーン、
日本人になってきた気がする。

しかし、
「2012年はモデレート・グロース」
その通りだと思う。

さて、昨日は午前中に、
㈱商人舎顧問税理士の山崎香織さんが、
事務所にやってきてくれた。
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来年1月末の期末に向け、
第4期の決算概況の確認。

今年もおかげさまで、
健全経営には太鼓判をいただきました。

午後は、港区の機械振興会館へ。
社団法人流通問題研究協会主催のBBP会に参加。
Business Plan Presentの略。
今年で3回目の会。

新しい人脈づくり、ビジネスのきっかけをつくろうと、
現協会会長の玉生弘昌さんが考えた。

第一部は、講演会。
今年は樋口久子さんによる「私のゴルフ人生」。
(社)日本女子プロゴルフ協会相談役・前協会長。

残念ながら私は仕事に追われ、聞けなかった。
楽しみにしていたので、残念。

「超一流の人の話はさすがにいい」
との声、しきり。

第二部は、懇親会。
私はこの懇親会から参加。
懇親会場は、5階の倶楽部ロビー。
大きな窓ガラスから、港区の冬景色が見える。
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はじめに主催の玉生弘昌会長のあいさつ。
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参加者を代表し乾杯のあいさつは、
一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会会長の小川修司さん。
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このBPP会は、その名の通り、プレゼント交換会が目玉イベント。
全員が、おもちゃのパターゴルフでプレゼント獲得を競い合った。

私も、上着を脱いで、挑戦。
残念ながら、スライスラインを読みすぎて、
外してしまったが。
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この日最大のプレゼント品は、
10万円相当のザッキのリトグラフ。
全員じゃんけんで、見事勝ち抜き、絵をゲットしたのは、
㈱シアンス・アール社長の平岡秀一さん。
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これは大いに盛り上がった。

懇親会には、流通問題研究協会の会員企業メンバーや、
玉生さんが懇意にしている気の置けない人々が集まった。

全日本食品㈱社長の齋藤充弘さんと、
㈱サンライズ社長の福寺誠一さん(左)。
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日本製粉㈱執行役員営業企画部長の内田宗司さんとは、
この間、よくご一緒する。
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日経MJデスクの白鳥和生さんは今回、初参加。
白鳥さんのジャーナリストとしての志や見識を、
私は大いに買っている。
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そのうえ日経新聞のなかでは珍しく、
小売流通業・サービス業に愛着を持っていてくれる。
だから、情報交換をすると話は盛り上がる。

そして最後に、
協会相談役・前会長の三浦功先生、
玉生会長と3人で写真。
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中締めは協会副会長の齋藤充弘さん。
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とてもいい会だった、
玉生さんの人柄そのものの、
温かくてフランクなパーティだった。

事務局を務めてくれた㈱プラネットの社員の皆さんにも感謝。

それにしても、あのリトグラフはすばらしかった。
私は近くによって、まじまじと見てきた。
パターも外したが、じゃんけんも弱い。
勝負ごとには、2011年、
まったくついていなかった。

玉生さんのようにホールインワンもなかったし。

モデレート・グロースの2012年も、
ホールインワンはなさそうだ。

みなさんも、良い連休を。

<結城義晴>

2011年12月22日(木曜日)

経営数値「上げるもの・下げるもの・変えないもの」と百貨店・総合スーパー・コンビニ・食品スーパー11月実績

今日は冬至(とうじ)。

1年を4つに分けると、
今日の正反対の日が夏至(げし)。

その中間に秋分があり、
秋分の真反対が春分。

冬至は一番、昼が短く、夜が長いとき。
そして、寒いとき。

ほんとうに寒いのは、
冬至から約30日後の大寒。

冬至には柚子湯に入り、南瓜を食す。
小豆と米でつくる冬至粥もいただく。
私はあまりおかゆは食べないが、
柚子湯は大好きだ。

そしてこの冬至に使われる四字熟語。
「一陽来復」(いちようらいふく)。

朝日新聞の『天声人語』と読売の『編集手帳』が、
今朝のコラムでかぶった。
「かぶる」とは重なること。

「一陽来復」の本来の意味は、
「陰暦10月に陰がきわまって
11月の冬至に陽が初めて生じること」

ここから「冬至」そのもののことを一陽来復というし、
転じて、「冬が去り春が来ること、新年が来ること」も意味する。
さらに転じて「悪いことが続いた後で幸運に向かうこと」をも表す。

朝日も読売も、
2011年に悪いことが続いて、
2012年には良いことに向かう、
そう、言いたがっている。
私も、そう思う。

だから今日は「一陽来復」の日。
来年の年賀状にも使うことができるし、
1月いっぱいの時候の挨拶にも適している。

みなさんも、今夜は、ぜひとも、
柚子湯につかってもらいたい。
柚子湯を提案してもらいたい。

私など、これから年末まで、
毎日でも、柚子湯を楽しむ。
柚子の果実を5~6コの輪切りにして、
布袋に入れて湯船に放り込んでおく。

それだけでいい香り、
気分はリラックスして、
1年間の疲れが吹っ飛ぶ。

さて昨日のクイズ。
「経営するマネジメントとして、
賃金と人件費をどうしたいか?
上げたいか、下げたいか?」

いまちゃん、ありがとう。
投稿してくれた。
「現在の日本の賃金体系では、
雇用者は賃金値下げ、
被雇用者は値上げを望みます」

「営業職や管理職なら自分の働き(目標達成等)が
会社の利益に貢献した分を賃金に反映する。
スタッフ・ライン作業は同一作業・同一賃金(正社員・パートの区別無く)を
日本的にアレンジしたのが理想ではないか?と思います」

いまちゃんには、
『1秒でわかる! 小売業界ハンドブック』を進呈しよう。

昨日の夜、お会いした常盤勝美さんは、
「経営者として賃金は上げたいし、
人件費も総額は上げたいが、率は下げたい」

これも、ご名答。

正解は一つではない。

経営者ならば、リーダーならば、
社員、従業員、一人ひとりの賃金は上げてやりたい。
だから、いまちゃん指摘の「雇用者は賃金下げ」は、
実際には業績が悪い企業にはとても多くて、
そんな企業では「被雇用者は値上げを望」んでいる。

しかしこの悪循環に陥ると、
後戻りするのは大変。

理想的には、
「賃金は上げ、人件費は下げる」
これ、オクシモロンの問題。

もうちょっと細かく考えると、
「賃金は上げ、人件費の比率は下げる」
常盤さんの回答が、いい。

事業が成長していて、
人員が増えていれば、
そして既存の人員の賃金を上げ続ければ、
人件費総額は、当然ながら上がる。

だから「賃金が上がれば、人件費は上がる」
しかし「賃金を上げ」ながら、
「人件費率は下げ」なければならない。
その中で、いまちゃんは、
「公平な分配」の考え方を提示してくれた。

とても、いい答え。

「良い生徒には教師はいらない !」

商人舎ブログがそうなりつつあって、
私は心底、嬉しい。
2011年も、悪いことばかりではなかった。

しかしもう一点、
大事なことを付け加えておこう。

これは故渥美俊一先生から、
何度も何度も、教わったこと。
「経営数字には、三つの種類がある
上げるもの、
下げるもの、
一定に保つもの」

最後の「一定に保つ」は、
「変えないもの」という意味。

だから大きく整理すると、
①「変える数字」と「変えない数字」がある。

そして「変える数字」には、
②「上げる数字」と「下げる数字」がある。

一 賃金は?
⇒一般には常に「上げる数字」と認識しておくべき。

二 人件費は?
⇒売上高や粗利益高を大きく上げ、総賃金も上げるが、
その人件費の比率は「下げる数字」と考える。

ここで、その結果を見定めるために、
「分配率」の考え方を使う。

「分配率」とは、
「会社の付加価値に対して、
どれだけ経費がかかったかを表す指標」
のこと。

小売業・サービス業では一般に、
「労働分配率」を、こう計算する。
〈人にかかわる経費のすべて〉÷〈粗利益高〉
分子は〈給与・賞与・福利厚生費・教育費・退職給与引当金などのすべて〉

もうちょっと単純に、
〈賃金〉÷〈粗利益高〉を、
「賃金分配率」と言う。

そして、
分配率は、一定に保つ。

労働分配率指標は、
35%が目安。

これは故川崎進一先生や渥美先生の研究の成果。
ここに収れんさせる。

粗利益高を必死で上げ、
人時生産性を引き上げて、
その結果、労働分配率35%の、
「変えない数字」となる。
一定に保つには、
アヒルの水かきが必須。
むしろ「結果として変えない数字」こそ、
難しい。

上げるもの、
下げるもの、
一定に保つもの。

いかがだろう。

さて、2011年最後の販売統計結果発表。
11月の結果はどうだったのか、見ていこう。

まず、毎月まっ先に発表される、
日本百貨店協会の「全国百貨店売上高概況」。

11月は売上高総額が5465億0010万円で、
店舗数調整後の前年同月比マイナス1.9%となった。

5カ月連続マイナスの要因として考えられるのは、
全国的に気温が高かったこと。

販売最盛期を迎えるはずのコートやブーツなど、
冬物衣料が売れない。

ライフビジネスウェザーの常盤勝美さんも語っているが、
「厳しい寒さの方が消費は活性化する」のだ。

11月下旬に気温が下がり、
防寒衣料の販売が多少回復した。
しかし、商品全体でみると、
主要5品目は全品目がマイナスだった。

衣料品の売上前年比は、マイナス2.6%、
身のまわり品、マイナス1.7%
雑貨、マイナス1.9%、
家庭用品、マイナス0.2%、
そして食料品がマイナス0.8%。

百貨店とは対照的だったのはコンビニ。
「コンビニエンスストア統計調査月報」
日本フランチャイズチェーン協会の発表。

こちらは全店、既存店ともに、
2カ月連続で前年同月を上回った。

11月の売上高は、
全店で7225億7400万円のプラス10.4%。
既存店でも6625億6000万円で、プラス7.5%。

既存店の来店客数は11億1487万人でプラス4.6%、
平均客単価は594円でプラス5.5%。

日配の前年同月比はプラス4.0%、
加工食品はプラス1.5%、
たばこが依然好調の非食品はプラス24.7%、
サービスがプラス18.0%。

プラスづくめの絶好調。

一方、日本チェーンストア協会、
「チェーンストア販売統計月報」
総合スーパーを中心とした、
チェーンストアの販売結果を集計したもの。

売上高は1兆0399億8586万円。
店舗数は前年同月より188店舗増えたものの、
マイナス2.3%。
1カ月に35店増だが、前月比でもマイナス0.4%。

百貨店同様、平年に比べ気温が高かったことが影響し、
防寒衣料は思うように売れず、
さらに鍋物関連の食品も売れなかった。

ただし、11月17日木曜日に解禁された
ボジョレー・ヌーヴォーは売れた。

スーパーマーケット3団体11月度の販売統計発表。
この日は、日本橋の日本スーパーマーケット協会会議室で、
川野幸夫会長も同席しながらの記者発表。
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日本スーパーマーケット協会(JAS)、
オール日本スーパーマーケット協会(AJS・荒井伸也会長)、
新日本スーパーマーケット協会(NSAJ・横山清会長)。
3協会がまとめたスーパーマーケットの11月度の実績。

その売上高は、7386億4021万円、
既存店前年同期比マイナス2.1%

食品合計は、6345億8199万円、
マイナス2.2%。

内訳は、青果が895億2050万円、マイナス7.1%、
水産が664億5359万円、マイナス3.1%、
畜産が784億5144万円、マイナス2.2%、
惣菜が619億5551万円、マイナス1.0%、
日配が1356億0058万円、マイナス1.6%、
一般食品が2026億37万円、マイナス0.5%。

そして、非食品合計は、
715億1569万円のマイナス6.1%。

マイナスづくめ。

ただし「その他」は325億4253万円で、
この部門のみプラス4.5%。

「昨年のこの時期は青果物の相場高だったこともあり、
青果部門は、昨年をクリアできなかった。
今年は20日頃までは暖かく、飲料は好調だったが、
全体的に売上げをつくることができなかった」
日本スーパーマーケット協会大塚明専務理事の分析。
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「12月は昨年より寒く、
相場も徐々に戻っていることから、
相場の動きが条件になるが
昨年とトントンくらいで落ち着くのではないか」

「とくにクリスマス、正月のギフト需要は好調。
『絆』を大切にする傾向が要因ではないか」

この後、大塚専務理事が2011年を総括したうえで、
2012年のスーパーマーケット業界を予測。
「2012年度は増税と競争激化の年になる」

スーパーマーケット業界のキーワードは、
1つ目は、「パーソナル・ユース」。
人口がへ減少し、家族構成が変化する中で、
ファミリーを対象にしてきたスーパーマーケットにも、
パーソナル・ユース対応が求められる。

2つ目は、「近づく商売」。
届ける、引き売りするといった物理的に近づくことはもちろん、
生鮮の加工度をあげる、情報発信でお客の購買心理により近づく。
メーカーや卸に近づき協業する。
こういった「接近」が重要になる。

3つ目は、
特定少数の来店目的を促す品揃え。

全てがそろわなくとも、ある商品、あるカテゴリーが強い店、
とんがった商品群をもつ店。
そうした補完的な役割の新業態がでてくるのではないか。
あの店に行けばおいしいスイーツがあるとなれば、
お客は固定客になる。

昨日は、今年最後の発表記者会ということもあり、
最後は、ビールを片手に忘年懇親会。
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川野会長、大塚専務理事、
オール日本スーパーマーケット協会・松本光雄専務理事も加わり、
記者との和やかな意見交換会となった。

川野会長は記者の質問に丁寧に答えた後で、締めくった。
「厳しい環境だからこそ、
企業の使命は何か、何屋になるのかが大事」
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最後の最後に、
日本スーパーマーケット協会事務局の皆さんと、
記念撮影。
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今年1年、お世話になった。
ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。

この後、立教大学のある池袋に移動。
この夜は、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の公開講演会。
場所は、池袋キャンパスにあるガラス張りの11号館AB01教室。
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7時過ぎに会場に着くと、
すでに2講演目が始まっていた。
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講演会のテーマは、
「インターネットがもたらす中小企業の変革」

中小企業のオンラインビジネスを支援し、
日本経済の活性化を図ることを目的に開催された。

講師は、ビジネスデザイン研究科委員長の亀川雅人教授、
グーグル㈱スモールマーケティング統括部長の伊佐裕也さん、
㈱リップル代表の紙谷由美子さん、
㈱フェイスフェイス代表の高田真理さん、
そして、結城ゼミ2期生の猪股信吾さん。

私は猪股さんの4講座目に間に合うよう、
何とか会場に飛び込んだ。
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猪股さんの講演タイトルは
「みんビズは、中小企業のオンラインビジネスを変えられるか」
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猪股さんは、
Webアナリスト・Webマーケティングコンサルタント。
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ホームページのSEO対策の有無によって、
読者や顧客の獲得がどれだけ変わってしまうかを、
多くの事例をあげながらわかりやすく話した。
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その事例のひとつとして、
商人舎サイトを取り上げてくれた。
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商人舎の人気ブログ「常盤勝美の2週間天気予報」。
「2週間天気予報」がキーワード検索でヒットし、
商人舎サイトへの新規顧客が倍増したことをデータで実証。
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論理的で問題解決的。
とてもシャープな講演だった。
4人の講演の中で、
一番、良いと思った。

欲目か?

その後、講演者によるパネルディスカッション。
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コーディネーターは亀川先生。
さすがの鋭い質問と的確な総括で、
この公開講座、まとまった。

9時過ぎに終了。
講師の猪股さんをはさんで、
常盤さんと3人で写真。
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昨日は、朝から一日、事業報告会。
その後、日本橋から池袋。
まさに「師走」の忙しさ。

柚子湯で疲れをとろう。

<結城義晴>

2011年12月21日(水曜日)

2012年は「ポピュリズムの季節到来」と「正月の営業」、そして質問「賃金と人件費は上げるか、下げるか」

日経新聞コラム『大機小機』。
「ポピュリズムの季節が来る」のタイトル。

「来る2012年は、
世界のあちこちで
トップが交代期を迎える」

その結果、各国に共通の現象が強まる。
「国民の目先のニーズを重視するポピュリズムの傾向」
だから「内政重視に終始する」との予想。

まず3月には、ロシアの「プーチン大統領復帰」。
秋には、米国の「オバマ大統領が国民の審判を受ける」
中国では、「胡錦濤氏から習近平氏へのバトンタッチが予定」。

その結果、「ポピュリズムの季節到来」。

「ポピュリズム」とは、
「情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、
その支持を求める手法、
あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動」

<『知恵蔵』より>

そして2012年は、
「多くの国で、グローバリゼーションの揺り戻し現象」が強まる。

ここでコラムニスト一礫氏は、
渋沢栄一を引き合いに出す。

平成20年、
㈱ヤオコー会長の川野幸夫さんが、
渋沢栄一賞を受賞して、
ご自身、「一番うれしい賞」だったというが、渋沢は、
「外国から取り入れた資本主義を
わが国の風土に根づかせるべく、
日本的価値を付加した」

いわゆる「論語算盤の経営哲学」
日本の小売業・サービス業の成長の歴史は、
まさにこれだった。

セブン‐イレブンがその典型。
ダイエーもイトーヨーカ堂も、イオンも、
ヨークベニマルも関西スーパーもサミットも、
ライフコーポレーションもヤオコーも。

ユニクロもしまむらも。

渋沢は、その中で強調した。
「公利と道理は欠くべからざるもの」

渋沢が残した言葉。
「道理に伴って事をなす者は必ず栄え、
道理にもとって事を計る者は必ず滅ぶ」

倉本長治は、きっぱり。
「損得より先に善悪を考えよう」

年の瀬が迫るにしたがって、
毎年、この気持ちが強まる。

日経MJ 「1000人の家計簿」に、
「正月の出費・消費」が出ている。
11月25日から27日の3日間、
マクロウミルが20~60代の男女1000人に、
インターネット調査で回答を得た。

まず「お年玉」
渡す人は57.4%。
その金額は「1万~3万円未満」が44.1%。
「1万円未満」が34.1%、
「3万円~5万円未満」が15.7%。
ここまでで9割を超えた。

昨日のデニーズの大久保恒夫さんの発言のように、
外食費などと同様に、お年玉も割安になってきた。

この割安感は、すべてにわたって、
「値ごろ感」とつながってくる。

ただしこのアンケートで分かったこと。
今年のお年玉、
「増やす」が「減らす」を大幅に上回った。
割安感が蔓延する中で「増やす」と、
喜ばれる。

大久保さんの認識と、同期してくる。
「700円から800円の価格帯で、
品質を上げるとPRしなくても売れる」

「初売り」に関しては、
「行かないつもり」が38.0%、
「行くつもり」の17.1%。
「行かない」が「行く」の2倍。

私も、行かない。
買いには。
見には、行くが。

初売りはどんな業態の店に行くか。
百貨店、ショッピングセンター、
ファッション・専門店ビル。
そして総合スーパー。
さらにアウトレットモール、家電専門店、
つまりディスカウント型。

大阪の㈱万代は三ガ日、営業を休む。
スーパーマーケットはそれも、大いに良し。

大晦日まで一所懸命に売りまくって、
正月元旦、二日、三日まで、
社長からパートタイマーまで、
完全に休む。

もちろん、元旦から店を開ける業態や会社、
二日や三日から初売りをする業態や会社。

それぞれ、自分の方針を貫くのがよろしい。

かつてのイトーヨーカ堂グループ。
グループ会社ごとに、面白い現象が生まれた。

元旦に一番活躍したのが、
24時間365日の業態コンビニのセブン‐イレブンだった。

二日はおせち料理に飽きた顧客に、
ファミレスのデニーズが、喜ばれた。

三日はお年玉で買い物に来る顧客に、
百貨店のロビンソンや、
ディスカウントストアのダイクマが、
大歓迎された。

そして総合スーパーのイトーヨーカ堂四日あたり。

スーパーマーケットは、
一番日常生活に密着しているから、
最後に五日くらいから売れ始めた。
ヨークベニマルやヨークマート

業態ごとの役割が、
正月明けのエンジンのかかり方と、
連動していた。

いまは全業態が元旦を目指して、
店を開けてくる傾向が強まった。

これはポピュリズムとは違う。

あなたの会社はどういう考え方で、
どういう正月の営業方針を出しているのか。

自分の在り方が、明快であれば、
それでいいと、私は思う。

ただし、一つ注文。
経営者やリーダーは、
働く人々の気持ちを、
よく考えるべきだ。

正月手当をもらって、
働くのがいい人もいるだろう。
いや正月は、家族とゆっくり迎えたい、
という人もいるだろう。

もちろんここでも、
警察官や消防士、
入院患者を持つ病院の医者や看護師は、
正月も何もない。

小売業やサービス業にも、
こんな職業と同じ業態や企業はある。

ここで、読者への質問。
正月元旦営業の考え方にも関連してくる問題だ。

今日のダイナム・ジャパン・ホールディングス事業報告会で、
社長の佐藤洋治さんが幹部に対して質問した

「賃金と人件費のそれぞれの定義を述べよ」。
みなさんにはこたえられるか。

佐藤さんは、何人かを指名した。

めいめいがそれぞれに、
一生懸命に答えた。
それぞれにいい回答だった。
賃金とは、
「雇用契約における労働の対価として、
使用者(雇用主)が労働者に支払うすべてのもの」

人件費は、
「従業員を雇用することによって発生する費用」

これは辞書に書いてある。

「では、経営するマネジメントとして、
賃金と人件費をどうしたいか?
上げたいか、下げたいか?」

このブログの読者にも質問しよう。
「賃金は上げるのがいいか、下げるのがいいか、
どうするのがいいか?
人件費は上げるのか、下げるのか、
どうするのがいいか?」

経営者も幹部も、
店長もバイヤーも。

答えなくともよいから、
考えてほしい。

ついでにコンサルタントも、
ジャーナリストも。

答えは明日、公開しよう。

乞う! ご期待。

<結城義晴>

2011年12月20日(火曜日)

糸井重里「曲がったキュウリもキュウリ」の考察と大久保恒夫「700~800円の価格帯で品質を高める」戦略

金正日総書記死去
このニュースでいっぱい。
朝鮮民主主義人民共和国の動向に対して、
読売新聞『編集手帳』は、
「総身を神経にして不測の“魔”に備えつつ」

日経新聞『春秋』は、
「行く末に目を凝らさねばなるまい」

朝日新聞『天声人語』は、
「気の抜けない時がしばらく続く」

そして拉致被害者たちは。

さて、『ほぼ日』の巻頭言「今日のダーリン」。
糸井重里さんが毎日、書いている。

12月17日には、
「曲がったキュウリ」に対する考察。

「ぐねぐねと曲がったキュウリは、
消費者にとって『商品』として認められないという」

「曲がってようが、まっすぐだろうが、キュウリである。
しかし、『キュウリという商品』ではない、のだ」

そこで糸井さんは、
「『商品』ということば」に問題の焦点を当てる。

「『もの』として『サービス』としては成り立つけれど、
商品としては成り立たないというものが、
どんどん増えてきたような気がする」

「もともとは、『商品』として成立するかどうかではなく、
『商品」として競争力があるかどうかだったのだと思う」

「うちのキュウリは、曲がってないんですよ」
その「優位性」が強調されて、エスカレートし、
「やがて、『曲がってない』ことの優位を語るのではなく、
『曲がったキュウリ』を
競争に参加できなくさせてしまった

その結果、
「キュウリという『商品』の必要条件」が、
「『曲がってない』ことになってしまった」

さすがに糸井さん、鋭い。
そして糸井的視点。
「『商品』としては失格かもしれないが、
それは『キュウリ』でない、わけではない」

「曲がり方に芸があるとか、曲がってるほうがうまいとか、
そういう発見があれば、それは『商品』として復活する」

糸井さんは結論づける。
「キュウリは、
商品であろうとしなくても
キュウリだ」

かつてコープさっぽろが、
曲がったキュウリで、
格安の、おいしい漬物をつくって、売った。
大ヒットした。

曲がったキュウリも、
「価値のある商品」になることができる。

もちろん、商品にならなくとも、
キュウリはキュウリだ。

そのキュウリの本質を、
大切にしたい。

東日本大震災を経験した今年、
私もそんなことを強く感じる。

私たちのまわりに、
「曲がったキュウリ」は、
たくさんある。

昨日の日経MJ「フードビジネス」欄に、
大久保恒夫さん登場。
ご存知、セブン&アイ・フードシステムズ社長。

今回は、現業・本業でのコメント。
「反転攻勢 2012年の視点」

はじめに外食の需要を「底堅い」と表現。
「大きな流れでは家庭での料理の機会は減っていく」

昨日の夜、私は立教で、
サービス・マーケティングの講義だったが、
偶然にもテーマは、
「フード・サービスのサービス」

「1997年以降、
日本の外食産業は、
縮み続けている」
という話をしていた。

「『きずな』『ふれあい』といったキーワードでは、
特にファミリーレストランに需要がある」

「おいしい食事へのニーズは依然としてある」

「さまざまな価格を試し、
1000円を超えると売れないが、
700~800円なら売れるとわかった

昨日の講義で指摘されたのは、
従来の外食業態別の価格帯。

ファミリーレストランの中心価格帯は1000円、
カジュアルレストランは1500円~4000円、
ディナーレストランは5000円以上、
そしてファストフードレストランは500円

大久保さんは、ファミリーレストランは、
「1000円を超えると売れない」と指摘している。

価格帯が下がっていることは、
確か。

小売業や他の業態でも、
それは確かだ。

大切なのは、その次。
その価格帯で品質を高めたら
PRをしなくても既存店売上高が前年を超え、
客単価も上がった

これ、ほんとうに大事な話。
「これが『きずな消費』の相場かもしれない」

大久保さん、マネジメント面にも触れる。
「予測と管理を、
週単位から1日単位に切り替え、
個店の人時生産性を高める」

小売り・外食の経営の根本は、
人時生産性にある

これは、どんな業種・業態でも、
普遍の原則だ。

ただしレストラン・ビジネスは、
スーパーマーケットよりも、
コンビニに近いと私は思う。

さて昨日は、大久保さんの先輩でもあるが、
鈴木哲男さんが商人舎オフィスを訪れてくださった。
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ご存知、「52週マーチャンダイジング」で、
超有名となった経営コンサルタントだが、
イトーヨーカ堂のご出身。

超多忙な鈴木さんは、㈱REA代表取締役。
コーネル大学RMPジャパンの講師もお願いして、
この面でも大久保さんと同じ。

私は35年前に、鈴木さんが、
同社の「花のRE(リテール・エンジニアリング)部」で活躍中に、
初めてお会いした。

だから鈴木さんは、
「店舗活性化」や「ストア・コンパリゾン」のプロでもある。

私は㈱商業界に入社したばかりで、
当時の『花の販売革新』編集部に属していた。

その後、「横浜会」という若手勉強会がスタートし、
私も、鈴木さんとご一緒した。

現在、コンビニ経営コンサルタント第一人者の小森勝先生や、
『ストアーズ・レポート』現編集局長の風間晃さんも、
横浜会のメンバーだった。

鈴木さんとは、そんな昔話から、
商人舎のすぐ近くにオープンしたサミット岡野店の話題まで、
あっという間に時間が過ぎた。

ここで重大なお知らせ。
鈴木哲男さんと一緒に来年、
新企画マネジメント研修会
スタートさせる。

年2回開催予定。

もうご了解を得ているのだが、
レイバー・スケジューリングの第一人者高野保男さんも、
参画。

そして記念講演は、
マル秘「超大物ゲスト」講師

もう決定事項だが、
その全容は2012年スタートとともに、
発表予定。

鈴木哲男、
高野保男、
結城義晴。

まだまだ有力講師陣参加予定。

たっぷり、2泊3日。

いかがだろう。

乞う、ご期待。

<結城義晴>

2011年12月19日(月曜日)

「ギリギリ消費」のクリスマス三連休、濃密な時間を仕事で楽しめ!

Everybody! Good Monday!
[vol51]

2011年の第51週、
12月第4週。

東日本大震災が起こった年も、
あと2週間。

名残惜しいし、取り返せないし、
忘れられない年度となりました。

亡くなられてた人々のご冥福をお祈りするとともに、
全力を挙げて復興から振興へ向かいたいと思います。

亡くなられたといえば、この17日、
北朝鮮の金正日総書記が死去。
享年69歳。
私のちょうど10歳上。

1973年、31歳の若さで、
朝鮮労働党組織指導部長と思想担当兼宣伝扇動部長に就任。
朝鮮民主主義人民共和国の軍と党の人事権を握った。

74年には、労働党中央委員会で政治局員に選出され、
金日成主席の後継者指名を受けた。

1994年、日成主席死去。
その後、北朝鮮を指導してきた。

2008年に脳卒中で倒れ、
昨2010年、金総書記の三男・金正恩氏が、
後継者に選出されていた。

これで、この民主主義人民共和国は、
三代の世襲体制となった。

金正日総書記死去を受けて、
韓国やアメリカ、そして中国には緊張感が走るが、
やはり、ひとつの時代が終わったと感じる。

第二次大戦後、朝鮮半島は、
北と南に分断された。

しかし、もし、民族が一体化していたら、
日本に勝るとも劣らない成長を遂げ、
アジアや世界にもっともっと大きな貢献を果たしたに違いない。

隣人として、本当に惜しい日々だったと思う。
しかし私は、いつも言う。
今からでも遅くはない。

そんな日が来ることを祈念するものだ。

さて今週は、12月商戦の大きな山がやってくる。
金曜日の23日、天皇誕生日。
土曜日の24日、クリスマス・イブ。
日曜日の25日、クリスマス。

恐縮なことに、天皇誕生日は、
クリスマス関連3連休となった。

しかも「ギリギリ消費」が最大のトレンド。
この3日間でクリスマス商戦が始まって終わる。
そんな感じ。

来週からの歳末際商戦も、
30日に始まって、
31日に終わる。

だから今日の月曜、明日の火曜、
明後日の水曜、明々後日の木曜は、
その前哨戦。

もう今週はそれだけ。

ただし、クリスマス・ケーキの予約販売は、
この前哨戦期間が最盛期。

楽しい、たのしいクリスマス前哨戦。
ウキウキワクワクしながら、
仕事に勤しみたいところだ。

そしてギリギリ消費の3連休。
濃密な時間を楽しみたい。

元気の出るニュースもある。
日経新聞一面の真ん中に囲み記事。
「ボーナス2年連続増」
日経新聞まとめの情報。
1人当たりの税込支給額は、
73万9369円。

前年比3.07%増加。

691社を対象にした調査。
1位はキャノンの124万円。

業種別にみると、
百貨店・スーパーは52万3600円で、
4.18%のプラス。

その他小売業は47万3327円で、
こちらはマイナス3.91%。

外食・その他サービスは、56万0269円で、
マイナス1.36%。

「中小企業を含めた支給額は依然厳しい」と、
記事にはある。

しかし私は、この傾向を、
自分の仕事に置き換えて、
「消費堅調、
だから売上げも上がる」

こう、信じ込みたい。

そして自分の気持ちを高ぶらせたい。
仲間の士気を高めたい。
店を高揚させたい。
お客様を盛り上げたい。

さて先週土曜日の夕方、
立教大学大学院独立研究科
創設10周年レセプション
が開催された。

ところは立教大学池袋キャンパスの第一食堂。
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竣工は1918年、2002年に増築された。
基礎は煉瓦造り、増築してRC造りとなった。

現在の延床面積は623㎡。
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最初の設計はマーフィ&ダナ建築事務所で、
増築設計は坂倉建築研究所。
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チューダー建築の傑作のひとつで、
ハリー・ポッターの食堂のような雰囲気。
私はとても気に入っている。

国内で最も美しい「学食」のひとつだと思う。

このレセプションには、
立教大学の吉岡知哉総長も駆け付けて、
祝辞を述べてくれた。
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「学部を持たない大学院として、
立教大学のなかでも特異な存在。
社会との接点が一番強い独立研究科」
その意義を、高らかと語ってくれた。

独立研究科は三つに分かれている。
第1が、私の属すビジネスデザイン研究科。
1学年90人の大所帯で、2学年で180名。

第2が21世紀社会デザイン研究科。
ここには作家・ジャーナリストの立花隆さんが、
教授として参画している。
1学年50名、2学年で100名。

第3が異文化コミュニケーション研究科。
1学年35名、総勢70名。

そのビジネスデザイン研究科の次期委員長・廣江彰次教授がご挨拶。
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前期課程主任、つまり修士課程担当主任の山中伸彦准教授(右)と、
後期課程、博士課程主任の亀川雅人教授を紹介。
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その後は、怒涛の懇親。
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最後の方で、バイオリンの生演奏が、
第一食堂に響き渡って、花を添えた。
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一番最後は、
独立研究科をつくった亀川先生のお礼の挨拶。
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そして、参加してくれた結城ゼミOB諸君と記念写真。
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その頃、結城ゼミ現役諸君は、
新座キャンパスの太刀川記念交流会館で、
今年度最後の論文完成合宿。

私はレセプションが終了すると、
池袋キャンパスから新座キャンパスに移動して、
合宿に合流。

日曜日も夕方まで、
みっちりと論文執筆、
成果は上がった、はず。
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ゼミ生7人のうち、最後まで残った4人と写真。

ゼミ生には、クリスマスも正月もない。
1月13日の提出締め切りまで、
仕事をしながら、わき目もふらず論文執筆。

一番大切な1カ月間が待っている。

しかし私は彼らに言った。
「人生の中でもこんなに濃密な時間は、
そうはないだろう。
後から振り返ったら、
これ以上ないというくらいの充実した時間だ。

その充実感を楽しんでもらいたい」

これは日本中の小売業・サービス業で働くみなさんへの、
今週、来週のエールと同じ。
これからの2週間、濃密な時間。
その濃密さを楽しもう。

では、みなさん。
Good Monday!

<結城義晴>

2011年12月18日(日曜日)

ジジと立教新座キャンパス[2011日曜版vol51]

あ・ん・ま・り
ひ・ざ・し・が
ま・ぶ・し・く・て♪
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あ・ん・ま・り
せ・な・か・が
や・わ・ら・か・く・て♪

ジジです。
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2011年もあと、
2週間。

ユウキヨシハルのおとうさん、
ニイザで、ゼミ合宿。
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ことし5回目。

ボクは、おうちで、
まってます。
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おとうさん、
朝夕、おサンポ。
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カメラをもって、
おサンポ。
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みあげると。
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「おーい、くもよ」
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ニイザ・キャンパスは、
ひろくて、
うつくしい。
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空はくっきり、
木もうつくしい。
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夕日に映えて、
イチョウがたっている。
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朝日のなかで、
イチョウがつらなっている。
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視線をおとすと。
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黄色のじゅうたん。
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ボクにも、
日があたっている。
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しまもよう。
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しまもよう。
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葉がちったイチョウ。
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まだ葉のあるイチョウ。
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どちらも、いきている。
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ことしは、
秋がながい。
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空の青さが、
くっきり。
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なぜ、秋が、
ながかったのでしょう。
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朝日がさしています。
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日があたると、
みんな、とても、
きれいにみえる。
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モミジもピカピカ、
光ってる。
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もうすぐ、
ほんとうの冬が、
やってきます。
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いまのうち、
ながいながい秋を、
たのしんでおきましょう。

もう2週間で、
2012年です。

<『ジジの気分』(未刊)より>

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結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

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