百貨店や総合スーパーの2012年の初売りは、
まずは「軒並み盛況」だったようだ。
日経新聞が1日、2日の初売り状況を報告。
三越銀座店は前年比10%プラス。
西武池袋本店は5%プラス。
「高島屋横浜店は開店前に約2万人が並んだ」。
大丸梅田店や近鉄百貨店阿倍野本店なども、
売上高は計画を上回った。
仙台の百貨店・藤崎も10%増。
開店前には約1万人が行列。
イオンリテールの総合スーパーでは、
1月1日の食品の販売額が約3%プラス。
イトーヨーカ堂では4人前の惣菜や刺し身の売れ行きが伸びた。
元旦販売では刺身、寿司、惣菜しか売れないといってもいい。
出だし好調なのは広域商圏の大型店。
中型店や小型店は、どうだったのだろう。
客数は増えたのか。
買い上げ点数はどうか。
買い上げ単価はどうか。
売上金額よりも、
売上げの中身を構成する要素の分析が、
必要となるだろう。
そして商売の中身は、
立地によって大きく変わってくる。
自分の店の商圏が、
現在どんな状態で、
どう変わっているのか。
立地が異なれば、
商圏特性も異なる。
その違いこそが、
今年1年を占うことになる。
商人舎ホームページの中の人気ブログ、
「常盤勝美の2週間天気予報」に、
今年1年間の天候トレンドと商売の注意点が書かれている。
第1に「春は低温対策」。
「ここ2年ほど、春の天候は、
低温傾向が顕著」と常盤さんの指摘。
第2に、「夏は猛暑対策」。
「夏の天候は10年サイクルあるいは5年サイクルという法則性」がある。
「そのサイクルに従えば、
今年も3シーズン連続、猛暑の可能性」
これも重要な指摘だ。
第3に、「秋は暖秋対策」。
「ここ10年以上、10月は高温傾向」。
「台風や降水量に関しては、
平年に比べて大きな違いがみられる兆しはなく、
例年通りと予想される」。
常盤勝美の2週間天気予報。
今年も活用してください。
さて、元旦の朝日新聞。
編集委員の根本清樹さんの「ザ・コラム」。
フランスの詩人・思想家ポール・ヴァレリーを引いた。
「我々は未来に
後退り(あとずさり)して進んでいく」
<『精神の政治学』吉田健一訳>
第1次世界大戦と第2次大戦の間に、
「危機の20年」があった。
この時のヴァレリーの言葉。
それが2012年に当てはまる。
それがコラムニストの指摘。
一方、五木寛之の『下山の思想』が、
15万部を突破したそうだ。
「私たちの再生の目標は何処にあるのか。
再び世界の経済大国を目指す道はない。
敗戦から見事に登頂を果たした今こそ、
実り多き明日根の『下山』を思い描くべきではないか」
「『下山』とは諦めの行動ではなく、
新たな山頂に登る前のプロセスだ」
私も若いころ、五木寛之に凝ったことがある。
その後、五木はずいぶん枯れてきてしまったが、
この「下山の思想」は、
ヴァレリーの「後退りして進んでいく」に、
酷似している。
向かう未来はある。
しかしそれは20世紀に描いたものとは異なる。
「後退りして進む」と「下山の思想」。
2012年からの私たちの歩み方のひとつだと思う。
朝日新聞の、これも元旦の『天声人語』。
寺山修司の言葉を持ってきた。
「今日では、標準語は、
政治経済を語る言葉になってしまった。
人生を語るには、
もう方言しか残っていない」
「商売も方言で語れ」
地方の小売業・サービス業には、
「方言での表現」をお薦めしたい。
商売は人生に通ずるからだ。
日経新聞の社会面で、
これも元旦から始まった連載。
「おらほの一歩」
「おらほ」とは「自分たち」、
あるいは「自分たちの土地」、
「自分たちが住んでいるところ」といった意味。
「おらほの店では、
おらほのことば」
私は、これがふさわしいと思う。
「下山の思想」
「後退りの前身」
「おらほのことば」。
21世紀の日本の在り方が少しずつ、
見えてきている。
<結城義晴>