結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年01月27日(金曜日)

「内需の意外な『しぶとさ』」と企業・協会・行政三位一体「流通BMS」

朝日新聞全面を買い取って、
オーケー㈱の思いきった政策広告。
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「オネスト・カード」のことを広報し、
野菜の高騰への対策を丁寧に綴る。

いい広告だ。

朝から気分が良くなった。

日経新聞のコラム『大機小機』もいい。
コラムニスト希氏が、
「内需の意外な『しぶとさ』」と題して書く。

「年明けの国内景気は、足踏み感を強めている」と、
しながらも、「ただ、筆者の実感は、むしろ
『内需が意外にしぶとく踏ん張っている』という印象である」。

そうそう、その通り。

「日本の景気は基本的に輸出次第だった」。

どんな現象が起こったかと言えば、
「景気回復局面でも内需に弾みがつかず、
輸出が頭打ちになれば簡単に失速した」。

逆に、景気後退局面でも、
「ストック調整圧力をため込んでいないため、
輸出さえ伸びれば景気は比較的速やかに上向いた」。

先月の日銀の企業短期経済観測調査(短観)。
「大企業製造業の景況感悪化に注目する見方」が多数派。
しかし「非製造業や中小企業の踏ん張りで、
全規模全産業の景況感は僅かながら改善」。

コラムニストは「内需のしぶとさ」の背景を三つあげる。
第1は「復興需要の存在」。
「足元の経済指標は東北での改善が顕著」。

第2に、「円高のプラス効果
が薄く広く波及している」と予測。
昨日の新聞でも日本の「貿易赤字」が喧伝された。
輸出額より輸入額の方が多い。

だから輸入企業はご利益を得ているはず。
「この解釈は、短観結果とも整合的」とコラムニスト。

第3は、消費者の間に芽生えた「心機一転気分」

9.11後のアメリカでも、
テロに屈しないという「愛国消費が予想外の景気回復」をもたらした。
今年の日本では「絆消費」が「震災からの復興につながってほしい」。
コラムニストに私も賛成。

「絆消費」に対して、いつでも、どこでも、
応える心構えをし、態勢を整えておかねばならない。
それが小売流通業・サービス業の役目だ。

さてさて、一昨日の1月25日、
東京・外苑前のSCSK青山ビルで、
「第1回 流通BMS普及推進説明会」が開催された。
主催は流通4団体。
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ここでいう「流通4団体」とは、
日本スーパーマーケット協会、
オール日本スーパーマーケット協会、
一般社団法人新日本スーパーマーケット協会、
一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会。

小売業・卸売業各社の情報システム担当者が、
100名以上も集まった。
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商人舎取材スタッフも駆け付けた。
現在、日本の流通業界の一部では、
1980年に開発された初期のEDIシステムが
いまだに利用されている。

しかし、これは電話回線のため通信速度が遅く、
漢字や画像も送れない。
しかも専用機器の製造が、
打ち切られてしまうこともある。

時代の流れに、まったく対応できていない。

この問題を改善すべく、
2007年に経済産業省が、
流通システム標準化事業を立ち上げた。

そして開発されたのが、
国際基準にも準じた次世代標準EDI「流通BMS」である。

「BMS」はビジネス・メッセージ・スタンダードの略で、
標準電子データ交換システムのこと。

流通4団体が推奨する流通BMSは、
SCSK社の開発した「スーパーマーケットクラウドEDIサービス」。
通称、「スマクラ」というサービス。
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製・配・販が共同で使える受発注システムで、
システム導入時とランニングコストの低減が可能となっている。
中小企業や新規参入企業にとっては、
自社でのシステム開発は難しい。
だからこのサービスの開始は大きなメリットとなる。

冒頭講演は、
日本スーパーマーケット協会の大塚明専務理事。
『流通BMS普及促進事業について』
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「これからの時代、100店舗が100店舗、
同じ商売をしていてはだめ。
客の変化に対応していかなければならないし、
“グローバル”も意識していかなければならない。
つまり、小売りにとって負担が増えている」

「そこで、小売り同士、
共有できるものは共有してコストを下げ、
商品やサービスに経営資源を投入して、
ここで勝負をする」

「1社、2社だけが導入しても価値がない。
導入企業が増えなければメリットもでない。
参加企業が増えることを目指して、
よりよいシステムをつくりあげていきたい」

次は、(財)流通システム開発センター研究開発部・坂本尚登部長の講演。
『流通BMSの概要と普及状況』
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「流通BMS協議会が昨年9月~10月に、
アンケート調査を実施した。
その結果、『導入済』が16%、
『導入予定』が15%、
『時期未定だか、導入したい』が42%。
4分の3が導入に意欲を示している」

「各企業が導入理由として一番期待しているのは、
伝票レス。
次にデータ送信時間の短縮。
アンケート結果によると、
導入効果としてあげられているのも、
伝票レスと時間短縮。
ニーズはマッチしている」

「現在、流通BMSを導入している小売企業は85社。
イオンやイトーヨーカ堂など、大手小売業は導入済み。
それに比べて、百貨店、ドラッグストア、ホームセンターなどで、
導入している企業はまだまだ少ない。
これからも導入・普及拡大につとめたい」

サミット㈱情報システム部マネジャーの長尾建さんは、
同社での導入事例について、講演。
『事業基盤の強化と流通BMSの導入について』
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「外部の開発システム・エンジニア4名と、
サミットの2名でチームをつくり、
流通BMS導入プロジェクトを開始した。
開始から本番稼働までは約4カ月」

「流通BMSは卸、メーカーにとっては
フォーマットが同じになるので、
目に見えてメリットがある。
小売りも取引先との協業関係において、
Win-Winの大きなメリットとなる」

つづいて日本スーパーマーケット協会流通推進部の篠原豊さんが、
業界推奨の流通BMS「スマクラ」の選定経緯や基本機能などについて、
説明した。
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休憩をはさみ、登壇したのは、
株式会社ヤオコー営業企画部システム管理担当部長の神藤信弘さん。
『流通BMS導入メリットと将来の活用戦略』
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「ヤオコーではシステムの自社構築はしていない。
よって、受発注システムは残すところなく、
すべて流通BMSに移行する」

「1人で導入に向けての準備をした。
つまり、たくさん人員がいないと導入できないわけではない。
震災の影響でずれ込んでしまったが、
導入スケジュールとしては、半年くらい」

「短期メリットとして、
導入したらすぐに効果がでる。
大手小売業がすでに組み込み済みで、
ノウハウもある。
長期メリットとしては、
システムが標準化すればするほど、
『楽・良・早・安』になる。
その分、営業に注力し、差別化をはかれる」

農林水産省からも特別講演。
食糧産業局食品小売サービス課齋藤勇一課長補佐。
『流通BMSの意義』
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そして最後に、
経済産業省からの特別講演。
こちらは商務流通グループ流通政策課・妹尾善多課長補佐。
『消費財サプライチェーンに関する
大規模災害時の課題と今後の取り組み』
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「今後の大規模災害を想定し、
デジタル・インフラの整備が緊急の課題。
そのために、
流通BMSなどの基盤システム構築費用の一部補助、
システム改変費用の一部補助を行う」

業界団体、企業、行政。
三位一体となって展開される『流通BMS』。

商人舎はこれに大いに賛同し、
普及に協力するつもり。

多くの企業の参加を呼び掛けたい。

「内需のしぶとさ」は、
業界を挙げたインフラ整備によっても、
支えられてくる。

このことを自ら知り、
業界外にも知らしめねばならない。

<結城義晴>

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