2012年2月のスタート。
2008年2月1日。
私たちの株式会社商人舎は設立された。
だから今日から5年目に入る。
あっという間の5年だった。
5年前のあのころの不安や心配、
期待や意気込み。
さて、 2月の全体スケジュール。
今日2月1日から、新しい年度に入る企業や業界がある。
㈱商人舎も世界最大のウォルマートも、今日から新年度。
毎年書くが、日本のプロ野球は、今日、キャンプ・イン。
ダルビッシュ有をはじめとして、
青木宣親、和田毅といった選手がいないのは本当にさみしいが、
プロ野球人は全員が心機一転、新しい年度に向かう。
さて、その2月の営業の二つの山。
第1は今週末。
3日金曜日が節分、
4日土曜日は立春。
関東は今日、春一番のような陽気。
気象予報士・常盤勝美さんの予想は大外れ。
常盤さんは急遽、フェイスブックに書いた。
「今日の関東南部はなんちゃって春一番状態です。
あいにく春一番の定義が立春以降なので、今日は対象期間外ですが、
朝から南風が入り、気温は10℃前後と寒さはなく、
むしろこの程度の気温でも暖かいくらいの陽気です」
そして最後の予測。
「夜は風向きが北寄りに変わるため、
気温は明日朝に向けて大きく下がります」
気象予報も朝昼晩で、
専門テクノクラートがするようになる。
しかし、明後日、明々後日の節分、立春が、
一番寒い日になる確率はまだまだ高い。
極寒の節分に恵方巻き、豆まき。
「絆消費」を盛り上げたい。
2月第2の山は、
2月14日火曜日のバレンタインデー。
しかしその前の土曜日の2月11日は建国記念の日。
今年は祝日が土曜日と重なった。
だから土曜、日曜と、火曜のバレンタイン。
バレンタイン・チョコレートだけではなく、
女性から男性にプレゼントが飛び交う。
その購買行動は土・日になる。
東日本大震災後の「絆消費」は、
バレンタインデーでこそ、
隆盛するに違いない。
日本のマーケットは不思議だ。
引き出す工夫があれば、
どんどん消費が盛り上がる。
工夫も努力もなければ、
じっと静観している。
バレンタインデーが終わると、
一気に春本番。
2月は受験シーズンで、
バレンタインデーのあとあたりから、
本格化していく。
今日から全国の私立中学の受験が始まるし、
その後、高校受験、大学受験が連続する。
大学院の試験日もある。
私も2月19日の日曜日は、一日中、
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の口頭試問の試験官となる。
「受験シーズン」は2月を特徴づけるテーマ資源。
さらにバレンタインデーのあと、
つまり極寒の時期のあと、
少しずつ空気が温んでくるころ、
花粉症のシーズンに突入。
花粉症最盛期は、
2月中旬から3月中旬までの1カ月前後。
その花粉症の7割はスギ花粉によるもの。
2月中ごろから、「スギ花粉月間」。
これもテーマ資源。
昔は「ニッパチ」といって、
2月は小売商業にとって閑散期だった。
しかし、テーマ資源は多い。
つまり、ここで売上げはつくらなくとも、
顧客の問題解決に貢献したら、
顧客から頼りにされる。
その意味でとても重要な月だ。
心引き締めて、2月を乗り切りたい。
さて、今月の商人舎標語は、
「一心不怠 成長無限」
故川崎進一先生の座右の銘。
1月最後の日の昨夜、横浜の事務所にいて、
ふと、川崎先生を思い出した。
なぜだろう。
その東洋大学名誉教授・川崎進一先生の言葉。
「一心に、怠けず、努力すれば、
成長の可能性は無限にある」
「一心不怠 成長無限」
私たち一人ひとりに語りかけているようで、
会社組織や部門組織にも、
果ては東日本大震災のあとの日本国全体にも訴えている。
私は2月の商人舎標語にした。
今日から東京ビッグサイトで、
第46回スーパーマーケット・トレードショー2012。
朝一番で、東6ホールセミナーステージで、開会式。
大会委員長はじめ関係者トップがズラリ、
壇上に並んでテープカット。
その後、10時20分から、
SMTSスピークス「新しい出発」。
スピーカーは横山清さん。
新日本スーパーマーケット協会会長、
㈱アークス社長。
いつものように洒脱な語り口。
それでいて、芯の通った経営戦略眼。
シビアな見方と辛辣な批判精神。
しっかりとした自己主張。
横山さんのスピーチには、
いつも感心させられる。
しかし、一度でいいから、
ゾッとするような恐ろしさ、鋭さ、奥深さを、
講演やスピーチで見せてほしい。
私は何度もそれを感じ取る機会を持ったが、
横山清の本質を、これからは、
大衆にも、特に若い人たちにも、
垣間見させてほしいものだ。
多くの人々にとって、
何よりの勉強になると思う。
横山さんの次は、
エドワード・マクラフリン教授の講演。
コーネル大学応用経済経営学部教授、
兼食品産業マネジメントプログラムディレクター、
兼コーネル大学RMPジャパン学長。
テーマは「景気後退期における小売業の成長」
講演前にマクラフリン先生と固い握手。
展示会場での講演で、
語る先生にはちょっと気の毒だったが、
同時通訳のイヤホーンで聞いていた聴衆は、
まだ救われた。
私もこういった会場での講演を、
あちこちで何度も経験したが、
語り手も聴き手も集中できず、
成果は上がりにくい。
ドイツ・ケルンンのアヌーガや、
フランス・パリのシアルでは、
展示会場内での講演やスピーチはあり得ない。
マクラフリン先生の講義は、
縦軸に商品、横軸にマーケット(市場)をとり、
それぞれに既存と新規とで4つの象限をつくり、
その4象限ごとのテーマを、
実例に基づいて分析解説してくれた。
実に見事だった。
デルヘイズのハナフォード、
ファーマーズマーケット、
シュニクス、メイヤー、HEB、ウェグマンズ、ハリスティーター、
アホールドのジャイアント・フードとユークロップス、
そしてイギリスのテスコとフレッシュ&イージー。
日本の学者にはない切り口と語り口。
むしろ私とシンクロするスタンスと方法論で、
私はとてもうれしかった。
ジャーナリストであり、
アカデミストであり、
コンサルタント。
夜はコーネル・ジャパン卒業生の懇親会があって、
ここではマクラフリン先生と議論した。
フランスのシアルやドイツのアヌーガを訪れて、
商談を進めたこと、
それぞれの国でアルディやリドル、ネットーなどを分析したこと、
フレッシュ&イージー・エクスプレスの印象。
「世界中で、新しい実験があると、
必ずユーキさんがいますね」
これはお褒めの言葉。
そのうえで、今夜の議題の中心は、
「エクスプレス・ストア」についての分析。
マクラフリン先生の見解を聴き、
私の分析を語った。
意見はほぼ、一致した。
最後は固い握手。
世界の小売業、流通業、サービス業。
一所懸命に勉強し、研究し、
怠けず考察すると、
成長は無限。
「一心不怠 成長無限」
それを実感した商人舎5年目の初日だった。
(明日に続きます)
心から、感謝。
<結城義晴>