帰国しました。
毎回のことですが、
大きな成果を上げて。
サンフランシスコ国際空港。
クォリティ&サービス進化型を求めての旅。
その第2回。
だからみんなで、
指で「Ⅱ」をつくっています。
同時に、「V」サイン。
気力が充実していることが、
この写真からも伝わってくるでしょう。
みなさん、「お元気様」です。
実はこれ、
今回九州から参加した㈱ハローデイのあいさつの言葉。
「お疲れ様」とあいさつすると、
疲れを助長してしまう。
だから「お疲れ様」という場面で、
「お元気様」を使う。
これも企業文化をつくっていくために、
ハローデイが徹していること。
いいですね。
みなさんの企業でも、
いかがですか?
現地時間午前7時半に、
サンフランシスコ・ヒルトンホテルを出発。
これもいつものことですが、
名残惜しい。
せめて、あと1日でも、
ここに、いたい。
この空気を吸っていたい。
そんな後ろ髪をひかれつつ、
帰国の旅立ち。
サンフランシスコ湾の朝日が美しい。
バスのなかで、最後の総括講義。
40分くらいがあっという間に過ぎる。
今回の総括講義は五つの構成になっている。
第1に、
クォリティ&サービス進化型のポジショニング。
これは今回全体を通した経営戦略視点。
テキスト全体をカバー。
ずいぶん難しいことをやるもんだとお思いでしょうが、
それがわからないと知識商人にはなれない。
ホールフーズのアソシエーツや、
トレーダー・ジョーのクルーに、
太刀打ちできない。
それに、
理解してしまえば、
そんなに難しくはない。
微分も積分も、相対性理論も不確定性原理も、
漠然とでもいい、一度理解するというプロセスを経たならば、
自分のものとなって、それについていくことができる。
初めから理解しようと思わないから、
安易で安っぽい概念に惑わされてしまう。
そしてそれが人を組織を、会社を、
井の中の蛙、ゆでガエルにしてしまう。
ニュートンの万有引力の法則は、
地球上の物理的現象は説明できるけれども、
宇宙の現象、時間の現象は、
アインシュタインの相対性理論にとって代わられた。
今ではそれが常識。
商売にたとえると、
お客様はニュートンでいい。
しかし商売する側は、
アインシュタインも知らねばいけない。
参加したみなさんは、
フォーマットとポジショニングのこと、
その時代性、
思い出してほしい。
「ああ、あんな考え方なんだ」と、
漠然と分かるだけでもいい。
セーフウェイのコンベンショナル型とニューライフスタイル型。
10年前のウォルマートと現在のウォルマート、
「フォーマットの違いとは、あれなんだ」と、
分かればよろしい。
そして今、そのポジショニングの競争が展開されているんだと、
知るだけでいい。
そこからスタートが切れるから。
「あれなんだ」が頭の中に浮かべば、
それは難しいことを理解したことになる。
私はずっと、それを、
いろいろな人に伝えてきた。
それが私の役目だと信じて。
総括講義の第2は、
ネイバーフッド・マーケティング。
このレジュメは、アルバートソンのアニュアルリポートから抜き出したもの。
全盛期の1990年代後半に、同社が一番輝いていた時の基本理念。
故磯見精祐先生が『食品商業』誌上に書いてくださった。
「ネイバーフッド・マーケティングとは、
お客様の喜びに参加して、
その一部をわけていただくことです」
「60年前、ジョー・アルバートソンは
ネイバーフッド(近隣)を走りまわって、
干してある三角巾のおしめを探しました。
これがわれわれのネイバーフッド・マーケティングの始まりです」
1930年代にスタートしたスーパーマーケットは、
「おしめを干す」ファミリーをターゲティングすることから、
自らのポジショニングをつくっていきました。
「今日の方法は(ジョーよりもちょっとだけ洗練されていて)、
科学的な技術と人間関係の芸術とを兼ね備えています」
お客様からスタートし、
お客様を知り、
お客様に奉仕するための、
テクノロジーとアートです。
「技術と芸術の両面からマーケットを見ると、
それはお客様が欲する商品とサービスを、
それぞれの近隣ごとに
用意しなければならないことを示しています」
トレーダー・ジョーの店は367店舗がそれぞれに、
自分のネイバーフッドのために、
店づくりし、品揃えしている。
まさにポジショニングの5つの方法を実践している。
それでいて、一つひとつの店は、
すべてがトレーダー・ジョーそのものだ。
「われわれはネイバーフッド・マーケティングを、
それぞれの店をあたかもただ一つの店として
運営するために活用しています」
一つひとつの店が、
あたかも「たった一つの店」のごとく、
運営されなければならない。
世界で1万店を超えたウォルマートでも、
この合言葉を言い続けている。
「我々は最大の企業をつくろうとは考えていない。
地域の1店1店を
その地域で最良の店にしようとだけ念じている」
アルバートソンのネイバーフッ・ドマーケティング。
「統計や数値は、
わが社がお客様の望む商品とサービスを提供する上で、
大きな手助けとなっています」
計数管理や部門別管理、POSデータや顧客情報データは、
大きな武器だ。
「しかし、われわれはもうひとつ別の方法を持っています。
それは地域社会とアルバートソンの店舗とのあいだの人間関係であって、
これは統計から発見される方法より
はるかに貴重なものを与えてくれます」
店と地域コミュニティとの人間関係こそ、最も貴重なもの。
これをカスタマー・リレーションシップ・マネジメントという。
略して、CRM。
ほんとうによく使われる概念。
「ジョーは常々、言っていました。
『会社が従業員に気を使えば、
従業員はお客様に気を使うものだ』と」
アルバートソンのネイバーフッド・マーケティング。
いま、この考え方に最も忠実な企業が、
トレーダー・ジョーとホールフーズである。
総括講義の第3は、
ロイヤルカスタマー。
日本語で言う「お客様」は二つに分かれる。
ひとつは消費者(Consumer コンシューマー)。
ひとつは顧客(Customer カスタマー)。
前者は一見客、後者は常連客。
カスタマーの中で店と強い絆で結ばれた顧客を、
「ロイヤルカスタマー」という。
「その店、その企業の商品やサービスに満足し、
繰り返し利用してくれる顧客」。
現代のコンテスト型競争は、
「ロイヤルカスタマー獲得競争」と
言い換えてもいい。
レース型競争を志向すると、
一番強いチームしか応援しなくなる。
「巨人大鵬卵焼き」の時代がそれだった。
そして「一番強い」や「一番安い」は、
遷(うつ)ろう。
㈱セブン&アイ・フードシステムズ社長の大久保恒夫さん。
㈱成城石井社長時代からの口癖。
「価格で引っ張ったお客様は価格でとられる」
これ、レース型競争の真理。
今も「レース型競争」を続けている会社や店がある。
もちろん「価格志向」も必要だ。
何しろ世界最大企業のウォルマートがそれなのだから。
しかし、「価格志向」は最後には、
「量と規模」がモノを言う。
世界最大のウォルマートがそれだ。
しかし現在、どの店もロイヤルカスタマーに支えられている。
浅田真央がちょっと失敗しても、
ファンはその失敗すら心配し、応援してくれる。
そんな店にならなければいけないし、
そんな店になりたい。
それがロイヤルカスタマーづくり。
総括講義の第4は、サービス。
「もしあなたが
顧客にサービスを提供する仕事に就いていなかったら、
顧客にサービスを提供する人に
サービスを提供するよう行動しなさい」
カール・アルブレヒトの言葉。
不思議なくらいに効果がある。
これを徹底して実践できたならば。
そして第5にイノベーション。
ドラッカーの『イノベーションと企業家精神』(1985年)から。
「イノベーションとは、
人的、物的、社会的資源に対して、
新しい、より大きな富を生む能力を
与える仕事である」
新しくて、より大きな「富」。
「富」とは、「利益」ではない。
英語ではwealthと言うが、
古くは「幸福、福利、繁栄」といった意味をもつ。
つまり「幸せ」のようなもの。
それを「生み出す」、そのための「能力を与える」。
つまりマネジメントする。
この全体の作業がイノベーションということになる。
「イノベーションとは、顧客にとっての価値の創造である。
それは科学的・技術的重要度ではなく、
顧客への貢献によって評価される」
「イノベーションの必要性を最も強調すべきは、
技術変化が劇的でない事業においてである」
小売業やサービス業の現場の仕事、
これこそ「技術変化が劇的でない」分野だ。
そんな現場でこそ、
イノベーションは最も強調して、
繰り返し、重要性を言い続けられねばならない。
そして最後に、人間が持つ4つの特性。
コーネル大学のウィリアム・ドレイク先生の教え。
①Personality [個性・性格]
②Preference [好み・嗜好]
③Behaviors [行動・態度]
④Perception [認識・知覚]
このなかで、①と②は変えることができない。
人間がそれぞれに、もともと持っているものだから。
変えることができない以上に、
もっともっと大きく伸ばすものだ。
しかし、③と④は変えられる。
④のPerceptionはちょっと難しい。
自分自身の「理解力や直覚力」、
他人から「知覚されたもの、心像(心の像)」など。
そして、③の行動や態度は、変えられる。
だからまず、Behaviorsを変えよう。
コーネル大学では、そう訴える。
私も、行動を変えよう、
態度を変えようを強調する。
それは誰でもできることだから。
いつでも始められることだから。
そうしなければ、人はついてこない。
だから、「自ら、変われ!」
自分が変わらねば、
仲間を変えることは出来ない。
自分が変わらねば、
店を変えることは出来ない。
自分が変わらねば、
会社を変えることは出来ない。
そして自分が変わらねば、
社会を変えることは出来ない。
自ら、変われ!
何を変えるか?
まず、 Behaviors。
そうすればやがて、
Perceptionも変わってくる。
最後の最後はラインホールド・ニーバーの[祈り]
変わるものを、変えられる勇気を、
変わらぬものを、受け入れる心の静けさを、
それらを見分ける英知を
お与えください。
ご清聴、感謝。
バスはちょうど、サンフランシスコ国際空港に到着。
空港はずいぶんすいていて、
あっという間にチェックインが済んだ。
そして、チームごとに写真。
teamworkよろしい㈱阪食のメンバー。
前列左から、愛宕敏光さん、豊中ブロック部長、
白間千恵子さん、顧客サービス部、
岸部昌浩さん、第2商品部農産課チーフバイヤー、
後列左から、岡田昌彦さん、商品統括部日配チーフバイヤー、
守行毅さん、阪急オアシスえるむプラザ店店長、
㈱阪食デリカから池田洋一さん、商品部部長。
㈱エブリイは5人の幹部。
左から、山本行雄さん、執行役員福山地区統括、
長谷川和彦さん、執行役員デリカ部長、
永谷真次さん、取締役経営企画部部長、
小林史郎専務取締役、
そして岡崎真悟さん、エブリイ外食部門の㈱ホーミイダイニング経営企画室長。
㈱ハローデイの「お元気様」衆。
左から、拝上強さん、商品部デリカ課バイヤー、
鹿島和久さん、商品部青果課エリアバイヤー、
横山修さん、スーパーバイザー部部長、
岡部繁宏さん、商品部デイリー課バイヤー、
高嶋祐作さん、施設管理部係長。
朝日を浴びる㈱サンシャインチェーン本部の皆さん。
左から、豊田洋人さん、生鮮商品部惣菜課課長、
下八川護さん、執行役員店舗開発部長、
荒井茂雄さん、青果産直部マネージャー、
遠藤美紀さん、ベルティス店チェッカー主任。
そしてもう一度、全員写真。
これから、始まる。
ここから、始まる。
私たちの物語。
サービス&クォリティ進化型へのイノベーション。
Thank you, so much!
<結城義晴>