結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年02月29日(水曜日)

TSIホールディングス社長解任劇とセブン&アイの電子書店参入

朝、横浜の家を出る時、
雪は深々と降っていた。
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東京に着くと、
霙が混じった雪になっていた。

関東甲信越に積雪。

私の生まれ故郷の福岡でも、
雪は積もったらしい。

東海道新幹線に乗って、
静岡に入ると雪は少なくなって、
名古屋では快晴。

日本は広い。

昨年は確か2月の11日と14日に、
東京・横浜に大雪が降った。

建国記念日とバレンタインデー。
今年はうるう年のうるう日。

パラパラッという雪ではなく、
まとまった雪は、
記念日に降る。

何の根拠もないけれど。

「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る…」
月日の流れの早いことをたとえた言葉ですが、
本当にあっという間に
2月も最後の日を迎えてしまいました。

㈱足利屋洋品店社長の松﨑靖さんからメール。
毎月、月末にいただく。

「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る…」
上手い言い回しで、江戸時代からあるそうだ。

「い」ちがつは「い」く。
「に」がつは「に」げる。
「さ」んがつは「さ」る。

私の好きな「頭韻」を踏んでいるわけですね。

松崎さんのおっしゃるとおり、
逃げるように過ぎてしまった2月。

そして明日から3月です。

松﨑さんのメールは続きます。
今日は、坂口安吾が桐生に引っ越してきて
60年目の記念日です。

4年に一度、「安吾の引越し記念日」があり、
安吾にゆかりのある人が集まり、
講演会を開いています。

前にも書いたが、
私は大学生の頃、安吾に凝ったことがある。
だからこんな催しが行われていること自体、喜ばしい。
それでも「引っ越し記念日」とは、
著名な作家はすごい。

松﨑さんのメール。
大事なことを忘れないためにも、
記念日は大切に守り続けたいですね。

記念日が雪というのは、
だから、いいですね。

松﨑さんは毎月、店のチラシの代わりに、
『虹の架橋』という新聞を発行している。
これがすばらしい。
そして3月号はその第199号

4月でめでたく200号。
おめでたい。

199号の「小耳にはさんだいい話」。
松﨑さんのエッセイ。
みなさんも、読んでみてください。

作家・下村湖人の短編からとった「無償の愛」。
これも私が小学生の頃にはまった『次郎物語』の著者。

この物語の最後に、松﨑さんは、
湖人の言葉を引く。
おたがいに助けあわないと生きてゆけないところに、
人間の最大の弱味があり、
その弱味のゆえにおたがいに助けあうところに、
人間の最大の強味があるのである

さて今日は、電通の土井弘さんの引退の日。
43年間の電通生活。
大電通きっての流通専門家。

私も、ずいぶん、いろいろなことを教えていただいた。
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心から感謝しつつ、
「土井さんの引退記念日」としたい。

これからもよろしくお願いします。

日経MJトップ面に、
TSIホールディングス社長解任劇が、
生々しく報じられている。

まるで、1982年の三越社長・岡田茂解任劇のごとし。
「何故だ!」との岡田の言葉が流行語のようにもなった。

「三越事件」と報じられたが、
この事件のあと、三越は徐々にその力を失っていく。

TSIとは、東京スタイルのTと、
サンエー・インターナショナルのSIからとられたネーミング。

2010年の10月に、
両者が経営統合して、
純粋持ち株会社が誕生。

その中島芳樹社長が、
23日の取締役会で、
「突然の動議」によって、
5対2で解任された。

「27分の解任劇」とMJは報じる。

三越事件のように、
解任した者たちもマーケットから裁かれて、
やがて会社は衰退していく。

同じ日経MJの「消費見所カン所」に、
㈱セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さん登場。
こちらには解任劇などありえないし、
想像すらできない。

「時間はかかったが、
グループの相乗効果が出始めた」

相乗効果とは、
グループ内に多業態を抱えるが、
そのマルチ業態間のシナジー効果が出始めたということ。

今日で終了する2011年度の連結経常利益は、
過去最高の2840億円。
2010年度対比17%増を見込む。

コンビニのセブン‐イレブンが圧倒的に高収益で、
この面ではイオンとは全く異なる体質。
しかしイトーヨーカ堂の総合スーパー、そごう・西武の百貨店も、
利益が出るようになった。

マルチ業態戦略は、
それぞれの業態がそれぞれに利益を出さねばならない。
短期間利益が出ないことはあるが、
長期間お荷物になることは許されない。

だから「相乗効果が出始めた」のは、
鈴木さんにとって、セブン&アイホールディングスにとって、
率直に喜ばしいことに違いない。

それでも鈴木さんは、持論を展開することを忘れない。
「価格だけでなく
価値を重視する消費者が増えている」

この面でもイオンとは反対の考え方。

「両雄」と称してかまわないと思うが、
セブン&アイとイオンが、異なる戦略を掲げていることは、
日本の小売流通業界にとって幸いである。

しかし両者に一致した時代観がある。
インターネット事業の将来性である。

「13年2月期に力を入れるのは
実際の店舗とインターネット販売の相乗効果の強化」

そのために、「今夏をめどにグループのネット事業を一本化」する。
これはイオンも同じ。

「消費者はどちらか一方で満足はしない。
ネットとリアルの融合が重要になる」

常に「消費者は」という言葉が出てくるところが、
鈴木敏文さんの真骨頂。

日経新聞本紙に、
「セブン&アイ、電子書店参入」の記事。

通販子会社のセブンネットショッピングが、
3月1日からネットを通じて、
小説・マンガなど4万5000冊の販売を開始。

「年内には国内最大規模となる10万冊に増やす」

仕入れ先は、凸版印刷の電子書籍事業子会社ビットウェイ。

当然ながらセブン-イレブンの連携が中核となる。
電子書籍購入に応じて電子マネー「ナナコ」のポイントを付ける。

そごう・西武のギフトカタログも配信し、
こちらもリアル店舗との相乗効果を狙う。

現在のネット会員は1000万人。
電子書籍1冊購入すれば、
スマートフォンやタブレット、パソコンなど、
最大3つの端末にダウンロードできる。

初年度は1億円の売り上げを見込み、
早期に10億円に引き上げる。

セブン&アイはネット事業の売上高を現在の2000億円から、
2014年度5000億円に増やす計画。

このあたりはイオンと同じ見方だ。

セブン&アイとイオンの戦略の差異と同一。
このあたりに時代が映し出されている。

<結城義晴>

2012年02月28日(火曜日)

「蛮勇と本物の勇気」、そして松下幸之助「不況克服の心得十カ条」

寒い日が続きます。

しかしそれも、
すこしづつすこしづつ春けふの空
〈宇都宮市・小野寺七十六 朝日俳壇より〉

私たちはいつも、
一心不怠 成長無限
今月の商人舎標語。

今日の日経新聞最終面の『交遊抄』。
立教学院理事長の糸魚川順さんが、
交遊のお相手として登場。

書き手は北越紀州製紙社長の岸本晢夫さん。
「日本人でもこのようなすごい国際人がいるのか」
岸本さんはそう思ったそうだ。

1992年のハーバードビジネススクール。
お二人は上級経営プログラムで出会った。

「どんな話題でも相手の立場を尊重し、理解を得る。
外国人との間合いは絶妙だった」

糸魚川理事長は私も年に何度か、
第一食堂での交流会でお顔を拝見するが、
「国際紳士」そのもの。

今度お会いしたら、
この話を聞かせてもらおう。

さて、日経新聞のスポーツ欄。
私は高く評価している。
写真を除いて。

そのコラム『クールダウン』。
ちょっと地味なボクシングの話題。

「ボクシングは恐怖心が基本。
それがないと上手にならへん」
兵庫県の定時制高校ボクシング部顧問・脇浜義明さんの指導理念。
脇坂さんは71歳になる。

「パンチが怖いから、よける方法を必死に磨く」

「本能で体が動くからこそ本物の技術が身につく」

脇浜門下生の女性ボクサー多田悦子。
世界ボクシング協会女子ミニマム級王座を7度防衛。

そしてコメント。
「久々にボクシングが怖いと思った」

コラムニストは、この感情を「畏れ」と表現する。
「『恐れ』というより『畏れ』に近い気がする」と。

「畏れ」は「神をも畏れぬ」と言った時に使われる。

「彼我の力量を見定めて、
畏敬の念を抱きながら勝つ方法を探る」

この姿勢、この心構え。
ほんとうに大事だ。

「『怖いもの知らず』の蛮勇よりも、
怖いものを怖いと素直に認める勇気」
これが「勝者の資質」。

東日本大震災後の不確実な消費の実像。
この時に必要なのは本当の勇気なのだと思う。

私の著書『メッセージ』(商業界刊)より、
勇気ある決断

私たちは
いつも
勇気を
もたねばならない。

弱い人も、
強い人も。
小さな人も、
大きな人も。

力ある人も
知恵ある人も。
地位ある人も、
将来ある人も。

最後の最後には
勇気ある
決断を
しなければならない。

恐れてはいけない。
くじけてはいけない。
悔やんでもいけない。
逃げては、もちろんいけない。

日々の
小さな意思決定にも
勇気が
潜んでいなければならない。

人生一度の
大きな勝負どころには
勇気が
あふれていなければならない。

四面楚歌の
窮地には
勇気でしか
立ち向かえない。

勇気とは
未知なる世界に一歩、
目隠しで踏み込む
心のあり方だ。

雪印も日本ハムも、
ダイエーも西友も、
イトーヨーカ堂もイオンも、
そしてユニクロも。

人びとが
すべて
勇気ある決断を
しつづけなければいけない。
〈第1章・プロローグ「元気と勇気」より〉

もう一つ日経のコラム『大機小機』。
コラムニスト五月氏。
ちょっと季節外れのペンネーム。

「時代の変化はすさまじい。
老舗企業も判断を誤ればたちまち
危機に陥ってしまう」

「乱の時代といってもよい」

故渥美俊一先生が、
「天下大乱」と熱く語っていたのを思い出す。

「川の水が引いた時、
川底にこんな大きな岩がごろごろあったのかと
初めて見えてくることがある」

「危機に際して企業はどう対応すべきか」

ここでコラムニストは、
松下幸之助の「不況克服の心得十カ条」を引き出す。

▼『責任は我にあり』の自覚を――(第8条)。

▼再点検して、自らの力を正しくつかむ――(第3条)。
これは脇浜ボクシングに通ずる。

▼旧来の慣習、慣行、常識を打ち破る――(第5条)。
「現状の延長線上から新しいものは生まれない」

これ以外にも、
「不退転の覚悟で取り組む」(第4条)
「人材育成に力を注ぐ」
(第7条)
「打てば響く組織づくりを進める」
(第9条)

私自身は第6条も好きだ。
「時には一服して待つ」

そして第10条。
「日ごろからなすべきことをなしておく」

コラムニストは言い換える。
「先憂後楽」

さらに、「日ごろから最悪のことを考えて経営し、
変化への感度を磨くことを忘れてはならない」

さらにさらに、
「治に居て乱を忘れず」

これは私がよく使う言葉と同意。
「最悪を覚悟して、最善を尽くす」

すべてが本当の「勇気」のことを言わんとしている。

<結城義晴>

2012年02月27日(月曜日)

スターバックスの使命と震災1年後の「不確実な消費」

Everybody! Good Monday!
[vol9]

2012年第9週は、
2月最終週と3月第1週をまたぎます。

気分はもう、3月。

石巻在住の阿部恵昭さんがつくった唄。
「弥生三月は突然やってきます♪」
いつもこの時期に思い出しては口ずさむ。

しかし今日の2月27日は、
全国的に冬並みの寒さ。

すこしづつすこしづつ春けふの空
〈宇都宮市・小野寺七十六 朝日俳壇より〉

ちなみに「少しずつ」と書くときには、
現代仮名遣いでは「ずつ」と表記する。
ときおり「づつ」と綴ってある文書など見かけるが、
これは「古典仮名遣い」や「歴史的仮名遣い」で、
現代文の中に出てくると、間違い。

この俳句は古典仮名遣いで、
従って「すこしづつ」と「けふ」の表記が見られる。
「けふ」とは「きょう」すなわち「今日」のこと。
蛇足ながら。

さてこのホームページの巻頭に、
「商人舎ミドルマネジメント研修会のバナー。
デザインが改まって、
正式に募集開始。

ドラッカー学会初代代表の上田惇生先生を筆頭に、
「52週MD」の鈴木哲男先生、
「レイバースケジューリング」の高野保男先生、
「計数」の白部和孝先生、
そして結城義晴

5人で、ミドルマネジメントにとって必須の考え方を、
分かりやすく、Basicに徹して語り、研修とする。

小売流通業の会社の幹部を目指す人、
ミドルマネジメントそのものの店長やバイヤー、
部長、課長、係長、主任、
そしてそのミドルマネジメント予備軍。

そういった「ナレッジ・マーチャンツ」に、
「マネジメント」とは何か、
「人を活かす」とはどんなことか、
を学び取ってもらい、
小売流通業の「経営と運営」に関する知識と知恵を提供する。

次の時代を切り拓く人財、
他産業の人々と比べても遜色のない人財、
社会人大学院修了レベルに引けを取らない人財、
そんな人財開発にお役立ちする。

ご参加、ご派遣、
ご検討ください。

さて、今週は3月3日のひな祭りを目指して、
全力投球。

「女の子が健やかに成長することを祈る日」
それが3月3日のひな祭り。

今年はうるう年でもあって、
2月29日が加わり、
ひな祭りは土曜日になった。
いい日どり。

昨年は木曜日だった。

目いっぱい、ひな祭りで、
「女の子が健やかに」を愛でたい。

ひな祭りを過ぎると、
一気に春本番。

待ち遠しい。

しかし昨年3月11日のあの震災と津波。
あれから1年が過ぎようとしている。
フクシマ原発の問題はいまだ解決にほど遠い。

「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」

朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝。

この心構えで、
3月に臨みたい。

一人食う昼のおかずの鯖缶を
猫と分かてば春はそこまで

〈岡山市・佐藤茂広 朝日歌壇〉

昨日の第6回東京マラソン2012。
3万6000人が走った。

朝日新聞「天声人語」は予定稿らしき文章。
「陸上競技の競走で、電光石火の100メートルは、
走者が時間に向かって突き刺さっていくイメージがある。
片やマラソンは、時間を背後へ、背後へと捨て去って、
走り続ける競技のように思われる。

どこか人生に似ている。
そして人生はままならない」

コラムニストは埼玉県庁の公務員ランナー川内優輝選手を取り上げる。
日本人第1位でロンドン・オリンピック派遣がほぼ決まった藤原新選手ではなく。

「川内選手らの闘いの後には、
祝祭空間のようなコースを3万6千人が思い思いに続いた。
そして参加者の数だけの『人生』が、
ゆったりと、首都の道に一筆書きで描かれた」

さて日経新聞「スターバックス再生物語」
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「どの組織にも存在する意義・目的であるミッションが存在し、
その目標を明確に示した『ミッション・ステートメント』が必要」

スターバックスのミッション・ステートメントは
「人々の心を豊かで活力あるものにするために
――ひとりのお客様、いっぱいのコーヒー、そして一つのコミュニティから」

例えばスターバックスはかつて、
「既存店の売上げを伸ばすために、
朝食メニューにホットサンドを加えました」

その結果は、ミッションからの逸脱。
「コーヒーの香りが
サンドイッチのチーズが焦げるにおいで打ち消されてしま」う。
そして、肝心の「スターバックス体験」の提供が困難になった。

スターバックス体験とは、
「店内に足を踏み入れた時にコーヒーの豊かな香りに包み込まれる」体験。

「たとえ経済的利益をもたらすものでも、
ミッション・ステートメントに反するものは排除するべきだった」
CEOハワード・シュルツの言葉。

私はこの物語を読んだとき、
関西スーパーの使命と品揃えを思い出した。
「今晩のおかず屋」を、
名誉会長の北野祐次さんが使命としてきた。

だから関西スーパーには、
「贈答用の果物カゴ盛り」は置かれなかった。
今晩のおかず屋としての「関西スーパー体験」が崩れるから。

ミッション・ステートメントも時代とともに変わる。
変わってよろしいし、変わるのが当然。

だから贈答用カゴ盛りを品揃えするか否かの問題ではない。
「社会的使命」が明確で、
その使命と行動とに矛盾がないか。

それが問題である。

もうひとつ日経新聞のコラム『景気指標』。
「震災1年の消費の実像
編集委員の田中陽さんが書く。

結論から先に紹介すると、
「不確実性が消費社会を揺さぶる」

つまり、「震災後の消費の実像は
今まで以上に読みづらくなっている」

なぜか。

「震災だけでなく、
いろいろな社会現象や制度変更が
複層的に絡み合った結果」

それに「加えて消費税率引き上げの行方が
消費行動にどんな影響を及ぼすのか」
この不確実性の事例があげられている。

「20代のパスポート取得が増えている。
30~70代はすべて落ち込んだ」

「所得や雇用環境が好転していない若者が、
海外に目を向け始めたのはなぜか」

慶応大学のパネル調査(4150世帯)。
「労働時間の長い人や高賃金の人ほど
ボランティア活動に積極的に参加する姿が確認された」

「経済学ではボランティア活動は
逸失所得になるため参加率が低くなるとみられていたが
逆だった」

分からないこと、
これまでのセオリーが、
逆転していると、
田中さんは指摘する。

「株価と正の相関があるとされる宝飾品」
「百貨店では宝飾品など高額品の売れ行きが好調」

「地震や津波で一瞬のうちに生命や財産が奪われ、
不要不急な商品を新たに所有することに
二の足を踏むという意見もあったが、
実際は違った」

そこで第一生命経済研究所・熊野英生首席エコノミストの見立て。
「インフレに備えた実物資産への投資、
家電エコポイント終了による薄型テレビからのシフト、
団塊世代の年金受け取りの本格化」

だから「社会現象や制度変更が複層的に絡み合った結果」となる。

私の結論は、それでも震災後を読み取るためには、
「消費をマスで捉えてはならない」ということ。
震災後、それがますます顕著になった。

例えばID付きPOS システムがある。
顧客データごとに商品販売データをつかむ。

しかし、ワン・トゥ・ワン・マーケティングでは、
効率は上がりにくい。

だから、マス・カスタマイゼーションが要求される。
マス・マーケティングとカスタマイズの両立。

このホームページの中のブログ「流通仙人日記」
やがてこのブログは単行本になる予定だが、
その中の「マス・カスタマイゼーションを実現」のページに、
次の記述がある。

「マス・カスタマイゼーションを実現するために、
これからのコモディティ商品のマーチャンダイジングのあり方、
および固定客づくりの手法の骨格を分けて考えてきた。
これからのコモディティ商品のマーチャンダイジングのあり方、
および固定客づくりの手法の骨格を分けて考えてきた」

「これは、不特定多数客をターゲットとするマスと
固定客づくりを最重視すべきとする
相互に相いれない2つの概念の両立を試みるためであった」

そして言い切る。
「対立概念の両立は可能であり、
しかもシナジーを生み出す」

さて昨日の日曜日。
夕方から、27歳の若者たちと懇親。
横浜は白楽の海鮮居酒屋はなの舞。
夕方の5時から始めて、9時半くらいまで。
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楽しすぎて、したたか飲んだ。
そして二日酔い。

私は、1993年から10年ほど、
ジュニアソフトボール・チーム「竹の子」の監督をやっていた。
小学生の男女20人ほどがチームメンバーで、
毎週日曜日と祭日には横浜市立白幡小学校に集まって、
練習に明け暮れる。

私自身『食品商業』編集長から㈱商業界取締役となり、
専務、代表取締役社長と、目まぐるしく立場が変わりつつ、
ほんとうに忙しい日々だった。

その私の監督3年目のメンバーが彼ら。
「竹の子」の第一期黄金期をつくった選手たち。

左からキャプテンでキャッチャーの柳楽誠、
ショートとピッチャーの小泉直樹、
そしてピッチャーと内野手の結城晴。

小泉君は5年前に、
㈱シジシージャパンに新入社員として入社し、
元気よく働いているとか。

そんなこともあって、
再び気持ちはグランドに舞い降りて、
したたかに飲んだ。

「球春」を迎えようとしている今、
ブリューワーズに入団した青木宣親は、
「ニンジャ」とニックネームをつけられて躍動し始めた。

「竹の子」の3人と同級生で、
港北ジュニアソフトボールリーグでしのぎを削った大谷智久は、
2009年に千葉ロッテ・マリーンズに入団して、
今年、先発投手の枠に入る。

昔の教え子たちも、
それぞれの人生を歩き始めている。

「参加者の数だけの人生が、
一筆書きで描かれる」

何とも言えない心地よい夜だった。
そして元気が出てきた。

みなさんも、元気を出して。
Good Monday!

<結城義晴>

2012年02月26日(日曜日)

ジジとKawana Hotel[日曜版2012vol9]

ジジです。
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まどべのジジ。
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ずいぶん春めいてきました。
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おうちのなかには、
ユリの花。
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おとうさんは、
おでかけ。
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電車にのって。
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海がみえるところ。
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伊豆。

ボクはまどべで、
まってます。
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おとうさんがついたところは、
Kawana Hotel。
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ことし75年のアニバーサリー。
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玄関もシック。
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おちつきますね。
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ロビー。
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75年前と、
おんなじ。
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変えないことが、
このホテルのモットー。
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変わるもの、
変わらないもの、
変えないもの。
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まどのそとには、
伊豆諸島が、
みえるはず。
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ついたら、おへやにおちつく。
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しんぶんの夕刊が、
ドアのしたに、はいってる。
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まどのそとは、海。
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プールとしばふと、
そのむこうにゴルフコース。
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そして、おとうさん。
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どうでした?
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夜から、雨。
朝も、大雨。
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それでも、やった。
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たいへんでしたね。

でも、とちゅうから、
雨がやんで、
こころからたのしんだ。

おわったら、
あかるくなった。
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おとうさん、
2週間まえには、
あめりかにいって、
それからもずっと、
やすみがなかったですからね。
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時差ぼけもなおらなかったし。
これで、すっかりなおりますね。

よかった、よかった。
Kawana Hotelのおかげです。

ありがとう。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2012年02月25日(土曜日)

第一屋製パンのトヨタ生産方式と続・フランス冷凍食品専門店ピカール

今月の商人舎標語。
一心不怠 成長無限。

常にこの心持で、
何事にも邁進したい。

昨日から細貝理栄さんとご一緒。
第一屋製パン㈱代表取締役社長。
商人舎発足の会の発起人のおひとりでもある。
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その細貝さんの第一屋製パン。
トヨタ生産方式(TPS)によって、
目覚ましい成果を上げている。

成果は2011年12月期決算に如実に表れた。
連結最終損益は従来予想3億5000万円の赤字だったものが、
3500万円の黒字へと転換。

細貝さんは語る。
「提携する豊田通商から専門家400人の派遣を受けた。
昨年4月に主力工場でTPSを導入。
それを全工場に広めた。
人の配置や製造工程、発注プロセスの見直しなどを、
地道に地道に重ねた」

「何も難しい言葉は使わない。
しかし小さな改善を徹底して行う」

まさに「一心不怠」。

「トップが率先して改善に取り組んでいるが、
上からの命令ではなく、
現場がやる気になっている」

この工場段階でのTPSは、
今後、営業現場や業務管理にも活用される。

マネジメントは大きく5つに分けられる。
第1がストラテジック・マネジメント。
経営戦略に関するマネジメント。

第2がプロダクト・マネジメント。
これが製造業の場合、
工場現場におけるマネジメントで、
第一屋製パンはこのイノベーションを果たした。

小売業ではオペレーション・マネジメントと呼んでいい。
サミットのレイバースケジューリングは、
オペレーション・マネジメント改革の成功例だ。

第3は、マーケティング・マネジメント。
フィリップ・コトラーの言う如く、
「マーケティングは組織で行う。
従って、マーケティング・マネジメントが重要になる。」

第4はフィナンシャル・マネジメント。
財務に関するマネジメント。

そして第5がヒューマンリソース・マネジメント。
組織で働く人間、経営する人間に関するマネジメント。

細貝さんは、第2のプロダクトマネジメントを、
TPSによって成し遂げ、
それを組織文化に変えようとしているのだと思う。

さて、昨日の続きのフランスのピカール。
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冷凍食品の商品開発・デリバリーから小売りまで、
一貫した事業を展開。

いわばユニクロの冷凍食品版。

ご覧のように、アイスクリーム・ケースがずらりと並んだような店内。
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リーチインケースではないところが、
ピカールの特徴。
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延々と冷凍ケースが並ぶ。
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825店すべてが標準化された店づくり、売り場づくり。
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ワンウェイコントロールの客動線。
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店外とはガラスで仕切られ、
あかるい雰囲気をつくる。
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青果・シーフード・精肉、半加工品、乳製品、パン、惣菜、デザート、菓子。
スーパーマーケットの食品部門で、
冷凍化できるものはほぼすべて1000品目の中にある。
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オペレーションは、ケースの中に陳列するだけ。
しかも生鮮食品やデイリー食品と比べて、
鮮度管理も楽だ。
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生鮮食品は、鮮度のいいうちに瞬間冷凍すれば、
むしろ生鮮のまま流通させるよりも、
鮮度レベルが高い。

顧客からも「ピカールは鮮度がいい」と評判。
そして「冷凍でもおいしい」。
いや、「冷凍だからこそおいしい」。

サインやPOPも洗練されていて、
しかもシンプル。
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商品名、価格がわかりやすく、
料理の写真も掲げられて、
メニュー提案がなされている。
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レシピはこんな感じ。
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平ケースであることの意味は、
店内の見通しの良さと、
このショーカードやPOPの見易さ。
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商品パッケージ・デザインにもフランス流の洗練ぶりが見られる。
カルフールやオーシャンのプライベートブランドとは、
どこか違っていて、量販商品というイメージがない。
しかし単品量販であることは間違いない。
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ピザは大人気商品で、
とてもおいしいそうだ。
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フランスのデータでは、
パリをはじめとした都市部に住む25歳~49歳の女性の約8割が仕事を持つ。
そんなワーキング・ウーマンたちに絶大な人気を誇る。

約1000アイテムの内訳は、
素材から半加工・加工食品・デザートまでの冷凍食品。
シーフード20%、青果20~30%、精肉20~30%。

1人用、2人用からファミリー用まで、
必要量に応じたパッケージングの商品が揃う。
さらに家庭での保存・使用方法などもレクチャーされている。

半加工品は、「素材の皮をむいたり、切ったりする手間がはぶける」
ピカールは、冷凍食品の製造小売業。
だから製品製造は冷凍食品メーカーに仕様書発注される。

その委託メーカーは、
75%がフランス国内の企業、
25%がヨーロッパ、南米産もあるし、
最近はアジアの食材も品揃えを広げている。

価格は、値頃を追求する。
野菜やシーフードなどには、
生鮮食品の半額に近い商品がある。

さらに電話とインターネットによるカタログ注文販売にも力を入れる。
冷凍食品の強みを徹底的に発揮したビジネスモデルである。

ピカールは、もともとが氷屋だった。
それが戦後、冷蔵庫・冷凍庫の普及で、
そのハードウェアを売るとともに、
冷凍食品も売り始めた。

だからの特徴の第1は、
冷凍の専門家であること。

その強みを徹底的に活かす。

第2は、この店だけですべてが揃うことを狙わないこと。
つまりコンプリートストアであることを放棄したモデル。

近隣にカルフールのハイパーマーケットや、
カルフール・マーケットのスーパーマーケットがあったほうがいい。
補完関係の中で、冷凍食品は安くてうまい。

第3は小型店の多店化が実現されていること。
従って出店スピードは、速い。
フランスにはラファラン法という出店規制法規がある。
だから大型店は極めて出店しにくい。

ピカールの出店スピードは、いま、
図抜けている。

つまりリミテッドアソートメントストアということになる。

アメリカで言えば、トレーダー・ジョーと同じグループ。
従って、日本のコンビニとは対極にある小型店。

面白いフォーマットが発達したものだと、
つくづくと感心させられる。

<結城義晴>

2012年02月24日(金曜日)

フランスの冷凍食品専門店「ピカール」825店は「地域の冷凍庫」

一昨日の水曜日、
林廣美先生がTBS系「ひるおび!」に、
テレビ出演。

本格ハンバーグを紹介。
そのレシピは1人前80円
お元気です。

このサイトへのアクセス数が突然、跳ねるので、
ああ、そういえば林先生が出るんだった、と気づく。

今日のブログ「林廣美の今週のお惣菜」は、
181回を数える。
このホームページ右段にtodayと出ている。

「野菜が高い!
でも食べたい」
そんな顧客に「野菜たっぷりチキン南蛮」
そのシリーズ①

林先生は本物のコンサルタント。
ご自分の深くて長い経験をもとに、
自分で考案し、自分で提案する。

これぞ本物コンサルタント。

それでいて実に謙虚で、
「俺が俺が」がない。
お役立ちを優先する。

いつまでもお元気で、
頑張って欲しいものだ。

さて日本銀行が、
消費者物価上昇率1%の「目途」を掲げ、
金融緩和の追加処置をとったら、
1ドル80円と円高へと逆転し、
株価も上向き傾向。

インフレ・ターゲット論は、
確かに効果がある。

アメリカの連邦準備理事会(FRB)は、
2%のゴールを明示し、
下限を1%に設定しているが、
ポール・グルーグマン教授に批判されていた日銀も、
おずおずと1%。

昨日の予算委員会で自民党の中川秀直衆議院議員が、
日銀白川方明総裁と野田佳彦首相を追求。
しかしそれでも、日銀の姿勢を市場が評価した。

政治に関しては、
小沢一郎に復権の兆し。
秘書に対する検察の供述調書が証拠不採用。
俄然、小沢の「ドヤ顔」がクローズアップされた。

昨日の一面トップと、
今日のオピニオン欄で、
朝日新聞は小沢一郎を取り上げた。
これまで反小沢の急先鋒だった同紙は、
「朝日、小沢に白旗」などと揶揄されている。

さて今日は、フランスの「ピカール」
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「PICARD」と綴って、
「ピカール」と発音する。

「フローズンフード・ストア」のナショナルチェーン。
つまり冷凍食品専門店チェーン。

または「フリーザー・ストア」、
あるいは「フリーザー・センター」。
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林先生がフランス人なら、
きっとピカールだけでつくるお惣菜を考案するに違いない。

そのくらい、いい店。

そしてスーパーマーケットにとって、
大いに脅威となっている。

この店は、パリの西側の郊外。
ラ・デファンスの外側。

マンションにかこまれた近隣型ショッピングセンターの一角にあって、
広場を挟んだ反対側にスーパーマーケットがある。
カルフール・マーケット
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生鮮食品、乳製品、加工食品、雑貨のフルラインの店で、
「地域の台所代わり」の役を果たしている。

もちろん冷凍食品売り場もあって、
今では珍しくなったセミ多段ケースで販売されている。
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しかし、妙に冷凍食品売り場は狭い。
それはピカールのせい。

ピカールの隣には、
嗜好食品の店ニコラスがある。
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ピカールの店に入ると、平冷凍ケースがずらり並んで、
「もしかしたら冷凍ケースショップ?」と勘違いしそう。
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入り口にレジがあり、
オペレーションはたった一人。
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究極のローコスト店舗。
店舗面積は150坪くらい。

昨2011年段階で、
なんと店舗数825店。

1906年に製氷販売会社として創業。
創業者はRaymond PICARD(レイモン・ピカール)。
そこから社名、店名が採用された。

電気冷蔵庫が発明される前の時代。
カフェやレストラン、家庭向けに氷を卸した。
日本にもあった「氷屋」。

第二次大戦後、冷蔵庫が普及。
家庭用冷凍庫も登場。

そこで1962年、ピカールは冷凍食材と冷凍庫を販売し始めた。
10年後の1971年、冷凍食品のカタログ販売スタート。
このころ約300アイテムがあった。

1987年、ピカール直営店舗は100店舗。
パリから地方都市へと出店攻勢。

1991年、とうとうカルフールがピカール資本の10%を保有。

1994年、カルフールのピカール資本保有率は79%にまで増加するも、
2001年、投資コンソーシアムに売却。
以来、毎年10数店の出店、10%の売上げ増を続け、現在に至る。

約1000アイテムの品ぞろえ。
すべて冷凍食品。
すべてプライベートブランド。
肉、野菜、果物、シーフードの食材、
アペリティフ用おつまみ、オードブルやメイン、つけ合わせ、デザート、
パティスリー、パン、、ソースやハーブなど。

働く女性80%というフランスで、
人々の力強い味方となっている。

カルフール・マーケットが「地域の台所」なら、
ピカールはまさしく「地域の冷凍庫」。

台所よりも冷凍庫の方が、
絞り込まれていて、ユニーク。
だから店数が増えたら、強い。

すごい店がフランスにある。
(明日に続きます)

<結城義晴>

2012年02月23日(木曜日)

ウォルマート2011年度決算と小売り4業態別1月販売統計の明と暗

ウォルマートの決算が発表された。
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2011年度の総売上高4439億ドル。
いつものように1ドル100円換算で44兆3900億円。
昨年は4189億ドルだったから、
250億ドルの増加で、
これはプラス5.9%。

すごいことです。

100円換算で2兆5000億円の伸び。
80円でも2兆円。

純利益は157億ドル(同1兆5700億円)。
昨年は164億ドルだったので、
こちらは4.2%の減少。

2012年1月末の店舗数は、
アメリカ国内に4479店、
アメリカ国外に5651店。

合計1万0130店舗となった。
コンビニエンスストアやスーパーレットなど小型店を含まず、
1万店の大台を超えたのもウォルマートならではのこと。

ただし、日本の大手小売企業同様に、
国内での成長が止まって、
海外で稼ぐ。

だから二つの道しかない。
国内は新フォーマットの開発、
国外はM&Aや積極的な出店。

国際戦略を推進する第4代目CEOマイク・デュークの発言。
「多くの家庭が新しい“標準”に慣れつつある中、
ウォルマートのプライス・リーダーシップは、
アメリカ全土で差異を生み出している」

「コアな顧客は依然、財政状況に慎重であり、
現在の厳しい経済情勢を生き抜くため、
ウォルマートのEDLPに信頼を寄せている」

エブリデー・ロープライスを貫き、
プライス・リーダーシップを握り続ける。
ポリシーは不変だ。
1962年にサム・ウォルトンが1号店をつくったウォルマートは、
今年、創業50周年を迎える。

デュークは語る。
「大きなチャンスが私たちの前に見える 」

ほんとうに見えているのかどうか。
それは誰にもわからない。
しかしポリシーは1962年以来、
一貫している。

それがウォルマートの強みである。

さて、2012年1月の販売月報が
続々と発表されている。

1月の百貨店の統計結果。
調査対象は日本百貨店協会加盟の86社、254店舗。

まず売上高総額は1月の31日間で5526億7220万円。
既存店前年同月比はマイナス0.3%と、微減。

1月前半の正月商戦は、
福袋や初売り、セールが好調で、
前年を上回る勢いでスタートした。

しかし、後半は例年を下回る気温の低さと
日本海側の記録的な大雪が影響し、
減速してしまった。

地域別では、復興需要が依然好調の
仙台地区がプラス7.8%、東北地区が4.3%。

また、新店、増床店舗が拡大している
福岡がプラス18.1%、大阪がプラス5.0%と、
こちらも好調。

1月のコンビニの販売統計。
日本フランチャイズチェーン協会発表。
主要コンビニエンスストア10社の統計。

ココストア、サークルKサンクス、スリーエフ、
セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、
デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、
ミニストップ、そしてローソン。

コンビニは完全に寡占化された産業。
この寡占化はさらに淘汰される。
1月の店舗売上高は既存店ベースで
6313億6300万円。
前年同月比はプラス1.7%。
前年を上回りはしたが、
ここ数カ月と比べると、
伸び幅は少ない。

それでもやはりコンビニは強い。
来客数、平均客単価、店舗数、
すべての項目で前年同月比、プラスを維持。

既存店の来客数は10億3069万人(プラス0.01%)、
平均客単価は613円(プラス1.7%)、

店舗数は4万4520店(プラス3.8%)。

この時期の気温の低さは、
コンビニにとってプラスに働く。
おでん、肉まん、揚げたて惣菜などの
カウンター商品はもちろん動きがよくなる。
さらに寒気の影響で野菜が高騰するため、
手頃な価格で購入できる
個食サラダや惣菜などもよく売れる。

日本チェーンストア協会からは
1月のチェーンストア販売概況がでている。
こちらはチェーンストア60社、7860店の統計。
イオンやイトーヨーカ堂、ダイエーなどの
大手総合スーパーの企業が名を連ねる。

販売総額は1兆1249億3139万円。
全店でみると、プラス3.5%だったが、
既存店は前年を割り込み、
マイナス1.2%。

食料品の動きが鈍く、
既存店前年同月比がマイナス1.6%。

なかでも、畜産がマイナス3.3%、
水産がマイナス3.2%とふるわず。

さらには家電がマイナス10.7%。
寒かったにもかかわらず、
暖房家電が不調だった。

そして最後に
1月のスーパーマーケット販売統計調査。

スーパーマーケット3協会の合同調査。
日本スーパーマーケット協会、
オール日本スーパーマーケット協会、
一般社団法人新日本スーパーマーケット協会。

集計企業数は280社、7582店舗。
このうち、保有店舗数が1~3店舗の企業は45社。
4~10店舗が81社、
11~25店舗が73社、
26~50店舗が45社、
51店舗以上が36社。

つまりこの統計では、
保有店舗が25店舗以下の
スーパーマーケット企業が多いことがわかる。

今月の発表者は、
新日本スーパーマーケット協会・増井徳太郎副会長。
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総売上高は7538億7598万円。
既存店前年同月比マイナス1.9%。

食品の合計が6582億3462万円(マイナス1.8%)、
非食品の合計は689億5095万円(マイナス3.7%)。

前年同月を超えたのは、
青果のプラス0.2%と、
惣菜のプラス0.1%のみ。

「青果のプラスは相場の影響とみてよい。
低温の影響で、相場が高騰した
葉物野菜やいちごなどの生育不良、低品質、品不足が原因」

「惣菜はトレーなどの副資材の価格が上がっているため、
利益率が下がっている」

「4年以内に70%の確率で首都圏に直下型地震の報道がされてから、
水などの備蓄用品が売れた。
また、ヨーグルト、トマト、塩こうじなども
テレビで特集されてからの動きがよい。
メディアの影響の大きさがうかがえる」

既存店の前年同月比を業態別にまとめると、
食品スーパーマーケット ▲1.9%
総合スーパー ▲1.2%
百貨店 ▲0.3%
コンビニ +1.7%。

ついでに、
ウォルマート
(2012年度)プラス5.9%。

ゲストスピーカーは、
㈱シジシージャパンの芹澤政満さん。
グループナレッジ推進担当取締役。
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CGCグループは全国のレギュラーチェーンに対抗するため、
ローカルの中堅・中小スーパーマーケットが結集した協業組織。

スライドを使用しながら、
CGCグループの動向について語った。

「CGCグループは2010年度現在、
4兆2658億円。
総企業数227社、総店舗数3720店舗が加盟。
1990年に加盟企業数がピークに達した」

「加盟企業数は減少しつつあるが、
売上げは一貫して増加している。
つまり、1社あたりの企業規模は大きくなっている」
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「コア店舗124店のPOSデータを毎日収集し、
営業動向を調べている。
CGCでは小商圏に展開している会員企業が多いため、
天気の影響を受けやすい。
今月は特に野菜が高く、
鍋物関連商材の数字に結びつかなかった」

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「CGCのプライベートブランドは
幅広く展開している。
加工肉の『Vpack』や、雑貨の『くらしのベスト』、
パンの『Alman』、スポット商品の『断然お得』。
しかし問題もある。
CGCの商品であるという認識が低い」

「東日本大震災を機に有名になった大船渡のマイヤは、
CGCの加盟企業。
ここで、CGCの災害マニュアルが大いに役に立った。
これは、原信ナルスホールディングスのマニュアルをベースに作成された。
原信は新潟で2回被災したが、
その被災経験企業の意見が盛り込まれている」
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「たとえば、ストーン・ペーパーを使用している。
水に濡れても破れない紙。
水害でマニュアルがダメになってしまった経験が、
ここに活かされている。
これが『協業』の成果である」
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「自社努力で足りないところを協業活動で補う。
CGCの目指すところは企業のつながりです」

世界最大の単独企業ウォルマートは44兆円。
中小ボランタリーの日本のCGCは4兆円。

どちらにも存在意義がある。
それが小売流通業の特徴だ。

私が惚れ込んだ世界の面白さだ。

<結城義晴>

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