花粉症がひどくなってきた。
気づかずにいると、
たらりと鼻水が垂れている。
目がかゆい。
くしゃみは出ないが、
顔全体が腫れぼったいし、
赤みがさしている。
かつては、
鼻うがいなどやった。
あまり効き目はない。
生来のずぼらで、
放っておく。
いつの間にか、
花粉症のシーズンが終わる。
一昨年だったか、
伊豆の川奈ホテルゴルフコースで、
強い風の中、プレーした。
その強風にあおられて、
杉林から大量のスギ花粉の群れが、
たなびくように流れだして、
私たちの立っているティグランドを覆った。
それからは、何とかしなければと、
気に病むことしきり。
しかし、何ともならない。
だから、じっと我慢の子。
いつも雲の上を漂っている気分で、
ゆったりと構えているのが一番。
それでも気づかずにいると、
たらり、鼻水が垂れる。
さて、5月に商人舎の研修会が二つ。
既にお知らせしたけれど、
またまたアナウンス。
ひとつは商人舎USA視察basicコース。
自分で言うのもなんだが、
商人舎を始める前から、
ずっと温めていた研修内容が、
商人舎4年間の経験を経て、
完成の域に到達しつつある。
はじめてアメリカを訪れる人、
はじめてアメリカ小売業に触れる人、
知識だけでアメリカを学んでいた人、
久しぶりにアメリカ流通業を再確認する人、
そして原理原則や基礎基本を習得したい人。
そんな人々に最適。
最後に私は迫る。
「自ら、変われ!」と。
もうひとつが商人舎ミドルマネジメント研修会。
これもずっと温めていた研修会。
「店長が変わると、その店の実績が変わる」
店舗の立地も建物も、
競合相手も、従業員も変わらない。
しかし売り上げや利益が変わる。
不思議なことだ。
なぜか。
小売業やサービス業は、
ミドルマネジメントとしての店長の役割が重くて、大きいからだ。
その店長をはじめとしたミドルマネジメントに、
現代的なマネジメントの在り方を教授する。
この研修会でも最後には、
「自ら、変われ!」と、迫る。
そして彼らは変わる。
自信がある。
確信といってもいい。
乞う、ご期待。
ご参加のご検討を。
さて、日経新聞ばかりで恐縮だが、
『経済教室』の「脱・成長論を疑う」
東京大学教授の北岡伸一さんが、
「『受動的な無責任』改めよ」と主張。
震災後の対応に関して、指摘されること。
「政治指導者の危機意識の欠如、リーダーシップの欠如と非効率」
北岡教授は過去の例と比べる。
まず「明治24年(1891年)の濃尾大地震」。
この時の名古屋の師団長は桂太郎だった。
のちの総理大臣。
桂は直ちに被災者の救援と人心の安定のために、
師団を出動させ、大きな成果を上げた。
のちに桂は天皇の命令なしに兵を出したことについて、
進退伺を出すも、却下されている。
次に「大正12年(1923年)の関東大震災」。
日本チェーンストア協会会長の清水信次さんの話によく出てくる。
「震災の翌日に内務大臣に就任した後藤新平は、
その日のうちに復興に関する4カ条の基本方針を書き下ろし、
その具体化に努めた」
要は、素早く責任者を決め、
そのグランドデザインに沿って仕事を進めること。
堺屋太一さん言うところの「本気のプロデューサー」が、
不可欠だということだ。
北岡教授は、「安心・安全」に関しても言及。
「大事なのは安全の確保であって、
安心の確保ではない」
この指摘、故渥美俊一先生の言葉と全く同じ。
チェーンストアは「安全の確保」を第一義とせよ。
「安心を強調するのは、
実はお上に依存するということである」
「国民が安心を求め、リスクをゼロにせよといえば、
政府はこれに答えて、リスクはゼロだという。
こういうフィクションはやめるべきだ」
北岡さんの人生訓。
「人生はリスクに満ちている。
リスクを直視し、これをできるだけ減らすように様々な努力をし、
あとはリスクを取って行動すること」
関東大震災後の大正12年10月、
石橋湛山は「精神の振興とは」を書く。
「亡び行く国民なら知らぬこと、
いやしくも伸びる力を持つ国民が、
この位の災害で意気阻喪してはたまるものではない。
心配はむしろ無用だ」
「頑張れ、東北、頑張れ、日本」の声も、
途中から聞こえなくなった。
「伸びる力を持つ国民、
伸びる力を持つ東北関東人、
伸びる力を持つ私たち全員」
意気阻喪してたまるものか!
同じく日経新聞『消費の現場』。
「みそ・牛乳・洗剤…」
店頭と購買の現場を追う。
「みそ、牛乳、洗剤など毎日の生活で使う消費財を、
スーパーではなくコンビニエンスストアで買う傾向が強まっている」
ここでいうスーパーはスーパーマーケット。
「毎日の生活で使う消費財」はコモディティ・グッズ。
「大手メーカー品と遜色ないプライベートブランド(PB)商品が増え、
消費者が手を伸ばしやすくなっている」
これこそ「コモディティ化現象」。
事例は、コンビニ2強。
東京都文京区のローソン千駄木店。
PB「ローソンセレクト」のだし入りみそ(750g)は248円。
製造元はマルコメ。
記事にこうある。
「同店から歩いて5分ほどの食品スーパーでは、
マルコメのだし入りみそ(750g)が348円」
セブン‐イレブン文京千駄木店。
PB「セブンプレミアム」、
カロリーを抑えたマヨネーズタイプの調味料(400g)は198円。
製造元はキユーピー。
同じく、「近隣のスーパーでは、
ナショナルブランドのキユーピーの同商品(400g)238円。
カロリーや脂質などの栄養成分は同等」。
「東京都文京区の小売店舗を歩く」。
1リットル入りの牛乳では
明治の「おいしい牛乳」1リットル、
スーパーでは228円、
セブン‐イレブン、ローソン、ファミリーマートでは250円台。
ナショナルブランドの価格は、
コンビニが高い。
「ただPBではセブン‐イレブンが218円、
ローソンとファミリーマートが222円で販売」。
コンビニのPBと、
スーパーマーケットのNBでは、
コンビニが安い。
この記事を読んでいると、
コンビニの方が低価格路線のように思えてくる。
しかしスーパーマーケットも特売では安くなる。
記事にもその調査がある。
「ローソン阿佐ケ谷駅南口店でPBのトイレットペーパー(8ロール)は258円。
駅近くのスーパーでは特売品の12ロールが348円」
ローソンのPBは1ロール約32円、
駅近くのスーパーマーケットは29円。
スーパーマーケットの特売と、
コンビニのPBならば、
コンビニが高い。
ハイ&ローのスーパーマーケット。
エブリデー・フェア・プライスを標榜していたコンビニ。
しかしPBの力によって、
エブリデー・フェア・ロープライスになってきた。
昨年2月期、セブン-イレブンのPBの売上高全体構成比は4%、
それが「今年2月には8%に倍増」。
ナショナルブランドとプライベートブランド。
それも品質が同等の商品群。
そしてハイ&ローとエブリデー・ロープライス。
アメリカの競争と同じ軌道を歩んでいることは、
不思議でもなんでもない。
<結城義晴>