東京スカイツリー、開業。
昨日の金環日食の直後の快挙。
日経新聞巻頭コラム『春秋』は書いた。
「ツリーは3・11の災厄にもめげず、
黙々と背丈を伸ばしていった。
その姿に、この国もまだまだ捨てたもんじゃない、
と勇気づけられた人は多かろう」
同感、同感。
「金環日食と、スカイツリーと。
さあ上を向いてと、
いざなわれている気がする」
清水信次さんもいった。
日本チェーンストア協会会長。
「後ろ向き、下向き、内向きから脱せよ!」
つまりは、
「前向き、上向き、外向き」
太陽と月との融合も、
「21世紀ニッポンの匠の技」の結集も、
前向き・外向きの姿勢だし、
全国民が上向きに眺めた。
この意気で、行きたいものだ。
今月の商人舎標語。
「生きよ、学べ。」
これはまさに、
「後ろ向き、下向き、内向き」の正反対だ。
634mの世界最高の電波塔。
今日は「東京スカイツリータウン」全体で約20万人の来場。
初年度、約3200万人の来場者を見込む。
飲食・小売りなど312店舗が入る「東京ソラマチ」も、
きっと千客万来。
景気のいい話です。
さて、アメリカから帰って、
いきなり発熱したり、慌てて熱を下げたり、
日本チェーンストア協会総会懇親会に行ったり、
万代ファミリー・フェスティバルを訪れたり、
AKB48や財津和夫さんに会ったりで、
すっかり忘れていたが、
アメリカ報告がまだまだ残っている。
だから今後も、
「たびたび、レポート」の予定。
今日は、ホールフーズの転換について。
ご存知、世界最高の有機食品販売店。
アメリカ合衆国でも唯一、
正式認定されたオーガニック・スーパーマーケット。
昨2011年9月末決算で、
売上高は101億0800万ドル。
1ドル100円換算で、1兆円を超えた。
その売上高伸び率12.2%。
さらに驚くことに、既存店伸び率は8.5%。
純利益も3億4300万ドル(同343億円)。
こちらの伸び率は39.4%。
期中に18の新店をつくり、6店を閉鎖して、
期末店舗数も311。
さらにさらに、今年に入って、
第2四半期の1月~3月期決算も絶好調。
昨日の金環日食並み。
売上高は26.7億ドル、前年同期比13.6%プラス。
純利益は1億18万ドル、30.9%増。
既存店売上高も9.5%増。
これは10四半期連続。
そして、粗利益率。
36.3%。
前年同期比0.7ポイントの増加。
創業者で現在、共同CEOジョン・マッケイは、
「32年間で最高の四半期」とほくそ笑む。
店舗数もアメリカ、カナダ、イギリスに324店。
そのホールフーズのラスベガスのある店が、
大きな転換を図っている。
ラスベガス中の全店舗ではないし、
アメリカ中のホールフーズが一斉に、
この転換を志向しているのでもないと思う。
この店での実験か、
はたまたこの店だけの活性化策か。
創業の1980年以来最高の四半期にもかかわらず、
いや、最高の四半期だったからか。
ホールフーズ・マーケットが、
エブリデーロープライスを始めた。
店舗入り口でも。
Everyday Low Price!
店前のノンフード・プロモーションでも。
Everyday Low Price!
入り口を入った青果部門では、
「Sale! Sale! Sale!」だが。。
もちろんオーガニック・プロデュースは、
「本日215アイテム」。
これは変わらない。
カット野菜コーナーも。
Everyday Low Price!
1パック4ドル99セントで、
Everyday Low Price!
従来と変わらないアイテムを、
「毎日特売価格」で売り続ける。
Everyday Low Price!とSale!の組み合わせ。
シーフード・デパートメント。
ここでは、Three day Sale。
Buy one Get one Freeセール。
つまり1個買ったら1個タダ。
ロブスターが8ドル99セント。
ミート部門の平台でも。
7ドル99セント。
卵売り場もEveryday Low Price!
牛乳コーナーも、
Everyday Low Price!
スポッターでもEveryday Low Price!
ヨーグルトもEveryday Low Price!
オーガニック・ジュースも、
Everyday Low Price!
ベーカリー部門でも、
Everyday Low Price!
レジ前のノンフード島陳列も、
Everyday Low Price!
もちろん、Tree day Saleも組み合わせる。
オリーブオイルのポップコーンも、Sale!
最後の最後のレジ前、
ワインのアイランド陳列。
Everyday Low Price!
ホールフーズは、
コーポレートカラーがグリーン。
だからEveryday Low Price!は、
ピンク。
これが実によく目立つ、映える。
乳癌募金のピンク・リボンをイメージさせる。
Everyday Low Price!は、
ご存知、ウォルマートの代名詞。
今では、もちろんコストコも、
アルディやウィンコフーズも、
Everyday Low Price!一筋。
スーパーマーケットでも、
テキサス州のHEBやニューヨーク州のウェグマンズが、
Everyday Low Price!を、
採用、導入している。
そして、トレーダー・ジョーが、
忠実なEveryday Low Price!主義者。
いよいよ、最後の砦、
ホールフーズ・マーケットが、
Everyday Low Price!の実験を始めた。
それも創業以来32年ぶりの最高の伸びを示した四半期のあと。
Everyday Low Price!とは、
「1年間、同アイテム1プライスで売り続けること」
それも「特売」の前後の価格で。
つまりは、「毎日、特売価格」にすること。
ウォルマートは1980年からスタートさせ、
この政策をモノにするまで10年かかり、
それを成功させたときに、
米国ナンバー1の小売業となった。
ただし1980年から始めたのは非食品。
食品に関しては、1988年から始め、
7年かかって、成功と呼べる状況にこぎつけた。
その1995年以降、
ウォルマートは食品主体のスーパーセンターを、
主力フォーマットと定め、
2001年世界最大の企業となった。。
そのEveryday Low Price!実験を、
いま、ホールフーズ・マーケットが始める。
粗利益率36.3%のいま。
もう他の追随など、
「絶対に許さない」
ジョン・マッケイの心意気が見える。
マッケイは、
「コンシャス・キャピタリズム」を標榜する。
「意識の高い資本主義」。
それがEveryday Low Price!実験に、
現れ出た。
その心意気、
おそらく東京スカイツリーをも、
凌ぐかもしれない。
どこまで「前向き、上向き、外向き」なんだろう。
畏れ入った。
<結城義晴>