結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年06月19日(火曜日)

小売業125社最新決算ROA7%とイオン、テスコ日本株1円で取得

台風4号、今夕、
四国から関西に上陸の模様

私はそれを逃れるように横浜ベイブリッジをわたり、
羽田空港からANA59便で、
北海道・新千歳空港へ。
20120619171802.jpg
2日間。
㈱とりせん
創業100周年記念式典行事
に参加する。

1912年、アメリカのA&Pが、
「エコノミーストア」というフォーマットをスタートさせた年、
前原仙吉が食品卸売業の鳥仙商店を創業

それからちょうど100年。

とりせんは100年企業である。
その目出度いお祝いの会。
目いっぱいお祝いしよう。

さて日経新聞『経済教室』
アルフレッド・マーシャル(1842~1924年)の第1回目。
イギリスの新古典派経済学者で、
「現代の経済理論の創始者の一人」。
J・M・ケインズの師匠として有名だが、
そのマーシャルが言葉を残している。

「クールな頭、温かい心」
”Cool head,but warm heart”

これは私の「心は燃やせ、頭は冷やせ」と同意。

私は坂口安吾生誕100周年のときに、
その追悼文章からいただいた。

京都大学教授の矢野誠さんは、
「クールな頭、温かい心」に関して語る。
「彼が伝えたかったのは、
安易なパターナリズム(父権主義)ではない」。

「大学教授として、
学生たちに『クールな頭』だけでなく
『温かい心』も身に付けてもらい、
卒業後、実業の場において、
身の回りで起きている生活苦の解決に
少しでも手を差し伸べようとする人たちを
増やしていきたい、というのが彼の考えである」

さて、日経の分析記事。
「小売業、経営効率が改善」
小売業125社の2011年度決算(12年2月期と3月期)を集計。

その結果、
総資産経常利益率(ROA)
が、
平均7.0%
となった。
これは前年度から0.5ポイントの上昇。

ROAはreturn on assetの略。
総資産に対する経常利益の比率で、
利益を稼ぐうえで資産をどれだけ有効活用したかを示す指標
故渥美俊一先生も私も最も重視する指標だ。

総資本回転率と売上対比経常利益率の掛け算で、
ROAは算出される。

だから例えば総資本回転2、
経常利益率3.5%ならば、
ROA7.0%となる。

125社合計の総資産は3%、
経常利益は10%増加。

その結果が7.0%。

ROAが最も高いスタートトゥデイは38.6%
前期より2.5ポイント低下。

第2位のメガネトップは27.8%
前の期から9ポイント上昇。

第3位のあさひは24.8%
第4位ABCマートは24.6%

そして第5位ニトリホールディングス23.0%
渥美先生の愛弟子のニトリはやはりすごい数字を挙げている。

以下第6位ユナイテッドアローズは5.4ポイント上昇し21.2%
第7位ポイントはマイナス6.3ポイントだが20.1%
第8位サンマルク17.8%
第9位しまむら16.9%
第10位良品計画16.2%

なお、2012年度は小売業全体で、
6%の経常増益を見込んでいるという。

さてさてもう一つのニュースは、
昨日の午後から全国を駆け巡った。
イオンが、
撤退表明しているテスコ・ジャパンの株式を引きうける
今秋、株式50%を1円で取得

テスコ・ジャパンは現在、
首都圏に117店を展開。

日経に記事によると、
イオンは「持ち分法適用会社」にし、
「いずれ完全子会社化する可能性が高い」

赤字店舗が多けれど、
イオンの「まいばすけっと」の系列に加えようというもの。

まいばすけっとは、
東京・神奈川で約250店を展開
する小型スーパーマーケット。
イギリスでのテスコ・エクスプレスをモデルとしている。

イオンは2011~13年度の中期経営計画で、
「大都市シフト」を新たな成長戦略としている。

その中核フォーマットがまいばすけっと。
売場面積150~200㎡
生鮮・日配、加工食品・菓子、飲料、酒、日用雑貨など
約2000品目の品ぞろえ
当面は、「テスコ」や「つるかめ」などテスコ・ジャパンのバナーはそのまま。

しかしやがては、
まいばすけっと、あるいはマックスバリュ・エクスプレスに、
変わると私は見る。

テスコが日本に進出したのは2003年。
当時のシートゥーネットワークを買収。
しかしこの組み合わせはよろしくなかった。
業績低迷は続き、昨年8月に撤収を表明。

様々な買い手を探したが、
結局、盟友イオンの手に渡ったということ。

テスコは海外進出が苦手な会社ではない。
むしろ成功事例を多く持つ。

それだけにいち早い撤退とイオンへの売却は、
テスコ自体の中期的なROAの面でも、
良い結果となるに違いない。

しかし日本のマーケットは、
テスコにしても対応不可能だった。

このことがなにより教訓的で、
しかも印象深い。

<結城義晴>

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.