昨夜、札幌から横浜に戻ってきました。
台風4号の影響もなく、快適。
そうしたら、ロイター配信のニュース。
「米ウォルグリーン、
アライアンス・ブーツ株45%を取得へ」
アメリカのドラッグストアは、
ウォルグリーンとCVSケアマークが、
激しいデッドヒートを繰り広げています。
2011年度フォーチュン・グローバル500では、
Walgreenは、
世界年商674億ドル(100円換算で6兆7400億円)、
店舗数7456。
CVS Caremarkは、
世界年商964億ドル、
店舗数7217。
そのウォルグリーンが、
ヨーロッパのアライアンス・ブーツの株式45%を、
67億ドルで取得。
現金40億ドルと株式8340万株で支払う。
さらにウォルグリーンが3年以内に買収オプションを行使すれば、
ブーツの残りの株式を現金49億ドルと1億4430万株で取得し、
完全子会社化ができる。
一方、アライアンス・ブーツ社は年商320億ドル。
スイスに本社を持ち、イギリスをはじめ
11カ国に3300店のドラッグストアを展開、
さらにヨーロッパ全域やアジア、中東まで、
21カ国で調剤卸売業を運営。
ドラッグストアのブーツは1842年、
イギリスのブート夫妻が始めた薬店だが、
イギリス第1のドラッグストアへと成長し、
その後、2006年7月、アライアンスUniChemと対等合併、
本社をスイスに移していた。
1998年、三菱商事と合弁会社を設立して日本進出、
原宿、吉祥寺、銀座、横浜三越4店舗を開設したが、撤退。
これによって、単純年商規模994億ドルでCVSを抜く企業が誕生し、
店舗展開は12カ国で1万1000店超、
薬局や医療機関などへの流通拠点は21カ国370カ所。
世界小売業年商でも、
第1位、4219億ドルのウォルマート、
第2位、1203億ドルのカルフールに次ぐ第3位となる。
調剤部門を持ったドラッグストアでは、
世界最大の企業となる。
日本では㈱マツモトキヨシホールディングスが、
売上高4346億円、1257店舗で第1位。
これで世界第1位ドラッグストア企業との規模の差は、
ますます開いたことになる。
まあ、それによって、
規模の拡大を焦ることは全くないが。
さて、私は不在だったが、昨日20日は、
㈱大創産業の埼玉RDCお披露目会、
及び創業40周年記念パーティーが開かれた。
場所は、埼玉県久喜市の工業団地の一角。
倉庫にしては、カラフルな外観。
紅白幕でめでたく飾られた受付。
受付には、お祝いに駆け付けた人、人。
倉庫への入り口は、カラフルな風船のアーチ。
今年、創業40周年を迎えたダイソーにとって、
こうしたお披露目は40年目にして初めて。
会場入り口には、お祝いの花がずらりと並ぶ。
早めに到着した人たちには、内覧会に先立ち、
スタッフの人たちが倉庫内を案内してくれた。
リージョナルディストリビューションセンター(RDC)は、
総面積1万8000坪、うち600坪が自動ライン。
RDCの特徴は3つ。
1つは、自動倉庫、自動マテハンの活用。
2つ目は、きれいなカラーリング。
ごらんのように、グリーン、水色、オレンジ、ピンクとカラフルで、
とても倉庫内とは思えない。
しかしそれが矢野社長のカラーであり、
ダイソーの社風をよく表している。
3つ目が、オリコンにスマートタグを取り付けたこと。
これにより、効率化、ペーパーレス化が図られている。
主力商品、高回転商品はパレットのまま置かれる。
熱心に説明を聞く取引関係者。
ダイソーのオリジナルパレットには、
水色とオレンジがある。
オレンジが自動倉庫用で、
それ以外が水色。
オリコンは、グリーン。
色分けによって、
商品やセンター・オペレーションの流れがよくわかる。
そうこうするうちに、10時になり、
お披露目会がスタート。
はじめに、矢野博丈社長がごあいさつ。
台風一過のこの朝、
メーカーや問屋、銀行などの取引先が、
多数集まった。
ダジャレから始まった矢野社長の挨拶だったが、
創業当時から、これまでを振り返って、
とても良い話だった。
「10万円を持って、2トン半のロングボディトラックを駆って
大阪の鶴橋駅ガード下にある露天商や担ぎ屋向けの小間物問屋に行った。
そこで仕入れた少し傷物の鍋を上代の1割で仕入れて、安く売った」
「2部屋の事務所で、仕入れた商品を仕分けてしていた。
RDCならぬ、2LDだった」
「お客の離れるスピードは速い。
緊張して生き続けていきたい」
多くの参列者が、矢野社長の話をじっくりと聞いた。
清水信次さんも駆けつけた。
㈱ライフコーポレーション会長、
日本チェーンストア協会長、
国民生活産業・消費者団体連合会会長。
その後ろは、坂東英二さん。元プロ野球選手。
来賓のあいさつトップは、㈱ヤオコー会長の川野幸夫さん。
日本スーパーマーケット協会会長。
「矢野さんは世の中を見る確かな目、
人生を謙虚に生きる姿勢、
ダジャレを連発する頭の良さをもつ。
駄洒落を飛ばしながらも、
独自の経営哲学を貫いている」
来賓のあいさつの後は、
お祝いのくすだまわり。
そして場所を移して懇親会。
物流を担当する内藤雅義専務が、RDCの説明。
国内、海外の物流センターを一気に紹介。
「ダイソーのDNAといえるのが倉庫。
だから各地、各国に倉庫を配置していく。
ローコスト化した配送センターで、
店舗に最適に提供する。
そのローコスト物流が課題」
ダイソーは今年、中国・広州に出店し、
さらにブラジル・サンパウロに展開予定。
これで世界30カ国となる。
もともとは1858年に、
アメリカでフランク・ウールワースが始めたワンコインストアの業態。
バラエティストアと称された。
歴史的にみると、
百貨店、スーパーマーケットに次ぐ、由緒ある業態。
それを日本の矢野博丈が、ここまで持ってきた。
今後は三菱商事からも人材を得て、
国際小売業の視野を持ち始めた。
そのお祝いの鏡割り。
懇親会の来賓あいさつは清水さん。
「政治家も行政ももう当てにならない。
産業界、それも消費産業が力を発揮して、
この国のために働こう」
坂東英二さんは、激励のオモシロ・トークショー。
中締めは西田知之さん。
三菱商事から出向し、
常務取締役を務める。
最後の写真は、清水さんと矢野さん。
私は矢野さんほど繊細な経営者を知らない。
それを風体とダジャレに隠しているが、
しかし、周囲に対する配慮は、
この写真によく表れている。
台風4号は去ったが、
それもつかの間、
台風5号が待ち構えていた。
<結城義晴>