最近、経済欄のコラムが面白くない。
日経新聞の『大起小機』、
朝日新聞の『経済気象台』。
だから引用も少なくなった。
何故だろう。
日経は昨年10月6日に、
新誌面とした。
それからだろうか。
私は体裁ではなく内容を語っているのだが、
人間と同じようにメディアも、
外見を変えると内面もちょっと変わるものらしい。
よく、変わればいいが、
良かったものが変わると、
悪くなる。
さて昨日は、午前中に、
イオンリテールワーカーズユニオン幹部の面々が、
横浜の商人舎オフィスを訪れてくれた。
7月と8月に、研修会で講義する。
その打ち合わせ。
私は、「商業の現代化」と「知識商人の養成」を、
ライフワークにしているが、
その時、労働組合は重要な役目を果たす。
35年も前、
関西スーパーマーケットの北野祐次さんに、
はじめてお会いして間もないころ。
当時、代表取締役で乗りに乗っている北野さんに、
聞いたことがある。
「会社がよくなったのはどんな時ですか」
北野さん、じっと考え込んで、答えた。
「労働組合ができてからでんな」
労務問題が解決しなければ、
良い会社にはなれない。
働く人々が、
納得し、満足していなければ、
顧客の満足はあり得ない。
私は、心底、そう考えている。
だからコーネル大学リテールマネジメントプログラムをつくった時にも、
アメリカのコーネルのカリキュラムにはなかったが、
ジャパンのプログラムには、
私の判断で二つの講座を組み込んだ。
UIゼンセン同盟会長の落合清四さんと、
流通サービス業の労務専門弁護士の木下潮音さんの講義。
お二人とも日本最高の講師だった。
だから私は、労働組合の研修会には、
積極的に協力する。
みんなで、胸を張って写真撮影。
左から、中央執行総合企画局の金澤裕子さん、
東海グループ副議長の上山功樹さん、
中央執行本社グループ事務局長の小関慶一さん、
そして総合企画局局長・安藤賢太さん。
午後は、東京ビッグサイトへ。
PB開発展2012。
日本能率協会主催。
海外企業の出展も多かった。
㈱コーヒー乃川島のブース。
こちらはオーガニックのお茶のブース。
プライベートブランドも価格一辺倒ではなくなる。
それがよく出ていた。
今回はPBのパッケージ・イノベーションが、
テーマの一つとなっていた。
私の講義は、午後3時から1時間。
テーマは、
「プライベートブランド・イノベーション2012」
日米欧最新トレンドを分析する。
1時間ではとても足りないが、
エッセンスをダイジェストした。
今年の秋の商人舎USA研修会Specialコースでは、
テキサス州ダラスでメリッサ・フレミングさんが、
恒例の講義をしてくれる。
テキサスの雄HEバットの元上級副社長で、
PB開発担当をしていた。
HEBはウォルマートに引けを取らないローカルチェーン。
私ももちろん、PBに関しては時間をとって解説する。
Specialコースの募集は7月からだが、
日程、旅程は決まっている。
10月30日(火)~11月6日(火)の8日間。
ダラス・ワシントン・ニューヨークの激戦区。
今回のPBセミナーでは、
フランスのピカールのケーススタディを、
紹介した。
PB開発の手法や方法は、
確かなものがある。
その手順をきちんと踏むことだ。
ローカルチェーンにも、
インディペンデントにも、
大いに可能性はあると思う。
今回は、
日本製粉㈱執行役員営業企画部長の内田宗司さんや、
結城ゼミ2期生の佐藤大輔さんも聴講に来てくれた。
ご清聴を感謝したい。
PB開発展事務局の橋本徹さんと写真。
お疲れ様。
今日の最後は、5月の販売統計、
業態別のまとめ。
まず全国百貨店の売上高概況。
日本百貨店協会発表。
5月の総売上高は4734億3858万円で
対前年比1.0%減。
3カ月ぶりのマイナス。
昨年よりも休日日数が2日少なかったこと、
東北の復興需要の反動があったことなどが、
マイナス要因として考えられる。
東京地区は、2.1%増と好調。
百貨店の新店や新しい大型施設のオープンの効果。
商品別にみると、
宝飾品などの高級商材は引き続き好調で3.4%増、
家電も16.7%増と大きく伸びた。
コンビニエンスストアの販売月報は
日本フランチャイズチェーン協会から発表。
5月の全店売上高は7543億9900万円。
前年同月比6.5%増。
店舗数は45307店で4.8%増。
来客数は既存店で1.0%増、
客単価も0.8%増。
5月の大型連休や行楽需要の増加で、
デイリー商品の売上げが伸長した。
コンビニは今月も絶好調だ。
チェーンストア販売統計月報の発表。
こちらからは大手総合スーパーの
販売結果がわかる。
総販売高は1兆0352億8152万円。
既存店前年同月比は1.7%減。
食料品が6323億2989万円で1.9%減。
衣料品が1141億6001万円で1.1%減。
住関品が2195億6067万円で0.9%減。
サービスも33億4001万円で3.9%減。
非常に厳しい状況。
5月初旬の悪天候や中旬以降の低温傾向が影響し、
アウトドア用品や涼感商品が不調。
百貨店同様、休日が少なかったことが響いた。
最後の最後に、
スーパーマーケット販売統計調査。
スーパーマーケット3協会合同発表。
5月の総売上高は7990億9595万円、
既存店前年同月比1.3%減。
食品合計が7025億9043万円で1.2%減、
生鮮3部門合計は2635億6402万円の1.0%減。
うち、青果は1097億2959万円で2.8%増。
水産724億3349万円、2.3%減。
畜産もふるわず、814億0093万円で4.7%減。
惣菜は717億9484万円で、
0.3%減と珍しくマイナス。
日配食品が1518億8398万円の2.0%減、
一般食品は2153億4758万円で、1.3%減。
最後に、非食品が671億8750万円、2.5%減、
その他、293億1802万円で2.9%増。
既存店ベースでみると、
エリア別の昨対も、企業規模別の昨対も、
前年割れをしている。
今月は、江口法生さんが発表。
日本スーパーマーケット協会事務局長。
「5月のポイントは3つ。
ひとつは今年の5月は日曜日が一回少なかったこと。
ひとつは昨年からの反動。
そして、4月1日放射能新基準の影響」
「今月も野菜の相場高の影響が大きかった。
トマトやカット野菜などのサラダ材料が好調だった」
「行楽商材も良かった。
しかし『良かった』というよりも、
『例年に戻った』という表現の方がいいだろう。
母の日商戦に関しても、同じく、
『例年に戻った』と感じた企業が多かったようだ」
今月のゲストスピーカーは、
㈱いちいの伊藤信弘代表取締役社長。
福島市のローカル・スーパーマーケット。
「いちいでは昨年の震災の影響で、
更地にした店舗が1店舗ある。
築43年の店舗で、基礎がダメになってしまった。
そういう意味で、いちいはまだ完全には復興していない」
「いちいでは昨年の7月に
食品用の放射能測定器をいち早く導入し、
測定を開始した。
一部では、『大手スーパーマーケットでも
やっていないのに、なんでうちがやるのか』
という声もあった。
しかし、契約している350件の農家からの地場野菜を、
安全にお届けするために、
測定しようということになった。
結果、お客さんとの信頼関係ができ、
青果部門はとても好調。
地元の方々は評価してくれて、
地場野菜も良く売れている。
このように放射能対策として、
経費をかけて努力しているものの、
やはり風評被害はある。
農家も工夫し、情報を得て努力しながら、
農作物をつくっている。
いちいも測ったものを正直に開示する。
当面はこれをやり続けなければならない」
伊藤さんの決意も素晴らしい。
徹底するとは、
①細かく
②厳しく
③続けること
三菱食品㈱専務の今村忠如さんは、
4年前の私の講演を聴いて、
③の「続けること」を、
「しつこく」と理解し、
言い換えて使ってくれているそうだ。
徹底は、
細かく、
厳しく、
しつこく。
なかなかよろしい。
では、みなさん、良い週末を。
<結城義晴>